ゴールドムンド、高い知名度とその裏に……
出典:ゴールドムンド・ジャパン
「ゴールドムンド(GOLDMUND)」はスイス・ジュネーヴに本拠地を持つ、世界的な総合ピュアオーディオメーカー。その歴史は1978年までさかのぼりますので、長い歴史を持っています。愛好家のものだけになりがちな、この手のメーカーなのですが、日本での知名度は非常に高いものがあるのです。
きっかけは2008年に公表された個人のHP内の「ゴールドムンドの真実」なるページでした。ユニバーサルプレイヤー「EIDOS 20A」の内部を公開した写真を海外サイトから転載したものので、パイオニアの2万円のDVDプレイヤーとほぼ同じパーツを使用していることを明らかにしたものです。
このことは様々な掲示板やサイトで取り上げられ、ちょっとした話題になり、ゴールドムンドの知名度は一気に上がりました。さて、そんなゴールドムンド、買取価格は現在どのようなものでしょうか?
ゴールドムンドの製品、買取価格の現在は?
槍玉にあげられた「EIDOS 20A」
出典:オーディオユニオン
定価は140万円、実売は120万円だったEIDOS 20A、現在の買取価格は15万5,000円となっています。一方でスタンダードなCDプレイヤー「EIDOS 18CD」は定価が82万円に対して、買取価格が10万円となっています。
一方で、同時期に販売されていた、非常に評判がいいデノンのCDプレイヤー「DCD-SX」は定価が80万円に対して27万円という買取価格が付いています。
やはり、上記の評判が悪く響いてしまったのか、ゴールドムンドのプレイヤー類の買取価格は厳し目になっています。
スッカスカの「MIMESIS SR150ME」
出典:オーディオユニオン
「ゴールドムンドの真実」にEIDOS 20Aに並んで内部写真が公開されていたのがパワーアンプ「MIMESIS SR150ME」、スッカスカの中身に衝撃を受けた人は多いはずです。
こちらは88万円の定価に対して、買取価格は15万円、EIDOS 20Aほど厳しくはないものの、他のピュアオーディオブランドの製品に比べると低い買取価格になっています。
パイオニアの普及価格帯のパーツを流用していることが知られるようになるよりは、スッカスカの中身を白日の下に去らされることは買取価格に与えるダメージが小さかったようです。
MIMESIS 20.6/USB
デジタル信号をアナログ化するDAコンバータ、CDプレイヤーなどからのデジタル信号をアナログ化します。通常のデジタルプレイヤーならば、本体にコンバータを内蔵していますので、その性能に満足いかない人が使用するのですが、マニア中のマニアが使用するというイメージです。
こちらは定価170万円ですが、やはり需要が低いのでしょうか、買取価格は27万円。ちなみにアナログ出力がないPCから音を出力するのにも同じようにDAコンバータを使用しますが、こちらは4,000円ほどで買えてしまいます。マニアの世界は奥深いですね……。
ゴールドムンドの製品は程度の差こそあれ、他のピュアオーディオのブランドと比較すると買取価格は低めになっています。
ゴールドムンドの製品の査定基準
状態の良し悪し、付属品のあるなしといった査定基準自体は他のものと変わりません。他のピュアオーディオのブランドのように、名機と称されているようなモデルは今のところ出ていませんから、特に注意は不要。事前査定で買取価格を調べて比較するぐらい。宅配買取前には外観の汚れは落としてやりましょう。
高く売れる時期や売り時
はたしてそんな時期があったのか?
さて、今まで見てきた通り中古市場におけるゴールドムンドは厳しいものがあります。「ゴールドムンドの真実」以前の相場を把握していませんから何ともいえませんが、そのことが中古価格の相場に大きな影響を与えたであろうことは想像に難くありません。ひょっとすると「ゴールドムンドの真実」以前は他のピュアオーディオブランド並みに高く売れる時期があったのかもしれません。
真価が評価されるまで手放さない!!
ゴールドムンドのような高価なオーディオを試聴もせずに購入する人はいないでしょう。ということは、少なくとも価格なりの価値を認めて購入したことになります。中古市場は需要と供給により価格が決まりますから、色々な要因により、現在は中古市場ではゴールドムンドの価値が認められていないだけかもしれません。いずれにせよ、今は手放す時期ではありません。
高価買取のポイント
価値のわかる顧客を抱えているショップへ
ゴールドムンドの買取価格については「ASK」となっていたり、ショップ間でバラつきがあります。真価がわかる顧客を抱えているショップなら高価買取が可能ということでしょう。ピュアオーディオを扱っている複数のショップで事前査定をおこなった後に、宅配買取を依頼すべきでしょう。
美しい外観を保つ
腕時計の話ですが、同じ機械を内臓しているにも関わらず、値段が数10倍も違うというのはよくある話です。ゴールドムンドの場合もEIDOS 20Aの例をみればわかるとおり、外観にかなりのコストがかけられているはず。せっかくの美しい筐体にキズなどが付かないよう、拭き掃除をするときにはあらかじめ付着しているゴミなどを払ったあとにしましょう。
減額ポイントや注意点
アンプなど高温になりやすいパーツを積んでいるオーディオは、パーツの劣化を防ぐために通気性の悪い使用環境は避けるものです。しかし、ゴールドムンドの内部は熱がこもりにくい構造になっているので、そのような心配はなさそう。とはいえ、高価なもの、使用環境には充分気を使うことが必要です。
まとめ
出典:ゴールドムンド・ジャパン
スウェーデンの新興スーパーカーメーカー、ケーニッグゼグのCCXという車は、フォード製の4.7lエンジンを搭載していました。これが日本円で7,000万円以上していたので、思わず笑ってしまったものです。
「このエンジンってマスタングに積んであるのといっしょじゃん、それなのにマスタング20台以上の値段するわけ?」
しかし世界中の大富豪はCCXに夢中になり、ケーニッグゼグは成長を続けています。しかし、いくら独自のノウハウでチューンをおこなおうと、ターボを積もうとフォードエンジンなことは変わりないわけで……なんて大富豪は考えません。
これと、きっと同じ現象がゴールドムンドのオーディオにも起こっているのでしょう。「これってパイオニアといっしょじゃん」何てゴールドムンドのファンは思いもせずに、価値を見出しているのです。実際、EIDOS 20Aがパイオニアのパーツを使用していることは周知の事実だったわけですし、それをチューンした商品だとゴールドムンドは表明していたのですから。