ジェーン・バーキンとエルメス|生涯や「バーキン」誕生秘話

  • 2024年5月2日

エルメスを代表するバッグ「バーキン」は広く知られていますが、名前の由来となった「ジェーン・バーキン」についてはどんな人物なのか、正しく把握されていないものです。

本記事では、そんな「ジェーン・バーキン」にスポットを当ててまとめました。人物像や背景のストーリーを理解すると、「バーキン」に対する思いも深くなることでしょう。

「バーキン」誕生秘話や、日本との関係についてもまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

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ジェーン・バーキンのプロフィールと生涯

本名国籍職業生年月日没年月日
Jane Mallory Birkin, OBEイングランド女優、モデル、シンガーソングライター1946年12月14日2023年7月16日

「ジェーン・バーキン」は、主に女優とシンガーソングライターを本業として活動し、モデル業もこなしていたマルチアーティストです。そんなジェーン・バーキンの活動履歴を振り返ってみましょう。

女優デビューと結婚・出産

1963年の当時17歳に、グレアム・グリーンが手がけた戯曲である『彫像』に出演。1964年、映画『ナック』のオーディションに合格し、端役として女優デビューしてキャリアがスタートします。

映画「ナック」の音楽担当をしていたジョン・バリーと18歳で結婚し、長女ケイト・バリーを出産しますが、のちに離婚。1967年に出演した『欲望』が、カンヌ映画祭パルム・ドールというカンヌ国際映画祭における最高賞を受賞しています。

歌手デビューと事実婚

1968年、ジェーン・バーキンが21歳のときフランスに渡り、フランス映画である『スローガン』の主役セルジュ・ゲンズブールと出会い、事実婚の関係となります。しかし、当時ジェーン・バーキンは「結婚はもうたくさん」と考えており、法的に結婚はしませんでした。

1969年には、ゲンスブールとのデュエット曲『ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ』で歌手としてデビューします。しかしこの曲は、過激な内容だったため各国で放送禁止となるなど、激しい物議を醸すこととなった出来事です。

1971年に、ゲンスブールとの間に次女シャルロット・ゲンズブールが生まれました。

ジェーン・バーキンが33歳のとき、ゲンスブールからのDVや酒乱癖などを理由に別れを選択します。のちに和解しており、ゲンスブールが1991年に病没するまで公私共に交流がつづいていました。

エルメス「バーキン」誕生

ジェーン・バーキンが33歳となった1980年に、映画監督ジャック・ドワイヨンと出会い、翌年の1981年に結婚しています。夫ジャック・ドワイヨンが監督を務める作品『放蕩娘』に主演として出演。1982年にジャック・ドワイヨンとの間に三女ルー・ドワイヨンを授かっています。

しかし、ジャック・ドワイヨンが撮影した『シャルロット・ゲンズブール/愛されすぎて』の内容が、ジェーン・バーキンの話に酷似していたことにショックを受け離婚。

そして1984年、ジェーン・バーキンは偶然にもエルメスの社長ジャン・ルイ・デュマと飛行機で隣り合わせに。ジェーン・バーキンがバッグの中身をこぼしたことから会話が生まれ、ジャン・ルイ・デュマが使いやすいバッグを提案したことからエルメスの「バーキン」が誕生しています。

歌手として女優としての晩年

52歳となった1999年には『Ex fan des Sixties(想い出のロックンローラー)』に収録されている『L’aquoiboniste(無造作紳士)』が、TBSドラマ『美しい人』の主題歌に使用されたことで、日本限定企画で発表されたベスト・アルバム『ベスト』が30万枚のヒットを記録しています。

ファッションとしてのキャリアは、フランス人のアーティストでありパートナーでもあったセルジュ・ゲンズブールの影響を受けており、「フレンチロリータ」としてファッション界にも多大な影響を与えました。

2011年に発生した東日本大震災を受けて、日本で震災支援のチャリティーコンサートを行うなど精力的に活動。2013年には、東日本大震災の復興支援活動やフランスと日本間の文化交流促進活動が評価され、外務大臣表彰を受賞しています。

2018年春の叙勲で旭日小綬章を受章。2023年7月16日、パリの自宅にて76歳の人生の幕を閉じたことをフランス文化省が明らかにしています。

エルメスのバッグ「バーキン」の誕生秘話


エルメス バーキン25 ブラック出典:Yahoo!オークション
1981年、ジェーン・バーキンはパリ発ロンドン行きの便にて、エルメスの社長ジャン・ルイ・デュマと偶然にも隣の席で搭乗します。飛行機の揺れによりバッグの中身が散乱したことから、隣に座るジャン・ルイ・デュマとの会話が発生しました。

