晴れの日や、特別な日着用する着物。また、夏の風物詩である浴衣も、一度着用したものの、押入れのなかに眠っていませんか?
大切にしていた着物や浴衣も中古での需要があるため、買取店で売ることができるのです。
この記事では、着物や浴衣の買取情報からオススメの買取店をご紹介。着用しない着物や浴衣を持っている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
近頃の着物について
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日本の民族衣装「着物」。いつの時代から現在のような着物の形になったのかは定かではありませんが、古墳時代から着用されていた上下別れた二部式の服が、平安時代頃から現在の着物の形になったと言われています。
四季折々の文様が入ったあでやかな着物は、世界に誇る民族衣装ですが、残念なことに今、日本人が着物を着る機会は一生のうちに数えるほど。人によっては、浴衣しか着たことがないという方もいるかもしれません。
着物を着ない方にとっては、着物の保管場所や保管方法に頭を悩ませる方も多く、お母さまやお婆さまから大切な着物を受け継いだものの、着付けできなかったり、丈や袖が短く着用できないなど兎角やっかいな存在になってしまっている場合も多いようです。
一説によると、着物の古着市場は日本国内全て合わせると約40兆円にも上る巨大マーケットとも言われています。各家庭から買取された着物は、リサイクル着物として別の方が購入されることが多く、近年では外国人観光客が日本土産として大量に買い求めることも増えています。
また着物の柄によっては、洋服や小物に仕立て直したり、インテリアアイテムに利用される方もいて、布地として購入される方もいらっしゃいます。今回は、大変気になる着物の買取についてご紹介しましょう。
着物を売る方法
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着物を売るには、ネットオークションに出品する方法と、着物買取店に買取してもらう、主に2つの方法があります。以下に、各方法のメリットとデメリットを挙げましょう。
ネットオークションのメリットとデメリット
ネットオークションに出品する最大のメリットは、自分で希望値段をつけられること。セールスポイントを自分で記載したり、帯や襦袢、帯留めや草履など合わせたトータルコーディネートで出品することもできます。
デメリットは、実際に希望する価格で落札されるか分からないということ。古着という性質上、落札者からシミや皺などのクレームへの対応も場合によって生じるかもしれません。着物の状態がよくわかる写真撮影や、セールスポイントの記載、商品発送も人によっては煩わしいと感じるでしょう。売りたい着物が多く、遺品で受け継いだ場合などで着物について詳しくない方には、特におすすめできません。
着物買取店のメリットとデメリット
着物を買取してくれるお店は全国各地にたくさんあります。ブランドバッグや貴金属などと一緒に着物を買取する店ではなく、着物専門で買取しているお店を利用する方が、利用者の満足度は高いようです。
着物買取店で着物を買取してもらうメリットは、比較的短期間ですぐ現金で買取してもらえることと、着物に詳しくなくても、複数枚の着物を1度に売ることができることです。
買取店によって対応している買取方法は違いますが、主に3つの買取方法がポピュラーです。1つめは、実際にお店に持って行き査定後買取してもらう「店頭買取」。2つめは自宅で段ボールに着物を入れ、指定住所に送ると査定後買取してもらえる「宅配買取」。3つめは自宅にスタッフが来て査定・買取してくれる「出張買取」です。売りたい着物の枚数やお住まいの場所、ライフスタイルに合わせて、買取方法を選びましょう。
反対にデメリットは、反物を着る人に合わせてあつらえた1点ものの着物は、本や家電製品と違って、あらかじめおおよその買取価格がわからないということ。そのため、予想より実際の買取価格がかなり安いということも多いようです。
もちろん、査定額に納得できない場合はキャンセルも可能です。ただし、お店によってキャンセル時の手数料や返送料が掛かるお店もあるので、取引の前はよく確認しましょう。
買取できる着物の種類
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買取できる着物は、素材が正絹製や木綿、麻、綿麻の天然素材であること。また大島紬、結城紬、友禅、訪問着、購入してからあまり日が経っていない振袖、有名作家の着物は、比較的高値で買取されます。
モダン着物
