「いらないものがたくさんあるけど、1点ずつ出品するのがめんどくさい…」と感じたことはありませんか。
“売りたいアイテムを渡すだけ!家に取りに来る”をキャッチフレーズに、出品代行サービスを行う「トリクル」は、まさにそんな方にぴったりなサービスです。
今回は、トリクルを運営する株式会社Spiceの代表「徳泉 成夏」さんに、サービスの詳細やトリクルを利用するユーザーの特徴などを弊社、総合買取サービス「ウリドキ買取」を運営するウリドキ株式会社の代表 木暮がお聞きしました!
徳泉さんが今アツいと思う転売ジャンルなど、ここでしか聞けないディープな話題も登場しますよ!
トリクルってどんなサービス?
それをやりたかったんだけど。ただ、いわゆる経験者のジレンマってやつで。自分はリユースを10年やった経験から、これはもっと最適化できると思ってB側のソリューションに携わることにした。それで立ち上げたのがウリドキだったから。
「全部渡せばいい感じに売ってくれる」ってのができれば、それはCにとってはいいんだけど、オペレーションコストとかすごい大変だって分かってたから、だから手を出せなかった。
そこに徳泉くんは挑戦したんだよね?
メルカリとかが出てきて、「フリマに出品すれば高く売れるんだ」というのが皆さんわかってきたんだけど、「でもちょっとめんどくさいよね」というユーザー層がいる。
その人たちが全員、品物を買取業者に持っていくかというと、そうじゃないなと。そういう文脈のなかでユーザーを獲得できるんじゃないか、というのがはじまりでしたね。
オペレーションを作ったりが大変なので、やっている業者はあんまり多くないんです。もちろん、今でも私たちはオペレーションを改善し続けています。
最初は都内限定で、行ける場所を限定してやっていくというスタートを切った。「あ、実現できるんだ、すげえな」って思いました。
なんでもかんでも最初は引き取ってたよね。今はどうなの?
リユース業界を選んだ理由
しかも結構汗かく物流のところをトライしようとしているわけじゃん。なんでリユースをやろうと思ったの?
でも、マーケットプレイスの発明、出品の発明っていうのは難しいなと思っていて。だからまずは出品の代行という形で、手間がかからない状態をつくっていく。そしてそこに自分たちのマーケットプレイスを立ち上げる可能性って眠ってるんじゃないのかなと。
プロダクトに対する想い
現場とユーザーをちゃんと見て、「そもそも出品のUXをどうしたら最大化できるのか」というインサイトを深めたかったというのが一番大きいですね。
僕らがその学びを深めていって、ユーザーが言い訳できないぐらい簡単なUXを作ることで利用も最大化されると思ったんです。
どんな人が利用している?
お客さんは訪問日を予約してから、「これいらないな、売りたいな」というものを集めるんですね。
僕らの場合にはそういう人が比較的多くいるんです。で、僕らが伺う日までに売りたいものを全部出し終わらないお客さんもいたりして。
お客さんがそうして整理整頓していくうちに、「この本、読まなかったな」みたいな感じで、また依頼を受けることもあります。
依頼で多いモノ
トリクルの強みは「ものを集める」こと
「じゃあこの商材はこの買取業者さん、こっちの商材はあの買取業者さん」とか、そういうことをする余裕がない、または手間を惜しむような人たちがメインのお客さんなんですよね。
出張買取でも玄関先で何十分って時間がかかったりしますので、それが嫌な人も多いですね。僕らは一旦バァーッともらっちゃう。
お客さんに対してはその分を手間軸というサービスでカバーするんだけど、お客さんとしてはより高く売りたいから、ここがコンフリクトしてしまう。
だけど出品代行の場合、いくらで売れて、パーセンテージもらって、それ以外をお戻ししますよ、ということで明朗会計になっている。だから高く売るということに関して、出品代行業者とお客さんとで目線が合うよね。
あと僕らが出品の代行をしていて思うのは、ユーザーとの期待値調整がキモだと思っています。
僕らが売れる・売れないと思っているものと、お客さんが売れる・売れないと思っているものって、結構ちがうんですよ。
あとは売り方ですね。「こう売ってほしい」「こういう風に売ってくれればもっと高く売れるのに」とお客さんは思われるんですけど。
僕らは二次流通の対価構造を大きく3つぐらいの変数に分けて考えるようにしているんですよ。
1つ目は「作業対価」。2つ目は「価値対価」。3つ目は「在庫リスク」。この3つの変数を僕は考えるようにしています。
作業対価
作業対価というのは、出品などの実作業に対して発生する対価です。これが基本的にはメルカリのユーザー層ですね。
たとえばユニクロとかが二次流通で売れてるじゃないですか。あれはユニクロに価値があるというよりも、ユニクロを出品作業することに価値があるから、作業費のフィーとしてお金が入ってる。僕はそう認識しています。
価値対価
買取業界の人たちが狙っているのは、価値対価が明確になっているものです。ヴィトンのバッグとかiPhoneとかのような、二次流通で値崩れしない、一定の価値がすでに確定しているものを買い取っていくのがやりやすいんだろうなと思いますね。
在庫リスク
そして、どのような在庫リスクを誰が抱えるのかによって、ユーザーに返ってくるお金の幅が変わってくる。
たとえばメルカリに出品したとして、もちろん在庫リスクがめちゃめちゃ高いじゃないですか。だからこそ、もし売れたら、手数料10%だけが取られて、残りの金額がしっかり返ってきます。
でも買取業者に買い取ってもらう場合だと低い金額になる。なぜかというと、買取業者が在庫リスクを負うからなんですね。
トリクルでは、作業対価をもらうだけでもまずはいいかなと思っています。そこをまずはちゃんと実現したいんです。
売れなかった商品はどうなる?
