急に車が動かなくなると、どうするべきかわからず焦ってしまいますよね。
車が動かなくなったら、安全確保と原因の確認をしましょう。操作ミスなどが原因なら、正しい対処ですぐに車を動かせます。
しかし、故障で車を動かせなくなった場合、エンジンがかかるかで原因はある程度わかりますが、すぐに運転できないのでそのあとの対処法も知っておくべきです。
この記事では、車が動かなくなったときの行動や確認ポイントから、故障で車を動かせないときの対処法まで解説します。車のトラブルで慌てずに済むので、ぜひ参考にしてみてください。
「急に車が動かなくなった」ときに行う2つの行動
みなさんは、運転していて急に車が動かなくなったという経験はありませんか。急にこのようなトラブルが起こると、どのように行動するべきかわからない人も多いでしょう。
そこで、停車中か走行中かにかかわらず、車が動かなくなったときにするべき行動を2つ紹介します。
安全確保
まず、ほかの交通の妨げにならない場所まで車を移動させます。自分の身を守るだけでなく、追突事故などの二次事故を防ぐためにも大切な行動です。
高速道路でやむを得ず駐車する場合や夜間に故障した場合は、路肩または路側帯に駐車させてください。三角表示板を置いたりハザードを点灯させたりして、故障車が停まっていることをまわりに知らせましょう。
原因の確認
安全が確保できたら、車の不具合の原因を確認しましょう。車が動かなくなった原因が、故障か故障以外かによってするべき対処が異なるからです。
確認するべきポイントは後述しますが、エンジンルームから煙が上っている場合は要注意。
発火などの危険があるため、周囲の安全に気をつけながら車外で待ちましょう。
「エンジンがかからない」と焦る前に確認する5つのポイント
エンジンがかからない原因が車の故障だけとは限りません。確認ミスや操作ミスによってエンジンがうまくかからない場合もあります。
エンジンがかからないときに確認するべき5つのポイントを紹介するので、焦る前にまずはひとつずつチェックしてみましょう。
ガソリンは残っているか
ガソリンが足りなくなると、車は動きません。ガソリンの残量はガソリンメーターを確認すればすぐに分かるので、まずチェックしましょう。
ガソリン切れになっていた場合、最寄りのガソリンスタンドやロードサービスからガソリンを運搬してもらえます。周辺にガソリンスタンドなどがないか調べ、連絡してみましょう。
ハンドルロックはされていないか
ハンドルロックとは、エンジンを切ったあとにハンドルを動かすことで、ハンドルが動かせなくなる機能。ハンドルロックによりエンジンがかからない場合、鍵のタイプによって対処法が異なります。
アナログキーの場合、ハンドルを左右どちらかに動かしながら鍵を回せば、エンジンをかけることが可能です。一方、プッシュスタートの場合、ハンドルを左右どちらかに軽く動かしつつプッシュスタートボタンを押すと、ハンドルロックを解除できます。
スマートキーの電池は切れていないか
プッシュスタートタイプの車の場合、スマートキーの電池切れによりエンジンがかからないこともあります。スマートキーの電池が切れていたら、メカニカルキーを使いましょう。
メカニカルキーとはスマートキーに内蔵された非常用の鍵のこと。アナログキーと同じように鍵穴に差し込むことでエンジンをかけられるので、スマートキーの充電切れの可能性があれば試してみましょう。
ギアの位置は正しいか
ギアがパーキング以外の位置になっていると、エンジンはかかりません。ギアがドライブのままでもエンジンは切れるので、このようなことが起こる可能性があります。
ギアをパーキングにしたうえでエンジンを再始動してみましょう。なお、ギアがニュートラルでもエンジンはかかりますが、アクセルを踏む前に車が動き出す危険があるため注意してください。
ブレーキの踏み込みを行っているか
プッシュスタートタイプの車の場合、ブレーキを踏まないとエンジンがかかりません。ブレーキを踏み込んだうえで、エンジンをかけましょう。
ただ、エンジンが切れた状態でブレーキを何度も踏みすぎると、ブレーキが重くなることがあります。ブレーキが重くなると、いつもの踏み込みでは不十分。この場合はいつもより強めにブレーキを踏み、ブレーキランプの点灯を確認しながらエンジンをかけてください。
【エンジンがかからない】車が動かないときの主な原因
確認ミスや操作ミスがないのにエンジンがかからない場合は、車の故障が原因かもしれません。
ここからは、車の故障でエンジンがかからないときの主な原因を5つ紹介します。あてはまるものがないか、ひとつずつチェックしてみましょう。
セルモーターの故障
セルモーターが故障しているとエンジンはかかりません。
