徹底解説!新型コロナウイルスへの企業への融資・保証まとめ【緊急融資制度の早見表も】

  • 2020年4月8日
YOUTUBE記事】新型コロナウイルス対策融資

世界で猛威を振るうコロナウイルス。人への感染はもちろん社会全体に与えている損害も計り知れません。そんな中、売り上げが落ちた会社には保証あるのか?

今回はウリドキ株式会社代表・木暮と融資のプロであり、株式会社INQの若林社長とコロナで影響の出た企業への融資や保証、今後のリユース業界について対談しました。

経営者の方は必見です!

2020.3.31収録の動画を基に記事化しています。

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コロナ対策に対しての融資制度

    

                                   

木暮
ウリドキの木暮です。
コロナが世の中を騒がせていますが、融資といえば(株)INQの若林社長が非常に詳しいという事で、今回は、デットファイナンスの専門家でもいらっしゃる若林社長にお越し頂きました。

本日は宜しくお願いします。

若林
宜しくお願いします。
木暮
私も買取をずっと長くやってきましたけど、基本的にリユース業界って買い取る時にお金が必要です。このキャッシュフローがすごく悪くて、しかも今デジタルシフトが進む事によって入金までのサイクルがだんだん長くなっています。

だけどお客様には銀行振込とかもやってるので、元々先にお金が出るのにプラスしてデジタルシフトになれば入金までがさらに遅くなっちゃう。そこへ来てこのコロナですよ。
今コロナの事でファイナンスの部分で経営者の方々も困ってるかなと思いまして、もちろん私も他人事ではなくて、例えば色んな制度がないか等しょっちゅう社内でも話をしています。今は、コロナ不況といった所ですが、どんな融資制度が出てたりするんですか?

若林
ざっくり分けると融資と保証があります。
融資は日本政策金融公庫、商工中金、商工会議所の3つ。保証は信用保証協会がする一般の保証に加えて、セーフティーネット保証、危機関連保証が出てます。
この融資と保証って結局は全部融資なんですけど、基本的には売上が減少した場合に、そのパーセンテージによって使える制度が決まっていて、公庫のセーフティーネット貸付に関しては、売上の減少は明らかじゃないけど「今後資金繰りに支障をきたす恐れがある」場合でも検討頂ける制度なので、基本的には全方位救済するぞっていう形で今金融機関は動いている感じです。
木暮
ほとんどの企業が当てはまりますよね?
若林
そう言っていいと思います。
木暮
どう分けてるんですか?
若林
まず前年比の20%売上減だとセーフティーネット保証4号、15%以上の売上減だと危機関連保証、過去3ヶ月の売上高等が前年の同時期と比較して5%以上減っていて、コロナの影響を受けやすいと国が定めている業種に当てはまる場合はセーフティーネット保証5号っていう感じで7種類くらいあって、他に旅館業とか飲食業、喫茶店業用等幅広く準備されています。
木暮
今回のコロナの緊急融資の制度ってかなり多く出ているじゃないですか。複雑で正直どれか分からなくなる人が多いんじゃ・・・?
若林
そうですね。なのでYES・NOで答えて頂くと使える制度に辿り着く表を僕作りました。

INQ 若林社長 コロナ制度表
出典:StartupList

木暮
えっ!?マジすか!最高じゃないですか。そしてこれめちゃくちゃ分かりやすいですね。

なるほど。今回のコロナの影響によって売上の減少が実績としてあったかどうかでまず見るんですねもしなかった場合でも今後売上の支障を来す恐れがある場合はセーフティーネット貸付と。

若林
そうですね。だいたいスタートアップの方って前年思いっきり赤字とかもよくある話で、そうするとコロナの影響で売上が落ちたり赤字になったのかって正直分からないじゃないですか。

あとは前年赤字だったのに急激に伸びちゃって、コロナの影響を受けているのに前年より売上が多いみたいな事もスタートアップはよく起こり得るんです。そうすると売上減少を要件とする制度が全然当てはまらないんですよね。

木暮
なるほど!
若林
だけどこのセーフティーネット貸付に関しては「支障きたす恐れがある」っていう風に一応取り上げて頂けるので、これは土台になる可能性はありますね。

実質無利子の貸付がある⁉︎

木暮
そもそもこれはなんでこんなに分けられてるんですか?
若林
推測ですけど、売上減のパーセンテージが多いものほど手厚くする段階を踏んでるというか、例えばセーフティーネット保証4号だと、100%保証協会が負うので金融機関は出しやすいんです。5号だと80%なんで、ダメージが20%減に比べれば小さい方っていう風に段階を作ってる感じですね。

