プラチナは価値がなくなる?価格推移と価値に影響を与える要因

  • 2022年6月27日
プラチナは価値がなくなる?

プラチナは金などと同じように希少で価値のある貴金属です。しかしここ数年間は価格が下がっており、所有している方の中には大きな不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、本当にプラチナの価値はなくなってしまうのかを詳しく解説します。

過去5年間の価格推移や下落が続いた原因、プラチナの価値に影響する要因、今後上昇する可能性などについてもまとめています。

プラチナの価格は日々変わるので、適切な購入や売却のためには価値変動の背景を理解することが大切です。

プラチナを持っている方はもちろん、これから買おうか迷っている人にも参考になる内容なのでぜひ最後までご覧ください。

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プラチナの現在の価値

現在のプラチナ1グラムあたりの小売価格(税抜)は約4,500円です。(価格は2022年6月時点の値段であり、また店舗などによって多少変わる可能性があります。)
参考:貴金属価格情報|田中貴金属工業

ここ数年は金の人気が高まり、プラチナの価格は下落傾向にあったものの最近また少し価格が上がってきています。

2021年の7月以降は平均価格が常に4,000円を下回っていましたが、2022年3月以降の平均価格は4,000円台をキープしています。

プラチナの価値の推移

2022年に入ってからの価格推移と過去5年間の価格推移を見てみましょう。

2022年1月から5月までの価格推移は以下の通りです。(すべて1グラムあたりの税抜価格です。)

年月最高価格(円)最低価格(円)平均価格(円)
2022年5月4,1923,9484,041
2022年4月4,2403,8754,016
2022年3月4,3823,8564,058
2022年2月4,1043,8523,947
2022年1月3,8873,6213,757

2月以降は平均して4,000円付近で推移していますね。

続いて2017年から2021年の5年間における価格推移をみてみましょう。

最高価格(円)最低価格(円)平均価格(円)
2021年4,4813,3443,927
2020年3,6842,3213,114
2019年3,4382,8703,120
2018年3,6782,8153,215
2017年3,8163,2873,523

参考:貴金属価格情報|田中貴金属工業

プラチナの価格は2016年頃から大きく下落し、その後5年ほどは最高価格が4,000円を下回っていました。しかし2021年には6年振りに最高価格が4,000円を超え、2022年に入ってからも1月以外は4,000円を超えていることがわかります。

これらのことから、長らく下落していたプラチナの価値も底値を脱したのではないかという意見もみられます。

プラチナの価値はなくならない

プラチナは希少性が高い貴金属ですので、短期的に価格が下がることはあってもその価値はなくならないでしょう。

プラチナの産出量は年間約200トンです。同じく希少価値の高い金は年間約2,500トン算出され、これと比較するとプラチナは金の約10分の1程度しか1年間に採取されません。

