ドル金の相関関係とは|価値の変動要因や将来的見通しも

  • 2024年5月22日
この記事で解決できるお悩み
  • ドル金とはなにかを知りたい
  • ドル金が変動する要因を知りたい
  • ドル金の今後の見通しを知りたい

2024年現在金の価格が高止まりしている影響で「ドル金」という言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

金は実物のある資産として、その安定性から長年注目を集めています。各国の通貨で売買されていますが、多くの金価格のベースとなっているものが「ドル金」です。

ドル金は、さまざまな要因で変動するため、変動理由を知らないと「安いタイミングで売ってしまった」と損をすることがあるかもしれません。

本記事では、ドル金の変動要因や歴史、今後の見通しなどを紹介します。

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ドル金とは

「ドル金」とは、ドル建て金相場のことです。「ゴールドドル」とも言われ、近年の金価格の高騰とともに注目を集めています。

日本国内の金相場の表記は、「ドル建て」と「円建て」の2種類です。通貨の違いだけでなく、重さの単位の違いもあるため、変換する際は計算する必要があります。

基本的には、ドル金の価格に連動して円建ての金相場も変化しますが、為替などが影響してまったくの相関関係ではありません。しかし、ベースとしている価格はドル金なので、金価格を把握するためにはまずドル金を知ることが大切です。

ドルと金の相関関係

一般的にドルと金は、逆相関関係だといわれています。ドルが上がると金が下がりやすく、ドルが下がると金が上がりやすいです。

金は、希少な貴金属として高い需要があるため、ドルと同様に世界の基軸通貨のような働きがあります。ドルと金が逆相関関係にある理由は、ドル高になると金利が上がり株式購入などに投資の魅力が集中することで、金の価格が下落するからです。

しかし、2021年にドルと金が相関関係で推移した過去もあるため、必ずしも逆相関関係にあるとは言い切れません。

日本の金価格との関係

一概に「ドル金が低いと日本の金価格も低い」というわけではありません。日本の金価格は、ドル金価格だけでなく為替レートにも影響を受けるため、注意が必要です。

基本的には、ドル金が上昇すると日本の金価格も上昇しますが、その際に「ドル高円安」であると日本の金価格はより上昇し、「ドル安円高」であると日本の金価格が下落します。

金を円建で購入する際は、金価格が下落している円高のタイミングで購入すると良いでしょう。

日本の金価格算出方法

日本の金価格を算出する際に前提として知っておくべきことは、金の単位についてです。本来、金はトロイオンス(1トロイオンス=31.1035g)という単位で表記されます。

しかし、日本ではなじみがないため、グラム換算で表記されることが多いです。ドル金価格はトロイオンスで表記されることが多く、通貨だけでなく金単位も変換する必要があります。

算出方法は、ドル金価格(ドル/1トロイオンス)×為替レート÷31.1035グラム=日本の金価格(円/1グラム)です。実際の価格例を用いて計算してみましょう。

例:ドル金価格が2,300ドル(1トロイオンス)
為替レートが1ドル150円の場合

2,300ドル(1トロイオンス)×150円(1ドル)÷31.1035グラム=約11,091円/1グラム

ドル金の変動要因

ドルのグラフ

ドル金を売買するとき、どのタイミングが安く買え、高く売れるのか気になりますよね。それを知るためには、何が要因でドル金価格が変動するかを知っている必要があります。ここでは、変動の要因となる3つの要素をまとめました。

アメリカの経済

ドル金は、アメリカ経済が不況か好景気かによって大きく変わります。

アメリカ経済が好調であれば、配当金や利子を求めて株式や債権などの需要が上昇。金投資は基本的に利子や配当がないため、需要が減りドル金が下落します。

逆にアメリカ経済が不況であれば、リスクの少ない金が評価され需要が高まり、ドル金価格が上昇するケースが多いです。

好景気のときは、ハイリスクハイリターンな投資商品が好まれ、不景気のときは、安定性の高い金が好まれるということでしょう。

アメリカの金利政策

アメリカの金利政策は、どのような金融商品にも影響を与えますが、ドル金においても同様です。

金は保有によって得られる配当金などの利益(インカムゲイン)がありません。そのため、一般的には金利が引き上げられると、金よりもインカムゲインのある株式投資が好まれます。一方で、金利が引き下げられると、ものとして価値のある金が好まれる傾向です。

しかし、過去には金利が下げられてもドル金価格が上がらなかったこともあるので、気をつけましょう。

米ドルの価値

米ドルの価値もドル金の変動要因です。米ドルの価値が下がるとドル金の価値が上がり、米ドルの価値が上がるとドル金の価値が下がります。

理由は、経済や金利がドル金価格の変動要因であったことと同様です。ドルの信用度が下がると、安定していてものとしての価値もある金に注目が集まります。米ドルの価値とドル金の価格も逆相関関係にあるといえるでしょう。

