「ラクマ（旧フリル）」と言えば、今や国内有数の大企業「楽天」が運営するフリマアプリサービスですが、2019年現在フリマアプリといえば「メルカリ」であり、人気・知名度ともにラクマはメルカリに及ばない状態です。
果たしてラクマは人気がないサービスなのでしょうか？
そこで2019年9月現在のラクマのサービス内容や利用者数、実際のラクマユーザーからの評価からラクマの実態を伺います。
ラクマとメルカリ、どうして差がついたのか… 慢心、環境の違い
大きく成長しているものの、利用者数はほぼダブルスコアでメルカリ圧勝
フリマアプリで何よりも重要なのは利用者数です。
使っている人が多ければ、それだけ売れるチャンスも、欲しい商品の数も比例して増えていきます。当然利用者数が少なければ、物を売る機会・買う機会いずれも減っていきます。
そこで、まずはラクマの利用者数を見てみましょう。
視聴行動分析サービスを提供するニールセン デジタル株式会社が2019年6月に発表した、フリマアプリを含むECサービス利用者状況を見てみると、ラクマの2019年4月1日時点での利用者数は、1,115万人となっています。
1,000万以上のユーザーがラクマを使っているのですから、これは非常に多くのユーザーがラクマを利用している、とは間違いなく言えます。
しかし、翻ってメルカリに目を向けると、その利用者数は2019年4月1日時点でなんと2,216万人。ラクマとメルカリのユーザー数はほとんどダブルスコアと言っていい差がついてしまっているのです。
▲ともに利用者増ながらも、数はメルカリが圧倒（画像出典:ニールセン デジタル株式会社）
勘違いして欲しくないのですが、「ラクマは落ち目」なんてことを言いたいわけではありません。むしろラクマは去年から大きく成長しており、前年同月の利用者数834万人から34%も増やしています。
ただ、如何せんメルカリ利用者数も前年同月比で33%の大幅増と、こちらも大きく利用者数を伸ばしているのです。2019年現在、利用数で見るとやはりメルカリがラクマを圧倒している状況は変わっていません。
※ 利用者数はいずれもニールセン デジタル株式会社調べ。
参考記事:『「アマゾン」、「メルカリ」、「ラクマ」の利用者数は昨年同月比で２桁成長』
で、でもラクマには手数料の安さがあるから…
利用者数でメルカリに圧倒されているラクマですが、サービス内容をメルカリと比較してみると、手数料周りではメルカリとそこまで差がないことがわかります。
むしろ、販売手数料はメルカリが10%なのに対し、ラクマは3.5%とかなり低く抑えられ出品者にとっては大きなメリットです。
ラクマとメルカリの手数料比較
| ラクマ | メルカリ | |
|---|---|---|
| 出品手数料 | 無料 | 無料 |
| 販売手数料 | 3.5% | 10% |
| 振込手数料 | 210円 | 200円 |
| 決済手数料 | コンビニ/ATM払い：100円 キャリア決済：100円 楽天ペイ：無料 | コンビニ/ATM払い：100円 キャリア決済：100円 メルペイあと払い：300円（※1） |
| 送料 | かんたんラクマパック：179円〜1,500円 | メルカリ便：175円〜1,600円 |
※1 「メルペイあと払い」は「コンビニ/ATM払い」もしくは「口座振替」の時のみ清算手数料300円がかかります。
例えば10,000円の商品が売れた場合、ラクマなら販売手数料３５０円（3.5%）が差し引かれ、9,650円の売上になります。しかしメルカリの場合は販売手数料が10%もかかるため、10,000円の商品が売れても1,000円差し引かれ、9,000円の売上となってしまいます。
単純に「高く売りたい」と思うなら、メルカリよりラクマの方が期待できるのです。
にもかかわらず、利用者数ではメルカリがラクマを圧倒しているのはなぜなのでしょうか？
色々気が利いてないラクマさん
手数料を考えればメルカリよりもお得なはずのラクマですが、実際に使ってみると、メルカリと比較してラクマの「イケてない」部分が色々目につきます。
ラクマで買いたくても、購入申請で「一見さんお断り」されることがある
メルカリは出品されている商品全て、誰でも最初に購入した人が買うことができます。
「当たり前じゃねーか」と思う方もいるでしょうが、実は出品者の中には取引トラブルを避けるため、信頼できる購入者でなければ売りたくないという人も少なくありません。
実際、メルカリの出品商品の中には「〇〇様専用」「お取り置き」なんて注意書きをつけて、「特定ユーザー以外に売るつもりはない」という意思表示をしたものが散見されます。
▶︎ メルカリで出品されている専用ページとは？トラブルに要注意！
