ジュエリーやパワーストーンが好きな人なら、ラフダイヤモンドとも呼ばれるダイヤモンドの原石について一度は興味を持ったことがあるのではないでしょうか。
ダイヤモンドの原石とはどのような状態のもので、どのような見た目をしているのか、知っている人は意外と少ないかもしれません。
また原石にどれだけの価値があるのか、もし手元にダイヤモンドの原石がある場合、その価値は一体どれくらいあるのか、知りたいと思いませんか。
本記事では、ダイヤモンド原石の種類や品質、価値について解説しています。高値で取引される原石のタイプについても触れていますので、参考にしてください。
「原石」と「ルース(裸石)」は違う
ダイヤモンドや色石の「原石」と「ルース」、どちらも聞いたことがあるかもしれませんね。この2つは言い方が違うだけで同じものと思われる場合がありますが、実は違うものです。
原石とルースをおおまかに分別すると、以下のようになります。
- 原石:研磨される前の石
- ルース:研磨された後の裸石で、輝きを持つ
商品として売られている宝石の多くは、すでに磨かれた後の研磨石、すなわちルースになります。ルースは裸石とも言い、この裸石がジュエリーなどに加工されます。
ダイヤモンドの原石ってどんなもの?
ダイヤモンドのルースがすでに研磨されて輝いている裸石であるのは分かりましたが、私たちが普段目にすることの少ない原石は、どのような状態なのでしょうか。まずは画像からチェックしてみましょう。
うーん、綺麗なような、やっぱりまだ価値がある感じに見えないような…ぱっと見はくすんだクオーツのかけらっぽく見えるような…
素人目にはなかなか判断できないものですが、プロはこの時点でこの原石の価値を理解します。そんな原石の特徴や分類について、細かくご紹介していきましょう。
色は無色から黄色っぽいのまで様々
画像の通り、ダイヤモンドの原石は基本的に無色透明です。無色透明なダイヤモンドの原石は希少価値が高く、評価も高いものになります。
そして原石のなかには、黄色っぽいものから青やピンク、緑色やグレー・黒などの色味を帯びたダイヤモンドも存在します。
先ほど無色透明の原石は評価が高いとお伝えしましたが、例外もあります。色味を帯びているダイヤモンド原石のなかでも、透明度の高いものは「ファンシーカラー」と言い、無色透明の原石よりも高額取引されるケースもあるのです。
3つの種類に分かれている
ダイヤモンドの原石は品質によって分類され、なかには宝石用として加工されず、工業用など別の用途に使われるものもあります。
宝石として加工されるダイヤモンドの原石は、以下3つの種類になります。
- ソーヤブル
- メイカブル
- ニアジェム
ソーヤブル
「ソーヤブル」は、正八面体の形を持つ、最高品質のダイヤモンド原石です。
ソーヤブルのソー(Saw)はノコギリのことで、切断可能なダイヤモンドを意味する、ダイヤモンド業界の造語になります。
ハイブランドや専門店で取扱われるダイヤモンドの原石は、ほぼ間違いなくソーヤブルと見てよいでしょう。
採掘されるダイヤモンド原石のうち、約40%が宝飾用に使用されます。このなかでもソーヤブルは全体の5%、さらに品質の高いトップ原石のソーヤブルは0,96%と、全体の1割にも満たない最高品質のものです。
メイカブル
「メイカブル」は、中級品のダイヤモンドです。ハイファッションブランドのジュエリーに使用されているもの、また一般的なダイヤモンドはこのカテゴリーに入ることが多いでしょう。
英語の作る(Make)が語源となっているメイカブル。「作ることができる」という意味があるように、磨けば想像以上の評価を得ることも可能な「化け石」も含まれています。
形が不規則で透明度も低めなメイカブルですが、現代の進化した技術で研磨をおこなえば、ソーヤブルに近い品質になるものが存在することも知られています。
ニアジェム
「ニアジェム」は、宝飾用ダイヤモンドのなかではもっとも下の品質に分類される原石です。ニアジェムの語源は、ニア(Near)が近い、ジェム(gem)が宝石を意味しており、宝石に近いという意味になります。
つまり、本来は工業用に使用される品質でありながら宝石に近いとされるダイヤモンド原石で、低価格のジュエリーや、量販向けの製品に多く見られるでしょう。
透明度が低く、カーボンの黒点が見られたり、亀裂が多く入っているものもありますが、レザーで黒点を取り除いたり、亀裂を目立たなくする処理が施されている場合もあります。
原石の形にも違いがある
続いて、ダイヤモンド原石の形について見ていきます。ダイヤモンドの原石は、大きく分けて、6面体のキュービック、8面体のオクタドロン、12面体のドデカヘドロンの3つのタイプの結晶があります。
そして一番多い形は8面体で、その8面体のなかでも主に以下5つの種類に分類されます。
