アキュフェーズとは?
出典:アキュフェーズ
理想のオーディオを求めて
1970年代の始め頃、高度成長にわく日本にも「ステレオ」と呼ばれる大型のオーディオが普及し始め、トリオ社(後のJVCケンウッド)の製品も売れに売れていました。しかし、安価な売れ筋のみの生産にたずさわる毎日に疑問を持った社員たちは「自分の理想とするオーディオだけを生産する」という理想の元に集結しました。新会社「アキュフェーズ(Accuphase)」の誕生です。
日本を代表するピュアオーディオ
あまりにも青臭い理想を掲げたのは、トリオ社の創業メンバーの一人でした。安定した地位をなげうってまで始めたアキュフェーズは、プリアンプ「C-200」、パワーアンプ「P-300」を発表。当時、海外製品しかなかったピュアオーディオの世界に絶賛を持って迎えられました。以来40年以上、アキュフェーズは日本随一のピュアオーディオメーカーとして、創業時の姿勢を守り続けています。
アキュフェーズの経営姿勢ゆえ
生産が終了した製品でも、可能な限りパーツを保管し続けるというのは、アキュフェーズの特長。創業当時のモデルでも安心して使い続けることができますし、ジャンク品でもメーカー修理が多くの場合可能です。このため骨董品の域に達しそうな物でも果たして買取りの値段がつくのです。
プリアンプ
出典:オーディオヘリテージ
記念碑的モデル「C-200」、大卒の初任給の平均が6万円だった時代に16万円で発売されていました。これが現在でも1万5,000円という値段が付きます。
またC-200の発展形で、1980年発売の「C-200X」、1990年の「C-200V」はそれぞれ3万円と7万円という買取価格がついています。もちろん状態に大きく左右されますし、古いものですから、まともな状態で残っているものが少ないということを加味しても高価買取が可能なことは、アキュフェーズの音作りに対する姿勢が支持された結果でしょう。
パワーアンプ
出典:オーディオヘリテージ
C-200と同時期に発売されたパワーアンプ「P-300」にも値段がついて5万円。こちらは発売当時の定価は23万円というものでした。その後発売された「P-300L」や「P-300X」の買取価格は3万円、1987年発売の「P-300V」が5万円となっています。
いまだに真空管信仰が強いピュアオーディオの世界ですが、アキュフェーズは一貫してトランジスタを使った製品を生産し続けています。また、基本的に内部構造自体は創業当初から大きな変化もありません。海外の名門と呼ばれるオーディオ専業メーカーとは別の意味での頑固さ・頑なさが感じられるのがアキュフェーズ。そこが評価されているのでしょうか、パワーアンプも高価買取が期待できます。
保証期間内のモデル
出典:アキュフェーズ
アキュフェーズの商品には購入日より5年間という、とんでもなく長いメーカー保証がついています。いかに品質管理に手間をかけ、自信を持っているかの表れなのですが、このことは中古市場でも有利に働き、保証期間内の製品は中古でも非常に高価な値段がつきます。
例えば2011年発売のプリメインアンプ「E-360」定価が38万円に対して18万円、現行の「E-370」ならば定価が43万円に対して、これはオークション落札価格からの推測ですが、25万円程度の買取が期待できるでしょう。アフターサービスに異常に力を入れる、アキュフェーズというメーカーの特殊性ゆえですね。
アキュフェーズオーディオ製品の査定基準やチェックポイント
古いアキュフェーズの場合、買取業者はオーバーホールを自社でおこなうか、メーカーに出すかの選択をおこないます。この場合、チェックされるのが、熱を持ちやすいコンデンサなどのパーツの劣化についてです。
加えて外観の劣化について。まさか、高級オーディオを購入する人が荒い扱いをするとは考えにくいのですが、買取りを依頼するときだけではなく、日常的に拭き掃除ぐらいはしてやるべきでしょう。
高く売れる時期や売り時
人気メーカーだけあって新製品発表時には試聴会や下取りイベントがおこなわれています。ですから、その直後には市場にある程度のアキュフェーズが出回りますので、中古価格は下がるのでしょうが実感できるレベルではありません。
アキュフェーズというメーカーの信頼性からか、古いものでも常に一定の値段が付いている様子は、まるでロレックスを連想させます。ショップ側も在庫を抱えていても、それほどリスクはありません。
ですから売りたいときが売り時。いつ売ってもそれなりの値段がつくでしょう。強いていうなら下取りなどのイベント時、イベントと銘打っている以上はそれなりの値段は付けてくれるはずですから。
高価買取・減額のポイント
上でも述べたとおり、内部パーツの劣化は大きな減額のポイントになります。普通に使っていても劣化するものですからしょうがないのですが、熱がこもるような場所やホコリが多い場所での使用は避けるべきでしょう。
加えて、外観の劣化も減額のポイントとなりますので、キズなどをつけないようマイクロファイバーなどの使用をおすすめします。
アキュフェーズが出てきたら?
趣味の人の遺品なら……
昔は豊かだったのでしょうか、それとも身を削ってまでつぎ込んだのでしょうか?「趣味の人」が残したものには買取価格が付くものが多数あります。時計などの装飾品や喫煙具、筆記具、カメラそしてオーディオです。
ロレックスが高価なものなのはわかっていても、今回取り上げたアキュフェーズが高価なものだと知っている人は、あまりいません。よくわからないオーラを放っている物が残されているならば、ブランド名ぐらいはWebで検索をかける必要があります。最悪なのは捨てることや価値のわからないリサイクルショップへ持っていくことです。
専門店で比較・相談
検索したところ「これは高そうだ!!」という結論が出たら、専門店に相談してください。今はWebという非常に便利なモノがありますから、アキュフェーズの中古オーディオを、正当に評価・買取してくれるショップが複数見つかるはず。複数店舗で電話・メールなどで事前見積り・比較後に買取ってもらいいましょう。送料など、買取りにかかるお金はどちらが持つか、査定時に明確にしておきましょう。
まとめ
成り立ちも製品も、保証の期間や方法すらユニークなアキュフェーズは日本が誇るピュアオーディオ界の宝です。ですから、古いものでもある程度の値段は付くようになっています。もし、何らかの理由で古いアキュフェーズを売るようなことがあるならば、売却先にはくれぐれも気をつけてください。
価値のあるものは価値のわかる店で。アキュフェーズに限らず買取の鉄則なのです。