2024年現在は特に、世界情勢上米ドルに不安を持つ人が多いため、金がよく買われています。

貨幣と金の関係の歴史

現在は、どこの国でも貨幣は価値があるものであるという前提が浸透しています。しかし、歴史上では、金が貨幣の価値を保証する材料として活躍していた時代もありました。どのようにして現在の紙幣の価値の決め方に変化していったのでしょうか。

金本位制

金本位制とは、紙幣と同額の金を用意し、紙幣の価値を保証する制度です。1816年にイギリスで始まりました。

金本位制下では、発行される紙幣と金の交換をいつでも引換可能とすることで、紙幣の価値が担保されます。これによって、異なる国同士での取引に金という共通の価値尺度が生まれ、貿易が簡単になりました。

しかし、第一次世界大戦が勃発すると、各国で武器輸入などのために金が流出します。これによって金本位制の維持がむずかしくなり、1929年の世界恐慌以来、相次いで廃止されました。

金ドル本位制

金本位制の次に整えられた制度が、金ドル本位制です。これは、各国の通貨と米ドルの交換比率を固定し、米ドルだけが金と交換できるという制度で、各国間の決済は米ドルで行われるようになりました。

アメリカが世界の7割の金を保有していたため実現できた金ドル本位制ですが、徐々に金とドルの交換がむずかしくなり、崩壊します。

1971年にアメリカのニクソン元大統領が金とドルの交換停止の発表。「ニクソンショック」と呼ばれ、そのあと、世界の金融政策が大きく変化していきました。

変動相場制

ニクソンショックによって金ドル本位制は崩壊し、徐々に現在の変動相場制に移行しました。為替レートは固定ではなく、外国為替市場の需要によって変動します。

固定相場制では、安定的な利益が確保できるというメリットがありましたが、金融政策の裁量が少ないため、適正レートから乖離するというデメリットもありました。

変動相場制下では適正レートから乖離することなく、毎日レートが変動しながら取引されています。

ドル金の将来的な見通し

黒板

近年の経済状況が影響して高騰していると言われているドル金ですが、今後はどのような予想がされているのでしょうか。長期・短期両目線からの予想を紹介しています。金売買のタイミングの参考にしてみてください。

2024年4月現在の金価格

2024年4月5日現在の金価格は2,330ドル(1トロイオンス)です。これは、ドル金価格の過去最高値を記録しています。最近だと、2023年10月6日は1,810ドルでしたが、この値と比較すると約28%もドル金価格が上昇。ドル金が最近高騰していることがよくわかります。

2024年12月4日に2,146ドルとなり、当時の最高値を記録しましたが、そのあとすぐに2,050ドル前後まで下がりました。通常はこの様に、上昇下降を繰り返しますが、2024年4月5日現在は上昇傾向がつづいています。

長期的な見通し

長期的には、金の需要が世界的に高まり、ドル金価格が上昇する可能性が高いと考えられています。

近年では、新型コロナウイルスの拡大やウクライナ問題など、世界経済に影響を与える問題が多いです。アメリカ経済も同様のため、安定性の高い金の需要が高まり、ドル金は上昇していくと予想されます。

経済状況の回復により、急落することも考えられますが、金が希少であることや工業用としても需要が高まっていることから、長期的に下落する可能性は少ないでしょう。

短期的な見通し

長期的な予想は上昇傾向でしたが、短期的に見ると急落する可能性は十分にあります。ドル金は、アメリカ経済などによって変動するため、コロナなど経済に影響を与えている事態の終息や、アメリカ政府の金利政策によって金利が引き上げられることが考えられるからです。

このように、さまざまな要因によって変動するドル金の短期的な見通しは、専門家でもむずかしいとされています。金を所有している人は、急落したからといって焦らずに変動を見守ることも大切です。

ドル金の流れを把握した投資を

ドル金は上昇、あるいは下落しつづけるものではなく、短期的な上下を繰り返しながら変動しています。長期的に見ると上昇していく予想です。

ドル金の変動要因は、アメリカ経済や金利政策などさまざまあります。アメリカだけでなく、世界経済の動向を把握することで、より良い売買のタイミングが予想できるでしょう。

短期的な変動に一喜一憂することなく、長期的な目線をもって投資することが重要です。

金投資にはドル金の動きの把握が大切

本記事では、ドル金について詳しくまとめました。

2024年のドル金は、金価格の最高値を記録しており、今後も上昇していく見込みのため、注目を集めています。コロナや戦争などで経済が不安定な状況のなかで、安定資産である金が評価されていることが要因です。

国内で金を購入する際、ベースとする価格はドル金価格なので、金購入を検討している人は、この記事を参考にドル金の動向を注視してみてください。

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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