「トリクル」の強みは“ものを集めること” 26歳の若き社長が考える買取サービスの未来とは?

  • 2024年7月3日
トリクルの代表 徳泉

「いらないものがたくさんあるけど、1点ずつ出品するのがめんどくさい…」と感じたことはありませんか。

売りたいアイテムを渡すだけ!家に取りに来る”をキャッチフレーズに、出品代行サービスを行う「トリクル」は、まさにそんな方にぴったりなサービスです。

今回は、トリクルを運営する株式会社Spiceの代表「徳泉 成夏」さんに、サービスの詳細やトリクルを利用するユーザーの特徴などを弊社、総合買取サービス「ウリドキ買取」を運営するウリドキ株式会社の代表 木暮がお聞きしました!

徳泉さんが今アツいと思う転売ジャンルなど、ここでしか聞けないディープな話題も登場しますよ!

木暮
今日は凄いですよ! リユース業界に突如あらわれた新星、「トリクル」の徳泉君を連れてきました!
徳泉
よろしくお願いします!
あなたの売りたいものの
\一番高い買取価格がわかる/

トリクルってどんなサービス?

木暮
「トリクル」っていうサービス、めちゃめちゃ有名だと思いますけど。自分の口から説明してもらったほうがたぶん話が早いかな。
徳泉
トリクルはフリマ、オークション、ECとかに出品する代行サービスです。実際に家まで行って、お客さんが売りたいものを受け取って、僕らが代わりに出品する。
木暮
家にある不要なものをダンボールとかにざっくり入れておけば、あとはいい感じにやってくれるってサービスだよね?
徳泉
そうです!
木暮
何が悔しかったかって、「ウリドキ」を5年前につくったときに、いろんな人に言われたんですよ。「ウリドキに全部渡せばいい感じに売ってくれる、ってできないの?」って。

それをやりたかったんだけど。ただ、いわゆる経験者のジレンマってやつで。自分はリユースを10年やった経験から、これはもっと最適化できると思ってB側のソリューションに携わることにした。それで立ち上げたのがウリドキだったから。

「全部渡せばいい感じに売ってくれる」ってのができれば、それはCにとってはいいんだけど、オペレーションコストとかすごい大変だって分かってたから、だから手を出せなかった。

そこに徳泉くんは挑戦したんだよね?

徳泉
キーポイントは「文脈」ですよね。商売としてうまくいくだろうとは思いました。

メルカリとかが出てきて、「フリマに出品すれば高く売れるんだ」というのが皆さんわかってきたんだけど、「でもちょっとめんどくさいよね」というユーザー層がいる。

その人たちが全員、品物を買取業者に持っていくかというと、そうじゃないなと。そういう文脈のなかでユーザーを獲得できるんじゃないか、というのがはじまりでしたね。

オペレーションを作ったりが大変なので、やっている業者はあんまり多くないんです。もちろん、今でも私たちはオペレーションを改善し続けています。

木暮
例えば、お客さんの家に受け取りにいくと、ゴミとかいろんなものも出てくる可能性がある。ウリドキの場合は買取を前提に考えていたんだけど、そうじゃなくて出品代行という切り口でやっていくのがトリクル。

最初は都内限定で、行ける場所を限定してやっていくというスタートを切った。「あ、実現できるんだ、すげえな」って思いました。

なんでもかんでも最初は引き取ってたよね。今はどうなの?

徳泉
基本的には全部引き取ってはいるんですけど、モノによって販売場所を変えてますね。
木暮
徳泉くんって今何歳だっけ?
徳泉
いま26歳です。
木暮
トリクルのサービス始めたのは?
徳泉
1年半前ぐらい。25歳になったぐらいのときですね。

リユース業界を選んだ理由

木暮
若い子が起業しようって思ったときに、リユース業界を選ぶってなかなか少ないと思ってるんだよね。だから余計に珍しい。

しかも結構汗かく物流のところをトライしようとしているわけじゃん。なんでリユースをやろうと思ったの?