ここら辺は、売上が前年または前々年と比較して5%以上売上が減少している場合で使える制度に新型コロナウイルス感染症特別貸付があります。これに関しては金利が下がるのに加えて、残った金利は後で国が補給してくれて実質無利子になることもあるんです。
これに当てはまるとすごくメリットが大きいというか、救済度合も大きいですね。

木暮
なるほど。これは公庫なんですか?
若林
公庫と商工中金の両方あります。
木暮
ちょっと疑問なんですけど、セーフティーネットで保証協会が80%保証って、通常の融資と何が違うんですか?
若林
セーフティーネット保証は原則一般枠って言われる保証協会の枠と別枠なので、一般枠でいけるような状況だったとしてもセーフティーネット保証を使った方が、もし状況が回復して成長資金で融資を受けたい時に一般枠がまた使えるんです。
木暮
なるほど!そういう事なんですね。
だいたい保証協会ってMAXで8000万円とかじゃないですか。とはいえフルではなかなか出ないから、なんだかんだ言ってまぁ6000万くらいって言われているこれとは全然別枠なんですね。
限度額ってどのぐらいなんですか?
若林
2.8億までの融資が上限ですね。
木暮
でもこれって中小企業からそこそこ大企業くらいまで全部含めての話ですよね?
若林
そうですね。たぶん2.8億いく企業はないと思います。
木暮
だから企業の状況を見てっていう事なんでしょうね。
若林
公庫でもう既にセーフティーネットだったり特別貸付が出てるケースは、だいたい月商の2~3倍か、赤字だったら運転資金の2~3倍くらいが目安だっていうのは公庫の方も言ってました。
ただ、状況が悪かった時には再度検討になる余地もあるかと思います。

商工中金について

木暮
ちなみにこの商工中金ってあんまり馴染みがないかなと思うんですが、一般的なんですか?
若林
一般的ではないですね、ちょっとステージが上がってからというイメージです。
ただ最近はスタートアップにも結構積極的になってきています。でもやっぱり公庫の国民生活事業等と比べると、もう少し規模の大きな企業さんに対して融資をしている存在ですね。
木暮
マル系融資も商工中金でしたっけ?
若林
マル系融資は商工会議所が窓口で審査した上で公庫が資金を出します。
木暮
今回マル系融資も特別枠が出来ているんですか?
若林
そうなんです。1000万円の通常枠があるんですけど、それに加えて1000万円の別枠が出来て、さらにその1000万円の分の金利も下がってっていう制度になってます。
木暮
マル系融資って確か従業員の縛りがありましたよね。
若林
そうですね。サービス業とかだと5名とかなので人数に要件がありますね。
木暮
今回のコロナでもそれはあるんですか?
若林
あるはずですね。
木暮
じゃある程度の会社になってくると、今回はこのコロナで特別枠が出ても対象外になるっていう事ですね?
若林
そうですね。基本的には小規模事業者の方々を救済するために使われると思います。
そういうフェーズの幅が色々あるので、そのために色々な制度を分けているんだとは思います。
木暮
商工中金はどうなんですか?
若林
条件としては公庫の特別貸付と同じですが金額感がもっと大きいはずです。
イメージとしては公庫の中小企業事業とサイズは近いと思っていいと思います。ミニマム2000万円からみたいな感じですね。
木暮
なるほど。でも公庫と偏に言っても実は部署は2つありますよね?
若林
そうですね。国民生活事業っていうのと中小企業事業っていうのがあって、国民生活事業はそれこそ皆さんが創業融資とかでお世話になってたりするセクションです。
国民生活という名称なのはなんでかというと、教育ローンとかもやってたりするので、より小規模事業者とか国民に近いセクションって感じなんです。イメージとしてはだいたい4800万円前後の規模の融資になります。
一方中小企業事業というのはもうちょっと大きい企業さんの融資を担当する部署って感じです。
木暮
国民生活事業の方は結構融資までの意思決定が早いイメージがあるんですけど、中小企業事業の方はちょっと長くて、半年くらい掛かるイメージが僕にはあります。
若林
そうですね。商工中金さんとかでも2、3ヶ月とか掛かったりするんで、やっぱりそれなりにサイズ感が大きくなってくると審査までに時間が掛かりますよね。
木暮
そのイメージはあります。今回このコロナでそんな半年も待ってられない会社もたぶんありますよね?3ヶ月ですらもちょっと怪しいんじゃないかと思っていて、そこのスピード感ってどうなんですかね?
若林
もちろん平常時に比べれば早くはなってるとは思いますが、もし枠が残ってるんだったら取り急ぎ国民生活事業の方でまずキャッシュを数千万確保しておいてから商工中金行く方がいいかもしれないですね。
国民生活事業の中小企業事業は別枠なんで。
木暮
たぶん創業融資とかで国民生活事業の方は結構お付き合いがある会社さんも多いと思うんですけど、そこの担当者っていらっしゃるじゃないですか。でも中小企業事業になってくると担当が違うわけじゃないですか。
今このコロナのバタバタで、国民生活事業から中小企業事業への担当者の紹介とかでそもそも時間が掛かっちゃう事はありそうだなと思ったんですけど実際はどうですかね?
若林
そうだと思います。公庫の中小企業事業出身の方に聞いたんですけど、部署間であまり交流はないらしくて、もう最寄りの支店の窓口に行くなりして普通に取引を始めても、国民生活事業から紹介してもらってそんなに取扱いは変わらないと思います。

