日本料理をよそうのに欠かせない和食器。和食器は長い歴史と独自のデザインから、洋食器とはまた違う味わいを楽しめます。
和食器は種類豊富なところも魅力ですが、初心者の方だと、どうやって自分に合っている食器を選べばいいのか悩む方も多いです。そこで本記事では、和食器の魅力や種類・焼き物ごとの特徴などを紹介していきます。和食器が気になる方は、ぜひ参考にしてください。
和食器の魅力
和食器とは、日本料理に主に用いられている食器や器具の総称です。お茶碗や小鉢・丼・茶器・箸などが和食器に含まれます。和食器の魅力は、主に以下の3つです。
- 400年以上の歴史がある日本アート
- 日本人が使いやすい形
- 産地によりさまざまな個性がある
それぞれの魅力について、詳しく解説していきます。
400年以上の歴史がある日本アート
日本食器が生まれたのは400年以上前、時代でいうと安土桃山時代頃とされています。その頃はいまの日本食器とは違い、食事を盛り付けるご飯茶碗よりも、お茶を楽しむ茶器が主流でした。茶器は高級品だったため、一般の家庭は木の器を使っていたのです。
江戸時代末期から明治時代頃になると、一般家庭でもご飯茶碗が用いられるようになっていきます。それ以降、日本では価格・デザインともに幅広い種類の食器が生み出され、広まっていきました。長く受け継がれてきた伝統が、日本食器ならではの魅力を作り上げています。
日本人が使いやすい形
食器は大きく分けると、日本食器・洋食器に分かれています。洋食器は、平たい形状のお皿が基本で、ナイフ・フォークを使って食べることが想定されているのが特徴です。
日本食器の場合は、箸を使って食べる・手で持ち上げて使うことを想定した形や素材が用いられています。そのため、日本人が食事をするときに使いやすいです。生活に浸透しているからこそ気づきにくい魅力ではありますが、日本人に合わせて進化してきたのが日本食器と言えるでしょう。
産地によりさまざまな個性がある
日本食器は、作られた産地によってさまざまな個性があります。産地が違えば土・水が変わり、製造方法も変わるため、器それぞれに個性が出るのです。そのため、産地を意識して器を選ぶことでも楽しめます。
日本食器が有名な産地にはどのようなところがあるか、そしてどのような特徴があるのかは、この後解説していくので参考にしてみてください。
産地ごとの特徴を知ろう
日本食器は、大きく分けて2つの焼き物に分かれています。一つが、土っぽい質感を残したままにする陶器。もう一つがガラス質を含む石が砕いて混ぜられていて、ツルッとした質感になる磁器です。
陶器・磁器のなかから、産地ごとの特色がある食器にさらに分かれていきます。日本食器のなかでもとくに有名な焼き物の特徴を知って、食器選びの参考にしましょう。
【長崎県】波佐見焼
波佐見焼とは、長崎県波佐見町で生産されている陶磁器のことです。生産地が近いこともあり、もともとは「有田焼」として販売されていた過去があります。400年以上の歴史を持つ焼き物で、白磁に映える藍色が魅力です。日本の和食器のなかでも高いシェア率を誇ります。
【石川県】九谷焼
九谷焼とは、石川県で生産されている陶磁器。多色を用いた絵柄(上絵付け)が特徴です。豪快かつ華美な絵柄は、華やかな美しさがあり、目から楽しませてくれます。画風は窯ごとに特色があり、それぞれの画風に魅力を感じて、窯を意識して購入する方も多いです。
【佐賀県】有田焼
有田焼とは、佐賀県で生産されている磁器。有田焼の始まりは16世紀末と言われており、とても長い歴史を持っている和食器です。生産後の積み出しが伊万里港で行われていたことから、有田焼ではなく「伊万里焼」と呼ばれることもありましたが、現在は有田焼・伊万里焼と分かれています。薄く軽いのが特徴で、日常使いにも向いている食器です。
【栃木県】益子焼
益子焼は、栃木県で生産されている陶器です。もともとは日用陶器として焼かれていましたが、現在は民芸陶器としてその名が広がっています。厚みのある食器で、暖かみのある手触りと素朴な風合いが魅力。見た目にもシンプルな食器が多く、日常的に使いやすいデザインなのも、人気を集めている理由です。
【岐阜県】美濃焼
美濃焼とは、岐阜県で生産されている陶磁器の総称です。生産されている岐阜県東濃地方は、日本最大の陶磁器の生産拠点。国内で生産されている陶磁器の約5割が美濃焼とされているほど、国内シェア率が高いです。
時代ごとに人々の好みに合った釉薬を開発し、常に新しい様式を求め続けてきました。早い段階で大量生産を可能にしたこともあり、いまでは日本に欠かせない食器となります。
【岡山県】備前焼
備前焼とは、岡山県で生産されている焼き物です。釉薬を一切使用せず、絵付けを行わないのが特徴。飾り気のないシンプルかつ素朴な焼き上がりが持ち味になります。その素朴な仕上がりから茶人に高い評価を受け、桃山時代以降多くの茶器が生産されてきました。
