大判で印刷や製本にも手間がかかっている、美術書は、通常の書籍よりもはるかに定価が高いもの。また、ジャンルも有名アーティストの手による画集や写真集、建築、骨董、デザインなどなど多岐にわたります。
ミリオンセラーとは縁遠い世界だけあって、古本市場に出回る数も少なく、ほぼすべてが希少本といってもいいほど。扱いも丁寧になる性質のものですから、状態が良いものが多く、高価買取となるものも珍しくありません。
しかし、ショップによって得意不得意がはっきり分かれるジャンルだけに古本店を選ばないと、論外ともいえる安値で手放さざるを得なくなるもの。
ひょんなことから譲り受けた美術書を買取ってもらうならば、その分野に明るい査定担当者がいるお店でないと、正統な値段は付きません。
そして、新しい持ち主も見つかりやすいですから美術書も幸せなはずです。
東京で、いや日本で古本といえば……
出版社も多く集まる千代田区神田神保町は、多くの作家にも愛されてきた本の街。古本店も、ただ古書を扱っているというだけでなく、様々な得意文化に分かれて共存しています。
アイドル専門、映画専門などなど観て歩くだけでも楽しい神田の古本店ですが、美術書、それも特定のジャンルに深い造詣をもったお店も集まっています。
そんなお店を以下に紹介していきましょう。
ただし、査定の前に来店予約が必要だったり、着払いで美術書を送ることができなかったりと、最近はやりのオンライン古書買取専門店のようにはいきません。
しかし、美術書を買取ってもらうならば、本来の価値のわかる店。神田を中心に攻めてみるのがいいでしょう。
美術書が得意な神田の古書店
小宮山書店
こじんまりとした店舗が多い神田の古書店の中で、堂々たる店構えのショップが特長なのは「小宮山書店」。
中3階のフロアまるごとが、美術書のコーナーになっており、品ぞろえは実に豊富。買取ってもらって後に、お気に入りの美術書を見つけて連れて帰るのも楽しそうです。
神田の古書店にはめずらしく、店頭・宅配・出張の3通りの買取方法が選べますので、電話やメールでまずはお問い合わせを。
直接店頭での相談にも乗ってくれます。
住所千代田区神田神保町1-7
ボヘミアンズギルド
美術書や貴重書など全般に出張買取も積極的におこなっている、夏目書房の神田支店といった趣は「ボヘミアンズギルド」です。
画集や図録などの美術書はもちろん、美術館系の評論も充実した店内は、アーティスティックな雰囲気が充満しつつも、電灯色の照明が暖かな空間です。
店頭買取も実施中ですので、秘蔵の美術書を片手に立ち寄ってみましょう。コーヒーのサービスもあるそうです。
住所千代田区神田神保町1-1 木下ビル1F・2F
南洋堂書店
あまりにもシンプルなWebサイトが、かえってお洒落なムードを漂わせるのは「南洋堂書店」。こちらは、建築関連書籍専門として、その道のかたがたには非常によく知られたショップです。
小さいながらも存在感がある店構えが特徴ですが、それもそのはず名のある建築家が手がけた物だとか。このようなショップですから、建築関係の美術書の買取には非常に強いと評判です。
しかし、事前に電話やメールでの問合せが必要。元払いでの宅配買取や店頭での買取もおこなっていますが、来店時には電話などでの予約が必要です。
住所千代田区神田神保町1-21
文献書院 ブンケン・ロック・サイド
アイドルや女優・俳優関係の雑誌のバックナンバーや写真集が専門の「ブンケン・ロック・サイド」。ロック関係の洋書も非常に強く、ロックバンドのオフィシャル写真集やヴィンテージギターの写真集などの美術書も扱っています。
ロックと時代の関係性は切っても切れないもの。当時の風俗の貴重な記録という側面でも、ロックの写真集の愛好者は多いものです。
昔夢中になったバンドの写真集やコンサートパンフ、雑誌もまとめて買取ってもらえます。宅配もしくは店頭で対応中ですので、まずは電話での確認を。
住所千代田区神田神保町2-3
風月洞書店
磁器や陶器、木金工、仏教美術、武具・庭などなど骨董に関する美術書の古書専門店は「風月洞書店」。
ご家族の方がお茶や華道をたしなまれていた、こんな場合に意外と家にあるのが、この手の美術書。興味がいまひとつ涌かないならば、手元においておくよりは大切にしてくれるであろう次の方に譲るほうが、美術書にとっても幸せなはずですね。とりあえず、メールや電話で相談してみるのがよさそうです。
最近では店主のコレクションである骨董品の販売も始めたといいますので、骨董趣味のある方はぜひ!!
住所千代田区神田神保町1-15 清田ビル1F
飯島書店
書道や東洋美術、石碑から写し取った拓本などを専門に扱い、近年では中国本土から足を運ぶお客も多いのが「飯島書店」。
有名書家の作品集などの豪華美術本などの扱いでは定評があり、書道を教える先生を多く顧客に持つといいます。
もちろん買取にも力を入れていますが、買取希望のリストをファックスや郵便、メールなどで伝えることが必要です。
町の書道の先生などが身内にいて、蔵書を山ほど譲られたのだが、途方にくれていて……こんなケースには非常に力になってもらえるショップです。
店舗は先述の「ブンケン・ロック・サイド」の2階になります。
住所千代田区神田神保町2-3
美術書を買取してもらう時のまとめ
古本の街、神田神保町は細分化したジャンルのショップが揃っているだけに、美術書もお店によって高価買取が期待できます。
まとめて買取を依頼した方が、高価買取となるケースが多いようなので、一気に処分・じっくり商談をしたほうが良い結果が出るはずです。
絶版系の希少本は、アマゾンなどのサイトであらかじめ市場価格を調べておくと、参考になります。
注意したい点は、必ずしも売りたい人の利便性を第一に考えてくれていない点。ショップの人員を最低限で回しているせいでしょうか、買取一つでもまずは電話をする必要があるお店がほとんどです。
かつ、お店ごとの特性や買取のルールも決まっています。
それぞれを理解したうえで、双方にとって良い結果になる買取を楽しみにしましょう。