最近、「急にガス代が高くなった」と疑問に思っている方は多いのではないでしょうか。
海外の情勢が不安定な影響もあり、ガスの原材料価格は高騰しています。それに伴い、各ガス会社は料金の値上げを行っており、ガス代は今や家庭の悩みの種のひとつです。
しかし、ガス代が上がっているからといって、何も行動しないのでは意味がありません。ガス代高騰の理由を知ったうえで、対策を取ることが大切です。
本記事では、ガス代が高騰している理由と対策について解説します。また、今すぐできる節約術についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
ガス代が高いのはなぜ?高騰の原因と対策
ガス代が高い場合、基本的には次の4つが原因と考えられます。
- ガスの単価が高騰している
- ガスの使用量が多い
- プロパンガスを使用している
- 給湯器の熱効率が悪い
それぞれの詳細や対策について、次で詳しく見てみましょう。
ガスの単価が高騰している
ガス代が急に高くなったなら、原因はガス単価にあると言えます。
ガス会社の料金は、「基本料金(単位料金)+従量料金(使用量)」によって計算され、単位料金は原材料価格によって変動することが特徴。特に最近はロシア×ウクライナ問題もあり、原材料を輸入している国内のガス料金に大きな影響を与えています。
一時期より原材料の高騰は落ち着いていますが、それでも以前よりガス代は高く、多くの家庭で悩みの種となっているでしょう。
対策としては、複数のガス会社を比較するしかありません。ガス料金だけでなく、付属するサービスも加味して、メリットの大きい会社を選びましょう。
ガスの使用量が多い
ガス料金は、「基本料金(単位料金)+従量料金(使用量)」によって計算されます。ガスの使用量が多ければ、必然的に料金も高くなるでしょう。
対策としては、ガスの無駄遣いを減らすことが大切です。「お湯の使いすぎ」や「追い焚き」の回数など、日々の生活で見直せるところからガスの節約をしていきましょう。
プロパンガスを使用している
家庭用のガスには、「都市ガス」と「プロパンガス」の2種類があり、基本的にプロパンガスのほうが料金が割高です。プロパンガスが高い理由については、記事内で後述しているので、そちらを参考にしてください。
また、賃貸では無理ですが、一軒家であれば都市ガスへと変更することは可能です。
ただし、都市ガス対象地域であることを前提に大がかりな工事が必要なため、ハードルは高いと言えます。ガス料金の支払いと工事費用を天秤にかけて、慎重に判断するようにしてください。
給湯器の熱効率が悪い
忘れがちですが、給湯器の熱効率もガス代に大きな影響を与えます。
熱効率とは、同じ水量の水を沸かすのにかかるガス量を数値化したもので、熱効率が高いほど使用するガス量は少ないです。熱効率が良い給湯器であれば、ガス代の節約にも繋がるでしょう。
最近では各メーカーから高効率の給湯器や、電気+ガスのハイブリッドタイプなど、さまざまな商品が発売されています。ガス代を抑えるためにも、使用している給湯器の熱効率は意識しておきましょう。
プロパンガスが都市ガスより高いのはなぜ?
プロパンガスが都市ガスより割高な理由は、主に以下の3つです。
- 自由料金制だから
- 配送コストや人件費が上乗せされているから
- 設備費用が上乗せされているから
ここではプロパンガスが高い理由について、詳しく見てみましょう。
自由料金制だから
都市ガスは各会社ほぼ均等な価格で購入できる「公共料金」ですが、プロパンガスは「自由料金」制度を導入しており、業者が好きな値段を設定できます。
自由料金制度の大きな理由は、都市ガスと異なりボンベを配置する必要があるからです。輸送・配置費用は地域ごとに違うため、一律での料金設定ができません。
また、都市ガスが通っていない地域はプロパンガスに頼るしかなく、割高な料金を設定しても一定の需要はあります。こういった背景から、現在でもプロパンガス会社は、割高な自由料金制を設定しているのです。
配送コストや人件費がかかるから
プロパンガスは都市ガスに比べ、ボンベを交換・運搬する必要があり、どうしても人件費や配送コストが高くなってしまいます。また、地域によって必要なコストが異なるため、同じガス会社なのに料金が違うというケースも多いです。
たとえば、配送コストは海路に近い地域が安く、人件費もガス消費量が少ないワンルームのほうが抑えられるでしょう。都市ガスに比べ、コスト面が理由で料金が高いうえに、家庭や地域でも差が生じるのがプロパンガスの特徴です。
設備費用が上乗せされているから
多くの方に認知されていませんが、実はプロパンガスのガス管は使用料金を取られており、決してタダではありません。
ガス管などの消費設備は、契約時は一時的にガス会社が設備費用を負担します。これは無償賞与契約と呼ばれ、ガス料金に上乗せする形で毎月支払うものです。
都市ガスも工事にかかる設備費用は発生しますが、公共料金にあたるため、ユーザーへの負担はありません。設備費用が料金に上乗せされていることも、都市ガスよりプロパンガスが高い理由のひとつです。
1ヶ月あたりのガス代の平均・目安
