- 歴代の千円札に描かれた人物を知りたい
- 紙幣に描かれる人物の選定基準を知りたい
- 人物にまつわる豆知識を知りたい
この記事では、歴代の千円札に描かれた人物を紹介します。2024年7月に新紙幣が発行され、千円札に描かれる人物が「北里柴三郎」に変更されました。
新紙幣の発行をきっかけに、歴代の千円札に描かれた人物や選定基準について知りたいと思った方は多いのではないでしょうか。
千円札に描かれた人物のエピソードや豆知識も解説するので、千円札の歴史について知りたい方はぜひご覧ください。当記事を読めば、千円札の歴史をより深く理解できますよ。
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2024年上期に新千円札が発行
2024年7月前半に、千円札が刷新されるのはご存じでしょうか。千円札に限らずお札は偽造され、悪用されるといったことがどの時代でも起こってきました。2024年に発行される新千円札は、これまでの偽造防止技術を集結させて作られます。
新千円札の表面には、伝染病研究で功績を挙げた「北里柴三郎」、裏面には江戸時代の浮世絵師、葛飾北斎の「富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)」が描かれる予定です。
また、これまで施されたものに加え、「高精細すき入れ」や「3Dホログラム」といった最新の偽造防止技術が使用されます。特に3Dホログラムは、お札への採用は世界初。3Dの肖像画が回転する仕様で、偽造が非常に困難な技術です。
歴代千円札と人物紹介
2024年に新しく発行されるものを含めると、6種類の千円札が発行されています。
ここでは、歴代の千円札、新千円札に描かれている人物一覧とそれぞれの歴史的功績を解説。名前はもちろん、日本に与えた影響も興味深いものです。
甲号券:日本武尊(1945~1946年)
日本で最初に発行された千円札は「甲号券」と呼ばれ、1945年8月17日発行。
表面に描かれているのは、古事記に登場する「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)」と、滋賀県大津市にある「建部神社本殿」でした。裏面には宝相華や桐、唐草模様などが描かれ、“1000”の数字と鳳凰の絵が透かしとして入っています。
第二次世界大戦後のインフレーション抑止を目的として発行された最高額紙幣で、通用停止日が1946年3月2日と1年足らずで運用が終了しました。
人物紹介
「日本武尊(ヤマトタケルノミコト)」は古事記にも登場する、熊襲討伐、東国討伐を行った伝説的英雄で、建部神社の祭神とされています。
皇族の出身で、第12代景行天皇を父にもち、子は第14代仲哀天皇。豪傑で勇猛果敢な人間性だったと言われており、武力で神や日本各地を平定しました。三種の神器のひとつである「草薙剣」を授けられたことでも知られ、国内の3ヶ所の墓が宮内庁によって治められています。
B号券:聖徳太子(1950~1965年)
B号券の発行は1950年1月7日で、1965年1月4日までのおよそ15年間使用されました。表面には「聖徳太子」が描かれ、裏面には住まいであった「法隆寺夢殿」と、正倉院御物である「四騎獅子狩文綿」の織物の一部分がデザインされています。
アルファベットと数字を組み合わせた記番号を初めて採用した紙幣でもあり、その後の千円札にも受け継がれました。第二次世界大戦後、初めて両面に凹版印刷が施された本格的な紙幣としても知られています。
人物紹介
聖徳太子は日本史の学習でも必ず登場する人物で、飛鳥時代に推古天皇の摂政として活躍しました。冠位十二階、十七条の憲法の制定や、法隆寺、四天王寺といった寺院の建立、仏教の普及に力を入れた人物としても知られています。
また、千円札のみならず、百円、五千円、一万円の紙幣にも採用され、日本が世界に誇れる人物として認識されていたのでしょう。
C号券:伊藤博文(1963年~1986年)
C号券は昭和時代に使用された紙幣で、1963年11月1日発行、1986年1月4日に支払停止となりました。表面には初代内閣総理大臣である「伊藤博文」、裏面には国の重要文化財に指定されている「日本銀行本店旧館」が描かれています。