しかし、たとえ商品説明にそんな文言が付いていたとしても、メルカリには特定ユーザーにのみ購入させるといった「一見さんお断り」システムはありません。いくら出品者が「〇〇様専用商品」と言い張ったところで、他の人でも普通に購入できるのがメルカリです。
一方ラクマは、出品者が「一見さんお断り」にすることができます。それが「購入申請」システムです。
ラクマの出品商品をみてみると、「すぐに購入可」というタグが付いたものと付いていないものがあります。「すぐに購入可」と書かれた商品ならば、誰でも制限なしに買うことができます。
ところが、欲しいと思った商品に「すぐに購入可」というタグがない場合、購入者はまず「購入申請」をしなければなりません。しかも出品者がその申請を拒否した場合、商品を買うことができないのです。
▲「すぐに購入可」以外の商品は購入申請し、許可されないと買うことができない
もちろん出品者にとっては取引トラブルを避ける一つの方法としてメリットのあるシステムではあります。
ただ、購入者からすれば、欲しいと思った商品を見つけたのに「出品者様、私に買わせてください！」とお願いしなければならないのは面倒この上ないですし、挙句「お前の態度が気に入らない」とばかりに入店拒否されるのは、使っていて気持ちのいいシステムとは到底言えません。
匿名配送が一部しか使えない
オンラインのフリマサービスでは、商品の発送時に氏名・住所といった自分の個人情報を取引相手に明かす必要があります。
取引相手とは言え、会ったこともない見知らぬ他人に自分の個人情報を明かすことに不安を覚える方も少なくないでしょう。
そんな不安を解消するために用意されているのが、出品者と購入者双方がお互いの個人情報を明かさずに商品の配送が行える「匿名配送」です。
メルカリの場合、独自の発送サービス「メルカリ便（※2）」を使えば、匿名配送が利用可能になります。
※2 クロネコヤマトの「ネコポス」「宅急便コンパクト」「宅急便」、日本郵便の「ゆうパケット」「ゆうパック」計5種類が利用できるメルカリ独自の配送サービス。
一方ラクマにも「かんたんラクマパック」という独自の配送サービスがあります。
「かんたんラクマパック」もメルカリ便と同様に「ネコポス」「宅急便コンパクト」「宅急便」「ゆうパケット」「ゆうパック」が利用可能です。しかし匿名配送が使えるのは、2019年9月現在「ゆうパケット」「ゆうパック」2種類のみとなっています。
「『ゆうパケット』か『ゆうパック』を使えばいいじゃん」なんて思う方もいるかもしれませんが、「かんたんラクマパック（ゆうパケット・ゆうパック）」のコンビニ発送に対応しているのはローソンのみというのが気が利かないところ。
メルカリならば、セブンイレブンとファミマからは「らくらくメルカリ便」、ローソンからは「ゆうゆうメルカリ便」として匿名発送が可能なのに対し、ラクマで匿名発送ができるコンビニはローソンしかないので、自宅近くにローソンがない人にとっては余計な手間がかかって面倒なのです。
▶︎ ラクマ配送完全ガイド
梱包資材をラクマで買えない
商品発送時、「荷物を入れる箱や袋はどうしよう」と悩むのはよくある話です。
メルカリの場合、メルカリアプリにある「メルカリストア」で発送に使える梱包資材を、売上金やポイントを使って購入することができます。
さらに梱包資材だけでなく、梱包資材と出品に必要なメジャーなどがセットになった「メルカリ出品キット」も販売されています。特にコンビニ発送を利用する場合は、サイズ間違いによる返送や送料アップなどが起こりがちなので、これらは大変重宝します。
一方、ラクマには配送用梱包資材が用意されていません。
もちろん梱包資材は、配送サービスごとの規格（サイズ）に適合していれば、一部サービスを除き市販の箱やクッション封筒、段ボールなどが利用可能です。メルカリで買った梱包資材をラクマの発送に使うことも問題ありません。
しかし、メルカリならば梱包資材の用意までメルカリのサービスとして提供されているのに対し、ラクマでは梱包資材はラクマサービス外で用意するしかありません。この辺りもメルカリと比較すると実に気が利かないサービスと言えるでしょう。
実はこれが致命的？ ラクマの口コミ・評判
出典：GooglePlay
運営に対する批判・不満が爆発？
ラクマに付いて色々調べていて目についたのが、ラクマ運営に対する利用者からの不満・批判の口コミです。
GooglePlayにあるラクマアプリの最新ユーザーレビューを見てみると、その内容の真偽はともかく、なかなか壮絶です。
2019年9月4日 ☆1
