日本の金山について|唯一現存する鉱山や歴史・観光情報も

  • 2024年5月22日
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みなさんは、今でも日本国内に、金が採れる金山があるのをご存じでしょうか。金の歴史や文化に興味のある方は、ぜひ訪れてみたいですよね。

現在も金が採れる日本の鉱山は、「菱刈鉱山」の1箇所のみですが、過去には日本国内で稼働していた金山が多くありました。過去に金山として稼働していた場所の多くが、現在は観光地となっており、当時の様子を知ることができます。

本記事では、現在も稼働を続ける「菱刈鉱山」や、過去に稼働していた金山の歴史や観光情報などについてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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現在も金が採れる日本の金山「菱刈鉱山」について

みなさんは、日本に現在も金が採れる「金山」があることをご存知でしょうか。

「菱刈鉱山(ひしかりこうざん)」は、鹿児島県伊佐市の菱刈地区東部にある鉱山で、現在、日本国内で金の採掘作業が行われている唯一の金山です。

ここでは、「菱刈鉱山」の歴史や今後の展望についてご紹介します。

歴史

菱刈鉱山が位置する鹿児島県伊佐市菱刈地区で初めて金山が見つかったのは、1750年ごろと言われています。

そのあと、1960年代から現在の独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構にあたる「金属鉱業事業団」が金鉱探査を行い、1981年に鉱脈を発見しました。

1985年には、現在菱刈鉱山を所有している「住友金属鉱山」が開山をし、今もなお金鉱採掘が行われています

金産出について

菱刈鉱山では、現在までにおよそ250トン以上の金を産出しており、現在でも年間およそ4~5トンの金を採掘。

日本が保有する地上資源として存在する金の総量は、全世界の現有埋蔵量の約16%に匹敵する「6800トン」と言われていますが、現在、国内の金産出量の9割以上を菱刈鉱山が占めています。

また、菱刈鉱山の金鉱石は、鉱石中に含まれる金属の含有率を示す「品位」がとても高いことが特徴です。

通常の金鉱石の平均金量が、鉱石1トンあたり3~5グラム程度であるのに対し、菱刈鉱山の金鉱石は、1トンあたりおよそ20グラムと、一般的な鉱山と比べても多くの金量を含んでおり、世界一の金品位と言われています。

今後の展望

現在、日本の金産出量の9割を占めている菱刈鉱山は、2022年末時点で金の埋蔵量が推定155トンほどと言われています。単純計算すると、あと40年ほど採掘をつづけることが可能です。

一方で、菱刈鉱山は、これまで年間6トンの採掘を行っていました。

しかし、地域の環境に配慮するため、金含有量の比較的低い周辺の鉱石も一緒に採掘しており、貴重な地下資源を余すことなく利用できるよう、2023年から採掘量を4.4トンへと引き下げて操業を行っています。

周辺の観光情報

菱刈鉱山は、住友金属鉱山株式会社の私有地となっているため、残念ながら金山を見学することはできません。

しかし、菱刈鉱山の周辺では、金山から湧き出た温泉を楽しむことが可能です。

菱刈鉱山坑内の金鉱脈から湧き出ているおよそ65℃の温泉水は、約6キロメートルのパイプラインを通して、地元の湯之尾温泉へ供給されています。

温泉名所在地アクセス
湯之尾温泉鹿児島県伊佐市菱刈川北字古川
  • 栗野ICから車で約15分
  • 栗野駅からバスで約15分ののち、徒歩で約5分
菱刈温泉亀の湯鹿児島県伊佐市菱刈川南191菱刈中学校から県道53号線を経由し川南方面へ車で7分
まごし温泉鹿児島県伊佐市菱刈前目711-1伊佐市役所 菱刈庁舎から車で2分

過去に日本で稼動していた金山

北沢浮遊選鉱場跡
現在、稼働している金山は菱刈鉱山だけですが、日本国内にはかつて金の採掘が行われていた鉱山がほかにもいくつかありました。

そのような金山のなかには、現在は観光地として、当時の歴史を知ることができる場所も多くあります。

ここでは、過去に稼働していた金山の歴史や観光情報についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

佐渡金山

歴史や概要

佐渡金山は、1601年に山師3人により開山されたと言われており、1603年には徳川幕府直轄の天領として佐渡奉行所が置かれ、小判の製造も行われるなど江戸幕府の財政を支えた金山です。

開山からおよそ400年に渡って採掘が続けられていた佐渡金山では、総量およそ78トンもの金が採掘されましたが、1989年に資源が枯渇したため操業を休止し、400年近くに及んだ歴史に幕を閉じました。

所在地新潟県佐渡市下相川
開山1603年
閉山1989年3月

観光情報

佐渡金山のある佐渡市では、佐渡金山の史跡見学や産業遺産をめぐるガイドツアーが楽しめます。

佐渡金山史跡には、金箔貼りのワークショップができる体験施設や当時の佐渡金山の仕事の様子を忠実に再現した展示などがあり、楽しみながら学べるので、ぜひ体験してみましょう。

