最近は、若い人を中心にフィルムカメラの人気が再燃し、カメラ女子と呼ばれる新しい分類のユーザーも増えつつあります。
戦前、世界的に有名なカメラメーカーであるライカをモデルに護国シリーズなどの高級カメラを販売し、戦後はオリンピックシリーズでコンパクトカメラの先駆けともなったリコーですが、現在でも当時のフィルムカメラの人気は安定しています。昨今のフィルムカメラブームの再燃を受けて中古市場では品薄状態が続いており、買取ショップによっても大きな価格の差ができているのが現状です。
そんなリコーのフィルムカメラの買取に迫りました。買取価格、査定基準、高く売るコツなどをまとめています。
リコーのフィルムカメラの説明
リコーとは
リコーは主に事務機器、光学機器などの製造を行っているメーカーですが、同時にカメラの老舗でもあり、1930年代から現在に至るまで数々のカメラを作り続けてきました。フィルムカメラ・一眼・二眼・デジカメと幅広いラインナップですが、今回はとくにリコーのフィルムカメラに着目していきます。
フィルムカメラって?
デジタルは被写体をデータとして記録するのに対し、フィルムは被写体を光でフィルムに焼き付けます。それゆえにデジタルでは出せないある種の「ゆらぎ」がフィルム写真にはでて、それが独特の表現力になっています。
デジタでは無数にカメラ設定ができるのに対し、フィルムカメラの場合は、ピント、シャッタースピード、絞りのみを設定するとてもシンプルな使い方です。制限の中で表現を見つけるという楽しみがフィルムカメラの魅力でもあるのでしょう。
フィルムカメラには、35mmフィルムカメラ・中判カメラ・大判カメラの3種類があります。一般的に使われるのは35mmフィルムカメラです。次では、リコーの35mmフィルムカメラの人気機種と買取価格をご紹介します。
リコーのフィルムカメラの人気と買取価格相場
リコーXR500
当時としては破格な3万9千8百円という定価設定で、一眼レフをプロのカメラではなく誰もが持てるカメラに変えたのがXR500です。
買取価格
残念ながら今回の調査では買取価格を調べることができませんでした。しかし中古販売価格の相場は、状態によりますがおおよそ4,000円〜6,000円台が多いようです。よって買取価格はそれを下回る程度かと考えられます。
リコー R1
ボディの厚みを25mmにすることに成功した、当時としては小型・軽量・最薄のフィルムカメラでした。日本を含めて世界で5つのグランプリを獲得するなど、その魅力は全世界をとりこにしていました。
買取価格
調べた結果、6,000円と出している買取店が見つかりました。市場に出回っている数がとても少ないため、高価買取が期待できそうです。
リコー GR1
R1に対し、より高度なカメラファンが納得できるカメラとして開発されたのがGR1です。GRシリーズはフィルムカメラの時代がうつっても、そのコンセプトを保ち続けてデジタルカメラへと受け継がれてきました。
買取価格
8,500円を買取価格として提示している買取店が複数見つかりました。すでに生産中止しておりもはや入手が困難であることに加え、生産中止後、マニアが買い占めてしまったことが原因で、やはり中古市場でも流通数が少ないモデルです。
フィルムカメラの査定基準
ここでは、フィルムカメラの査定基準をリコーの買取価格を交えて分析していきます。デジタルカメラなどとは違い、フィルムカメラにはフィルムカメラの査定基準がありました。
完動するか
一般的にフィルムカメラの場合は、完動することが条件です。歴史的、学術的な価値があるもの以外の撮影できないカメラはジャンクとして扱われてしまいます。また、現在銀塩フィルムを使用するカメラは国内外を問わず、非常に少なくなっています。そのため、購入するには中古市場が中心になることもあり、どのショップでも買取は積極的に行っているのが現状です。
上位機種は高価買取
当然、上位機種で状態が良ければ買取価格も期待できます。例えば、リコー製品ですとRICOH GR-1sが発売当時90000円前後だったものが、現在では20000円前後で買取されているのに対し、発売当時1300000円だった上位機種のRICOH GR-21の場合は、55000円前後の買取価格となっているのです。
致命的な故障の場合
カメラとしてシャッターがおりないなどの致命的な故障の場合はジャンクとして判断され、厳しいところでは、査定額は90%以上もマイナスになってしまいます。カメラという精密機械は、写真が撮れてはじめてカメラとしての価値があるのです。
外観のへこみ・傷
さらに、製造が中止になっている品番が多いのもこの業界の特徴で、修理が効かないという理由から外観などの傷やへこみも、思ったより大きなマイナス査定を受けてしまうことがあります。そのためにも、インターネットなどの一括査定サービスをお願いして、少しでも多くの業者に見積もりを出してもらうことをお勧めします。
また、カメラの機能については、やりこんだ人間でなければ判断の付かない故障やアクシデントがあります。最初に記入するカメラの状態診断書で不明な部分は正直に分からないと記入しておきましょう。
買取強化中のモデルとメーカーは?