楽天のクレジットカードなのに使えないとは（笑）手元にある複数のカードは軒並み使えず、メールして電話してパスワード書き留めて通帳用意して支払いに30分程かかりました。本当に本当に大変でした勉強になりましたありがとうございます。 セキュリティがしっかりしてると取るか、アホ程面倒臭いと取るかは人次第だと思いますが私は評価の通りの感想です。
出典：GooglePlay
2019年9月7日 ☆4
手数料が安いことや購入申請があるのは良いと思いますが、ラクマパックでトラブルがあった時の補償の際に写真を送れなど運営との何回ものやり取り、郵便局からも直接仕事中に何回も電話が掛かってきて、最後には本人確認までし返金に2週間以上掛かり大変疲れました。メルカリでも同じ事が1度ありましたが、問い合わせ数時間後には何もせずに返金されました。運営の要領が悪過ぎて、この様な点でもメルカリに劣ってしまっていてユーザーが少ないままの一因だと思います。今後色々改善される事を期待しています。
出典：GooglePlay
2019年9月12日 ☆1
利用中、何度も気持ちのいい取引ができました。 先月、最後の取引をしましたが、購入から1ヶ月弱商品が届かず、しかも届いてみると写真のものとは違う商品が届き、サポートに相談しましたが当事者同士でとの一点張り。 出品者の方にメッセージを送るも返事が来ず。 結局泣き寝入り。 警察に相談と言われましたが、そこまでするより、自分がもう利用しない方が良いと思いました。 ろくな対応ではないなと感じました。
出典：GooglePlay
2019年8月23日 ☆1
はっきりいって使わない方がいいです。手数料は他のフリマアプリに比べて安いですが、その分運営の対応が最悪です。規約も都合の良い規約となっており、トラブルがあった時は何も助けてはくれません。また、意味のわからない突然の無期限の利用制限！問い合わせをしても、テンプレの文章しか返答しない。どれだけ人を馬鹿にするんだろうかと腹立たしい。自分の所の守りはガッチガチに固めて理由も言わず無期限とか有り得ない。しかも答える義務はないと規約にも書いてるのでそれ以上ゴチャゴチャ言うなよ！ってメールきたし。だからラクマは売れないんだよ！
出典：GooglePlay
AppStore/GooglePlayいずれもユーザー評価はメルカリ勝利
もちろん、ユーザーレビューというものは得てしてこういう評価が並びがちではあります。
ということで、同じくGooglePlayにあるメルカリアプリの最新ユーザーレビューも見てみましょう。
2019年9月11日 ☆3
基本的には便利に利用させてもらってます。ただ検索がかなりいい加減ですね。本のタイトルなど長いものでも完全一致でないと見つからなかったり、逆に一部のキーワードで区切らないと見つからなかったり。販売中なのに｢販売中のみ表示｣にしているとなぜか表示されないこともあります。あと、他人のプロフィールから商品一覧を見ている時に出品するボタンが出るのは邪魔なのでやめてほしいです。買い物したくて色々見ている最中に出品する人はまずいないでしょう…。
出典：GooglePlay
2019年9月11日 ☆4
いいねしてる商品にコメントやいいねが入ったとき、スマホにお知らせが表示されるので、画面をタップしたら、そのお知らせページが表示されない。メルカリの空白のページが表示されるだけで、またメルカリのアプリを開いてから見ないといけないので、２度手間になるので改善してほしい。すぐにお願いいたします。Androidです。
出典：GooglePlay
2019年9月12日 ☆1
出品者のページで販売中の商品のみ表示させるフィルターが欲しいです。購入された商品が並んでいると見にくいですし、見る気になりません… 保存した検索条件もタブで分かれてて欲しいかな。 ラクマはその機能両方備えてるので、やはり比べて劣っていると感じます。
出典：GooglePlay
2019年9月10日 ☆3
未使用に近いとの表記は、本であれば書き込みなどないと思っていいのでしょうか？ はじめから書き込みあるなど表記してなくて、購入、到着後書き込みしてある旨連絡。その後気が付かなかった。等言ってきます。 話になりません。本も読んでないのに。書き込み等するわけもない! 基準がバラバラ。送付も丁寧な人、ただ封筒に入れるだけ、濡れてもお構いなしな人。もう取引やめたいです。
出典：GooglePlay
これは何も、意図的にラクマは酷いレビューを選び、メルカリは中間的なレビューを選んだという訳ではありません。2019年9月12日時点のGooglePlay各アプリトップページに表示されているレビューを並べて比較しているだけです。
実際、ユーザーによるGooglePlayの星評価は、メルカリが4.2なのに対しラクマは3.9。AppStoreでの評価もメルカリが3.9なのに対しラクマは3.1と、いずれも差をつけられています。
