- 世界で金が豊富な国が分かる
- 日本国内の金埋蔵・産出量が分かる
- 資源としての金の動向が分かる
金の埋蔵量という言葉を聞いても、あまりにも規模が大きいイメージを抱き、身近なデータとしてイメージできない人もいるかもしれません。金の埋蔵量は、金取引を行う人にとっては産出量とあわせて金価格に影響する重要な数値です。
埋蔵量などの用語の意味や数値の出し方を正しく理解しないと、金を取り巻く現状を正しく把握できない恐れもあります。
この記事を読むと、金の埋蔵量や産出量などの基本的な知識の理解が進むでしょう。また、世界の金埋蔵・産出国や日本の金採掘事情、金の価格変動と埋蔵量とのつながりも見えてきます。金の高騰にあわせて、金取引を検討している人は参考にしてください。
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金の【埋蔵量】ランキング
埋蔵量とは、金などの金属類や天然ガス、石油、石炭などの資源が地中に埋まっている量のことです。実際に地中に埋まっている資源の総量ではなく、現在の技術や経済力で採掘できる範囲にある量を指します。
金の埋蔵量が多い地域では、今後多くの金を採掘できるでしょう。ここではまず、金の埋蔵量が多い国をランキング形式で紹介します。
順位 | 国名 | 埋蔵量(t) |
---|---|---|
1 | オーストラリア | 12,000 |
2 | ロシア | 11,100 |
3 | 南アフリカ | 5,000 |
4 | アメリカ | 3,000 |
4 | 中国 | 3,000 |
6 | インドネシア | 2,600 |
7 | ブラジル | 2,400 |
8 | ペルー | 2,300 |
8 | カナダ | 2,300 |
10 | ウズベキスタン | 1,800 |
(2024.1.31発表)
USGS(アメリカ地質調査所)が2024年1月31に発表したデータでは、世界の総埋蔵量は59,000tです。上位国のオーストラリアとロシアの埋蔵量は、それぞれ世界の20%近くを占めています。
オーストラリアは、ゴールドラッシュに代表されるように、古くから金の産地として知られる国です。大きな金鉱山があり、金の埋蔵場所が国内各地に分布しています。
ロシアは、国土が広いうえに金鉱床が多く、近年の政策で積極的に金鉱床を探査。2020年にも金鉱床を発見し、埋蔵量を増やしています。
金の【産出量】ランキング
産出量とは、生産・採取して得られるもしくは得られた製品や資源の量を表す言葉です。ここで言う金の産出量とは、採掘された金の量を指します。
順位 | 国名 | 産出量(t) |
---|---|---|
1 | 中国 | 370 |
2 | オーストラリア | 310 |
2 | ロシア | 310 |
4 | カナダ | 200 |
5 | アメリカ | 170 |
6 | カザフスタン | 130 |
7 | メキシコ | 120 |
8 | インドネシア | 110 |
9 | 南アフリカ | 100 |
9 | ウズベキスタン | 100 |
(2024.1.31発表)
2023年における世界の金の総産出量は約3,000tと言われています。1~3位にランクインしている中国、オーストラリア、ロシアは、それぞれ世界の約10%の金を産出している国です。
特にオーストラリアは、ゴールドラッシュ以降も大規模な金鉱床が発見されており、現在も安定した金の産出量を誇っています。
また、ロシアは新しい金鉱床の開拓だけでなく、採掘も積極的に進めていることから産出量が多い点が特徴です。
金の埋蔵量と産出量の関係性
金の埋蔵量と産出量を比較すると、埋蔵量・産出量のバランスが見合っている地域と差がある地域に分かれています。埋蔵量・産出量の差には、鉱石が埋まっている位置や採掘への力の入れ方が影響していると考えられるでしょう。
埋蔵量・産出量ともに高い国を見ると、オーストラリアは金鉱床が広く分布しており、ロシアは広い国土を有している点が特徴です。両国とも金採掘も盛んで、高い埋蔵量と産出量を両立させています。
一方、南アフリカは埋蔵量に比べて産出量が少ない国です。また、中国は埋蔵量・産出量ともに比較的上位ですが、埋蔵量と比べて産出量が多くなっています。