徳泉
メルカリをはじめとしたCtoCのマーケットプレイスが伸びているので、リユースの一番の勝ち筋はマーケットプレイスなのかなと思いました。

でも、マーケットプレイスの発明、出品の発明っていうのは難しいなと思っていて。だからまずは出品の代行という形で、手間がかからない状態をつくっていく。そしてそこに自分たちのマーケットプレイスを立ち上げる可能性って眠ってるんじゃないのかなと。

プロダクトに対する想い

徳泉

現場とユーザーをちゃんと見て、「そもそも出品のUXをどうしたら最大化できるのか」というインサイトを深めたかったというのが一番大きいですね。

僕らがその学びを深めていって、ユーザーが言い訳できないぐらい簡単なUXを作ることで利用も最大化されると思ったんです。

木暮
開発は徳泉くんがやってるよね?
徳泉
僕がやってます。
木暮
自分が納得するプロダクトにしたいって感じ?
徳泉
“使われるもの”を作るのがいちばん大事だと思ってます。だから使われるものを作りたいですね。
木暮
自分も最初はスクレイピングを作ったりとか、あとはフロントデザインとかを作ったりとかやってた。 徳泉くんはどこをやっているの?
徳泉
僕はフロントエンド、サーバーサイド、データベース設計も初歩的なものはやるって感じですね。
木暮
今もやってるの?
徳泉
今もモノによってはやってます。だいぶエンジニアに任せてますけど、ちゃんと見るようにはしていますね。
木暮
トリクルの最初のウェブサイトも徳泉くんが作ったの?
徳泉
そうですね。インフラ周りは友達に手伝ってもらいましたけど、フロントも友達に手伝ってもらったか(笑)
木暮
じゃあ徳泉くんはどこやったの?
徳泉
なんだろうな。サーバーサイドのデータベースの設計とか、基本的な機能は作りました。
木暮
トリクルをバーンッって出してさ、すごいバズったよね?
徳泉
すごいバズりましたね!
木暮
どう思った?
徳泉
ビックリしました。
木暮
いやいや、普通だな(笑)
徳泉
そんな伸びないだろうなと思っていたのに、すごいシェアされて、ほんとにビックリしましたね(笑)

どんな人が利用している?

木暮
どういうお客さんが使っているの?
徳泉
最近、データをバァーッって見たんですけど、突出したセグメントってないんですね。男女ともに利用していて、年齢層も幅が広い。特に言うなら、30代半ばの人達が結構使ってくれています。
木暮
定期的に使ってくれる?それとも、一撃ドン! みたいな感じ?
徳泉
定期的に使ってくれているお客さんは多いですね。
木暮
季節の変わり目とか、衣替えのときとか?
徳泉
そういう時期ももちろん多いです。

お客さんは訪問日を予約してから、「これいらないな、売りたいな」というものを集めるんですね。

僕らの場合にはそういう人が比較的多くいるんです。で、僕らが伺う日までに売りたいものを全部出し終わらないお客さんもいたりして。

木暮
出しきれない!?
徳泉
「明日来てもらおう」って予約して、明日の12時に来てもらうとするじゃないですか。売りたいものをそのときまでに出しておいて、持っていってもらって、そうするとクローゼットのスペースとかが空きますよね。そこを整理するときに、奥のほうからまたいらないものが出てきたりとか。

お客さんがそうして整理整頓していくうちに、「この本、読まなかったな」みたいな感じで、また依頼を受けることもあります。

木暮
どんなアイテムがよく出てくるの?
徳泉
ファッション系が多いですね。あとは本。日常的に使用していたものでも、「もうこれ着ないな」「もうこの本読まないな」ということで、お渡しいただくことが多いです。
木暮
メルカリが得意なゾーンをトリクルで取り組んでいるみたいな感じ?
徳泉
ブランド系のファッションが多かったりするんで、メルカリに近いのかな。あんまわかんないですね(笑)

依頼で多いモノ

木暮
高単価なものも結構出るの?
徳泉
ありますね。数十万円する時計とか、ブランドバックとか。
木暮
どんどんモノを集めてCtoCとかいろいろな販売チャネルで売却していく、というのがトリクルのモデルだよね?
徳泉
そうですね。

トリクルの強みは「ものを集める」こと

木暮
いろいろなところで売却するノウハウが溜まっていく、というのがトリクルの一番の強みなのかな? それともモノを集めるというところに強みがあるの? はたまた、何か別の点で独特のナレッジが溜まっているのか。
徳泉
トリクルの強みは「ものを集めること」ですね。僕らがターゲットとするお客さんは基本的にはフリマに出品したい、買取業者さんに売りたい、でもそういうことをするのが面倒な人なんです。そういうお客さんが多い。

「じゃあこの商材はこの買取業者さん、こっちの商材はあの買取業者さん」とか、そういうことをする余裕がない、または手間を惜しむような人たちがメインのお客さんなんですよね。