マンガ「ハイカラさんが通る」などでお馴染みの銘仙、緋銘仙の大正ロマンの雰囲気漂う着物や、昭和初期につくられた昭和モダンと呼ばれるアンティーク着物も買取してもらえます。特におしゃれ着として着用する若い女性や、外国人観光客に人気があるようです。ただし昔の着物はサイズが小さいものが多く、買取価格が下がることもあります。
ロリィタブランドやカジュアルブランドからも「モダン着物」が販売されていることがあります。買取して欲しい場合は、ロリィタブランドの買取に力を入れている買取店にお任せするのが良いでしょう。
浴衣
肌に直接触れる浴衣は、未着用に限り買取可能と記載されているお店も多くあります。ただし、有名ブランドの浴衣に限っては数回着用していても買取してくれるお店もあるようです。直接お問合せしましょう。
反物
身体の大きさにあわせて仕立て上げられた着物より、ネットオークションでは、反物が最も高い値段で売れています。また着物をほどいて反物の状態に戻し、水洗いしたのち糊をつけなおす「洗い張り」した反物も人気があります。
帯や和装小物
帯は買取対象です。その他の和装小物は、状態によって買取できるものとできない物とがあります。お店に確認しましょう。
買取できない着物
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買取できない着物もあるので、気をつけましょう。買取できない着物は、着用できないほどひどく破けていたり、極端に太いサイズや、140cm以下の極端に小さいサイズの着物です。
ただし、ひどく破れている着物でも、つくられたのが江戸時代から昭和時代初期の場合は、ハギレの「古布」や、稀少な和更紗、古渡更紗などは「古裂」として買取してくれるお店もあります。
素材は、ウールやポリエステルなどの化繊や化繊混の着物は買取してもらえないか、非常に安い買取価格になります。喪服も買取してもらえません。
着物の買取で気をつけるポイント
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呉服店で反物を購入し、仕立ててもらうと数十万円から、品物によっては百万円以上もする着物ですが、売ろうとするとその値段の低さに驚かれるでしょう。着物を日常的に着用する方はどんどん減り、成人式などでも手軽なレンタル着物で済ます方が増えているため、中古の着物は市場でダブつき買取価格はかなり低いのが現実です。
押し買いに注意
「押し売り」ならぬ、「押し買い」(押買)が社会問題になっています。押し買いは悪徳商法の1つで、手法は常に変化していますが、自宅に押し掛け言葉たくみに金目のものを法外に安い価格で勝手に買取する手口です。狙われるのは、貴金属や車、バイク、宝飾品、骨董品が主で、着物も狙われています。
押し買いが社会問題化したことで、法の改正が進み、2013年2月以降は押し買いもクーリングオフの対象に含まれています。現在では、もし買取業者が出張買取や訪問買取などの名目で自宅に訪れ、着物を買取したとしても、契約後8日以内なら理由なく解約できます。
その間すでに、買取業者が別の会社に着物などを転売していたとしても、転売先に品物の返還を求めることができます。またクーリングオフの対象になるためには、契約した日付とクーリングオフについて記載された契約書を必ず交わしましょう。
業者と契約書を交わさなかったり、契約書にクーリングオフについての記載がない場合は、クーリングオフ出来ない場合もありますが、契約書の規定より法律が優先されるので、消費者庁等に相談しましょう。また契約の際には契約書を落ち着いてよく確認し、クーリングオフについて記載していない業者とはそもそも契約しないのが得策です。
着物の買取相場
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再三書いたように、着物の買取相場はかなり低いです。販売価格が高い、正絹で状態の良い訪問着や振袖でも買取価格は数千円から数万円の間。小紋や付け下げなどの販売価格が低い着物は、状態が良くても数百円から数千円の値段しかつかないこともままあります。
ただし、反物や有名縮(ちぢみ)、有名産地、人間国宝など有名作家の着物は高値で売れるものもあります。一例として、以下に着物買取店での買取価格を記載しますが、状態の良し悪しや柄等で買取価格はかなり変わります。
・中国刺繍 総相良手刺繍の帯 買取価格は7万円
・重要無形文化財 宮古上布 名古屋帯の買取価格は16万円
・石下結城紬 着物の買取価格は15,000円
・訪問着 反物の買取価格は15,000円
・初代久保田一竹の訪問着未使用の買取価格は40万円
着物の落札価格
ネットオークションでも多くの着物が出品されています。落札されない物も多くありますが、最近の落札価格の一部をご紹介しましょう。
・絹 金駒刺繍「亀甲花文」袷振袖の落札価格は969円
