- プラチナ価格推移の予想を知りたい
- 市場におけるプラチナと金の違いを知りたい
- プラチナの需要について知りたい
プラチナを売るためには、できるだけ価格が高まるタイミングを予想したいですよね。「いつ売ればよいのか」「今後も高く売れるのか」と悩む人もいるでしょう。
プラチナは、価格推移の要因が金と異なるため、プラチナ独自の需要を念頭に置いて考えることで、価格推移を予想しやすくなります。反対に、金と同じ基準で考えると、価格推移の予想を大きく外す可能性があるでしょう。
本記事を読めば、市場におけるプラチナと金の違いや、プラチナの価格変動の要因について理解が深まります。ぜひ参考に、プラチナの売り時を検討してみてください。
プラチナの希少価値
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プラチナは希少価値が高い貴金属で、有史以来約7,200t採掘されており、地上の在庫は約5,000t、年間の産出量は約200tです。
一方で、金の有史以来の採掘量は約200,000t、年間産出量は約3,000t。採掘量や産出量を金と比較すると、プラチナのほうが希少性が高いです。
ところが、2024年4月時点における金1gあたりの買取相場は、10,000~12,000円前後であるものの、プラチナは5,000円前後で、金の半値程度の価格がついています。プラチナの希少価値は、資産価値に直結していません。
プラチナ価格予想の重要な要素
プラチナの価格変動にかかわる重要な要素は、2つあります。
- プラチナが使われる産業の需要
- プラチナ消費国の景気
プラチナは、ジュエリーよりも、工業に使われる割合のほうが大きいです。プラチナが使われている製品や産業の需要が変化すると、プラチナの価格もあわせて変動する可能性が高まります。
プラチナを消費している国の景気も重要な要素です。景気がよくなれば工業用品の需要とともにプラチナの価格が上がり、悪化すれば下落する傾向があります。
これまでのプラチナ価格推移
プラチナの価格は、これまでさまざまな変化に応じて変動してきました。
ここでは、2000年以降のプラチナの価格推移を、プラチナを取り巻く情勢の変化とあわせて解説します。実例とともに、プラチナの価格が上下するタイミングを見ていきましょう。
2000~2008年|プラチナの価格上昇
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プラチナはジュエリーの地金としても知られるものの、割合としては工業用途のほうが高く、特に自動車産業で排ガス浄化装置に使われることが一般的です。
2000~2008年までにプラチナ消費が増加した理由としては、「ディーゼル車ブーム」と「ヨーロッパの排ガス規制強化」が挙げられます。2つの社会情勢が、どのようにプラチナ価格に影響したかを見ていきましょう。
ディーゼル車ブーム
2000~2008年ごろに起きた自動車業界の変化が、ディーゼル車ブームです。
環境問題が注目されるなか、ディーゼル車の排ガスは環境負荷が高いとされていました。ところが、ディーゼル車の排ガス浄化装置内にプラチナを塗布し、排ガス中の有害物質を水と二酸化炭素に変えることで、クリーンなエンジンが開発されます。
ガソリン車よりもパワーがあることも起因し、特にヨーロッパでディーゼル車に注目が集まった結果、プラチナが重宝されるようになりました。
ヨーロッパの排ガス規制強化
1990年代初頭から強化されたヨーロッパの排ガス規制も、プラチナの価格に影響を与えています。
規制によって排ガス制限が厳しくなり、メーカーは基準をクリアした自動車を販売するために、エンジンの開発・改良に取り組まなければならなくなりました。
各メーカーが排ガス浄化装置の性能を向上させる過程で、プラチナの需要が高まったことが、価格の上昇につながっています。
2015年|フォルクスワーゲン問題による需要減
ディーゼル車ブームと排ガス規制によってプラチナの価格が高まったものの、2015年に起きたフォルクスワーゲンの不正問題によって需要が下がりました。