1,200度を超える高温で焼き締めることにより、高い強度を誇ります。その強度は「投げても割れない」と称されるほどです。
【沖縄県】やちむん
やちむんとは、沖縄県で生産されている焼き物のこと。名前は沖縄の方言で「焼物」のことを指します。ぽってりとした厚みにパッと目を奪われる華やかな絵付けが特徴です。鮮やかな色味が持ち味で、特にコバルトブルーや飴色の作品が多く生産されてきました。
一般的な食器として用いられている「上焼」と、装飾の少ない壺などに使われる「荒焼」の2種類に分かれています。
和食器の種類
和食器は、用途に応じて種類が分かれています。主な和食器の種類は、以下の通りです。
- 飯碗(ご飯茶碗)・丼:米飯を食べる・陶磁器製が多い
- 汁椀:味噌汁・お吸い物など、蓋付の物はお祝い事やおもてなしに用いられる
- 箸置き:箸を置く小物、箸枕・箸休めとも呼ばれる
- 平皿:サイズに応じて大皿・中皿・小皿(豆皿)・角皿と分かれている
- 鉢:サイズに応じて大鉢・小鉢と分かれている、茶碗蒸しなどに使われる蓋物・そば猪口など
- 茶器:急須・土瓶・湯呑み茶碗
- 酒器:お調子・徳利・ぐい呑み・猪口
- その他:土鍋・醤油差しなど
和食器は洋食器と比べて種類が豊富にあるのが特徴です。用途に合った食器、好きなデザイン、焼き上がりの好みから選ぶ楽しさを味わうことができます。和食器が欲しいけど、どんな食器を選べばいいか悩んだら、上記の種類を参考にしてみてください。
和食器の選び方のポイント
和食器を選ぶ際には、以下の2つを意識して選ぶようにしましょう。
- シーンやよそうものを想像して選ぶ
- 収納することも考慮して選ぶ
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
シーンやよそうものを想像して選ぶ
和食器はご飯をよそう飯碗や、汁物をよそうのに向いている汁椀など、用途に応じて種類が分かれています。そのため、どんな物をよそう食器が欲しいのかを意識することで、家庭に合った食器を選びやすいです。
また、どのようなシーンで使用したいかを想像するのも、食器選びのポイント。来客があったときに使用したい場合は、少し品のある食器を選ぶなど、使うシーンを想像して選ぶようにしてみましょう。
収納することも考慮して選ぶ
和食器は種類が豊富なため、サイズも多種多様に分かれています。いざ購入しても、サイズが大きくて収納できない・形が特殊すぎて他の食器と同じように収納できないなど、収納の問題が起こることも。食器を収納することを視野に入れると、日常的に使いやすい食器を選びやすいです。
人気の和食器ブランド
和食器を選ぶ際に、意識したいのが作っているブランドです。和食器ブランドは、それぞれがこだわりを持った作品を作り上げており、日常使い・来客用にはもちろん、プレゼントにも向いています。ここからは、人気の高い和食器ブランドをチェックしていきましょう。
たち吉
- 和食器 京都 たち吉 はるか おもてなし揃 947-0718
たち吉は、1752年に京都で創業されたブランド。人々の生活に根ざしたものづくりを意識しており、暮らしのなかでほっと一息つけるような暖かみのある作品が特徴です。
白山陶器
- 白山陶器 長焼皿 青 重ね縞 (約)25×11cm KASANEJIMA 波佐見焼 日本製
- 白山陶器 平茶わん 紺 森正洋デザイン (約)φ15×5.3cm 波佐見焼 日本製 U-23
白山陶器は、1779年に創業された長崎県のブランドです。デザインから焼き上がりまでの工程を、自社内ですべて行っています。デザイン性の高さからグッドデザイン賞をはじめ、さまざまな賞を獲得しているのも特徴です。
東屋
東屋は、明治時代に創業されたブランドです。使い勝手の良さとモダンなデザインが魅力で、年代問わず使用しやすい食器を多数生産しています。毎日使いやすい、飽きがこないものを選びたい方にもおすすめです。
香蘭社
- 香蘭社 銘々皿 月ごよみ 14.5cm IB576-FXR 5枚セット レッド
香蘭社は、優雅さを感じる絵柄・デザインが魅力のブランドです。華やかな食器の数々は、日常使いにはもちろん、客用としてもふさわしく、プレゼントに選ばれることも多くあります。特に美しい白地に蘭の花が描かれた「春蘭シリーズ」は、その優美さから高い人気を誇る作品です。
KIHARA
- KIHARA 有田キハラ KOMON (小紋) 豆皿 梅鶴
- キハラ KOMON 豆皿5枚揃 季節柄 MAME9766-70
KIHARAは、有田焼・波佐見焼を受け継ぐ和食器ブランドです。伝統技術を軸に、現代のライフスタイルに沿った商品展開を行っています。シンプルながらデザイン性の高い商品が多く、日常使い用にもプレゼント用にもおすすめです。
松助窯