フィルムカメラは、使用するフィルムの大きさに合わせて3つに分類されます。一般的に販売されているフィルムを使用する35mmフィルムカメラ、ブローニフィルムという少し大きめなフィルムを使用する中判フィルムカメラ、そして、4☓5インチ以上のフィルムを使用する大判フィルムカメラです。
人気なのは35mm
この中で、中古市場がもっとも活発なのは、使い勝手のいい35mmフィルムカメラになります。このシリーズには、各社とも名器と呼ばれるものが多数存在していて、中には、一世風靡した機種も少なくありません。
メーカー別では?
メーカー別に見てみると、現在でも数少ないフィルムカメラであるF-6を製造しているニコンのF-100やFMシリーズ、レンズ交換はできませんが、2倍ズームが付いているコンパクトカメラの代表的機種であるフジフィルムのナチュラクラシカ、プロ用一眼レフとして人気を博したCanon New F1、チタン外装ボディを採用した重厚感あふれる外観が人気を集めたオリンパスのOM-4Ti、カメラマニアなら一度は持ってみたいライカのM2クロームボディ、そして、超広角レンズを採用し発売当時はプロも唸らせたリコーのGR-21などは、現在でも高い人気を誇っており、買取価格も期待できるでしょう。
古くても大丈夫?
フィルムカメラは、当時の日本の高い技術力の結晶的商品で、メイドインジャパンのカメラは重要な輸出品目のひとつでもありました。そのため、故障が少なく、製造から100年近く経っていても遜色なく使用できる機種が少なくありません。ですから、やはりメーカーというよりは、モデルによって査定額が変わると考えておいた方が無難です。
高価買取のポイントとは
日頃のメンテンナンス
フィルムカメラを少しでも高く買取ってもらうには、やはり日頃からの扱いとメンテナンスが重要です。今さら言っても手遅れかもしれませんが、撮影時には必ずストラップを使用し、落下には十分注意する。保存場所には常に注意し、特に湿気によるカビなどが発生しないようにするなどといった基本的なことはしっかりと守っておくことが必要です。
事前診断書とは
カメラを事前査定などに出す場合、流れ的にはまず、事前診断書のようなものを提出するケースが多いです。カメラの状態や動作確認、外観の傷やへこみなどを指定されたフォーマットに記入していき、そこで、まずおおよその返答をもらいます。カメラの場合は、写真を撮影することができない動作不良の場合は、ジャンク品として処理されてしまいます。
また、本人が気にならない程度の傷であっても、意外に査定に響くこともあるのです。査定をお願いしたのはいいけれど、希望額と大きな隔たりがあってキャンセルしたなどというような事がおきないように、予めこのような診断書を提出するわけです。
掃除は必須
とりあえず、商品を送って査定してもらう段階に来たら今一度、カメラの状態をきれいに掃除しておきましょう。
まず、レンズはクリーニング液をティッシュなどに染み込ませて優しく拭きます。もし、レンズペンを持っているのでしたら綺麗に仕上げておきましょう。フィルムカバーや、ファインダーの溝などは爪楊枝や綿棒を使って汚れを落としていきます。この時、強くこすらないことがポイントです。レンズに使ったクリーニング液などを使って根気よく作業しましょう。
最後にボディ全体を専用クロスで拭きあげて完成です。やはり、綺麗に手入れがされているカメラは査定にも違いが出てくるものです。
まとめ
最近のカメラブームに乗るように、フィルムカメラの人気もまた再燃しています。少しでも高く買い取ってもらうためにも、査定を利用する場合は細かい部分までクリーニングし、きれいな状態で見てもらうようにしましょう。
今や希少価値すらあるリコーのフィルムカメラ、せっかくなら欲しい人に使って欲しいですよね。良いカメラは寿命が長いです。ぜひ生かせてあげましょう!