融資を受けるための準備

木暮
この時期はとにかくスピードが大事だと思っていて、融資を受けられてる方は慣れてるとは思うんですが、融資を受けるためにはどんな資料が必要なんですか?
この準備があれば結構手続きがどんどん早くなっていくみたいな。
若林
まず前提としては、ほとんどの制度が特定の時期と今との売上との減少を示さなきゃいけないので、月次の出納や売上を示すものの準備が必要です。
あと今は売上の減少が前年とか前々年で比較すると上がっている状態でも、12月と比較だったらどうなのかとか、直近3ヶ月の平均で見たらどうなのかとか、そういう特例を色々作ってくれているので、まずその試算表が必要です。その試算表をベースに売上の減少を比較する書類を作ってきてねっていうのが共通している所です。
面談や書類を持っていった時点で面談して審査するケースもあるので、とにかく書類を準備していく事が大事かなと思います。
木暮
試算表と決算書とかですか?
若林
決算書もいりますね。あと謄本と会社の実印、この4点は共通してます。あと初めて公庫の融資を受ける場合には事業の概要が分かるようなものも必要ですね。
木暮
なるほど。今って外出自粛ムードじゃないですか。公庫の窓口ってどうなってるんですかね?
若林
少なくとも3月末までの話だとめちゃくちゃ混んでます。通常だと書類出して1週間くらいですぐ面談になったりするんですけど、結構今は待ちが出てるみたいですね。
一部の情報だと郵送受付も可能とは書いてあるんですけど、郵送する方が遅くなるんじゃないかって説もあります。
先程申し上げたように、行ったらその場で面談・審査になったケースもあるので、番号札引いて待つみたいな状況になるかもしれませんが書類を揃えて直接行っちゃった方がトータルでは早いだろうと思われます。

