着物の羽織の種類一覧【長さ・柄・季節別】|選び方のポイントも紹介

  • 2022年8月26日

和装をしてお出かけするときに、着物だけだと少し肌寒いなと感じるなら、上からアウターとして羽織を着るのがこなれた和装のコツです。

羽織にはいろいろな種類があるので、きちんと着こなすには、前もって羽織についてよく知っておく必要があります。TPOや季節感に合わせた着こなしで和装を楽しみたいですよね。

そこで本記事では、着物の羽織の種類についてくわしく解説して、ぴったり合う羽織を選ぶポイントを紹介します。羽織の着こなしをマスターし、より和装を楽しめるようになりましょう。

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着物の羽織は必要?

着物を着てお出かけをするとき、季節によって必ず羽織を着なければならないというマナーがあるわけではありません。

和装での羽織の位置づけは、洋服で例えるとカーディガンのようなものです。カーディガンを着るのが好みだという方は、少し重ね着したいという季節には、お気に入りのカーディガンのなかからその日のコーディネートに合うものをチョイスすることでしょう。

同じように、着物を着るときも、好みによって羽織を着るかどうかを決められます。

着物の羽織の種類【長さ別】

羽織の種類を分類するひとつの基準は、羽織の長さです。

大きく分けて3種類あり、それぞれ長羽織(ながばおり)・中羽織(ちゅうばおり)・茶羽織(ちゃばおり)と呼ばれます。それぞれのタイプの特徴について解説するので、特徴に注目してください。

長羽織(ながばおり)

長いタイプの羽織が、本羽織と呼ばれることもある、長羽織です。ひざ丈を超えるくらいの長さの羽織は長羽織に分類されます。羽織の長さは時代の移り変わりで流行が変わってきているのが特徴です。

戦前の時代は長羽織が主流でしたが、戦後には流行が短めでした。近年では、だんだんと長めの羽織を選ぶ方が多くなりました。

長羽織を重ねた装いは、とてもエレガント。また、大きく全体を包み込むシルエットなので、体型を隠すにもちょうどよく、和装にあまり慣れてない方にぴったりのアイテムです。

中羽織(ちゅうばおり)

ひざ丈より短い程度の長さの羽織は、中羽織に分類されます。前身頃(まえみごろ)と後身頃(うしろみごろ)の間に、裾広がり形状の襠(まち)が付いていることが大きな特徴。

だいたい身長の2分の1に数cmをプラスした程度の長さの着丈になり、長さの見た目のバランスがよく、いろいろなコーディネートが楽しめます。日常的な装いとしてカジュアルに使われるのも、中羽織タイプの羽織が主流です。

好みのデザインを選んで、和装のおしゃれの幅をアップさせましょう。

茶羽織(ちゃばおり)

腰丈程度の長さで短めの羽織は、茶羽織です。袖も短めのデザインが主流。長めの羽織とは違い、襠のないつくりで仕立てられるのも大きな特徴のひとつです。

また、羽織紐を通す必要がなく、茶羽織に縫い付けられた紐を結んで使います。

茶羽織は、お出かけ用というよりも、おうちの中でのちょっとした防寒着として着用するのに向いているアイテムです。和装でお出かけするときの羽織を探しているなら、長めの中羽織か長羽織を探すようにしましょう。

着物の羽織の種類【季節別】

羽織の種類は、着用する季節によっても分類できます。

袷羽織(あわせばおり)・単衣羽織(ひとえばおり)・ 綿入れ羽織(わたいればおり)・夏羽織(なつばおり)の4種類のなかから、季節に合った羽織をチョイスしましょう。それぞれの特徴を解説します。

袷羽織(あわせばおり)

冬場を中心とした10月から5月の間に着用し、寒い日における防寒着の役割を果たす羽織です。裏地を合わせた2枚の生地で仕立てられているのが特徴で、その分あたたかく過ごせるようになっています。

ほかのタイプの羽織より厚手ですが、コートではないので、訪問先の室内で着用してもマナー違反とはなりません。

袷羽織を着用する際には、中に合わせる着物も袷仕立てのものを着るようにしましょう。着丈の長さや生地の柄などは好みや季節感に合わせて自由に選べます。

単衣羽織(ひとえばおり)