さらに、まだ採掘されていないものも含めた地球上にある総量も、プラチナはとても少ないと推計されています。

金は約20万トン以上あるとされているのに対して、プラチナは約1万6千トンと推計されており、このことからもプラチナの希少性がわかります。

またプラチナは宝飾品以外に、工業用パーツとしての需要が高いことも特徴です。

このような希少性、利用価値の高さからプラチナの価値はなくならないと考えられます。

プラチナの価値がなくなると言われる原因

価格が下がり続けると、このままプラチナの価値がなくなるのではないかと不安になる人もいるかもしれません。
実際、そういった意見も少なからず見られます。

なぜプラチナの価値がなくなると言われるのでしょうか。
原因は次の2つが考えられます。

  • 金と価値が逆転したから
  • 金と比較すると下落傾向にあるから

それぞれ詳しく見ていきましょう。

金と価値が逆転したから

プラチナの価格がここ数年下落傾向にあったのに対し、金の価格は上昇しています。
そして2015年1月以降、金の価格とプラチナの価格が逆転しました。

金は価格が落ちにくい安定的な資産として買われることが多く、そのため特に不景気時に価格が上がりやすいのが特徴です。

2008年のリーマンショック以降、日米欧の中央銀行はそれぞれ大規模な金融緩和を行いました。

金融緩和政策がとられると貨幣の発行量が増え通貨の価値が低くなるので、資産を金などに変える人が増えます。

こうした結果、金の人気が高まり価値が上昇したためプラチナとの価値が逆転したのです。

金と比較すると下落傾向にあるから

金の価格が上昇している理由はお話ししましたが、それに対してプラチナの価格は下落傾向にあります。

これはプラチナと金の用途の違いによるものです。プラチナの用途は60%以上が工業用で、宝飾品としての利用は30%ほどになります。対して金は、宝飾品の材料が50%以上、投資対象が25%以上、産業資源は10%程度という内訳です。

プラチナは需要の多くが工業用に依存しているので、市場経済の影響を大きく受けます。
またプラチナは流通量が少なく生産国も限られているため、資産として不安定と考える人も少なくありません。

これらの理由から不景気のときは安定的な金の需要が高まるのに対して、プラチナの価格は下落する傾向にあります。

プラチナの価格が下がった理由

プラチナの価値がなくなることはありませんが、一時的に下落することはあります。

特にここ数年はプラチナにとってのマイナス材料がいくつか重なり、その結果大きく価格が下がりました。

具体的には次の2つが大きな理由だと考えられています。

  • 自動車向け需要の減少
  • 南アフリカの通貨「ランド」の下落

価格下落の原因を知っておくことは、今後の価格予想にもとても大切です。しっかりと確認しておきましょう。

自動車向け需要の減少

プラチナはディーゼル車の排ガス浄化装置の触媒として使われます。

触媒とは自らは化学反応を起こさず、他の物質に化学反応を起こさせるものです。プラチナは非常に劣化しにくい貴金属なので、触媒として優れています。

しかし2015年に「フォルクスワーゲン問題」と呼ばれる事件が発生したことで、触媒としてのプラチナの需要が激減しました。

フォルクスワーゲン問題とは、ドイツ大手自動車メーカーのフォルクスワーゲンが排ガス量を測定する試験で不正をし、ディーゼル車の環境性能を偽装していた事件です。

これによりディーゼル車の人気が落ち込み、同時に触媒として使われるプラチナの需要も減ったことで価格が大きく下落したのです。

南アフリカの通貨「ランド」の下落

プラチナの生産の約70%は南アフリカ共和国によるものです。

そしてコロナショックによって南アフリカ共和国の通貨「ランド」が下落したことでプラチナの価格も下落したとされています。

ランドの下落がなぜプラチナの価格に影響するのでしょうか。
それは、一般的に資源国通貨が下落すると、その資源国が産出する資源の価格も下落する傾向にあるからです。

金・銀・プラチナなどの鉱物資源や、石油・石炭・天然ガスなどのエネルギー資源を産出する国を「資源国」といい、その資源国の通貨を「資源国通貨」といいます。

プラチナでいえば南アフリカ共和国が資源国であり、ランドが資源国通貨です。

なので南アフリカ共和国のランドが下落したことで、プラチナの価格も下落したと考えられます。

プラチナの価値に影響を与える要因

プラチナは単なる宝飾品としてだけでなく、工業用部品としての価値もあるためさまざまな要因で価格が変わります。

具体的には次の3つから大きな影響を受けます。

  • 金融緩和
  • 自動車向け需要の変化
  • 水素社会実現に向けての動き

それぞれの背景を知っておくと正しい資産価値を判断する役に立つので、理解しておきましょう。

金融緩和

一つ目の要因は「金融緩和」です。
金融緩和とは金利を下げたり、貨幣の発行量を増やしたりすることで投資や消費を促す政策です。

すでにお話ししたように、金融緩和政策がとられると貨幣の流通量が増え、その分貨幣の価値が下がります。

そうなると預貯金で資産をもっているよりも貴金属に変えたほうが良いと判断する人が多くなり、結果的にプラチナなどの貴金属の価値が上がるのです。

また金融緩和によって金利が下げられると、お金を借りやすくなるので設備投資などに使われる資金が増えます。

プラチナは宝飾品よりも自動車の触媒など産業用としての利用が多いため、設備投資が増えると需要が高まり、その分価格も上がります。

自動車向け需要の変化

プラチナは自動車で使われる触媒としての利用価値が高い貴金属です。
「フォルクスワーゲン問題」で脱ディーゼル車が進んでいますが、エコカーにもプラチナは利用できます。

