わずか20年で、私たちの生活に欠かせない家電製品は大きく変化しています。その一つがテレビ。大きな箱型をしたブラウン管から、パネル状のプラズマや液晶というスタイルに代わり、アナログ放送からデジタル放送へと切り替わりました。その分、昔のテレビを倉庫に残したままだったり、生活環境が変わって使っていないテレビが放置しっぱなしという家庭もあります。そこで今回は、不要になったテレビの処分方法について解説します。
テレビを処分したい時にすること
日本には、家電メーカーと消費者の両方が費用を負担して、「再利用できる資源はリサイクルすること」というルールを定めた「家電リサイクル法」というのがあります。対象になる家電は、テレビ・洗濯機・エアコン・冷蔵庫の4品目。あと、パソコンは「PCリサイクル法」に該当します。
これらの家電4品目とパソコンについては、販売店やメーカーでの回収が義務付けられていますから、自治体の不燃物や粗大ゴミで捨てることはできません。これは、古いブラウン管テレビだろうと、一人で持ち運びができる小さなサイズのテレビでも同じです。
テレビの買い替えの場合は、新しいテレビを購入する量販店で古いテレビの引取を申込めば、新しいテレビの設置と同時に回収してもらえます。その際、リサイクル費用がかかりますが、テレビの処分にかかる費用なので値引き対象にはなりません。
他にも、廃棄のみのケースや、中古買取を利用する方法について、更に詳しく説明していきます。
廃棄処分する方法
自分で持ち込む
余分なコストをかけずに、最も安く処分するなら、自分で処分するのが一番です。
最初に、郵便局窓口で「リサイクル券」を購入します。廃棄するテレビにリサイクル券を貼付して、自治体の指定引取場所に持ち込めば完了です。
住まいの指定引取場所は、「一般財団法人 家電製品協会 家電リサイクル券センター」のサイトから検索できます。
テレビのリサイクル料金
主要メーカーのテレビリサイクル費用
※ブラウン管テレビ・液晶テレビ・プラズマ式テレビ
- 15型以下の小型テレビ 1,700円
- 16型以上の大型テレビ 2,700円
回収業者に依頼する
使えないブラウン管テレビや故障したテレビが複数台ある場合や、急いで処分したい場合などでは、不要品回収業者に依頼する方法が最もスピーディです。申込をすると自宅まで回収に来てくれるので、一人では運べない大きなテレビの処分にも便利です。
回収費用の他に搬送コストや搬出手数料がかかりますが、家電量販店に処分を依頼するのと価格的な大差はありません。引越し前で色んな家電をまとめて処分したい時には、回収費用の見積もりを取っておくと安心です。
悪徳業者を見極める
自宅のポストなどで、不要品回収業者のチラシが入っていた経験はありませんか? また、インターネットを検索してみても、会社の所在地や責任者の名前などが記載されていなかったり、『無料回収』という文字だけがやたら目立つ広告を打ち出している業者もあります。
こういった業者の中には、依頼していない家電まで強引に引き取ろうとしたり、「無料回収」と引き換えに、運び出し費用や人数分の出張人件費など、他の名目で多額な請求をしてくるケースがあります。
既に荷物を運び出した後に請求されるので、断ることもできず泣き寝入りするケースが多いですから、事前に信頼できる業者かをしっかり見極めるようにしましょう。ネット上では、業者の口コミや評価など実際に利用したユーザーの声を調べることもできますから、参考にすると良いでしょう。
無許可業者に注意
リサイクル家電の回収業者で「悪徳業者」の存在を述べましたが、消費者を信用させるために免許を提示して安心させるという手口があります。
家庭から出る不要品やリサイクル家電の処理には、自治体が発行する「一般廃棄物処理業の許可証」が必要です。
悪徳業者がよく使う手口で、消費者が混乱しやすい許可として「産業廃棄物処理業の許可」「古物商の許可」があります。産業廃棄物処理業許可とは、工場や企業から出る廃棄物を処理するための許可で、古物商の許可は中古品売買を行うための許可です。
産業廃棄物処理業の許可・古物商の許可では、家庭から出る廃棄物回収は許可されていません。
お金に変える方法
買取店を利用する
まだまだ使用に問題のないテレビを処分するなら、廃棄よりも「買取」を利用するほうがお得です。
「古物商の許可」を持つリサイクルショップ・リユースショップなど、信頼できる業者に“中古品”として買取してもらえば、いくらかのお金に変わります。
重くて運べないテレビや車に乗せられない大型家電などは、宅配買取や出張買取を利用することも可能です。また、リサイクルショップの中には「引越しサービス」と「買取サービス」を同時に提供するところもあります。引越し直前まで家電を使用したい時や、急な引越しで荷造りと処分品を分ける余裕がないという人にも便利です。
オークションに出品する
テレビは、オークションでも人気の高い品目で、引越しや転勤、一人暮らしを始める進学・就職シーズンになると、良い家電を少しでも安く購入したいと検索する人が急増します。
また、年末のボーナスシーズンは大型家電を買い換える人も多いですから、この年末から3~4月は、オークションで高額落札も狙えるベストシーズンです。
アナログテレビの処分はどうしたらいい?
2011年に終了し、ケーブルテレビのデジアナ変換を利用したアナログ放送も、2015年3月を持って完全にデジタルへと移行しました。その為、使えなくなったアナログテレビが、今も家の中に残っているという人がいるかもしれません。もしかすると、「そのうち高く売れるようになる」と安易に考えているかもしれませんね。
しかし、残念ながら、もはやブラウン管テレビはリサイクルショップでもオークションでも販売することはできません。ただし、海外の発展途上国ではまだ利用されている国がありますから、100%不可能という訳ではありません。しかし、海外輸出にかかるコンテナ輸送コストや関税などを考えれば、個人的に売買したり買取業者を探すのはハードルが高すぎるでしょう。
2005年前後のAQUOSなど液晶型アナログテレビは、地デジチューナーを接続して利用したり、テレビゲームやDVD専用で利用する人もいるので、わずかに望みがありそうです。
ただし、値段としては期待できるものではありません。リサイクル費用を支払う位なら、数百円でもプラスになれば…くらいの軽い気持ちで臨むのが良いでしょう。
まとめ
今回は、不要な「テレビ」の処分方法にターゲットを絞りましたが、処分方法はリサイクル家電4品目に共通しています。また、廃棄ルールや無許可の回収業者については、不法投棄をさせないための大切な社会的ルールですから、安易な気持ちで依頼してしまうと、自分の知らない所で犯罪に加担していることになってしまうかも。
社会に役立つリサイクル・賢い買取を成功させるには、基本的なルール・マナーはしっかり守ることが大切です。