公庫の枠も増えた⁉︎

木暮
ちなみに今回公庫の枠も増えたんですか?別枠って考え方ですか?
若林
そうですね。セーフティーネット貸付と言われるもの以外は別枠です。例えば新型コロナウイルス感染症特別貸付とかは別枠です。
木暮
別枠なんですか!じゃ公庫でフルで借りてる人でもまた別で借りられるって事ですか?
若林
だいたい国民生活事業が4800万くらいではあるんですけども、これとは別枠でこのコロナの特別貸付枠は6000万が上限になってますし、金利も実質無利子。
なので通常の制度で申し込もうかなと思ってた人がいたとして、出来るなら新型コロナウイルス感染症特別貸付に売上の比較のパーセンテージがハマるように持っていった方がいいですよね。
これは嘘を付くとかっていう意味ではなくて、キャッシュに余裕があるんだったら明らかに差が出たり、減少が試算表上表示される状態でこの制度にハマるような状態で申し込んだ方が、先程の保証協会の考え方と同じで枠は食わないのでいいんですよ。
木暮
なるほど。たぶん経営者の方だとあると思うんですけど、今これだけの融資制度の枠がコロナで出来て、この枠が早い者勝ちで埋まっちゃって自分の所が融資されなくなったらどうしようみたいな不安も一方であると思うのですが・・・。
若林
それは公庫のホームページのトップに「すぐ終わりません。十分予算確保していますので、安心してください」みたいな記載があります。
木暮
いや、そうは言うもののみたいな感じじゃないですか?
若林
東日本大震災の時にちょっと調べてみたんですけど、今回のコロナで1.6兆円支援策を用意してますっていう風に政府が出したんですけど、東日本大震災の時って融資の保証で9兆円くらい出してるんですね。
これは一発ではなくて補正予算を何回か組み直して支援した累計が9兆円ぐらいになってたんです。
木暮
じゃ最初1兆くらいで、毎月また予算が増えていったみたいな感じですか?
若林
毎月なのか半年なのか、複数年にわたって出し続けた結果が9兆円くらいなんです。そこから類推するといきなり融資を止めるっていう事はおそらくないのかなと。
木暮
上限にいきなりいっちゃう事もないですか?
若林
実際に、本当に困ってる企業が明らかに存在している状況で、それは起こらないんじゃないかなと思うんですけどね。
ここ半年とか1年とかは申込み殺到みたいな状態が緩和されるかもしれないですけど、制度が予告なくなくなるっていうのはここ数ヶ月ではないかと思います。
木暮
じゃ今まさにお金がっていう状況じゃない限り、数ヶ月余裕があるんだったらちゃんとしっかり計画を立てて落ち着いて対応する事が大事なんですね!
若林
そうですね。例えば飲食業界の方だと、歓送迎会がある3月・4月が売上増の時期だったりするのに、それが今年は難しいじゃないですか。
去年と比べると例えば5%減少だとした時に、3月・4月で見ると20%減とかになっている場合は、20%の数字が確定した時点で申し込む方が制度上は有利です。もちろん手元のキャッシュとの兼ね合いはありますけどね。
木暮
なるほど。
若林
あと公庫だけとかセーフティーネット保証だけじゃなくて、こういう災害時は両方使うような借り入れ方もやむを得ないので、まず公庫を使っておいて、もうちょっと売上減が明らかになったタイミングでセーフティーネット保証を使おうという感じの使い分けも出来ます。
なのでまずは自分達がこういう状況になったらどの制度が使えるのかを把握しておく事が非常に大事ですね。
木暮
なるほど。ただ業種によって使える枠が違うと思うんですけど、自分達の当てはまる業種の枠がいっぱいになっちゃったみたいな事って助成金とかだとよく出る話ですよね・・・?
若林
少なくとも旅館業とか飲食とか喫茶店業って言われる生活衛生系の制度に関してはいきなりって事はないと思いますけどね。
特にこれから東京オリンピック延期に伴う打撃が第二波として来るので、そこまでは少なくとも生活衛生系がなくなるとは思えないですね。
木暮
あとはやっぱり売上対比が明らかに下がっているってわかった所は比較的優遇されやすいんですかね?
若林
そうですね。そういう明らかに出ている所に優先的に救済しようっていう形になっていますね。

