運転免許証の住所変更は引っ越し後14日以内に行う必要がありますが、なかなか本人が直接出向くのはむずかしいという場合もあるでしょう。
そんなときに思い浮かぶのが代理人による手続きですが、「そもそも代理人が代わりに手続きすることはできるの?」「できるとしたらどうやってやるの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事ではそのような悩みを解決するべく、運転免許証の住所変更を代理人が行うことについて解説します。
運転免許証の住所変更を代理で行うことはできる?
結論から言うと、代理人による運転免許証の住所変更は可能です。
道路交通法第九十四条では、「運転免許証の住所変更は原則として免許を受けた本人が行うこと」とされています。
しかし、高齢、入院中、多忙などの理由から、手続きに出向くことがむずかしいケースは少なくありません。正しく手続きを行えば、代理人による申請が可能と考えてよいでしょう。
ただし、都道府県により代理人の条件が異なるため注意が必要です。追加で必要な書類もあわせて説明します。
代理人の条件
免許証の住所変更を行う代理人になるための条件は、都道府県によって次の2通りがあるので、事前に確認が必要です。
- 住所変更する本人の住民票に併記された家族のみ
- 特に条件なし
一部の都道府県は代理人についての記載がなかったものの、「家族のみ」と指定されていなければ、知人なども代理人になることが可能と考えて問題ないでしょう。
家族以外に代理人を依頼する際には、新住所を管轄する警察署や免許センターの公式サイトで事前に確認しておいてください。
追加で必要な書類
免許証の本人による住所変更手続きには、次の2点が必要です。
- 免許証
- 新住所が確認できる書類
代理人による手続きには、上記に次のような書類を追加します。
- 代理人の本人確認書類
- 本人と代理人が併記されている住民票の写し(コピー不可、マイナンバーが記載されていないもの)
- 委任状
ただし、代理人の必要書類は「同居家族の場合は委任状は不要」「住民票は不要」など地域によってルールが異なり、事前に確認が必要です。代理人の条件とあわせて確認しておきましょう。
運転免許証の住所変更方法
一般的な住所変更手続きの流れは、おおむね次の通りです。
- 届出先で「記載事項変更届」の記入
- 窓口で免許証と必要書類の提出、本人確認
- 免許証裏面に新住所の記載、ICチップの住所データ書き換え(提出先の職員による作業)
- 免許証の確認、返却
運転免許証の住所変更できる場所や、所要時間などについても紹介します。
住所変更できる場所
運転免許証の住所変更手続きができるのは次のような場所です。
- 警察署
- 運転免許更新センター
- 運転免許試験場
- 交番・駐在所(一部地域)
基本的には、新住所を管轄する施設へ行くように決まっています。しかし、東京都などの一部の地域では、県内であれば管轄外でも受付が可能です。
必要書類
先ほども説明した通り、免許証の住所変更手続きには、次の2点を持参する必要があります。
- 免許証
- 新住所が確認できる書類
このうち「新住所が確認できる書類」として認められているものの具体例は次の通りです。
- 住民票の写し(コピー不可、マイナンバーが記載されていないもの)
- マイナンバーカード(通知カード不可)
- 健康保険証
- 在留カード
- 消印付き郵便物
引越しなどで新住所に変わり、役所へ住所変更手続きをするとすぐに発行できる「住民票の写し」が準備しやすいでしょう。
受付時間・かかる時間
地域や施設によって受付時間は前後しますが、9:00〜16:00の間は受付をしていることが多いです。お昼の時間帯には一旦受付を停止する地域もあるため、注意しましょう。
手続きにかかる時間は、午前・午後などの時間帯や時期によって異なります。混雑していなければ10分ほどで終わる手続きですが、長ければ1時間以上かかることも。
特に、新たに免許を取得する学生や引越しが増える3月や4月は特に混み合うので、時間に余裕をもって手続きに行くようにしましょう。
運転免許証の住所変更を忘れていた場合
運転免許証の住所変更については、道路交通法で次のように定められています。
(免許証の記載事項の変更届出等)
第九十四条
免許を受けた者は、第九十三条第一項各号に掲げる事項に変更を生じたときは、速やかに住所地を管轄する公安委員会(公安委員会の管轄区域を異にして住所を変更したときは、変更した後の住所地を管轄する公安委員会)に届け出て、免許証に変更に係る事項の記載(前条の規定による記録が行われる場合にあつては、同条の規定による記録)を受けなければならない。
引用:道路交通法
法律上では「住所変更後、すみやかに変更手続きを行わなければならない」とされているものの、明確な期限は定められていません。
さらに、上記に違反した場合は、道路交通法第百二十一条により、2万円以下の罰金または科料を課せられる可能性があります。
実際のところ、住所変更手続きをしなかったことで罰金の可能性は高くはないでしょう。しかし、免許証の住所が古いままだと、身分証として使えないなどのデメリットも大きいため、住所が変わったらすぐに手続きを行うべきです。
もしも、住所変更をしないまま時間が経ってしまった場合も、できるだけ早く手続きを行ってください。
運転免許証の住所変更についてよくある質問
運転免許証の住所変更について、実はよくわからないという人も多いのではないでしょうか。実際に経験がなければ、意外と知らないものです。
これから免許証の住所変更をする予定がある人のために、よくある質問についてまとめました。
運転免許証の住所変更をする警察署はどこでもいい?