僕らは作業分だけをもらえればいいと本質的には思っているので。在庫リスクを抱えようとすると手数料率が買取業者さんとそんな変わらなくなってくるんですよね。
二次流通で今いちばん大事なことは、マーケットにモノが出ることじゃないですか。結局、家に眠っているものが多すぎる、それをどうやって出すのかが一番大事なので。
自分で出品するということの次に期待値が高いのは、出品代行のサービスに依頼することです。そこで売れなかったら買取業者に買い取ってもらう、それで納得する、という流れを作ることができればいいかなと思っています。
トリクルには普段からものを売るユーザーが来てるのか、それとも、買取もフリマアプリもオークションも面倒で売った経験があまり無いような人が来てるのか、どっちなんだろう?
トリクルを利用するユーザーの特徴について
メルカリが出て6年ぐらい経ってますが、6年前といっても皆さんだいたい30代ですよね。すると、自分はメルカリの空気感と合わないという人もいるので、あんまり出品したことがない人ももちろんいます。
出品した経験があっても、やっぱり手間がかかると感じる。それでトリクルを使ってみようと考える。
でも僕らも良し悪しがあると思うんですよね。「トリクルのこういうところが使いづらいな」って思った人は、また自分での出品に戻っていったり。でもそれはそれでまた使いづらいところもあって、再びトリクルに戻ってきたり。
トリクルはどのような人でも使ってくれてる感じはありますし、一回使ってくれた人が、今度は別の二次流通へ、たとえばフリマとか買取業者とかで売ることを試してみる、みたいなことにはなっているのかなと思います。
ウリドキを作ったときって、「売れると思ってなかった! こんなものも売れるんだ!」っていうお客さんがほとんどだったんだよね。
今は買取価格なんて調べれば色々出てくるけど、自分たちがウリドキを作るまではそんなのほんとに無かった。
買取実績がちょろっと出てるぐらいで、事前の買取目安みたいなのはなかったから、売れるってことがみんな基本的にわかってなかった。だから「持ってるものって売れるんだよ」っていうのをウリドキはとにかくリーチし続けた。
最近ではメルカリとか色々なサービスが出てきたなかで、ものがどうやら売れるらしいってことはわかってきた。だけど売れない…。
要するにめんどくさいとか、評価を気にしながらスモールBみたいなことをやるのが煩わしくて、ちょっと自分はそれはできないみたいな。
この人たちが「売れる」ところまでの差分をどう埋めるのか、それは「どう楽させてあげるのか」ということ。
もっと言えば、企業である我々が代わりにどう汗をかくことができるのか。トリクルは販売代行という枠組みの中でそこを勝負している。
サイトで気をつけているべきこと
いちばん最初は「とにかく簡単に出品したい」という体験を磨いていたんですけど、もちろんそれだけだと課題が出てくるので、次は出品のUXを若干悪くしてでもその課題に取り組む。
もっと期待値を調整できるようにするとか、高く売れるようにするとか、そういったところにフォーカスする。
期待値を調整するには事前に色々な情報が必要です。なので、次は集荷と予約のUXが悪くなるから、今度はそこをよくしようと。そういう繰り返しですね。
いちばん大事にしているのは、トリクルに商品を渡すときに、お客さんが「これはOK、これはNG」と考えないようにしたいなと思っていますね。
「これは捨ててもいいや」みたいなものでもいったん僕らに渡しておけば、「あとはよしなにやってくれるんじゃない?」みたいに思ってもらうことがまずは大事だと考えているので、その基本は崩さないように頑張っています。
楽軸っていうのは、手間がかからないってのもそうなんだけど、気持ち的に楽みたいな。もっと言うと脳ミソ的に楽かみたいなのはすごい大事だなと思っていて。
そうじゃないなら、フリマアプリとかオークションサイトを自分で使った方がよっぽど高く売れるわけだから、なんでわざわざ他の業者を使って売るんだってことになっちゃう。
でもそんななかで期待値を調整したりっていうのは結構大変だなと思うので。
そこを簡単にすると、そのあとの情報が足りなくなるから、想定していたほど高く売れなかったなとか。あるあるだよね…。
ところで、もう結構な量を販売したわけだよね?