出張買取でも玄関先で何十分って時間がかかったりしますので、それが嫌な人も多いですね。僕らは一旦バァーッともらっちゃう。

木暮
買い取りで利益を上げようとすると、やっぱり安く買って高く売るっていう価格軸重視になってしまう。

お客さんに対してはその分を手間軸というサービスでカバーするんだけど、お客さんとしてはより高く売りたいから、ここがコンフリクトしてしまう。

だけど出品代行の場合、いくらで売れて、パーセンテージもらって、それ以外をお戻ししますよ、ということで明朗会計になっている。だから高く売るということに関して、出品代行業者とお客さんとで目線が合うよね。

徳泉
間違いなくそうですね。それはいい点だなと僕も思っています!
木暮
一方で、時間軸とのトレードオフにはなる?
徳泉
そうですね。

あと僕らが出品の代行をしていて思うのは、ユーザーとの期待値調整がキモだと思っています。

僕らが売れる・売れないと思っているものと、お客さんが売れる・売れないと思っているものって、結構ちがうんですよ。

あとは売り方ですね。「こう売ってほしい」「こういう風に売ってくれればもっと高く売れるのに」とお客さんは思われるんですけど。

僕らは二次流通の対価構造を大きく3つぐらいの変数に分けて考えるようにしているんですよ。

1つ目は「作業対価」。2つ目は「価値対価」。3つ目は「在庫リスク」。この3つの変数を僕は考えるようにしています。

作業対価

作業対価というのは、出品などの実作業に対して発生する対価です。これが基本的にはメルカリのユーザー層ですね。

たとえばユニクロとかが二次流通で売れてるじゃないですか。あれはユニクロに価値があるというよりも、ユニクロを出品作業することに価値があるから、作業費のフィーとしてお金が入ってる。僕はそう認識しています。

価値対価

買取業界の人たちが狙っているのは、価値対価が明確になっているものです。ヴィトンのバッグとかiPhoneとかのような、二次流通で値崩れしない、一定の価値がすでに確定しているものを買い取っていくのがやりやすいんだろうなと思いますね。

在庫リスク

そして、どのような在庫リスクを誰が抱えるのかによって、ユーザーに返ってくるお金の幅が変わってくる。

たとえばメルカリに出品したとして、もちろん在庫リスクがめちゃめちゃ高いじゃないですか。だからこそ、もし売れたら、手数料10%だけが取られて、残りの金額がしっかり返ってきます。

でも買取業者に買い取ってもらう場合だと低い金額になる。なぜかというと、買取業者が在庫リスクを負うからなんですね。

トリクルでは、作業対価をもらうだけでもまずはいいかなと思っています。そこをまずはちゃんと実現したいんです。

売れなかった商品はどうなる?

木暮
トリクルで一定期間売れなかった商材はどうしてるの?
徳泉
僕らは預かったものをだいたい60日ぐらい出品していて、売れなかったものは買取業者に買い取ってもらうか、返品するかというのを、ユーザーさんに選んでもらっています。
木暮
在庫リスクもトリクルのほうで解決していく予定?
徳泉
そうですね、最終的には解決するようになっています。

僕らは作業分だけをもらえればいいと本質的には思っているので。在庫リスクを抱えようとすると手数料率が買取業者さんとそんな変わらなくなってくるんですよね。

二次流通で今いちばん大事なことは、マーケットにモノが出ることじゃないですか。結局、家に眠っているものが多すぎる、それをどうやって出すのかが一番大事なので。

木暮
37兆円が眠ってるって言われているからね。
徳泉
そうですね。それが出てくれば行き先はあるはずなんですよ。なので「ものが集まる」というのが僕らの強みになりますね。

自分で出品するということの次に期待値が高いのは、出品代行のサービスに依頼することです。そこで売れなかったら買取業者に買い取ってもらう、それで納得する、という流れを作ることができればいいかなと思っています。

木暮
ものを売る人ってこの10年間は40%ぐらいしかいないので、6割の人は売っていないんだよね。

トリクルには普段からものを売るユーザーが来てるのか、それとも、買取もフリマアプリもオークションも面倒で売った経験があまり無いような人が来てるのか、どっちなんだろう?