春・秋の季節に着用するなら、単衣羽織が適しています。単衣羽織は、裏地の生地を付けずに仕立てられる羽織です。通常は単衣の着物に重ねて着用しますが、袷の着物に合わせられるタイプの単衣羽織もあります。

寒さが強い日だと、単衣羽織では防寒性が足りないので、冬場には着用されません。単衣羽織を着用するシーズンは、4月から5月と9月から10月のごく短い期間だけであり、和装の頻度が高い上級者向けのアイテムといえるでしょう。

綿入れ羽織(わたいればおり)

寒い冬の日に、日常的に着る防寒着として使えるのが、綿入れ羽織です。

羽織の内側にどてら綿や真綿を入れて仕立てられているので、あたたかく過ごせます。とくに、真綿は保温性能がよいだけでなく、とても軽量で厚さもそんなになくかさばらず、寒い時期にぴったりの素材です。

防寒性能に特化しているという特性上、フォーマルなデザインというよりかなりカジュアルなつくりになっており、普段着として着用したり、おうちで過ごすときに着たりするのに適しています。

夏羽織(なつばおり)

夏に着用できるタイプの羽織は、夏羽織です。7月から8月にかけての暑い季節の肌寒く感じる時間帯や、空調が強い室内などで重宝するでしょう。

通気性にすぐれている生地や、透け感がある生地などを使用して単衣として仕立てられます。

麻素材の夏羽織は、肌触りがよく、涼しく感じられ、カジュアルなシーンに向いているのが特徴。目の粗い絹素材の織物である絽や紗素材の夏羽織は、通気性が抜群で高級感もあり、フォーマルなシーンでも着用できます。

着物の羽織の種類【柄別】

羽織の柄デザインのタイプでも分類されることがあり、それぞれに適した着用シーンがあります。

近年では大きく分けて、絵羽織(えばおり)・紋付羽織(もんつきばおり)・黒羽織(くろばおり)の3種類の柄タイプが主流です。それぞれの柄の特徴を解説します。

絵羽織(えばおり)

縫い合わせの部分を跨いで、模様が大きく描かれてるように染められた生地を絵羽といいます。

生地の全面に、絵羽の模様がダイナミックに施されているタイプの羽織が、絵羽織です。かなり華やかな雰囲気を醸し出せる羽織で、お出かけ用として使用されます。

上品な柄模様の絵羽織なら、お祝いの席の晴れ着として着用が可能です。主張の強い個性的なデザインの絵羽織は、フォーマルなシーンよりも、気軽な外出のときに着用する方が向いています。

紋付羽織(もんつきばおり)

卒業式・結婚式などのフォーマルな場面で着用する黒色ベースの羽織が、紋付羽織です。

武士の時代や江戸時代では、それぞれの家紋が入った羽織を着ていましたが、現代では家紋に関係なくだれでも使える、柄のデザインとしての汎用的な紋が付いています。

下に着用する着物がフォーマル仕様ではない紋なしのアイテムであっても、その上から紋付羽織を着るならフォーマルなシーンでも問題ないくらい、格のある装いです。

黒羽織(くろばおり)

黒の羽織で紋が付いていないものが、黒羽織です。紋付羽織より少し格が低いので、使用できるシーンが広がります。

黒羽織は、シックな色合いでシンプルなデザインのブラックフォーマル仕様なので、普段着の着物の上に着用することで、訪問着としても使えるようになるのが特徴です。

黒いアウターは、さまざまなデザインの着物とコーディネートでき、1着持っておけば、幅広く使えるのが便利ですね。絵羽模様が付いている黒の羽織も黒羽織と呼ぶことがあります。

羽織以外のアウター

和装の際に、アウターとして羽織れるアイテムは羽織だけではありません。それぞれには、羽織とは違う使い方や着用するタイミングがあります。羽織以外のアウターも十分に使いこなすようにして、和装上級者の装いを楽しみましょう。

道行(みちゆき)

留袖や訪問着などの礼装の着物を着ているときに、コートの用途で着用するのが道行(みちゆき)です。

衿の形状が、首元が四角く開いた各衿という形になっています。また、打ち合わせ部分が垂直になっており、帯や紐ではなくボタンで留めるのも大きな特徴です。

着丈は、7分丈のものと5分丈のものがあり、寒さの程度などに合わせて選びます。コートなので、訪問先につく前に脱ぐのがマナーです。道行の生地の素材や色柄によっては、カジュアルに着こなせるものもあります。