フォルクスワーゲンは、規制の基準値を超えた排ガス量のエンジンを搭載した約1,100万台の自動車を売り上げましたが、後に不正が発覚。
世界各国で、フォルクスワーゲンの自動車だけでなく、ディーゼル車に対する不信感が高まり、ディーゼル車ブームが終焉を迎えます。結果として、自動車業界でのプラチナの需要も大きく落ち込みました。
2020年|新型コロナウイルスによる価格下落
フォルクスワーゲン問題以外に、プラチナ価格の下落につながった出来事が、2020年からの新型コロナウイルスによるパンデミックです。
自動車の部品製造が盛んな中国が大きな打撃を受け、自動車産業も生産を縮小しました。世界各国で経済活動が停滞し、プラチナの需要と価格が下落しています。
コロナ禍によって消費者の行動も制限を受けたうえ、消費者心理も貯蓄に傾いたことから、市場そのものが一時的に縮小しました。
2021年~|世界経済の改善による回復傾向
2021年からは、コロナウイルスの影響で停滞していた世界経済の状況が改善され、プラチナの需要と価格も回復傾向を見せています。
世界経済が改善に向かった要因は、ワクチン接種者の増加によって感染症対策が進んだことです。世界各国でさまざまな行動の制限が徐々に緩和され、経済活動が正常化しました。
コロナ禍で貯蓄に傾いていた消費者心理が消費に移行し、市場自体が活気づいた点も、プラチナの需要拡大につながっています。
これからのプラチナ価格予想
2000~2021年は、自動車産業の変化やパンデミックなどによって、プラチナ価格が大きく変動した時期です。
ここでは、今後のプラチナの価格変動を短期・長期的視点から予想します。AIによる予想も交えて解説するため、自分で予想する際の参考にしてください。
2024年
2024年は、プラチナの価格が上がる可能性がある年です。ディーゼル車ブーム終焉後も、世界的に脱炭素社会を目指す動きがあり、依然として自動車産業でのプラチナの需要拡大が期待できるでしょう。
AIは、南アフリカやロシアなど、主要なプラチナ生産国の情勢が不安定なときには、プラチナの価格が上昇する可能性があると予想しています。ロシア・ウクライナ情勢が安定しない場合は、プラチナ価格が上昇するかもしれません。
また、AIは、市場が継続的なプラチナ供給不足に見舞われ、自動車産業が活発化すると需要が高まり、プラチナの価格が上昇するであろうとの予想も立てています。
2025年
2025年は、内燃機関の自動車において、プラチナ需要のピークを迎えると予測されている年です。2025年のピークを境に、プラチナの価格は、緩やかに下落していく可能性があります。
ただし、燃料電池自動車にもプラチナが使われており、徐々に需要が回復する見込みもあるでしょう。
AIによる予想でも、電気自動車やハイブリッド自動車に加え、燃料電池自動車(水素自動車)の需要が増加することで、プラチナの需要も高まるとの見方が優勢です。
20年後
プラチナ価格の変動を長期的に見ると、20年後にあたる2040年代にも、プラチナの需要と価格は伸びつづけるでしょう。
EUでは、2035年までに内燃機関車をすべて禁止する方針を打ち立てており、内燃自動車開発におけるプラチナ需要が低下するという見方が一般的です。一方で、2030年ごろには、プラチナを利用する燃料電池自動車の市場が大きく成長することが期待されています。
AIも、20年後には電気自動車や燃料電池自動車の普及が進むと予想。ただし、内燃機関車の需要減少と電気自動車の普及によって、自動車業界のプラチナ需要が低下する可能性があると予測しています。
プラチナの価格は上昇傾向が予想される
プラチナは、同じ貴金属の金と異なり、ジュエリーよりも自動車産業用の触媒としての需要が高い金属です。
今後、内燃機関車の生産量減少が予想されていますが、クリーンエネルギーを利用した燃料電池自動車の需要増加が見込まれています。どちらにもプラチナが活用されており、結果として、プラチナの価格は今後も上昇する可能性が高いでしょう。
自動車の搭載エンジンの変化には、自動車生産国のエネルギー政策もかかわっています。プラチナ価格の予想時には、各国の政治的動向にも着目しましょう。