そもそもエンジンは、吸気・圧縮・燃焼・排気の4つの工程を繰り返すことで動き続ける仕組み。セルモーターは、エンジンが最初の工程を始めるために必要な回転力を与える役割があります。
セルモーターが故障すると、最初の吸気・圧縮工程が正常に行われないため、エンジンがかかりません。
バッテリー上がり・劣化
エンジンがかからない原因として、バッテリー上がり・劣化があります。
バッテリーの役割は、自動車の中のさまざまな電子機器に電力を供給すること。セルモーターもバッテリーによって動く電子機器のひとつです。
バッテリーが上がったり劣化したりすると、セルモーターを動かせなくなり、結果としてエンジンがかからなくなってしまいます。
メインヒューズの脱線
メインヒューズが断線すると、エンジンがかからないことがあります。メインヒューズには、必要以上の電流がかかったときに電装パーツに負荷をかけない役割が。必要以上の電気が流れると、メインヒューズが切れて電流が止まります。
メインヒューズが断線すると電気が流れないので、エンジンがかかりません。
エンジンの故障
エンジン自体が故障している場合、エンジンはかかりません。
エンジン自体の故障は、冷却水の不足や冷却水の漏れによるオーバーヒートが原因で起こる場合があります。冷却水の温度を示す水温計の針がH側に振り切れたり、115℃以上を示したりしている場合は、オーバーヒートを疑いましょう。
エンジン部品の不具合によるオイル漏れも、エンジン自体の故障の原因のひとつです。
寒さの影響
寒さはバッテリーの電気を蓄える力を弱める原因のひとつ。エンジンを始動させるセルモーターはバッテリーからの電気で動くので、バッテリーの電力が不十分だとセルモーターがきちんと回らず、エンジンがかからない場合があります。
寒さによってエンジンオイルの流動性が落ちることも。エンジンの動きが鈍くなり、エンジンがかからないケースも考えられます。
【エンジンがかかる】車が動かないときの主な原因
ここまでは、エンジンがかからず車が動かないときの主な原因をみてきました。
以下では、エンジンはかかるものの、車が動かない場合の主な原因を紹介します。どの原因があてはまるか、ひとつずつ確認していきましょう。
ブレーキの固着
ブレーキの固着が起こっている場合、エンジンがかかっても車が動きません。
ピストンシリンダーに錆があると、ピストンシリンダーがもとの場所に戻らなくなってしまいます。すると、ブレーキが固着し、ブレーキパッドがディスクローターに張り付く原因に。
結果として、常にブレーキが効いている状態になり、エンジンはかかるのに車が動かなくなってしまいます。
ドライブシャフトのトラブル
エンジンがかかるのに車が動かない原因のひとつに、ドライブシャフトのトラブルがあります。
こちらは、ステアリングを多く切った状態でアクセルを踏むことが原因。ステアリングを切った状態では、ドライブシャフトブーツが曲がっています。その状態でアクセルを踏んで動力を加えると、多くの負担がかかり、エンジンがかからなくなるのです。
トランスミッションの不具合
トランスミッションに不具合があると、エンジンがかかっても車は動きません。
AT車のトランスミッション内にあるトルクコンバーターは、車の状況を読み取り、自動的に最適なギアを選ぶ役割があります。トルクコンバーター内のオイルが漏れると、トランスミッションに不具合が生じ、エンジンがかかっても車を動かせません。
車が動かないときの対処法
車が動かないときの主な原因を、エンジンがかからない場合とエンジンがかかる場合にわけて解説しました。確認ミスや操作ミスもないときには、自力で動かすのはむずかしいでしょう。
ここからは、車が動かないときの対処法を紹介します。
JAFに連絡する
車が動かないときはJAFに連絡しましょう。
JAFのロードサービスには、バッテリー上がりやパンク、キー閉じこみ、燃料切れ、事故や故障でのけん引・搬送作業などがあります。
これらのロードサービスは会員なら無料で受けられますが、非会員でも利用可能です。以下の表で一部のロードサービスの費用を比較して紹介しています。JAFの入会を検討している人は参考にしてくださいね。
会員 | 非会員 | |
---|---|---|
バッテリー上がり | 無料 | 13,130円 |
燃料切れ | 無料 | 16,770円 ※サービスカー通行料・燃料代は別途かかります |
故障車けん引 | 無料 ※15kmまで | 13,130円~ ※けん引料730円(1km毎)は別途かかります |
保険会社に連絡する
任意保険の自動車保険に加入している場合は、保険会社に連絡しましょう。自動車保険にはロードサービスが付帯していることが多いです。