道中着(どうちゅうぎ)

コート用途で使う和装で、よりカジュアルに着用できるのが、道中着(どうちゅうぎ)です。

着物と同じようなデザインで、腰の付近に付いている紐を結んで留めます。羽織は前部分が広く開いたまま着用しますが、道中着はしっかりと紐を結んで防寒できる点が特徴です。

また、前を簡単に脱いだり着たりできるので、普段着として愛用するのにもぴったりですね。

防寒目的以外にも、中の着物や帯が汚れてしまうのを防ぐために、屋外にいる間だけ着用するという使い方もあります。

和装コート

伝統的な道行や道中着だけでなく、和装のためにデザインされたいろいろなバリエーションのコートもあります。

たとえば、都衿は、道行の角衿に少し丸みを加えたデザインのコートです。用途は道行と同じですが、丸みがある分かわいらしいイメージがあります。

また、千代田衿は、道中着タイプのコートですが、衿のラインが曲線的に仕立てられているのが特徴です。カジュアルながら訪問着の上に着るコートとしても使えるデザインなので、1着持っていると重宝します。

ストールやマント

和装専用のアイテムでなくても、ストールやマントなどを、道行の代わりに着用したり、羽織と併用したりすることも可能です。

季節感に合わせた素材のものを選びましょう。冬の寒い時期なら、ファーやカシミヤ素材のものが使えます。春先の季節なら、シルク素材のもので気候に合った質感のものを選んでください。

そんなに和装を着用する機会が多くないなら、和装ではないときにも使用できるアイテムで代用できるのはうれしいポイントですね。

羽織の選び方

さまざまなタイプの羽織があるので、持っている着物に合わせて着用する羽織を選ぶのも簡単なことではありません。

ここからは、失敗せずに自信をもって羽織を着こなせるようになるために、羽織の選び方を3つのポイントにまとめて解説します。

季節やシーンにあわせて選ぶ

いろいろな素材の羽織がありますが、防寒性能がそれぞれ異なります。季節や気候に合わせて、適したあたたかさの羽織を選ぶようにしましょう。

冬の時期はシックなカラーであたたかい素材のものが人気です。春先なら、明るい色合いの季節を感じられる羽織がぴったり。

フォーマルな式に出席する場合と普段のお出かけの場合では、羽織の装いも異なります。品位のある服装が求められるシーンなら、おしゃれ感よりもよいマナーを心がけましょう。

サイズに注意して選ぶ

同じ羽織でも、異なる体型の方が着ると、見た目のイメージがだいぶ変わってしまいます。そのため、自分に合ったサイズの羽織をきちんと選ぶことが大切。

着用時のシルエットに大きく影響を与えるのは、身丈(みたけ)・裄(ゆき)・袖幅(そではば)・袖丈(そでたけ)です。

身丈は羽織の長さ、裄は衿の中心から袖口までの長さを指し、サイズが合っていないと、ダブついたり短すぎたりしてしまいます。袖の幅や丈サイズを間違えると、中の着物と合わなくなってしまい、美しいシルエットが保てません。

着物とのコーディネートで選ぶ

中に着る着物が明るい色づかいのデザインであれば、羽織は抑えめのトーンのアイテムにすると、着物を際立たせて見せることができます。着物も羽織も明るいトーンで合わせると、若々しくさわやかなイメージを演出できますよ。

着物が落ち着いたデザインのものであれば、明るめのデザインの羽織をチョイスすると、バランスの取れた装いで、お互いのカラーを引き立てるでしょう。着物も羽織も暗めのトーンなら、フォーマルな装いになります。

羽織と着物のコーディネートでより和装を楽しもう

羽織のアレンジをマスターすることで、帯付きの着物姿とは異なる新たな魅力を手に入れることができます。いろいろなタイプの羽織やコートがあるので、季節やシーンによって最適なアイテムを選びましょう。

和装は、古くからの日本の気候や文化に根づいた装いです。生活に取り入れることで、何気ない毎日のライフスタイルのバリエーションを増やせてより豊かになります。

手持ちの着物に、この記事で紹介した羽織を組み合わせて、もっと和装を楽しむのはいかがでしょうか。

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