宝石カットの種類とその特徴|タイプ別おすすめの選び方も

  • 2024年6月25日
この記事で解決できるお悩み
  • 宝石のカットの種類と特徴が知りたい
  • 宝石購入の際に理想に近いカットを選びたい
  • 自分に合ったカットの宝石を知りたい

本記事では、宝石のカットに関する基本知識、ジュエリーの印象を決定づけるシェイプの種類と特徴、タイプ別におすすめのカットを紹介します。

宝石のカットは、単に形状を整えるだけでなく、宝石の種類ごとにその性質を利用して、美しい輝きを最大限に引き出す技術です。その方法にはさまざまな種類があり、それぞれ異なる特徴と魅力があります。宝石のカットは、デザインや輝きはもちろん、価値にも影響を与える重要な要素です。

宝石のカットについて詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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宝石のカットは大きく分けて7種類ある

宝石は、カットによって透明感や色味、輝きなど、その美しさが最大限に引き出されると、宝石としての価値が原石の何倍にも上がるのです。そのため職人たちは、その宝石にもっとも適したカットを選び、研磨します。

現在、数多くある宝石のカットのベースになっているのが、次に挙げる7種類です。

  • ファセットカット
  • カボションカット
  • ビーズ
  • タンブリング
  • スフィア(球)
  • プレート(平板)
  • ラフカット

ジュエリーによく使用される宝石のカット2種類

ジュエリーに多く使用されるのが、ファセットカットとカボションカットです。2つのカットはまったく異なるもので、主に宝石の種類によって使用される方法が変わります。ここでは、それぞれのカットの特徴や、どのような宝石に使われるかなどを詳しく見ていきましょう。

ファセットカット

ファセットカット
ファセットカットとは、宝石の表面に平らなカット面が多数ある多面体で、光の反射や屈折により宝石の内部からキラキラと輝いているように見せるカット方法のことです。

ファセットとは日本語で切子面、つまりカットされた面のことをいいます。基本的にダイヤモンドなどの透明な宝石に用いられ、カット面がさまざまな角度で組み合わさって、幾何学的な形をしていることが特徴です。

宝石そのものの風合いを活かすというよりは、石を輝かせることに重点を置いたカット法といえます。

カボションカット

カボションカット
カボションカットとは、宝石をなだらかなドームのような半球状に磨き上げ、石そのものがもつ模様や色を活かすカット方法のことです。

主に、不透明や半透明な宝石に使用されます。代表的なのは、翡翠、オパール、トルコ石、キャッツアイ、タイガーアイなどです。

また、透明な石に対しても特殊な効果を引き出すために施されることがあるほか、角がすり減りやすいやわらかい石に対して、強度的な理由からカボションカットが用いられることもあります。

ファセットカットを大まかに分類した4種類

ファセットカットは、ブリリアントカット、ステップカット、ミックスドカット、そのほかに大きく分けられます。現在ではさらに細分化し、カットの種類も多様です。

それぞれのカットの特徴や、代表的なカット方法などを解説します。

ブリリアントカット

ブリリアントカット
ブリリアントカットは、伝統的なカット法で光の反射と屈折を最大限に活かし、美しい輝きを生み出すために開発されたカット方法です。

数学的に計算されたバランスの良い輝き具合が特徴で、別名アイデアルカットとも呼ばれ、カラーストーンの色味を強める効果もあるといわれています。

ダイヤモンドなどの宝石によく用いられるカット方法として知られている、ラウンドブリリアントカットや、マーキスカットなどもブリリアントカットの一種です。

ステップカット

ステップカット
宝石の外周が四角形などの直線的な形に研磨されていて、カット面が角に沿って平行に削られているものをステップカットといいます。横から見ると下部が「階段状=ステップ」になっていることから、この名前がつきました。

