前世紀末……アクションフィギュア「スポーン」のブームは、限られた人たちだけのものだったフィギュアの魅力を、一気に多くの人々に広げました。この波に乗って急成長を遂げたのが海洋堂、それに追従するかのように、現在では数々のメーカーが高いクオリティのフィギュアを量産しています。フィギュア天国といって良い現代の日本、この幸せな状況のベースには、やはり海洋堂にありということができるでしょうか。
海洋堂とは
大阪の小さな模型屋がガレージキットを手掛けるようになり、フィギュアの一大ブランドへ、伝説に彩られた社史、数々のスター原型師、説明不要の海洋堂なのです。食玩のおまけから数10万円のものまで、海洋堂の名前が付けばクオリティは保証されたようなもの。絶対的な信頼感が海洋堂にはあるのです。
海洋堂のフィギュア買取価格紹介
ルイ・ヴィトンの様なハイブランドは、高価過ぎて一部の人にしか手が出せないコレクションラインと、ある程度低めの価格設定にして、より多くの人をターゲットにした普及ラインの2種類で商品を展開させています。まあガンダムとジムの関係みたいなものなので、コレクションラインでブランドイメージをアップさせて普及ラインを量販して利益を得るという戦略なのですが、海洋堂のフィギュアも同じような方法を取っています。
コレクションライン
この呼称が適当かどうかは置いておいて……手がけた原型師の名前が前面に出ている点と、極端に高い価格、そして極端に少ない生産個数が特徴です。
- 村上隆
PROJECT KO2「1/5KO2ちゃん」 買取予想価格:50〜100万円 - 木下隆志
「究極 1/4サイズ 仮面ライダー旧1号」 買取予想価格:15万円 - ボーメ
「1/4 セーラームーン ガレージキット」 買取予想価格:4万円
「セーラーV」 買取予想価格:8万3,000円 - 松村しのぶ
「エヴァンゲリオン初号機・暴走」セブンイレブン・エヴァンゲリオンストア限定 買取予想価格:3万1,000円
「ネイチャーテイルズ・シーラカンス」コールドキャスト塗装済彫像 買取予想価格:3万円
昔から海洋堂と関係の深い村上先生、オリジナルの方はクリスティーズで6,000万円だったかの値がついたKO2(ココ)ちゃんの1/5サイズの普及版の買取価格は上記の通り。こうなってしまうと美術品として扱ったほうが良さそうですから、買取もギャラリーなど美術商を頼るべきかもしれません。
着ぐるみのシワまで再現する木下さんのリアリティの追求は、特撮物をベースにした従来の造形物にあった「こうあるべき」というベクトルと全く違う方向を向いています。この価格帯ならばホビー系のリサイクルショップでも対応できそう。買取の依頼先の選択は慎重にならざるを得なくなりますが。
海洋堂=ボーメさんだった時代が随分続き、いささか食傷気味にもなっていたのですが……近年では原型だけでなくパーツ整形から塗装まで全て一人で手がけたという「ボーメエディション」なるシリーズをリリース、第一弾のアスカ・ラングレーは86万円という法外な値段にもかかわらず、6体限定ということもあって当然のように完売。変わらない高い技術と人気を証明しました。第二弾は太秦萌……って誰だよお前。
架空のものでも実在のものでも同様に、リアリティを持って表現するのが松村さんの特徴。「初号機・暴走」はエヴァの生物的側面が見事に表現されており3万円超の買取価格が付こうとも納得がいかなくなるほどのクオリティの高さ、これはちょっとすごいですよ。
普及ライン
数千円するものから食玩のおもちゃまで存在していますが、とにかく生産個数が多いため、定価を上回る買取価格が付いているものは、ほぼありません。原型師では25センチスーパーロボットシリーズや食玩の三国志を手がけた田熊勝夫さんや、山口式可動そしてリボルテックヤマグチにその名を残す山口勝久さんが代表でしょうか。
リボルテックヤマグチの中には「エヴァンゲリオン」や「鋼の錬金術師」のシリーズなどに、1,000円程度のプレミアが付いているものも見られます。
相場の変動について
コレクションライン
「1/5KO2ちゃん」の様にすっかり投機の対象になってしまったものも見られますが、基本的に需要と供給のバランスは取れていますので、それほど激しい値動きは考えられません。相場の上下には転売ヤーの存在が不可欠ですが、ボーメコレクションなどを見ても分かる通り、素人が手を出すとヤケドどころか、蒸発しかねない価格と競争率です。
普及ライン
何しろ数が多いので価格の上下があるとも思えません。実際定価を上回る価格のものも散見されますが、例えば「エヴァンゲリオン」など一定の固定ファンが存在するものばかりですから、価格が下がるということもなさそうです。逆に上がることもないでしょう……エヴァが上がるとすれば劇場版の新作公開のタイミングか?っていつになるんでしょうかね。食玩のおまけクラスになるとまあ、どうしようもありません。値段が付いて数100円の世界でしょう。
海洋堂のフィギュアを高く売るコツ
絶対にパッケージから出してポージングをさせたくなるリボルテックに限らずなのですが、高く売りたいのならフィギュアはパッケージから出してはいけません。リサイクル系のショップやアマゾンでも開封されているだけで再販価格は半額以下になりますから、買取価格は推して知るべし。最近では「箱なし」でも買取ってくれるショップは増えてはいますが、高価買取を期待するなら開封すら避けなくてはいけません。
まとめ
ただのマニア向けショップから世界的なブランドとしての海洋堂へ……行き当たりばったり風に語られることが多い歴史ですが、その成長の裏には緻密な計算があったに違いないと思ってしまうのです。もし海洋堂のフィギュアをお持ちなら、ぜひ査定に出してみましょう。思わぬ価格がついて驚くことになるかもしれませんよ!