・小千谷ちじみ 麻着物の落札価格は2,200円
・大島紬 正絹の落札価格は2,000円
・木綿 浴衣 反物4本の落札価格は4,300円
・化繊 洗える着物 桜 小紋 未使用の落札価格は1,700円
・麻 宮古上布 反物は132件の入札を集めたのち落札価格は303,000円
・人間国宝 甲田綏郎 精好仙台平 反物は52件の入札を集めたのち落札価格は228,000円
・正絹 本場眞綿絢結城織 証紙付 袷 着物は69件の入札を集めたのち落札価格は126,000円
着物の買取価格を上げるコツ
買取価格に差がつく「証紙」
人間国宝や伝統工芸の有名紬は、それを証明する証紙や落款(らっかん)の有無が買取価格を上げるには必要不可欠です。その着物が人間国宝作家の作品と明らかでも、証紙がないと買取価格はさがってしまいます。
もし証紙が無い場合は、購入した呉服店や工房に着物を持っていくと、証紙を再発行してくれるところもあるようです。
きれいにしてから
保管状態が悪く、湿気でカビが生じていたり、シミ、傷がある着物は減額対象の主な理由です。防虫剤の強い匂いうつりも減額の原因になるので、買取前には陰干しし風をよく通して、カビや防虫剤の匂いを落としましょう。
皺が無い
きちんと畳み「たとう紙」に入れ、皺が無い状態で保管しましょう。着用した着物でも、クリーニングをして仕付け糸がついた着物も高価買取となる可能性が高くなります。
複数のお店で査定
1つのお店にすぐ決めるのではなく、複数のお店で査定してもらうとより高値で買取してもらえる可能性があります。また他店の査定額より上乗せしてくれるお店もあるので、複数のお店での査定は欠かせません。
まとめ売り
1着の着物では値段がつかないものでも、複数枚あるとまとめて買取してもらえる可能性があります。帯やバッグなどの小物とあわせて売るのもおすすめです。
着なくなった振袖はなるべく早く
地の色や柄など、その時代ごとの流行が出やすいのが振袖です。アンティーク着物と呼ばれる昭和初期までの振袖以降の、比較的新しい時代につくられた振袖はデザインの古さがどうしても目立ってしまい買取価格が低い傾向があります。振袖は、着物の流行が変わらないうちに、早めの買取がおすすめです。
忙しくない時に
引っ越し前や年末の大掃除の時期に慌てて売ろうとすると、足元を見られることが多いよう。あまり忙しくなく落ち着いた時期に、ゆっくり時間を掛けて信頼できる買取店を探しましょう。
着物の買取おすすめ店
たんす屋
リサイクル着物専門の一大買取販売チェーン店「たんす屋」。北海道から福岡まで、全国各地にお店があります。買取価格は低いという口コミも多くありますが、査定額のベースにすると良いでしょう。特に若い方や外国人が好きそうなカラフルでポップな柄の着物の人気が高いようです。
査定時、特に重要視されるのは着物の寸法、汚れの有無、地色で、買取された着物は丸洗いし、殺菌、抗菌、消臭加工したのち、場合によってシミ抜きなどをした後、全国のお店で売られています。
買取方法は「宅配買取」「店頭買取」「出張買取」の3種類。店頭買取は、その場で査定されるのではなく、着物は一旦預かり、東京本社にて査定し、約2週間後査定金額が知らされます。キャンセル時は、佐川急便で無料で返送されます。
「宅配買取」は、売りたい着物が複数あり、近所にたんす屋が無い方におすすめの買取方法です。運転免許証などの現住所を証明する身分証のコピーと買取申し込み書を必ず同封し、佐川急便の着払いで指定住所まで送ります。売りたい着物と帯が10点以上ある場合は、無料宅配キットが利用できます。
風楽
「風楽(ふうらく)」は一風変わった着物や個性的な着物が人気の着物買取・販売専門のネットショップです。出張料、送料、査定料は無料なので利用しやすいお店です。買取のお申込みとお問合せは、フリーダイヤルの電話と申し込みフォーム、ファックスが利用できます。
買取方法は「宅配買取」と「出張買取」のみ。出張買取は主に関東近郊が出張エリアですが、品物によっては全国に対応しています。プライバシーの保護の観点から、出張買取には社名が入っていない車で来てくれます。
宅配買取は無料宅配キットが利用でき、着払いが利用できるので送料は無料です。ただし、査定額に納得できない場合のキャンセル時の返送料は有料です。
着物の買取まとめ
photo by Jun Seita
アロハシャツのルーツは着物と襦袢の再利用だとか。世界中の人が憧れる着物が、肝心の国内で人気がないのはなんとも悲しい現状ですが、リサイクル着物を通じて、着物に興味がなかった若い方や外国の方も着物の美しさが伝わるとより良いですね。また冠婚葬祭や式典だけでなく、普段から難しいことは抜きにして、気軽に着物に親しめるよう近所の着物リサイクル店を覗いてみたくなりました。