▲AppSoterレビューでもラクマよりメルカリの方が高評価
検索機能はラクマの方が評価が高いが…
ユーザーレビューを眺めてみると、メルカリへの不満として「検索機能が弱い」というものが目につきます。
実際、メルカリを使ってみると、商品が大量にずらずらと並んで見にくい上に、検索精度の低さにストレスを覚えます。対してラクマの検索機能にストレスを覚えることはほとんどありません。
が、手数料の安さや機能性以前に、トラブル時の対応や補償といったカスタマーサポートの面で、怒気を含んだ口コミがこれだけ並ぶというのは、やはりメルカリと比較し何らかの問題点をラクマが抱えているのでは、と考えてしまいます。
評判という意味では、メルカリだって現在進行形でかなりの誹謗中傷を受け続けているサービスですが、利用者サポートという点においてはメルカリに軍配が上がるようです。
メルカリよりラクマを評価するユーザーにインタビュー
以上のように、ネット上で確認できる情報をもとにラクマとメルカリの比較を行ってきましたが、基本的には「ラクマよりもメルカリの方がユーザー評価が高く、利用者数も多い」という評価になっているようです。
ところが、弊社「ウリドキ」のスタッフの中に「メルカリよりもラクマの方が断然いい！」と声高に主張する男性Aさんがおりましたので、Aさんに「ラクマがメルカリよりも優れている点」について話を聞いてみました。
ラクマの方がライバル少なく、高く売れるし購入者の質も高い（Aさん談）
▲ウリドキスタッフのAさん。実は開発マネージャーも務めるお偉いさん。
Q : ラクマの方がメルカリより良いという、その心は？
Aさん（以下敬称略） : 単純にラクマが一番早く、高く売れるからです。
同じ商品をラクマ・メルカリ・ヤフオク!で出品しても、ラクマの方が、売れるのも購入者からの反応も早いです。なんでみんなそんなにメルカリが良いっていうのかが僕にはわからない。
Q : 出品した商材によって差がある気も。実際にラクマで売った商品は？
A : レディースもののバッグと、少女漫画全巻。少女漫画全巻は、メルカリだと3,600円で出して全く売れなかったのに、ラクマだと4,000円で売れました。
Q : やっぱりラクマは女性ユーザーが多いから、女性ものが売りやすい？
▲ラクマ・メルカリ・ヤフオクの性別利用者数。2018年時点でラクマは女性ユーザーが約7割。
出典：AppApe「楽天「ラクマ」 どんな人が使っている？もっとも利用が伸びる時間帯は？ 2018年最新利用データから紹介-」
A : というよりは、ラクマの方がライバルが少ないからじゃないかな？ 買うならメルカリだけど。
Q : なぜ買うならメルカリ？
A : やっぱりメルカリの方が利用者が多くて、出品者にとってはみんなライバルだから相場価格がラクマに比べて安くなるんです。データ取ってるわけではないので体感ですけど、メルカリの方が安く買えると思います。
Q : ラクマは「出品者」としては高く売れるけど、購入者としては商品価格が高い？
A : そうですね。だから僕は何かを売りたいときはラクマで、何かを買いたいときはメルカリとかヤフオク!を使っています。
Q : そのほかラクマの方が良いと感じる点は？
A : 購入者の質というか、信頼感はラクマの方が高いかな。
ラクマは、売れた後購入者からすぐに反応があるし、価格交渉もないからすごく取引がスムーズなんです。売れたら流れ作業で発送までいける。
Q : メルカリはそうじゃない？
A : メルカリは売れたと思っても、その後購入者から全然反応なかったり、値下げ交渉が始まったり、取引がすんなり進まなくて面倒なことが多い気がする。
後、メルカリはコメントとか「いいね！」がついても全然売れないことが多い。買わないくせにコメントとか「いいね!」がつくのはうっとうしいし、面倒くさい。ラクマの方がスッと取引完了まで持っていけるから楽です。
ラクマは利用者の少ないからこそ狙い目？
以上、「断然ラクマ派」と主張する弊社スタッフAさんへのインタビューでした。
Aさんが主張する「ライバル少ないから高く売れる」「困った客が少ない」というメリットは、いずれもメルカリと比較してラクマの利用者数が少ないという悲しい事実に立脚した、ラクマにとっての不都合な真実のような気もしますが、ともかく高く売れる上に購入者も信頼できるというのが事実であれば、それは確かに出品者にとって大きなメリットです。
あるいはラクマをうまく活用しているユーザーたちは「ラクマは利用者が少ない」という点こそを評価していて、ラクマに対しては「そのままの君でいて」と切に願っているのかもしれません。ともかく、メルカリよりも利用者が少ないからこそ、ラクマは狙い目なのかもしれません。