- ストーン
- シェープ
- クリーベッジ
- マクレ
- クラット
それぞれ5つの名称は同時に品質を表しており、もっとも品質が高く美しいとされる正八面体の原石が「ストーン」です。
ストーン
ピラミッドを上下につなげたような正八面体の形を持つストーンは、ダイヤモンド原石のなかでもっとも均等で立体的な形をしています。
ストーンはこの立体的な形を生かし、ラウンド・ブリリアント・カットへと加工されます。
シェープ
ストーンに次ぐ品質の原石は「シェープ」としてカテゴライズされます。
シェープはストーンに負けず劣らずの品質を誇る原石ですが、形状の規則性に欠け、またよく見ると、結晶にわずかなばらつきがあるのがわかります。
クリーベッジ
シェープよりさらに形に均等性がなく、むしろいびつな形状を持ち、結晶も不規則なものは「クリーベッジ」に分類されます。
クリーベッジのダイヤモンドは、そのいびつな形に見合ったカットが施されます。
マクレ
三角形に近い形状を持った薄いダイヤモンドの原石は「マクレ」と言い、双晶(そうしょう)のことを指します。双晶とは、同種類の結晶が規則的に接合した形で、鏡面対象になっている結晶のことです。
マクレはその形状的な特徴から、主にハートシェイプやトライアングルシェイプのダイヤモンドへと加工されて使用されています。
クラット
薄くて平たい形のダイヤモンド原石で、結晶が不規則でばらつきのあるものは「クラット」に分類されます。
ジュエリー用に加工されるクラットは、テーパードやバケットなど、メインの石の周りを飾るサイドストーンタイプのダイヤモンドとして使用されます。
ダイヤモンドの原石の価値
ダイヤモンドの原石は品質や形状別に分類されているのをここまで見てきましたが、ダイヤモンドの原石には、一体どのくらいの価値が付いているのでしょうか。
ここではダイヤモンドの原石を購入する場合の「販売価格」と、ダイヤモンドの原石を売る場合の「買取価格」、それぞれの価格を見ていきましょう。
販売価格
ダイヤモンド原石の種類・産地別の販売価格は、以下の通りです。
- 最高品質ダイヤモンド(Diamond) (Los.) South Africa産 3.4X2.7X1.3mm/0.05ctg:2,750円
- 最高品質ダイヤモンド原石(Diamond) アンゴラ産 2.3X1.7X1.3mm/0.03ct:10,340円
- 最高品質ブラックダイヤモンド原石(Diamond) (Los.) South Africa産 3.9X3.0X2.5mm/0.1g:5,500円
- 最高品質イエローダイヤモンド(Diamond) (Los.) South Africa産 5.3X4.9X2.6mm/0.1g:9,350円
買取価格
ダイヤモンド原石の買取をしているのは、ごく一部の業者に限られています。ダイヤモンド原石買取価格の相場は公表されていないため、店舗へ直接問い合わせることをおすすめします。
買取店選びの目安としては、ダイヤモンド専門またはダイヤモンドの買取に特化しているところ、もしくはメレダイヤの査定もしている業者に依頼するのがよいでしょう。
原石のなかでも最高品質とされるソーヤブルやストーンで、ある程度の大きさがあるものなら、高価買取が期待できるかもしれません。
メイカブルもそれなりの価格で買い取ってもらえる可能性はありますが、ニアジェムの査定には熟練した経験が必要とされ、買取店によって査定価格が大きく変わる場合があります。
原石を磨くにはどうすればいい?
さて、手元に原石がある場合、せっかくだから磨いてみたいなーなんて思いますよね。当然素人では太刀打ちできるものではないので、工房への依頼が必要です。
ジュエリーの製造をおこなっている一部の工房では、ダイヤモンド原石の研磨が依頼できるところもあります。
またベテランのダイヤモンド研磨職人による指導の下、自分でダイヤモンド原石研磨体験ができるジュエリーブランドもあるので注目です。
ダイヤモンドを自分の好みのカットにしてもらえたり、オリジナルのダイヤモンドネックレスを制作できるのは、自ら研磨に携わる大きなメリットといえるでしょう。
原石でもダイヤモンドには価値がある
ダイヤモンドの原石に興味がある方に向け、宝飾品用に選別されるダイヤモンド原石の種類や形状による品質の違いについて解説しました。
またダイヤモンドの原石にどのくらいの価値があり、販売価格はいくらになるのか、高価買取が期待できる原石はどれかなどについても見てきましたが、いかがでしたか。
ダイヤモンドは、磨く前の原石にも価値があり、原石の品質や大きさによっては、高値で取引される場合もあります。
もし手元にダイヤモンドの原石があるなら、試しに査定を依頼し、その価値を確かめてみてもよいかもしれませんね。