徳泉
どっちもいますね。
木暮
それはすごいね。
徳泉
かなりミックスされてるような気がしますね。
木暮
感覚的にはどっちのほうが多い?
徳泉
どっちが多いんでしょうね。結構どっちもいるんですよ、ほんとに。
木暮
ものを今まで売っていなかった6割の人から掘り起こしてるわけだから、それはすごいね。つまりは眠っている遊休資産を掘り起こせているってことだよね。

トリクルを利用するユーザーの特徴について

徳泉
トリクルのユーザー層でボリュームが厚いのは30代です。いま僕らが取りに行ける範囲は都内23区だけなんですけど、都内の30〜40代の方となると比較的年収が高いじゃないですか。

メルカリが出て6年ぐらい経ってますが、6年前といっても皆さんだいたい30代ですよね。すると、自分はメルカリの空気感と合わないという人もいるので、あんまり出品したことがない人ももちろんいます。

出品した経験があっても、やっぱり手間がかかると感じる。それでトリクルを使ってみようと考える。

でも僕らも良し悪しがあると思うんですよね。「トリクルのこういうところが使いづらいな」って思った人は、また自分での出品に戻っていったり。でもそれはそれでまた使いづらいところもあって、再びトリクルに戻ってきたり。

トリクルはどのような人でも使ってくれてる感じはありますし、一回使ってくれた人が、今度は別の二次流通へ、たとえばフリマとか買取業者とかで売ることを試してみる、みたいなことにはなっているのかなと思います。

木暮
ちょっと話がずれるかもしれないけど、高所得者の人たちっていちいち出品したりするの煩わしいもんね。
徳泉
そうですね。なかなかまとまった時間がないので。
木暮
俺らも長いことこのサービスやってるから、お客さんのところに行けば、売りたいってニーズがあるのはもう分かってるわけですよ。だけど、「売りたいんだけど売れない」っていう人たちが意外と多い。

ウリドキを作ったときって、「売れると思ってなかった! こんなものも売れるんだ!」っていうお客さんがほとんどだったんだよね。

今は買取価格なんて調べれば色々出てくるけど、自分たちがウリドキを作るまではそんなのほんとに無かった。

徳泉
そうなんですか?
木暮
ゲームソフトぐらいよ、買取価格がわかったのは。今でこそフィギュアとかも買取価格がわかるけど、当時はネットで探しても情報が全然なかったし。

買取実績がちょろっと出てるぐらいで、事前の買取目安みたいなのはなかったから、売れるってことがみんな基本的にわかってなかった。だから「持ってるものって売れるんだよ」っていうのをウリドキはとにかくリーチし続けた。

最近ではメルカリとか色々なサービスが出てきたなかで、ものがどうやら売れるらしいってことはわかってきた。だけど売れない…。

要するにめんどくさいとか、評価を気にしながらスモールBみたいなことをやるのが煩わしくて、ちょっと自分はそれはできないみたいな。

この人たちが「売れる」ところまでの差分をどう埋めるのか、それは「どう楽させてあげるのか」ということ。

もっと言えば、企業である我々が代わりにどう汗をかくことができるのか。トリクルは販売代行という枠組みの中でそこを勝負している。

サイトで気をつけているべきこと

木暮
ところで、UXでいちばん気をつけてるのはどんなところ?
徳泉
UXの改善はトレードオフだなと思っています。期間ごとにどの体験を最大化したいか決めている感じですね。

いちばん最初は「とにかく簡単に出品したい」という体験を磨いていたんですけど、もちろんそれだけだと課題が出てくるので、次は出品のUXを若干悪くしてでもその課題に取り組む。

もっと期待値を調整できるようにするとか、高く売れるようにするとか、そういったところにフォーカスする。

期待値を調整するには事前に色々な情報が必要です。なので、次は集荷と予約のUXが悪くなるから、今度はそこをよくしようと。そういう繰り返しですね。

いちばん大事にしているのは、トリクルに商品を渡すときに、お客さんが「これはOK、これはNG」と考えないようにしたいなと思っていますね

木暮
トリクルに預ければ売れちゃう?
徳泉
売れちゃうというか、「いったん渡しとけばいいや」と思ってもらう。
木暮
そこは思考停止で。
徳泉
そうです。

「これは捨ててもいいや」みたいなものでもいったん僕らに渡しておけば、「あとはよしなにやってくれるんじゃない?」みたいに思ってもらうことがまずは大事だと考えているので、その基本は崩さないように頑張っています。