今アツい転売のジャンルはスニーカー!?
色々なブランドが凌ぎを削っているなかで、顧客との深い接点が大事になってきます。ハイブランドって小ロットで多品種生産に向かってるんですけど、それがいちばんわかりやすいのがスニーカー、特にナイキです。
ナイキはマス向けのシリーズがいくつかあって、一方でマニア向けに小ロットの限定品を週に2、3個とか出してるんですよね。結果的に何が起きているかというと、その小ロット品がプレミア化して二次流通で転売される。
それで結果的にナイキというブランドの価値が上がってるんですよ。だからこそマス向けのシリーズも売れるようになってる。
基本的に今後はいろんなブランドがコラボして限定品を作って、それをマニアックな人に売る、そういう流れがリテールでは起きていくのかなと思います。
そのひとつの橋がけがDtoCですね。SNSとかで顧客接点が近いところを押さえていって、そのユーザーにとってコアで深いブランドのひとつとして選ばれ続けるということが、現在の文脈では大事になってくる、だからDtoCが流行ってるのかなと。
コアなファンに向けて小ロットの限定品を販売していて、それがリユースで多く転売されている市場としてわかりやすいのがスニーカーだから、転売ヤーやせどりの人はそれをやるのがいいのかなと思います。単純な話ですけど。
そこで買うのは抽選になってるし、元手もほとんどいらない。抽選に当たれば二次流通で数千円から1〜2万円くらいが利ざやとして上がるのは確約されてるので、リスクも少ない。
ナイキはそういう転売ヤーの存在を公には認めていないですけど、黙認はしているだろうし、それによってナイキのブランド価値が上がっているという確信は持っているはずですね。
需給バランスの崩れをいち早く見つけることが重要!
どこどことのコラボ品というものをちゃんと出しているブランドはそういうことに気づいているので、そういうブランドはチェックしたほうがいいですね。
インターネットでモノの購買をしたり情報にアクセスしたりする人がこれだけ増えているので、僕らが捉えられないニッチ層に対しての限定品ってめちゃめちゃあるんですよ。D2Cのブランドの中でもプレミアム化しているものもあるし。
そういう人たちがブランド力を高めるために今やっているのは、リユースでも価格が上がるような仕掛けです。どういうブランドがどういうブランドとコラボしているのかを全部たどっていくと、だいたいつながってる。
基本的にせどりというのは、供給が少なくて需要が高いものを、いかにコストを押さえて売るかということになります。
転売ってそういうものじゃないですか。これだけ情報のアクセシビリティが上がってきているなかで、さらにやっていくこととしたら、どういうセグメントの中でどのような需給バランスの崩れが発生しているのかをいち早く知ることです。
スニーカーはもうみんな知ってるじゃないですか。スニーカー以外で需給バランスが崩れているセグメントの商材ってあるんだけど、それってみんな知らないんですよ。そこを押さえにいくのがいちばん大事です。
もちろんトップはある程度は独占するし、新規投資はしやすくなりますけど、他が全部なくなるという状況がなくなってきているのは事実だと思います。
メルカリが伸びてるけど、ラクマが全く伸びてないかといったらそんなことはないですし、しっかりと堅実にGMVは成長してます。
PayPayフリマとかが今後一定のGMVを作ってきたら、マーケットプレイスはまた乱立するわけです。
日本のC2C市場でこれから生き残るには?
どれだけ転売ヤーを囲えるかがそのマーケットプレイスの勝ち筋じゃないですか。CtoCとはいえ、スモールBみたいな出品者が使いやすくてずっと出品し続けてくれるかどうかが、GMVのキモになってくる。そこさえ握れていれば人は集まってきます。
Stock X のほうが発売日が早いということは、日本の出品者が出品すると値崩れしやすいわけです。あんまりおいしくないですよね。
ということで、今日はトリクルの徳泉社長にお越しいただきました。大変勉強させてもらいました!ありがとうございました!