原則は新住所を管轄する警察署へ行く必要があります。自分の新住所がどこの警察署の管轄かわからない、という人は、「(都道府県名) 警察 管轄」と検索して確認してみましょう。
東京都などの一部の都道府県では、自分の管轄外の警察署でも免許証の住所変更手続きが可能。管轄署よりも、職場近くの警察署に行きたいなどの場合に便利です。
運転免許証の住所変更は交番でもできる?
運転免許証の住所変更手続きを行う場所は主に警察署、運転免許更新センター、運転免許試験場だと説明しました。基本的には、このなかのいずれかで手続きを行いますが、ごく一部の地域では指定の交番での住所変更が可能です。
ただし、交番の場合、免許証への記載は可能でもICチップのデータは変更できず、後日あらためて警察署や免許センターなどに行く必要があります。何度も手続きが必要になるため、どうしてもという状況でなければ、交番での住所変更はおすすめしません。
免許更新と住所変更を同時に行うことはできる?
免許証の更新時期と住所変更のタイミングが重なった場合は、同時に手続きを行うことが可能です。
旧住所のまま届いた更新はがきでも、新住所での更新手続きに使用できるので、新住所を確認する書類を準備して一緒に窓口へ持参しましょう。警察署での手続きの場合は、写真の準備も必要です。
引越しと免許証の更新時期が重なる場合、「更新はがきが届かない」「更新はがきが引越しの荷物に紛れてしまった」などのトラブルが起きやすくなります。更新時期を自分で把握しておくなどの対策を行いましょう。
運転免許証の住所変更に写真は必要?
他サイトでは写真の用意が必要と記載されていることもありますが、先ほど紹介した免許証の更新と住所変更を同時に行う場合を除いて、写真の準備は必要ありません。
以前は、県をまたぐ住所変更の際には写真が必要とされていたため、現在も念のために用意すべきとの意見もあるようです。しかし、どの都道府県の公式サイトを見ても、住所変更の必要書類に「写真」の記載はありませんでした。
運転免許証の住所変更に土日しか行けない場合はどうする?
警察署の受付は月曜日から金曜日までとなっているため、土日しか行けないという場合には、運転免許更新センターや運転免許試験場の利用を検討しましょう。
確認してみたところ、全都道府県の半数以上では日曜日に受付をしている運転免許更新センターや運転免許試験場がありました。平日しか対応していない地域もあるため、お住まいの地域が日曜日の受付を行っているかどうか、事前に確認してみてください。
残念ながら土日の受付を行っていないという場合は、代理人に手続きを依頼するか、平日に休みをとるなどして対応している人が多いようです。
運転免許証の住所変更は代理でもできる
本記事では、運転免許証の住所変更手続きについて紹介しました。「自分でなかなか手続きに行けない」という人は、代理人による申請も可能なので、家族や知人に依頼するのも方法のひとつ。
住所変更を行わないままでいると、身分証明書として使用できないほか、罰金の対象になってしまうリスクもあります。手続きに必要な書類や、代理人の条件なども説明したので、参考にしてみてください。