世帯人数 | 1ヵ月当たりのガス代 |
---|---|
1人暮らし | 3,331円 |
2人暮らし | 4,900円 |
3人暮らし | 5,555円 | 4人暮らし | 5,427円 |
こちらは、昨年(2022年)の家計支出のデータを表にしたものです。結果からわかるように、基本的にガス代は世帯人数が増えると高くなります。
また、ガスの世帯人数別使用量について、正確なデータは公開されていません。東京ガスでは、30立方メートルを月の平均として料金を算出しているので、こちらを基準にしておくと良いでしょう。
ただし、季節もガスの使用量に大きく影響し、冬場は倍近くの出費を想定しなければいけません。仮にガス代の節約で目標を立てるなら、季節による変化も考慮しておくと良いでしょう。
ガス代の節約方法
ガス代が高くなる原因はさまざまですが、今後さらに高騰する可能性がある以上、早めに対策を取る必要があります。ただし、ガス会社を乗り換えたり、自宅をオール電化に切り替えたりといった対策は、すぐに実行できません。
手っ取り早くガス代を改善するには、やはり節約が一番です。そこで、ガス代の節約におすすめな8つの方法を次で詳しく説明するので、参考にしてみてください。
シャワーのみで済ませる
湯船にお湯を張る行為は、ガス代がかかる大きな要因です。したがって、お風呂をシャワーのみで済ませるようにすれば、ガス代の節約に繋がります。
特に4人暮らしなどでお風呂に入る時間が異なる場合、何度もお湯を張り直している家もあるでしょう。夏場だけでもシャワーだけで過ごせば、年間の支出額は大きく変わります。
追い焚きの回数を減らす
お風呂の追い焚き機能は、1日1回使用し続けた場合、年間で約6,190円かかってきます。こちらは、単純に1年間追い焚きを利用しなければ、約6,000円の節約ができるということです。
しかし、温度が低い状態でお風呂に入りたいとは思いませんよね。解決策としては、お風呂に入る時間を家族で調節をして、温かい間に全員が利用できるように心掛けることです。
1年間で1回も使わないことはむずかしいですが、回数を減らせれば出費も大きく異なるでしょう。
お湯の設定温度を下げる
お湯の設定温度が高いほど、大きなエネルギーを必要とするため、ガス代は比例して高くなります。なかでも外気温との差が大きい冬場は、特に注意が必要です。
解説策としてお風呂の場合は、あらかじめ湯船の温度を下げておくと良いでしょう。また、忘れがちですが、シャワーやキッチンの給湯温度も下げておく必要があります。
湯量の設定を減らす
温度だけでなく、湯船の湯量もガス代の節約で重要なポイントです。お湯の温度と同じで、湯量が多いほど必要エネルギーが増加して、ガス代が高くなります。
特に湯船に浸かった際に、湯が溢れかえっている状態なら注意してください。肩まで湯船に浸かって、溢れないように湯量を調節しましょう。
シャワーヘッドを変える
シャワーヘッドのなかには「節水タイプ」があり、一般的なものに比べて40~70%ほどお湯の使用量を減らせると言われています。
あくまで参考値のため、どれだけガス代の節約に繋がるかは正確なデータがありません。しかし、単純にお湯の使用量を減らせれば、大きなガス代の節約に繋がると言えるでしょう。
余熱調理を取り入れる
ガスコンロを使用しているキッチンであれば、調理器具を変えたり、調理法を見直したりすることで、ガス代を節約できます。
特に今すぐ始められることとして、余熱調理を取り入れるのはおすすめです。たかが数分ガスを止めるだけと思うかもしれませんが、年間で考えると大きな差が生まれるでしょう。
毎日作る料理だけに、少しの工夫でガス代は大きく変わってきますよ。
ほかの暖房器具と組み合わせる
冬場の暖房機器として、ガスファンヒーターを使っている家庭は多いかもしれません。小型でありながら、広範囲を暖めてくれる優れた機器ですが、実はガスのほかに電気も使用しており、光熱費が非常にかかります。
機器により、月のガス代が異なるため正確にはいえませんが、それでも電気器具より高いことは確かです。暖房器具を使うなら、ガスファンヒーターの時間を減らし、コタツやホットカーペットなどを組み合わせるのが良いでしょう。
ガスプランの見直しをする
節約といえばガスの使い方に目が行きがちですが、そもそもガス会社のプランが、家庭の環境に合っているのか確認することも大切です。
ガス料金の高騰に伴い、各ガス会社はさまざまなサービスでユーザーを獲得しようと動いています。しかし、不要なサービスがある場合、プランを見直せばガス代を抑えられるかもしれません。
一度ガスプランを見直してみましょう。
ガス会社の見直しも手
2017年以降、電気だけでなくガスも個人で会社を選べるようになりました。しかし、ガス自由化がスタートしても、以前使っていたガス会社のままでいる家庭は非常に多いと思われます。
ガス代の節約で悩んでいるなら、この機会にガス会社を見直してみるのもひとつの手段です。ここでは、ガス会社6社の特徴やプランを紹介するので、ぜひ見直しの際の参考にしてください。
レモンガス