代表的なステップカットには、エメラルドカットやアッシャーカットなどがあります。

一般的には、単体よりもいくつも並べることで魅力を発揮するカットです。婚約指輪などで、メインの宝石を彩る周囲の小粒なサイドストーンとして人気があります。

ミックスドカット

ミックスドカット
ブリリアントカットとステップカットの両方の特性を備えたカットを、ミックスドカットといいます。別名はハイブリッドカットです。

一般的にはクラウン(上部)にブリリアントカット、パビリオン(下部)にステップカットが使われます。ブリリアントカットの溢れるような輝きの視覚効果と、ステップカットのデザイン性を合わせた、良いところ取りのカットといえるでしょう。

ブリリアントカットとステップカットを組み合わせたミックスドカットの代表といえば、プリンセスカットです。

そのほか

ここでは、上記の3つに該当しないファセットカットの代表的なものを紹介します。

ジルコンカットジルコンカットラウンドブリリアントカットを少し変形させた形で、宝石の下部に8つのカット面がある多面体。宝石のジルコンの魅力を引き出すために考案されたが、ダイヤモンドにもよく施される。
コンケーブカットコンケーブカットコンケーブはくぼみの意味で、円すい型にカットして隣り合うカット面同士に角度をつけ、間に溝をつくるカット方法。ダイヤモンドやクォークなど、透明で明るい宝石によく用いられる。
ブリオレットカットブリオレットカットしずくのような形で、宝石の表面が小さなカット面で覆われているカット方法。サファイアなどのカラーストーンに施されることが多い。高度な技術が必要で難易度が高い。

カボションカットを大まかに分類した3種類

カボションカットには主に、シングルカボションカット、ダブルカボションカット、ホローカボションカットがあります。カボションカットだからこそ引き出せる宝石の特殊効果があることが、魅力のひとつです。それぞれのカットの特徴などを解説していきます。

シングルカボション

シングルカボション
シングルカボションカットは、底面が平らで表面のみが磨かれているものです。曲線を描いており、横から見るとドームのように見え、半円形をしています。

ネックレス、イヤリング、指輪など、さまざまなアイテムでよくみられるものです。

ダブルカボション

ダブルカボション
ダブルカボションカットとは、底面と表面が同じように磨かれているものです。横から見ると、卵のように楕円形をしています。

シングルカボションカットを2つ、背中合わせにくっつけたような形をしていることが特徴といえるでしょう。

ホローカボション

ホローカボション
ホローカボションカットは、半円形の宝石の底面が、くぼんだ形をしているカットのことをいいます。

内側に向かってくぼませることで空洞ができて、光を通しやすくしているので、明るく見えるところが最大の特徴です。

宝石のカットのなかでも珍しい種類

ここまでは、ファセットカットとカボションカットという、ジュエリーに多く使用されているカット方法について解説してきました。しかし、宝石にはほかにも珍しいカット方法が存在するのです。

ここでは、珍しい宝石カットについて紹介します。

ビーズ

ビーズカット
ビーズカットは、宝石をさまざまな形や大きさに成形加工したあと、糸通しの穴を開けたカット方法のことをいいます。

研磨技術が発達する以前は、宝石のもっともメジャーなカット方法であり、紀元前のジュエリーにも、糸通しの穴がある小さな飾り玉があしらわれていました。

素材は、透明から不透明のものまで幅広く使用されています。

スライス

スライスカット
スライスカットとは、宝石を板状に削り出した、その名のとおり薄くスライスしたようなカットのことをいいます。

表面の面積が広いので、芸術的なインパクトが強いことが特徴です。個性のある柄や色を、存分に堪能したい人におすすめといえるでしょう。

平らで薄くカットされているため、宝石の厚みがなく、リングなどの加工にも適しています。

タンブリング

タンブリングカット
タンブリングカットは、原石を研磨剤と一緒にドラムに入れて回転させ、表面を滑らかに仕上げたカット方法のことです。

カットというと、人間の手による計算され尽くされたものが多いイメージですが、タンブリングカットの場合は、原石の形をあえて残しながら、石の色味ややわらかい輝きを引き出しているところが特徴といえるでしょう。

カメオ・インタリオ

カメオ・インタリオ
原石を板状に加工したあとに、彫りを施したものをカメオとインタリオといいます。

カメオは図柄を浮き上がらせる「浮き彫り」で、インタリオは図柄が沈んでみえる「沈み彫り」です。石の縁を基準に、図柄の高さによって区別されます。

カメオはイギリスのヴィクトリア時代から女性向けジュエリーとして普及しました。インタリオは、手紙などの封蝋に押すスタンプなどに施されていましたが、のちにジュエリーにも使用されています。

