中古車のオークションって何?
中古車買取について調べていると、「全国のオークション会場の情報を・・」と言った記述がたくさん出てきます。オークションと聞くと「ヤフオク!」を思い浮かべる人は少なく無いと思います。さらに、中古パーツの高価売却の方法として、実際にヤフオク!を利用する方法を紹介しているサイトもありますから、余計に混乱しますね。
そこで、実際に中古車業界のオークションとはどういうものか、どんな基準で査定されて、一般的に知られているオークションとは何が違うのかなどを解説します。
オートオークションの仕組み
業者による会員制
「競り(せり)」という言葉は聞いたことがありますよね。テレビなどでは、初鰹や巨大マグロを業者たちが一斉に競り落とす様子を視たことはあるのではないでしょうか。この「せり」の後、競り落とされた魚はスーパーや生鮮食品の店頭に並んだり、飲食店の料理となって消費者の元へ届けられるという仕組みです。
中古車のオークションは、「オートオークション」「カーオークション」と呼ばれています。業者のみが参加できる会員制で、魚の競りと仕組みは同じです。全国各地にはオートオークションの会場があり、そこで中古車業界の人たちが車を競り落とすわけです。
その後、競り落とされた車は、中古車販売店の店頭に並び、購入希望者のもとへ届けられます。
一般オークションとの違い
オークションというと、代表的な「ヤフオク!」を想像する人がいて、オークションで高く売れるなら、自分で出品した方がマージン分も損しない・・と考えてしまいます。
実際にヤフオク!でも中古車が出品されていますから、「それじゃない」と言われても今一つピンと来ないかもしれませんね。
オートオークションは、業者間で売買する競りですから、そこでやりとりされる価格は「仕入れ値」です。それに対して、ヤフオク!で落札される価格は「販売価格」ということになります。
カーオークションvsヤフオク!比較
たとえば・・
これは価格.comで紹介されている日産スカイラインの買取相場予想です。
1位の350GT-FOURハイブリッドタイプSPを見てみると・・
業者間オークション 317~342万円
ヤフオク!予想買取 341~357万円
最低ラインで24万円、最高価格で15万円の差額が出ています。この差が、対消費者と業者間取引の違いです。だったら、ますますヤフオク!で個人出品した方が得じゃないかと思えてしまいますね。
中古車の売買には、所有者の名義変更や登録など、ややこしい手続きをたくさんしなければなりません。普段からそういった手続きをしなれた人なら問題ないかもしれませんが、ただ高く売りたいというだけで出品すると、時間も手間もかかる上に、予期せぬトラブルに巻き込まれることもあります。差額以上の大きなリスクを抱えることにもなりかねませんので、注意が必要です。
カーオークションと消費者の関係
中古車価格の決まり方
前述の日産スカイラインを例に言うと、同じ「日産スカイライン350GT-FOURハイブリッドタイプSP」が5台あるとします。
全て新車であれば、どれも同じ条件のはずです。つまり、どれをとっても価格は同じということになります。
では、5台全てが中古車の場合はどうかというと、ボディのキズ、内装の汚れ、走行距離、オプションパーツの有無、搭載しているカーナビの種類など、同じ年式・同じ型式の車でも1台ごとに価値が異なるため、価格にも違いが生まれます。
中古車市場では、次の購入者が見つかるかどうかが査定額を大きく左右しますから、1軒の中古車屋に持ち込んでも、そのお店で「売りにくい」と判断されれば価値は低く評価されます。
わかりやすくいうと、フェラーリを低所得者層が多い地域の買取店に持ち込めば尻込みされるでしょうし、高級外車を複数台所有する豪邸が建ち並ぶ高級住宅街で、色あせた古い軽トラックを「エンジンの調子は良いから」と持ち込んでも「買取できない」と断られるでしょう。
このように、売却したい愛車がたとえ人気車種だったとしても、1軒の中古車買取店では、再販ルートに限界があります。
カーオークションのメリット
好みのボディカラー・装備の中古車が近所で見つからない。
探している車種で予算に見合った車を探したい。
こういった時に便利なのが、カーオークションです。
カーオークションは、全国各地で開催されているオークション情報を、全国のどこからでもスピーディに検索することが出来ます。自店では売りにくい車種でも、他の地域では需要が高いケースがありますから、「うちでは売れないけど、オークションに出品すれば高く売れる」となれば、買取店は高額査定を付けられます。
オークションの様子
業者は、出品車両をオークション会場に持ち込み、車種やグレード・走行距離など、出品車両の情報とアピールポイントを出品票に書き込みます。次に、検査員が評価基準に基づいた車両検査を行い、レベル分けされ出品番号が付けられます。その後、出品車両はデータ用写真を撮影され、オークション会場の広大な出品車スペースへと移動します。
ここからは、落札希望者による下見と入札が行われます。自由にエンジンをかけて現車をチェックしたり、専用端末を使って、出品票と画像で確認することもできます。
最近では、業者がインターネットを利用して、オークション会場以外からも参加できるシステム構築が始まり、中古車売買が更にスピーディに行われるようになってきました。
オークションの評価基準
カーオークションは、会場によって独自の検査項目や評価基準があるため、全国的に統一された取り決めはありません。
そこで、業界最大手と言われるオークションで実施されている3つの基準を紹介します。
まず、走行距離・内外装の程度に応じて評価ポイントが与えられます。3つの評価ポイントに「登録後1年未満」「エンジンおよび足回りが良好」などといった補助評価も加わり、最終的な総合評価が決められます。
走行距離
走行距離の評価基準は、買取のタイミングを検討するのに知っておくと役立ちそうです。
- 10,000km未満 S点
- 30,000km未満 6点
- 60,000km未満 5点
- 100,000km未満 4.5点
- 150,000km未満 3~4点
- 商品価値が低い車 2点
- 改造車・災害車・粗悪車・競技車 1点
- 修復歴車 R点
- 評価が困難な車両(低年式車・レプリカ・クラシックカーなど)–点
内装・外装
評価のポイントは、「キズ○センチ~○センチ」「ゴルフボール程度の凹み」など、具体的かつ詳細な評価基準が設定されています。一つ一つ書き切れないので、どんな点が評価基準になっているかだけでも頭の片隅に入れておきましょう。
【外装】
- キズの有無および大きさと数
- 補修の有無おおび範囲と数
- 外装部品の有無
- ガラスの割れ・ひび
- 板金塗装の色ムラ・波打ち
- サビ・腐食・穴あきの有無
【内装】
- 破れ・焦げ跡
- 目立つビス穴
- ダッシュボードの浮き・ひび割れ・加工跡
- シートの汚れ・へたり
- 室内の異臭
それぞれキズや凹みの度合い、内装の状態などによって、内装A~Eランク/外装A~Eランクまでに分類され、評価点が決まります。
- Aランク 5~S点
- Bランク 4.5点
- Cランク 4点
- Dランク 3.5点
- Eランク 3点
まとめ
オークションの評価基準は、非常に具体的で細かい基準で記されているので、検査員の好みで左右されるということがありません。そのため、公平に評価されて、非常にわかりやすく出来ています。
カーオークションの仕組みや評価ポイントが分ると、どんな点に気を付けてメンテナンスを行えばよいかが明確になってきます。走行距離距離の基準なども参考に、愛車の売却時期を考えるのに役立てみてはいかがでしょうか。