レモンガスは、東京・神奈川・埼玉エリアに都市ガスを配給している会社です。東京ガス契約中であれば誰でも切替が可能で、電気や光回線とセットにすることで割引をしてくれます。
また、工事費や切替の費用がかからないことも特徴のひとつ。アプリでの料金管理もでき、対象エリアの方には非常におすすめなガス会社です。
プラン名 | プラン料金 |
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電力セット割引 | 「にこにこプラン」をセットで契約すると、月々330円の割引 |
アクアクララセット割引 | 「アクアクララ」をセットで契約すると、月々330円の割引 |
レモンガス光セット割引 | 「レモンガス光」をセットで契約すると、月々550円の割引 |
出典:レモンガス
エルピオ都市ガス
エルピオ都市ガスは、都市ガス・プロパンガス両方に対応しているガス会社です。
東京ガス・京葉ガス・大阪ガス・東邦ガスが供給されているエリアが対象で、切替はもちろんのこと、引越しなどによる新規契約も可能。公式サイトから申し込むと、約1週間ほどで開栓ができるため、急ぎガス会社を変更したい方にもおすすめです。
プラン名 | プラン料金(円) |
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スタンダードプラン | 基本料金:1,015.00 従量料金:124.00 |
床暖プラン/ ガス暖お得プラン | 基本料金:1013.66 従量料金:125.13 |
J:COM電力+ガス
J:COMガスは、東京ガス・大阪ガス・京葉ガスエリアを対象にサービスを展開しているガス会社です。
J:COMガスは正確にはガス会社でなく、既存のガス会社と提携して、さまざまな割引をしてくれるサービス。そのため、切替や工事などは必要なく、費用が一切かかりません。
付属するサービスを追加するだけで、いつものガス代が安くなる新しい形のガス会社です。
プラン名 | プラン料金(円) |
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J:COMガス 一般コース | 基本料金:1,296.10 |
J:COMガス ずっともガスコース | 基本料金:1,056.00 |
J:COMガス 湯ったりエコぷらんコース | 基本料金:1,056.00 |
出典:J:COMガス
CDエナジーダイレクト
CDエナジーダイレクトは、電気とガスの両方を提供しているガス会社です。
中部電力と大阪ガスの総合エネルギー会社で、電気・ガスどちらも契約するとガス代の割引が可能。豊富なプランと、充実したサービスやポイント制度で人気を集めているガス会社です。
プラン名 | プラン料金(円) |
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ベーシックガス | 基本料金:1,022.38 従量料金:126.42 |
ゆかぽかガス | 基本料金:1,065.00 従量料金:119.90 |
はつでんガス | 基本料金:1,485.00 従量料金:108.90 |
ENEOS都市ガス
「ENEOSでんき」のサービスでも知られている『ENEOS株式会社』が、ガス自由化に伴いガスサービスの提供も開始。2023年現在は、関東エリアを対象にしているガス会社です。
提携カード所持でポイントを貯められるほか、電気と同時契約で大きなガス代の割引が可能。現在は一部の地域のみですが、大手企業が運営しているだけあって高い人気を誇るガス会社です。
プラン名 | プラン料金(円) |
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標準プラン | 基本料金:1,013.76 従量料金:125.23 |
床暖プラン | 基本料金:1,065.00 従量料金:120.01 |
ソフトバンクガス
ソフトバンク・ワイモバイルユーザーにおすすめなのが、ソフトバンクガスです。
もともとキャリアユーザーは、ソフトバンク提供の電気サービスを安く利用できましたが、ガス自由化に伴いガスサービスも追加。電気・ガス両方を契約で、大きな割引を受けられるうえ、PayPayなどのポイント還元も豊富です。
関東エリアのみのサービスですが、キャリアユーザーなら大幅なガス料金の見直しができるでしょう。
プラン名 | プラン料金(円) |
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ソフトバンクガス powered by TEPCO | 基本料金:1,024.32 従量料金:126.54 |
ガス代が高い理由を知ったうえで対策を取ることが大切
ガスは生活をするうえで必要不可欠な存在のため、料金が高騰していても「仕方がない」と諦めている方は多いでしょう。
しかし、何も行動しないでいると、ガス代に生活費がかかり、普段のライフスタイルに大きな影響を与えかねません。ガス代が高い理由を知ったうえで、取り組める対策を行うことが大切です。
この記事を参考に、家庭のガス代に対する考え方を改めてみてはいかがでしょう。