また、佐渡市には佐渡金山のほかに「西三川(にしみかわ)砂金山」があり、その跡地に建つ「佐渡西三川ゴールドパーク」では砂金とり体験をしたり、金についての知識を学んだりできますよ。

名称問い合わせ先URL
佐渡金山史跡0259-74-2389https://www.sado-kinzan.com/
佐渡西三川ゴールドパーク0259-58-2021http://www.e-sadonet.tv/goldpark/

鴻之舞金山

歴史や概要

1917年に開山し、佐渡金山と並んで全国に名を馳せていた鉱山が、北海道にある「鴻之舞金山」です。

鴻之舞金山は、もともと数人の共同所有であった鉱業権を住友金属鉱山株式会社が買取り、整備開発が進められてきました。

56年間にわたって操業し、金73トン、銀1,234トンを産出。日本で第3位の金産出量を誇っていましたが、1973年に資源枯渇のために閉山しました。

所在地北海道紋別市鴻之舞鉱山元町
開山1917年
閉山1973年

観光情報

鴻之舞金山は、採掘の最盛期には、大変な賑わいをみせていましたが、鉱山の閉山とともに住民が移り住み、現在では無住の地となっています。

現在は、上藻別駅逓(かみもべつえきてい)保存会によって鴻之舞金山を案内するガイドツアーが行われ、坑道の入り口や社宅跡などの見学が行われており、当時の暮らしぶりを知ることが可能です。

また、鴻之舞金山近くにある旧上藻別駅逓には、鴻之舞金山資料館があり、民間有志によって保存された資料を見学することができます。

名称問い合わせ先URL
旧上藻別駅逓0158-26-5110https://tic.mombetsu.net/tourist-facilities/kamimobetsu-ekitei/

串木野金山

歴史や概要

日本の金採掘量の第4位となっている鉱山が「串木野金山」です。

300年以上の長い歴史をもつ串木野金山は、西山坑、芹ヶ野坑、芹ヶ野金山、荒川鉱山、羽島鉱山、芹場鉱山などの鉱山群のことを指し、閉山となった1997年までに採掘された金の量は、約56トンにのぼりました。

串木野金山のある鹿児島県には、かつて薩摩藩が置かれ、串木野金山から産出された金が藩を支え、幕末に奔走した維新の志士の軍資金として蓄えられたとも言われています。

所在地鹿児島県いちき串木野市
開山1660年
閉山(休止)1994年

観光情報

串木野金山の跡地は、現在焼酎の貯蔵が行われる焼酎蔵として、新たに活用されています。

300年以上にわたって掘り続けられた金山坑洞は総延長120kmにも及び、坑洞内は1年中19℃前後の気温が維持され、高湿度で太陽の紫外線が届かないため、焼酎の貯蔵、熟成に適した環境です。

「焼酎蔵 薩摩金山蔵」では、トロッコ列車に乗って坑洞内の焼酎蔵を間近に見学できるほか、地上では清酒蔵や蔵乃仲見世で買い物を楽しむことができます。

名称問い合わせ先施設URL
焼酎蔵 薩摩金山蔵0996-21-5260https://www.hamadasyuzou.co.jp/kinzan/

鯛生金山

金のコインやインゴット

歴史や概要

鯛生金山は明治時代に発見され、1934年から1938年の最盛期には、金の産出量が年間2.3トンにのぼり、閉山した金山のなかでもっとも産出量の多い佐渡金山よりも多くの金が採掘されていました。

また、昭和初期には全国からおよそ3000人が鯛生金山に集まり、周囲に鉱山町が形成された金山です。

そのあと、鯛生金山は資源枯渇のため1972年に閉山され、80年足らずの短い操業期間のなかで、総量37トンの金を産出しました。

所在地大分県日田市中津江村合瀬
開山1898年頃
閉山1972年

観光情報

かつて鯛生金山で使用されていた坑道を利用して作られた「鯛生金山地底博物館」では、当時使用されていた800mもの長さの坑道を見学できます。

また、地底博物館では、坑道の模型や採掘の様子を人形であらわした模型などを見学できるため、当時の採掘の様子を分かりやすく知ることが可能です。

また、「鯛生金山地底博物館」は、お土産品の購入もできる「道の駅 鯛生金山」に隣接しているので、立ち寄りスポットとしても多くの観光客が訪れています。

名称問い合わせ先施設URL
鯛生金山地底博物館0973-56-5316https://taiokinzan.jp/
道の駅 鯛生金山0973-56-5316https://taiokinzan.jp/%e9%81%93%e3%81%ae%e9%a7%85/