B号券は製造技術の低さから精巧な偽造紙幣が大量に製造され問題となり、向上した紙幣製造技術をもってC号券を発行されました。120億枚以上発行されて記番号が一巡したため、記番号の色が黒から青に切り替えられた紙幣でもあります。
人物紹介
伊藤博文は、日本の初代内閣総理大臣として有名です。ほかにも初代韓国統監としても活躍、明治時代に日本の近代化に大きな役割を果たしました。
また、岩倉使節団の副使として海外へ渡航、アメリカやヨーロッパの制度や文化を学ぶとともに、不平等条約の改正にも尽力。まさに現代における政治制度の礎を築いた人物として、紙幣の肖像画に採用されました。
D号券:夏目漱石(1984年~2007年)
D号券は1984年11月1日に発行、2007年4月2日に支払停止となりました。
2000年代まで使用されていた紙幣で、記憶に新しい、まだ手元にあるという方も少なくないでしょう。表面には小説家である「夏目漱石」、裏面には特別天然記念物であるタンチョウが描かれています。
C号券の偽造増加によってD号券が発行され、年数を経てマイクロ文字や特殊発光インキなど一部改造を施した券も作られました。従来の紙幣より横幅が14mm縮小されたことも特徴です。
人物紹介
夏目漱石は、明治から大正時代にかけて活躍した小説家です。『こころ』『坊ちゃん』『吾輩は猫である』といった、有名な作品を数多く世に送り出しました。
小説家として知られていますが、もともとは英文学を学ぶために帝国大学で学び、英語教師として高等師範学校で教鞭をとっていたことも。しかし、精神病を患い治療の一環として小説を執筆し、小説家として活躍したのは晩年からです。
紙幣の肖像画に、文化人が選ばれるのは日本で初めてでした。
E号券:野口英世(2004年~)
E号券の発行は2004年11月1日、2023年7月現在も使用されています。表面には黄熱病の研究で活躍した「野口英世」、裏面には富士山と桜のデザインを採用。
D号券の使用期間が長く、偽造技術の高まりを受けてE号券が発行されました。D号券同様、千円札と同時に五千円札、一万円札も同時に改刷されています。
用紙へのすき入れ技術や、ブラックライトでオレンジ色に発光する紫外線インクが新たに採用され、偽造防止が強化されました。
人物紹介
野口英世は、明治から昭和にかけて活躍した医師・細菌学者です。アメリカのロックフェラー大学で黄熱病や梅毒の研究をし、ノーベル生理学・医学賞の受賞候補に挙がったことも。
黄熱病の研究者として認知されていることが多いですが、実は現代において野口英世の研究の一部はほかの研究結果によって否定されています。
微生物分野での評価は梅毒病原体の発見、オロヤ熱の研究とされていますが、いずれにせよ世界に誇る細菌学者として千円札の肖像画に選ばれました。
新紙幣:北里柴三郎(2024年7月~)
2024年の7月前半に新千円札が発行される予定です。
新千円札には、「近代日本医学の父」と呼ばれる「北里柴三郎」の肖像がデザインされ、裏面には江戸時代に活躍した浮世絵師「葛飾北斎」の『富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)』が採用されます。
新千円札は、従来の偽造防止技術をさらに強化。凹版印刷をさらに深くした「深凹版印刷」が、現在のすき入れをさらに高度にした「高精細すき入れ」、世界初の採用となる「3Dホログラム」といった技術が使われます。
人物紹介
新千円札の肖像に採用された北里柴三郎は、明治から昭和にかけて活躍した微生物学者・教育者です。破傷風菌の培養、血清療法の開発、ペスト菌の発見といった功績を残し、「近代日本医学の父」や「感染症学の巨星」と呼ばれました。
また、私費を使って「私立北里研究所」の設立、無給で「慶應義塾大学医学部」の発展に尽力するなど、教育に対する業績をあげたことでも知られています。
紙幣に描かれる人物の選定基準・理由
紙幣に描かれる人物の選定基準は、いくつかあります。
- 明治以降に活躍した人物であること
- 偽造防止の観点で、なるべく精密な写真を入手できること