木暮
この業界って「価格軸」と「楽軸」みたいなものがあるじゃない。

楽軸っていうのは、手間がかからないってのもそうなんだけど、気持ち的に楽みたいな。もっと言うと脳ミソ的に楽かみたいなのはすごい大事だなと思っていて。

そうじゃないなら、フリマアプリとかオークションサイトを自分で使った方がよっぽど高く売れるわけだから、なんでわざわざ他の業者を使って売るんだってことになっちゃう。

徳泉
人って条件分岐が多くなってくると、だんだんややこしくなるじゃないですか。だからあんまりそこの条件分岐は増やしたくないんですよね。

でもそんななかで期待値を調整したりっていうのは結構大変だなと思うので。

木暮
こっちを調整するとユーザーの手間が増えちゃうから、UXがちょっと悪くなって、CVRが落ちてみたいな。

そこを簡単にすると、そのあとの情報が足りなくなるから、想定していたほど高く売れなかったなとか。あるあるだよね…。

徳泉
なのでスクラップアンドビルドしながらやってますね。そこめっちゃ難しいんですよね。
木暮
リユースに限らず、この手のサービスやってればみんなそうだよ。よく言うのが、ケチャップの底をツンツン突いて、どこかでドバーッと出る瞬間があるみたいな(笑)

ところで、もう結構な量を販売したわけだよね?

徳泉
そうですね。
木暮
データもいっぱい見てきた?
徳泉
まあ、はい。

今アツい転売のジャンルはスニーカー!?

木暮
あえて変な質問をするけど、出品代行をやりまくってきたベンチャーの社長から見て、転売ヤーとかせどりをやっている人にとって今転売の商材でおすすめなジャンルってある?
徳泉
今いちばんわかりやすいのはスニーカーだと思うんですよね。
木暮
『stock X』とかね。日本でも『モノカブ』っていうサービスとか出てきてるけど。
徳泉
スニーカーがいちばんわかりやすいんじゃないですかね。
木暮
わかりやすいってのはどんなところで?
徳泉
リユースで売れるものを探すときには、リテールの変化が大事だと思います。なんでかというと、まずリユースってだいたいがファッション系じゃないですか。
木暮
リユースはアパレルがかなり多いよね。
徳泉
アパレル系の商材が多いじゃないですか。彼らが今どう動いているかが大事だと思っています。ナイキとかが stock X に出資してるんですけど。

色々なブランドが凌ぎを削っているなかで、顧客との深い接点が大事になってきます。ハイブランドって小ロットで多品種生産に向かってるんですけど、それがいちばんわかりやすいのがスニーカー、特にナイキです。

ナイキはマス向けのシリーズがいくつかあって、一方でマニア向けに小ロットの限定品を週に2、3個とか出してるんですよね。結果的に何が起きているかというと、その小ロット品がプレミア化して二次流通で転売される。

それで結果的にナイキというブランドの価値が上がってるんですよ。だからこそマス向けのシリーズも売れるようになってる。

基本的に今後はいろんなブランドがコラボして限定品を作って、それをマニアックな人に売る、そういう流れがリテールでは起きていくのかなと思います。

そのひとつの橋がけがDtoCですね。SNSとかで顧客接点が近いところを押さえていって、そのユーザーにとってコアで深いブランドのひとつとして選ばれ続けるということが、現在の文脈では大事になってくる、だからDtoCが流行ってるのかなと。

コアなファンに向けて小ロットの限定品を販売していて、それがリユースで多く転売されている市場としてわかりやすいのがスニーカーだから、転売ヤーやせどりの人はそれをやるのがいいのかなと思います。単純な話ですけど。

木暮
スニーカーの転売市場は6,000億円と言われてるから、デカいよね。これは世界マーケットの数字だけど。
徳泉
めっちゃ大きいですよね。なので、初心者でやるんだったらそういうところでやってみるといいですね。

そこで買うのは抽選になってるし、元手もほとんどいらない。抽選に当たれば二次流通で数千円から1〜2万円くらいが利ざやとして上がるのは確約されてるので、リスクも少ない。

ナイキはそういう転売ヤーの存在を公には認めていないですけど、黙認はしているだろうし、それによってナイキのブランド価値が上がっているという確信は持っているはずですね。

需給バランスの崩れをいち早く見つけることが重要!