玉山金山

歴史や概要

玉山金山は、日本で初めて金が発見された金山のひとつとされており、天平時代にはすでに金を産出していたと言われています。

また、戦国時代には豊臣秀吉が直轄として金山奉行を配置したり、日露戦争下で玉山金山を抵当に欧米諸国から軍資金の借入を行っていたりと、歴史上でも大きな意味を持っている金山です。

玉山金山で採掘された金は、岩手県にある中尊寺でも使用されたと言われており、玉山金山の跡地には、いくつも金を掘った抗の跡や、そこで働いていた人たちの住んでいた跡が残されています。

所在地岩手県陸前高田市竹駒町上壺
開山天平時代
閉山江戸時代初期

観光情報

玉山金山は私有地となっており、一般の見学はできないため、見学したいという方はガイドツアーへの申込が必要です。

金が採掘される際には、合わせて「水晶」が掘り出されますが、玉山金山は良質で大きな水晶が採れる山としても有名で、玉山金山のガイドツアーでは、玉山金山の見学と合わせて、水晶探しを楽しめます。

運が良ければダイヤ並の透明度をもつ水晶や、真っ白なミルキー水晶などを見つけることが可能です。

名称問い合わせ先施設URL
玉乃湯(玉山金山黄金探訪)0192-55-6866https://tamanoyuonsen.com/gold/

尾去沢鉱山

歴史や概要

尾去沢鉱山は、奈良時代の西暦708年に発見されたと伝えられており、ある伝記では尾去沢鉱山の金が奈良県にある東大寺の大仏鋳造にも使われたと記されています。

また、江戸時代には盛岡藩の金山奉行が置かれ、金だけではなく銀や銅などの鉱石を大量に産出し、繁栄の基盤を築きました。

尾去沢鉱山は1978年に資源枯渇により閉山しましたが、その4年後には観光坑道として新たな利用が始まり、2007年には近代化産業遺産にも認定されています。

所在地秋田県鹿角市尾去沢獅子沢
開山708年
閉山1978年

観光情報

尾去沢鉱山の跡地に作られた観光坑道では、近代の鉱山の様子と合わせて、江戸時代の鉱山の様子も知ることができます。

コースの全長は1.7kmほどとなっており、所要時間は約45分。シュリンケージ採掘法と呼ばれる方法で採掘した近代の採掘跡や、江戸時代に掘られた幅60cm、高さ90cmあまりの小さな坑道など見どころの多いコースです。

また、「史跡 尾去沢鉱山」では、純金砂金採りや天然石掘り、金箔貼りなどさまざまな体験を楽しめます。

名称問い合わせ先施設URL
史跡 尾去沢鉱山0186-22-0123http://www.osarizawa.jp/

かつて黄金郷と呼ばれた「越中七加祢山」とは

富山県にも、かつて黄金郷と呼ばれた「越中七加祢山(えっちゅうななつかねやま)」という金山がありました。この金山は、江戸時代に日本最大級の金の産出量を誇り、加賀藩の経済に大きく影響を与えたと言われています。

越中七加祢山での金の採掘の最盛期は1596~1615年頃で、それぞれの鉱山で大規模な鉱山集落を形成し、1000軒以上の家が存在していました。

また、坑道の入り口ごとに、担当の山師や大工が2000人ほど作業にあたったとされています。

日本の金山がほとんど閉山している理由

山と柵
現在、日本では菱刈鉱山を除く、すべての金山が「資源の枯渇」のために閉山しています。

また、世界ではこれまでに総量およそ18万トンの金が採掘されてきましたが、現在地中に埋蔵されている金の量は、およそ5万トン程度です。

現在、金の採掘は年間3000トンほどのペースで進められていますが、このままのペースで採掘を続けると、10数年後には世界の金が枯渇してしまう可能性もあります。

金山以外の鉱脈として注目される「海底熱水鉱床」とは

現在、金の採掘源として金山以外に注目されているのが、地下深部に浸透し、熱せられた「海水」が海底に噴出したのち、冷却される過程で金属が沈殿してできた「海底熱水鉱床」です。

国立研究開発法人 海洋研究開発機構の研究グループでは、2021年からシート状に加工した吸着材を用いて、熱水中に含まれる金を回収する実証実験を行っており、2023年にそのシートを海底から引き上げたところ、1トンあたり最大で30グラム相当の金が吸着していました。

これは、金鉱石から採取される金の量と比べてもかなりの高水準であり、この回収方法は世界でも例がなく注目が集まっています。

日本の金山の歴史を感じに、実際に金山へ出かけよう

現在も稼働が続く菱刈鉱山や、かつて金が採掘されていた金山の歴史や観光情報についてご紹介しました。

日本国内でこれまでに金の採掘が行われていた金山の多くが、資源の枯渇により閉山していることを知ると、金の希少性をより感じるのではないでしょうか。

本記事でご紹介した金山の中には、採掘の様子を知ることのできる観光地も多くあります。金の採掘に興味のある方は、ぜひ足を運んでみてくださいね。

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