ロードサービスの詳細は、契約内容や保険会社によって異なります。一定の範囲内まで無料の場合や、サービス内容によっては有料になることもあるので、自分が加入している保険内容を確認してみましょう。
購入店・ディーラーに連絡する
車が故障した場所が、その車を購入した店舗やディーラーから近かった場合、連絡すれば故障場所まで来てくれることがあります。新車で購入してから年数があまり経過していなければ、メーカー保証による修理ができるかもしれません。
ただし、故障した場所が購入店やディーラーから遠い場合や、高速道路の場合は対応してもらえないこともあります。最初からロードサービスを利用したほうが確実でしょう。
ガソリンスタンドに連絡する
ガソリン切れなど比較的簡単に対処できそうな故障のときは、ガソリンスタンドに連絡して修理してもらうこともひとつの選択肢です。
ただし、専門的な修理が必要な故障の場合や、ガソリンスタンドの従業員が少ない場合、対応してもらえないこともあります。
故障した場所が雪道などの悪路や高速道路のときは、修理に来てくれない可能性が高いです。このような場合は、始めからロードサービスを使いましょう。
バッテリー上がりなら自分で対処できる
ジャンピングスタートでバッテリー上がりを自分で対処できます。これはバッテリー以外から電気を供給し、エンジンを始動させる仕組み。ジャンピングスタートは、ジャンプスターターを使う方法と、救援車を使う方法の2通りで行えます。
ジャンプスターターを使う場合の手順は以下のとおりです。
- ジャンプスターターのバッテリー残量が十分か、本体やケーブルに破損がないか確認
- 車の電源をOFFにし、AT車はパーキング、MT車はニュートラルにして、サイドブレーキをひく
- ボンネットを開け、バッテリーのプラス端子のカバーを開ける
- ジャンプスターターの赤いプラスケーブルを、バッテリーのプラス端子に接続する
- ジャンプスターターの黒いマイナスケーブルを、エンジンブロックなどの金属部分にボディアース接続する
- ジャンプスターターの電源を入れ、数分間放置し、車のエンジンをかける
- エンジンがかかったら、ジャンプスターターの電源を切る
- ジャンプスターターの黒いマイナスケーブルを外す
- ジャンプスターターの赤いプラスケーブルを外す
- しばらく走行してバッテリーを充電する
救援車を使う場合は以下の手順で対処します。
- 救援車のバッテリーと故障車のバッテリーが届くように、救援車を配置する
- 救援車のエンジンを止め、救援車と故障車の電源をOFFにする
- 救援車と故障者のボンネットを開け、バッテリーのプラス端子のカバーを開ける
- 故障車のバッテリーのプラス端子に、ブースターケーブルのうち赤いプラスケーブルを接続する
- 赤いプラスケーブルのもう一方を、救援車のバッテリーのプラス端子に接続する
- 救援車のバッテリーのマイナス端子に、ブースターケーブルのうち黒いマイナスケーブルを接続する
- 黒いマイナスケーブルのもう一方を、故障車のエンジンブロックなどの金属部分にボディアース接続する
- 救援車のエンジンをかけ、5分程度待ってから、故障車のエンジンをかける
- エンジンがかかったら、故障車側のマイナスケーブルを外す
- 救援車側のマイナスケーブルを外す
- 救援車側のプラスケーブルを外す
- 故障車側のプラスケーブルを外す
- しばらく走行してバッテリーを充電する
ジャンプスターターを使うジャンピングスタートなら、自分の車だけでバッテリー上がりに対処できてとても便利。救援車を使う場合も、救援車とブースターケーブルがあればすぐに対処できます。
一方、ジャンピングスタートは正しい方法で行わないと、感電や発火の危険性も。車の取扱説明書を確認しながら、注意して作業しましょう。
動かない車は買取に出すことも検討しよう
車が動かない原因によっては、修理費用が高額になることも。また、自分で車を廃車にするには、普通自動車は2万5,000~4万5,000円、軽自動車は2万3,000~4万円前後の費用がかかるといわれていて、大きな負担となってしまうでしょう。
一方、買取業者のなかには、たとえ車が動かない状態でも買取してもらえる業者があります。修理や廃車などに高額の費用をかけたくない人は、買取に出すことを検討してみましょう。
車が動かなくなったときは焦らず安全確保と原因の確認から
ここまで、車が動かなくなったときにするべき2つの行動と5つの確認を中心に紹介しました。焦る前に、まずは安全確保と原因の確認をして、すぐに対処できないかチェックしましょう。
車が動かない原因はエンジンがかかるかどうかによって異なるので、自分の車がどの原因なのか確認するときの参考にしてみてください。
また、動かない車を修理したり廃車にしたりするには費用がかかります。費用をかけたくない人は買取に出すことも検討しましょう。