- 松助窯 職人の手でそ~っとくぼませた変型どんぶり ピンクウェーブ 食器
松助窯は、ミカゲ粗陶土で食器を作っているのが特徴のブランド。熟練の職人が丁寧に仕上げた器は、独特の色合いとぽってりとしたぬくもりを感じる質感が魅力です。シンプルながら淡い色合いの商品が多く、日常にほっこりとした可愛らしさを添えてくれます。
1616/arita japan
- 1616/arita japan TY Square Plate 90/130/160 ホワイト 3枚セット 有田焼
- 1616/arita japan TY Palace 160/220 2枚セット 有田焼
1616/arita japanは、2012年に誕生したブランドです。有田焼の歴史・魅力を引き継ぎながら、現代のデザインを組み込んだ新たな陶磁器を作り上げています。シリーズごとにデザイナーを迎えているのが特徴で、それぞれのシリーズごとに違った魅力を味わえるのもブランドならではの強みです。
能作
- nousaku 錫器 Kuzushi – Ori 中
- 能作 ぐい呑 約90cc [錫100%] 501270
能作は、富山県で生まれたブランド。富山県は国内有数の鋳物の町で、能作でも数多くの鋳物が作られています。優れた抗菌作用のある「錫」を用いた食器シリーズが有名で、食卓を引き締めてくれるクールな佇まいが魅力です。
miyama
- miyama コワケ 3つ仕切り皿 3枚セット 箱入り 日本製
- miyama イゾラ パレットプレート M 3枚セット 日本製
miyamaは、岐阜県の美濃焼を受け継いだブランド。1966年に創業以降、デザイン性にこだわったおしゃれな食器を多数作り上げています。男女や年齢を問わず使いやすい食器を多数取り揃えているので、伝統と現代の魅力を詰め込んだ和食器を求めている方におすすめです。
平戸松山
- 平戸松山窯 平戸青海桜 盛鉢 手描き 染付 有田焼
平戸松山は、長野県の伝統磁器「三川内焼」の技術を引き継いだブランドです。伝統を守りつつ現代ニーズに合わせた商品を展開しているのが魅力で、高級感のあるデザインが食材の魅力を最大限に引き出してくれます。白地に青色で施された優美な絵柄は、来客用・お祝い事にもぴったりです。
ぎやまん陶
- ぎやまん陶 コーヒーカップ&ソーサーセット 茄子紺ブルー
- ぎやまん陶 GIYAMAN-TOU 楕円中皿 W180×D140×H30mm 茄子紺 BLUE
ぎやまん陶は、藍色や深みのあるグリーンなどシックなカラー展開が特徴。現代風のデザインと和食器ならではの風合いがあり、高い人気を獲得しているブランドです。透明感と質感のあるモダンなシリーズの数々は、思わず単体ではなくセットで揃えて使用したくなる魅力があります。
おしゃれな和食器がそろう通販サイト
和食器が気になってきた方のなかには、どこで食器を購入すればいいか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ここからは、プレゼントにも最適な、おしゃれな和食器を揃えられる通販サイトをご紹介します。それぞれのサイトごとに特徴を解説するので、食器選びの参考にしてみてください。
大人の焼き物
大人の焼き物は、全国の窯元・作家の食器を店長がこだわってセレクト。大人が惚れる和食器と出会えるオンラインショップです。こだわりの検索機能により、サイトを利用した方が理想の食器と出会うサポートをしてくれます。メールマガジン・LINE公式アカウントから新着情報をキャッチできるのも魅力です。
大人の焼き物|公式サイト
うちる
うちるは、「おうちで楽しむ陶器市」をテーマにしているサイト。ほっこりかわいいうつわや、シンプルな佇まいのうつわなど。作風ごとにカテゴリ分けしてくれているので、なかなか言語化して検索しにくい作品の魅力を、カテゴリごとにチェックできます。うつわ初心者に向けたコラムもあるので、和食器初心者の方でも商品を選びやすいです。
うちる|公式サイト
おかずのうつわ屋・本橋
おかずのうつわ屋・本橋は、普段使いできる形・値段の和食器を多数取り揃えたオンラインショップです。作家・工房ごとの作品や、ランキングをチェックすることで、自分にぴったりの和食器を選ぶことができます。東京都世田谷に実店舗も構えているため、実物を見て選びたい方は、店舗の利用もご検討ください。
おかずのうつわ屋・本橋|公式サイト
和食器で食生活に彩りをプラスしよう
和食器は、日本人の生活に根ざした深い歴史と、独自のデザイン性が魅力です。用途ごとに多種多様の種類に分かれており、使いたいシーンやよそうものを意識することで、ぴったりな和食器を選べるようになります。産地ごとに特色があるので、それぞれの魅力を知りながら食器を選ぶのもおすすめです。実際に和食器を購入できるオンラインショップも参考に、和食器選びを楽しんでみてください。