ですのでエコカーの普及が進めば、プラチナの需要も高まり価値も上がるでしょう。

またエコカー以外に、燃料電池自動車(水素自動車)でもプラチナは利用できます。
燃料電池自動車とは、水素と酸素の化学反応によって発生させた電気をモーターに流すことで走らせる自動車のことです。

最近は中国が燃料電池自動車の開発に力を入れており、2030年には100万台まで普及させる目標を掲げています。

ディーゼル車やエコカー、燃料電池自動車などが広く普及すればそれだけプラチナの需要も増え、価格にも影響を及ぼすでしょう。

水素社会実現に向けての動き

水素社会とは、日常生活や経済社会などに水素を利用する社会のことをいいます。

石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料の代わりに水素エネルギーを使うことで、二酸化炭素の排出を抑え、地球にやさしい環境を作ることができるのです。

欧州連合(EU)をはじめとした世界各地域で、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「50年実質ゼロ」目標が掲げられており、そのためには発電において化石燃料を使わない脱酸素化が欠かせません。

そして化石燃料に変わる新たなエネルギーとして注目されているのが「水素エネルギー」です。

水素を資源として活用するためには水素生成装置が必要で、この装置にプラチナが使われています。

水素社会が実現していくにつれて水素エネルギーへの転換が起これば、それに伴ってプラチナの需要が高まるのでプラチナの価格にも影響を及ぼすでしょう。

プラチナの相場が今後上昇する可能性は?

現在はコロナショックによる景気悪化や脱ディーゼル車の動きによりプラチナの価格は下がっています。しかし、今後プラチナの相場が上昇する可能性はあります。

景気回復によって自動車の生産台数が増えれば、同時に触媒として使用されるプラチナの需要も高まるでしょう。

さらに最近ではガソリン車の排気ガス浄化装置にもプラチナが使われるようになっています。現在ガソリン車の排気ガス浄化装置には「パラジウム」という貴金属が使用されていますが、触媒としての性能はプラチナの方が高く価格も安価だからです。

また先にお話ししたように水素エネルギーの活用にはプラチナは欠かせません。今後より水素社会の実現が進めば、プラチナの価格上昇の要因になるでしょう。

プラチナと金、資産としてもつならどっち?

コロナショックもあり、経済が不安定な現状では安定性の高い金の人気が高まっています。しかしプラチナは価格の上下が激しい分、上昇したときの利益は大きくなる可能性があります。

そもそも産出量から考えると、鉱物としての希少性は金よりもプラチナの方が高いです。
市場が安定し、改めてプラチナの価値が冷静に判断されるようになれば、プラチナの資産価値が上がるかもしれません。

最終的には自身で判断する必要がありますが、ここ数年続いていた下落傾向も最近は上向いているように思えるので、価格が下がっている今のうちに資産の一部をプラチナにしておくのは悪くない選択肢でしょう。

価格のチェックを欠かさずに

ここ数年間は価格が下がっているプラチナですが、排気ガス浄化装置の触媒としての利用価値は高く、今後その需要はますます高まっていくでしょう。

また世界的な脱炭素推進により、水素エネルギーへの注目が高まっていることもプラチナの価格には追い風になると予想されます。

それぞれの要因は長期的なものですぐにプラチナの価格には反映されないものの、長期的にみればプラチナの価格が上がる可能性は十分にあります。

それを考えると値段が下がっている今はプラチナの買い時かもしれませんね。

価格は世界経済の状況などによって変わるので、日々市場の動向に注意しておきましょう。

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