スタートアップのファイナンスについて

木暮
とにかく今は雇用を守るって事がキーポイントなんですね!
今回はせっかく若林さんに来て頂いたので、質問をいくつかさせてもらいたいと思います。
不況時のスタートアップのファイナンスについて、例えばリーマンショックとか震災の時の、不況時でもファイナンスするためにはどうすればいいんですか?
ファイナンスって偏に言ってもいわゆるエクイティとデットではあると思うんですけど。
若林
デットに限ると、一番状況苦しいのって赤字の状態です。でも赤字でもデットをやってる会社って存在しています。
そういう会社さんが何をポイントにしているかというと、まず売上はちゃんと伸びてると言えるか、赤字幅が減っているのか、PLは十分とは言えないけど、BSはすごいちゃんとしているのか。例えば会社と役員のお金の貸し借りがないかとか、異常に売掛金が多いとか、不明な科目があるとか、BSってすごく金融機関は見ているのでそこが綺麗になっているとか、あとは最低限税金を滞納していないとかっていう所をきちんとやりつつ、金融機関と定期的に良好なコミュニケーションが取れている所。
そういう所は赤字でもファイナンス出来ていて、おそらく不況時のファイナンスっていう所にも言えるのかなと思います。
木暮
売上が伸びているっていうのは、不況だから今下がっているって事ですか?
若林
そうですね。コストカット等で赤字の幅が広がらないように出来ているかっていう所ですね。
木暮
なるほど!あと気になったのが、会社と役員の貸し借りの話でいうとよくあるのが、会社でお金のやりくりが出来ないから創業者が自分の預金通帳からお金を降ろして会社に貸付をして何とか凌いでるっていうパターンもありますよね?
若林
このパターンはそんなに悪くないですね。
木暮
このパターンは会社の資本金と同等扱いって事ですもんね!
若林
ただ会社から役員に貸しちゃってるような逆パターンはヤバいです。例えばPLを良くするために役員報酬を減らして生活出来ないレベルにして貸付をしてるとかだと最悪ですね。役員報酬出して赤字になってでも貸しがない方がまだ全然綺麗だと言えます。
木暮
ちなみに返済に対する猶予ってあるんですか?
若林
いわゆるリスケ、条件変更に関しては柔軟に対応するようにという事で金融機関にも通達されてますし、リスケをしているというだけでお断りをしないようにっていうのもあります。
ただ据え置き期間が長かったり無利子でも、借りたら結局返さなきゃいけないのは絶対なので、逆に言うとリスケをした方がキャッシュフローにインパクトがある可能性があります。
例えば月50万とか返済してる会社さんってたくさんあると思うんですけど、そういう状態だったら不況時に何千万も借りるよりは返済額を月数万とかに減らしてもらった方が資金繰りにはいいかもしれないですね。
木暮
リスケを申請しつつ融資もっていう会社も多そうですよね?
若林
実際の現場はわからないですけど、リスケをしている事のみで融資を謝絶しないって事は一旦リスケをした方がいいのかもしれないですね。それでもっていう場合は融資申し込みをするという流れで。
平常時なら、リスケをしたら正常化してしばらく経ってから初めて金融取引も正常化するみたいに、それなりの時間を要するんですけど、たぶん今はそんな事言ってられない状況なので、リスケをしていても融資が出る可能性もあるのかなと思いますね。
木暮
ほとんどの融資がこれに当てはまるわけだから、どんな状況でもいいからとにかく今出してもらえると思って行っちゃった方がいいのかっていう話は結構経営者の中でもあるじゃないですか。
全ての企業が融資を受けられそうに見えますけど、逆に落ちたりする事もあるんですか?
若林
公庫の担当の方曰くですけど、結構落としてるケースもあるみたいです。申し込みに対して融資件数が半分って日経にはありましたし。
木暮
じゃ半分は落としてるって事ですか?
若林
いや、たぶん今はコロナの受付が始まってからそんなに経ってないし審査期間のタイムラグもあるので、半分っていうのはあまりアテにならないと思ってるんです。
審査をしてまだ融資を出すかどうか決まっていない所も含めて、申込みに対して半分という現在も進行中の数字なので。
木暮
それだと結構高いですね!
若林
とはいえ全部が出ているわけではないので、何でも出るっていう事ではもちろんないのかなと思いますね。
木暮
どういう所が落ちているんですか?
若林
たぶんセーフティーネット貸付だと思うんです。
売り上げの減少が何%っていうのは見ればわかるし、区市町村に認定を貰いに行く段階でその後融資が降りるかどうかはある程度決まってるんですけど、セーフティーネット貸付に関しては「支障がある恐れがある」みたいなのが一つと、セーフティネット貸付だけ別枠じゃないんです。拡がりつつはありますが先程の通常枠の4800万円の中での評価になります。
基本的には貸したらこの危機を乗り越えて戻ってきてほしいので、これは貸しても資金効果が見られないと思ったらやっぱり貸せないですよね。なのでそもそもコロナを抜きにしても厳しいんじゃないかっていう所は断ってるかもしれないです。
木暮
という事は、コロナでそもそも売上減にはなっていないよねっていう判断か、コロナが落ち着いても返済はちょっと厳しそうじゃないかっていう2つのパターンがあるって事ですか?
若林
そう推測されますね。
否決になってしまうとその履歴が残って、その理由を次の時に全部クリアしないといけないし、一定の間を空けないと受付すらしてもらえないっていうのが平常時なんですけど、今回はたぶんコロナの関係で金融機関側としても次の融資の際にそんなに深刻に取られないんじゃないかとは思います。
木暮
じゃやっぱりどんな状況でもいいから窓口相談しに行った方がいいですよね?
若林
今はやった方がいいでしょうね。
木暮
一旦そこでダメだと言われたとしても、1ヶ月とか経ってもう1回持って行くとか?
若林
ただ状況は変わっているべきだとは思うので、ちゃんと売上減が試算表で明らかだという状態は必要ですが、本当に厳しい場合は一度行ってみてもいいかもしれないですね。

今は起業すべき?ずらすべき?