南アフリカは金が地下深くに埋蔵されている可能性が高いものの、掘りやすく採算を取りやすい場所を採掘し尽くし、金採掘は失速しました。
中国は、近年金産業への投資が盛んで産出量が多い国です。ただし、金鉱床の開拓は歴史が浅く、埋蔵量は少ないと見られています。
日本における金の埋蔵量
ここでは、日本の金の埋蔵量や採掘量をもとに、日本の金採掘の展望について見ていきましょう。
現在採掘されている金の量
現在、日本国内での金の採掘は、鹿児島県の菱刈鉱山でのみ行われています。菱刈鉱山における金の年間採掘量は約4tです。過去には約6t採掘していましたが、現在は採掘量を抑えています。
菱刈鉱山の金鉱石の特徴は、金の含有量が高い点です。鉱石1tに含まれる金の平均が3~5gであるなか、菱刈鉱山の金には約20gも含まれています。
かつては、新潟県の佐渡鉱山や北海道の鴻之舞鉱山などでも金が採掘されていたものの、いずれも資源の枯渇により閉山され、採掘は行われていません。
今後の展望
菱刈鉱山は、2022年末での金埋蔵量は約155tと推測されています。年間4~6tほど掘り出すと約20~40年採掘を続けられる計算です。
日本には金鉱山自体が菱刈鉱山のひとつしかなく、かつて採掘が盛んだったほかの鉱山はすでに採掘し尽くされています。つまり、菱刈鉱山の金埋蔵量・採掘量が、実質日本の鉱山の埋蔵量・発掘量です。
菱刈鉱山も地中深くを開拓することで埋蔵量が増える可能性はあるものの、現状では長期間にわたって高い採掘量を保つことはむずかしいでしょう。
金の埋蔵量はなぜわかる?
埋蔵量の計算は、地形的な要素や過去のデータなど複数の要素を組み合わせて行います。具体的には、地形的な要素としては、鉱山全体の重量や、鉱山に占める金を含む鉱石がある地層の割合が挙げられるでしょう。
ただし、金の埋蔵量は現実的に採掘できる範囲にある金のみについてカウントします。実際には採掘できない場所にある鉱石については計算に入れません。
また、鉱山ごとに鉱石に含まれる金の割合が異なるため、鉱山の重量などとともに計算に入れられます。鉱石に含まれる金の割合は、過去、実際に採掘した際のデータから導き出している数値です。
金は枯渇する?
金は枯渇する可能性が高い資源で、あと20年程度で枯渇すると言われています。世界の金の埋蔵量が約59,000tに対し、毎年3,000t採掘し続けると、このままいけば単純計算20年で採掘量が60,000tに達するためです。
ただし、埋蔵量は、経済的・技術的に採掘可能な量を指すため、新たな鉱山の発見や採掘技術の発展によって増える可能性があります。
特に地中深くには、まだ発見されていない鉱床があることも考えられるでしょう。国の政策などで鉱山の開拓を積極的に行った場合などは、金の埋蔵量を増加させることも可能です。
また、菱刈鉱山のように採掘量をコントロールすることで、枯渇するまでの時間を延ばすこともできます。
金の埋蔵量と金価格の関連性
金の買取価格は、ここ5~10年で高騰。2019年あたりまではほぼ横ばいの傾向が続いているものの、特に2020年あたりから急激な高騰を見せ始めています。
世界に目を向けると、近年新たに発見されている鉱床などもあるものの、一部の金産出国では依然として多くの金を採掘している状態です。
全体的に金の埋蔵量は年々目減りしているため、今後も金の買取価格は、埋蔵量の減少にともなって高騰していくことが予想されるでしょう。
金の埋蔵量は金価格にも影響する重要な数値
金の埋蔵量は、今後現実的に採掘できる金の量を表している数値です。ロシアやオーストラリアなどは埋蔵量が豊富。日本国内には金鉱山はひとつしかないものの、質のよい金が採掘できます。
ただし、埋蔵量は実際に地中に埋まっている資源量ではありません。埋蔵量が高い地域でも、経済的・技術的な事情で産出量が増減する場合があります。
また、金は採掘が進むと枯渇する可能性が高い資源です。枯渇に近づくほど希少性が増すため、買取価格が高騰する傾向があり、今後も高値が続くことが予想されます。金取引を行う場合は、買取価格だけでなく、国内外の埋蔵量にも注意しておきましょう。