徳泉
中級者向けの人に言うと、リユースでプレミアム価値があえてつくようにコラボ品とか小ロット限定品を展開しているブランドを狙って転売するのがいいと思います。

どこどことのコラボ品というものをちゃんと出しているブランドはそういうことに気づいているので、そういうブランドはチェックしたほうがいいですね。

木暮
それは、買ってちょっと寝かせる?
徳泉
いや、寝かせないですね!
木暮
すぐ売る?
徳泉
はい。その小ロット品を欲しかった人がすぐメルカリとか見るので、いちばんテンションが高いのは最初です。寝かせるんだったら数年寝かせないといけない気がしますね。

インターネットでモノの購買をしたり情報にアクセスしたりする人がこれだけ増えているので、僕らが捉えられないニッチ層に対しての限定品ってめちゃめちゃあるんですよ。D2Cのブランドの中でもプレミアム化しているものもあるし。

そういう人たちがブランド力を高めるために今やっているのは、リユースでも価格が上がるような仕掛けです。どういうブランドがどういうブランドとコラボしているのかを全部たどっていくと、だいたいつながってる。

基本的にせどりというのは、供給が少なくて需要が高いものを、いかにコストを押さえて売るかということになります。

転売ってそういうものじゃないですか。これだけ情報のアクセシビリティが上がってきているなかで、さらにやっていくこととしたら、どういうセグメントの中でどのような需給バランスの崩れが発生しているのかをいち早く知ることです。

スニーカーはもうみんな知ってるじゃないですか。スニーカー以外で需給バランスが崩れているセグメントの商材ってあるんだけど、それってみんな知らないんですよ。そこを押さえにいくのがいちばん大事です。

木暮
和製 Stock X みたいなプラットフォームとしてモノカブやティクシーがあるけど、本家の Stock X が日本に来たらどうなっちゃうかな?
徳泉
残るんじゃないですか。Stock X が日本に来たときにどういう戦略をとるのかにもよります。SEOを凄い頑張るんだったら、もしかしたらヤバいかもしれないですけど。
木暮
Stock X の強みって、国内で販売されるよりも早く手に入ること。一方で日本版 Stock X みたいなサービスってそれ叶えられてるんだっけ?
徳泉
それって買い手の話ですよね?
木暮
そう。
徳泉
マーケットプレイスが大事なのって売り手だと思うんで、売り手がそこのマーケットを使って売る理由が明確にあれば。
木暮
なんで商品が集まるのかというと、海外の現地の人が買ってすぐ売れるから。でも日本の人はそれを仕入れて売ろうとしているわけだから。
徳泉
だからそこに出すんじゃないの、って。
木暮
でも買いの需要が一定存在しているのは当たり前だから。結局 Stock X だと、海外への送料とかタイムラグとか考えると、国内は国内で一定のコミュニティができるっていうのはあるか。
徳泉
グローバルで見たときにCtoCのプラットフォームっていくつかあるのに、なんでみんな日本のメルカリ使ってるんですか、って話だと思うんですよね。出品者はいっぱいいるから、ひとつのマーケットに集約するのは難しいんです。

もちろんトップはある程度は独占するし、新規投資はしやすくなりますけど、他が全部なくなるという状況がなくなってきているのは事実だと思います。

メルカリが伸びてるけど、ラクマが全く伸びてないかといったらそんなことはないですし、しっかりと堅実にGMVは成長してます。

PayPayフリマとかが今後一定のGMVを作ってきたら、マーケットプレイスはまた乱立するわけです。

木暮
海外から出てきたeBayとか、海外版のCtoC、要は海外版メルカリみたいなものが日本にやってきたけど、でもメルカリはメルカリであれだけ使われてる。

日本のC2C市場でこれから生き残るには?

徳泉
Stock X が出てきて日本のCtoCマーケットプレイスが潰れるかどうか。もちろん脅威ではあるし、資本力でぶん殴ってきたらキツいよなと思ったりはしますけど。

どれだけ転売ヤーを囲えるかがそのマーケットプレイスの勝ち筋じゃないですか。CtoCとはいえ、スモールBみたいな出品者が使いやすくてずっと出品し続けてくれるかどうかが、GMVのキモになってくる。そこさえ握れていれば人は集まってきます。

Stock X のほうが発売日が早いということは、日本の出品者が出品すると値崩れしやすいわけです。あんまりおいしくないですよね。

木暮
Stock X と和製 Stock X で価格差が起きていて、そこで一定のアービトラージが存在しているから、日本は日本である程度活性化するのかなとは思っているんだけどね。

ということで、今日はトリクルの徳泉社長にお越しいただきました。大変勉強させてもらいました!ありがとうございました!

徳泉
ありがとうございました!!
木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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