木暮
他にも質問があって、このコロナの時期に元々起業しようとしていた場合はタイミングをずらすべきですか?
若林
これは一概には言いにくいですが、融資に関してだけで言うと、今はとにかくコロナで被害を受けている企業さんを救うっていう事に金融機関はフォーカスしているので、これから創業するってなると、「この時期に?」って内心なる可能性はあります。

もちろん最近でも創業融資が通ってるケースもあるんですけど、最適なタイミングかと言われたらもちろんそうではないですよね。だけどこのコロナの影響で生活様式やリモートワーク等の仕事の仕方が変わっていく時期かもしれないですよね。
より皆さんが衛生に気を遣い始めたりとかっていう所で新しいビジネスチャンスになるって捉え方もあるかもしれないです。だけど今は金融機関も余裕を持って評価出来る状態ではないので、不向きな時期なのはもちろんありますね。

エクイティとデットはどちらがいい?

木暮
なるほど。続いての質問なんですが、今の時期エクイティとデットはどっちの方がいいんですか?
若林
おそらく今はデット一択でしょうね。コロナの影響で、平常だと通してない所も通ってるケースもありますので。
木暮
うちの投資家、キャピタリストの主観ではあるんですけど、VCは平常時とそこまで大きな差はないんだけど、CVCはかなり保守的になったっていう話ですね。
あとエンジェル投資家も保守的になったって聞きました。
若林
事業会社さんとかもそうですよね。
木暮
なので結構私の周りでもソフトコミット頂いていた所が急にダメになってしまったとか。
2つ明らかだなと思ってるのは、投資の意思決定がめちゃくちゃ延びているのは総じて言われてるような気がしていて、
若林
この状況で様子を見てるんですかね?
木暮
決定しづらい状況になっているんでしょうね。もう一つあるのが、バリエーションが低く見られてしまっているって事かな。
若林
それはコロナ前から割と、CVCさんとかが上げてきたバリエーションがやっと落ち着いてきたみたいな事を呟いてるキャピタリストさんとかも結構いて、傾向としてはそうだったかもしれないですけどコロナの件を通してより一層拍車が掛かった可能性はありますよね。
木暮
でもシンプルに、結局バリエーションって事業計画に連動するわけですよね?そこの得られるであろう計画が、どこの会社も下方修正するって話になった場合はバリエーションが下がるのも仕方ないと思いますけどね。
逆に言うと、例えばZOOMとかはバリエーションが上がっていく可能性はもちろんあるんでしょうけど、どこの会社もこのコロナの影響で、エクイティファイナンスに関して期待してた通りの結果に今なってないってなると、僕はデット一択で攻めていくべきかなと思いますね。
若林
そうですね。ただデットとスタートアップモデルって本来はあまり合わない層なので、VCから出資を受けているスタートアップであっても、この時期には一旦デット的な思考も持っておく必要があると個人的には思います。

コロナの影響がある中で、何から始めればいいのか

木暮
このリユース業界もかなりこのコロナの影響を受けている状況なんですが、まとめるとまず何からしていったらいいんですか?
若林
今コロナで救済モードになっていて、平常時より融資が受けやすくなっている事は間違いないです。なので少しでも影響があったら基本的に融資をやった方がいいですし、窓口も混んでいるから早めの方がいいです。
ただ今月よりも来月の方が打撃が大きい場合は、売上減少の幅が大きい所を待ってからトライした方が、より優遇が大きい制度を使える可能性があります。
木暮
なるほど!例えばそれは4号と5号が同じ枠なのでって事ですよね?
若林
そうですね。5号より4号の方が保証の枠も大きいし、例えば今は売上減はない状態でセーフティーネット貸付をやるよりも、売上減がはっきりしてから特別貸付を申し込んだ方が利子補給はあるし別枠になるしみたいな事が言えます。
木暮
確かに!
若林
そうするとコロナが抜けた後の資金繰りに影響してきたり通常枠が使えたりって事になるので、今焦って売上減が明らかじゃない時からセーフティーネット貸付を申込むよりも、待ってから特別貸付を申込む方がいいかと思います。
木暮
今3月末で、今月申し込んだ人って多いと思うんですけど、それって12月~2月くらいの試算表をベースに昨対で見るけど、なんだかんだ言ってコロナの影響出ている所って3月の方が大きく出ている可能性が結構あるっていった時に、5号だったのが4号として認定されたりするんで、4月になって3月の試算表を持って申請した方が絶対いいって事ですよね?
若林
そうですね。業種によって遅れてくる可能性もあるし、すぐに制度はなくならないので一番売上減の幅が大きい所を待ってからやる方法もあります。
そこは冷静に見極めた方がコロナが抜けた後の資金繰りに影響があります。
木暮
とっても勉強になりました。ありがとうございました!

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