- 品格のある人物、写真であること
- 幅広い国民に知られ、業績が広く知られていること
上記の条件を踏まえて、財務省が採用する人物を決定。現在の生活に欠かせない技術や文化を確立した人物が、日常のなかで目に入りやすいようにデザインされているのです。。
千円札の裏面デザインに込められた意味
千円札の裏面に描かれるデザインは、ひと言で言うと「日本らしさ」を表したものが選ばれています。日本らしさは時代によって変わるもの。大まかに言うと、建築物から芸術や動物へ移り変わってきました。
B号券の法隆寺夢殿は古来の、C号券の日本銀行本店旧館は近代の日本らしさを表していると言えるでしょう。D号券にはタンチョウ、E号券には富士山と桜といった日本固有の自然物が描かれています。
2024年発行予定の新千円札には『富嶽三十六景(神奈川沖浪裏)』が採用され、再度古き良き日本文化に目が向けられたと言えるでしょう。
現代でも日本固有の文化は生まれ続けていますが、紙幣全体のデザインに馴染みやすいといった観点も基準として考えられます。
千円札の人物にまつわる豆知識
千円札の肖像に採用される人物に明確な基準はありませんが、基本的に男性が選ばれるといった慣例があります。普段使っている千円札ですが、見慣れたデザインにも実は理由があるのです。ここでは、面白い豆知識を解説します。
基本的には男性が選ばれる
歴代の千円札の肖像には、すべて男性が選ばれています。業績を残した人物がたまたま男性ばかりだったというわけではなく、理由があるのをご存じでしょうか。
実は男性の髭やシワは再現がむずかしく、偽造防止になるのです。近年では、製造技術の発達で女性が採用されることも増えてきましたが、基本的には髭やシワのある男性のほうが偽造されづらいと言えます。
定期的に人物が変わる
千円札に描かれる人物が、おおむね15~20年で変わることも偽造対策のひとつ。
同じ肖像画を使い続けると、技術の向上により偽造されやすくなります。定期的に人物を変えることで、偽造をむずかしくしているのです。「なるべく精密な写真や肖像画が入手できること」という人物選定の基準があるのも、偽造防止にひと役買っていると言えます。
人物はお札の右側に描かれる
歴代の千円札のデザインを見ると、すべて人物が右側に描かれていることにお気づきでしょうか。人物が右側に配置されているのにも、理由があります。
まず、右利きの多い日本人が左手にお札を持ち、肖像画を見ながら枚数を数えやすくするためです。また、何度も刷新される紙幣に違和感をもたないよう、人物を右側に描くのが慣例とされています。
古い千円札は使えない?
古い千円札は現在でも使用できます。
2023年現在でも、一代前の夏目漱石が描かれた千円札を使う機会があるでしょう。一代前のみならず、1950年に発行されたB号券以降の千円札であれば、現在でも使用できます。
ただ、流通が少なく、ATMや自動販売機、セルフレジといった機械に対応していないため、使用頻度は多くないでしょう。
旧千円札は買取に出すのもおすすめ
旧千円札が手元にあるという人は、買取に出すのも選択肢のひとつ。今ではほぼ流通していない「伊藤博文」以前の千円札であれば、1,000円以上の買取額も夢ではありません。
何十年も前の紙幣のため劣化してる可能性も高いですが、未使用や保存状態の良好なもの、さらには印字ズレなどのエラーがあるものは高額買取の可能性があります。実際に状態のいいものであれば、8,000円~250,000円の値がつくことも。
一度、買取専門店などで査定を依頼してみましょう。
歴史がつまる千円札!旧千円札は買取依頼もおすすめ
本記事では、歴代千円札の概要やデザインの選定理由などを解説しました。
千円札の人物には日本や世界に大きな影響を与えた人物が描かれています。また、造幣技術の向上と偽造紙幣の横行のせめぎ合いのなかで、定期的に刷新されてきました。毎日のように目にする千円札ですが、実は様々な歴史を経ているのです。
また、千円札に関する豆知識、旧千円札は高値がつく可能性があることも解説しました。ぜひ記事を参考に、改めて千円札の価値を再認識してもらえると嬉しいです。