母親として「日常使いできる、実用的かつエレガントなバッグがない」という話を受け、ジャン・ルイ・デュマはどのようなバッグが理想かをジェーン・バーキンに逆質問します。

ジェーン・バーキンは、乗客に提供されるエチケット袋に書き記して具体的に解説し、そのことにジャン・ルイ・デュマは感銘を受け、彼女のためにバッグを作ることを約束。3年後となる1984年に彼女の名前を冠した「バーキン」が生まれました。

ジェーン・バーキンのファッションスタイルとその影響

「ジェーン・バーキン」は、女優やモデル、歌手としてマルチな活動を行なっていましたが、毎日高級なドレスで着飾るような格好はしていませんでした。ここでは、ジェーン・バーキンがどのようなファッションスタイルをしていたか、その影響とともにまとめています。

エルメス「バーキン」を用いたファッションスタイル

白シャツとデニムと赤ボーダーのTシャツ
ジェーン・バーキンは、ジーンズに白いTシャツなどラフなスタイルを好んでいました。

ベーシックなニットやカットソー、シャツにデニムやカゴバッグといったカジュアルスタイルにバレエシューズなどのフェミニンな要素をプラスしており、どこかフレンチ・シックな印象を与えていることが特徴です。

一方でドレスアップの際は、シースルーのワンピースを着用したり晩年はメンズライクなジャケットを好んで着用したりするなど、多様なファッションを着こなす一面もあります。

多彩なファッションセンスを持ちながらも、自然体で飾らないことが「ジェーン・バーキン」のファッションスタイルです。

ファッション界や著名人への影響

ジェーン・バーキンは、女優としての成功により、ファッション業界から常に注目を集めていました。特に、彼女のラフでジェンダーレスさもあるフェミニンなスタイルと自然な姿は、現代のファッション業界にも多大な影響を与えたのです。

ジェーン・バーキンの幼い顔立ちと、ブラウスなどを着崩した姿は「フレンチロリータ」ファッションとして人気を集め、現在では抜け感のある自然なファッションとして地位を確立しています。

ジェーン・バーキンと日本

白いリボンで作ったハートと白い花
ジェーン・バーキンは、1970年「ガラスの墓標」で共演したゲンズブールとともに初来日を果たしています。そのとき日本で感じた滞在経験から、日本そのものに興味を抱くようになり、日本で複数回コンサートを開催するなど「親日家」の顔を持っていました。

日本での人気

ジェーン・バーキンは、自然体で飾らない人柄から国境を超えて愛されており、日本でも例外ではありませんでした。

旅行先で購入したこけしや鶴岡八幡宮のお守り、数珠などを自らのバッグにつけて持ち歩いていることはとても有名で、そうした姿やへだてなく自然体で付き合う姿勢から、今でも日本で高い人気を誇っています。

チャリティー活動

ジェーン・バーキンは、2011年3月11日に起きた東日本大震災をテレビを通じてパリで目撃し、何かできることはないかと考え、震災翌月の4月に訪日。都内にある避難所を訪れ、生活物資が困窮してながらも助け合い生活している日本人の生活に感銘を受けています。

2013年には再び日本を訪れて、東北の被災地を訪問。現地の人たちと交流するなど親日家として活動しており、日本でも高い人気を誇る出来事です。

また、ジェーン・バーキンは被災地などでの交流だけでなく、チャリティー活動も積極的に行なっていました。私物として長く愛用された「バーキン」をオークション出品し、売上約1,200万円を日本赤十字社に全額寄付するなど多大な貢献をしています。

さらに、寄付復興支援無料コンサート「Together for Japan」を開催。600人を無料招待し、会場で集められた義援金は被災地復興に役立てられています。

エルメス「バーキン」購入についての情報はこちら

ジェーン・バーキンがきっかけとなり誕生した「バーキン」は、正規店へ向かえば誰でも買えるバッグではありません。生産量が限られていることに加え、正規店であってもすぐに入荷しないためです。

そんなエルメス「バーキン」を購入する方法は下記のリンクにまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。

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ジェーン・バーキンだからこそ生まれた「バーキン」

「ジェーン・バーキン」は、女優やモデル、シンガーソングライターとして多彩な才能を発揮していたからこそ、母としてバッグに不満を抱いており、結果として運命的な出会いから「バーキン」が生まれています。

ジェーン・バーキンのラフで自由でありながらもフェミニンなスタイルは、没後の現代ファッションにも多大な影響を与えており、活動拠点であったフランスでは今なおアイコン的存在です。

ジェーン・バーキンの「想い」が詰まった「バーキン」、あなたならどのようにコーディネートして使いますか?

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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