宝石のカットとは別に形を左右する要素「シェイプ」

シェイプとカットはよく混同されがちですが、違いを理解しておくと理想のジュエリー選びに役立ちますよ。

カットは宝石の形ではなく、バランス・対称性・カットと研磨の完成度を指します。

シェイプは、宝石を上から見たときの形状のことです。一般的に知られているのはラウンド(円形)で、それ以外の形状のものを総称してファンシーシェイプといいます。

ここでは、代表的なシェイプを紹介します。

ラウンドブリリアントカットラウンドブリリアントカット円形で、もっともスタンダードな人気のシェイプ。宝石の輝きを最大限引き出す細かいカットが特徴。
プリンセスカットプリンセスカットほぼ正方形で、カットが細かく輝きに高貴な美しさがあることから名づけられた。
エメラルドカットエメラルドカット元々、エメラルドをカットするために開発された。透明度の高い宝石に使用すると、宝石本来の色を際立たせる。
オーバルカットオーバルカット楕円形をしていて、ラウンドブリリアントカットに近い特徴がある。丸みがありやわらかいイメージ。
クッションカットクッションカット枕のようなふんわりした四角形で、ピローカットとも呼ばれる。角の丸みが特徴。四角形のシャープさとやわらかさを併せ持つ。
ハートシェイプカットハートシェイプカットハート型の形状。究極の愛のシンボルといわれ、女性の魅力を引き立てる愛らしいデザイン。
マーキスカットマーキスカットラグビーボールのような長円形で、葉っぱや花のつぼみを連想させる形状。
ペアシェイプカットペアシェイプカット洋ナシのような形状。別名ドロップ、ティアドロップ。上部が細く下部が丸いため、揺れるタイプのジュエリーによく使われる。
アッシャーカットアッシャーカット正方形で角に丸みを帯びていることが特徴。カッティング面が広く透明感がある。
ラディアントカットラディアントカット四隅がカットされた四角い形。細かい輝きが特徴。ラディアントは華やかさ、光り輝くなどの意味。

宝石カットの種類別|こんな人におすすめ

宝石のカットにはさまざまな種類があり、どれが自分に合うのか、どんなカットの宝石を選べばよいのか、迷ってしまいますよね。そこで、どんな人にどんなカットが合うのか、おすすめを紹介しますので、参考にしてください。

宝石の輝きを重視する人

<おすすめのカット>

  • ラウンドブリリアントカット
  • プリンセスカット
  • オーバルカット
  • ラディアントカット
  • コンケーブカット

宝石の輝きを引き出すカットといえば、ラウンドブリリアントカットが世界的に有名です。それ以外にも、上記のカットはどれも、最大限に美しい輝きを引き出すために、理論的・数学的に反射や屈折率が計算し尽くされ、細かいカットが施されています。

やさしい印象を与えたい人

<おすすめのカット>

  • ラウンドカット
  • オーバルカット
  • ハートシェイプカット
  • クッションカット

ラウンドカットとオーバルカットは、丸みのある形状をしていて、やさしげな印象です。

ハートシェイプカットは、ハート型をしているところから、愛らしさ、かわいらしさを感じさせ、女性らしさが演出できます。

クッションカットは、四角形でありながら角のとれた、ふんわりとした形がやさしい印象です。

スタイルアップ効果がほしい人

<おすすめのカット>

  • マーキスカット
  • オーバルカット

2種類とも細長いカットなので、「ストライプ柄の服を着ると細く見える」という視覚効果と同じような効果が期待できます。指を細く長く美しく、胸元をすっきりさせて見せたい、という人におすすめです。

リングの太さを替えることで、華奢な印象にもなりますよ。

個性的な宝石を身につけたい人

<おすすめのカット>

  • ハートシェイプカット
  • マーキスカット

ハートシェイプカットは、もっともロマンチックなカットといわれ、そのユニークな外見は、強い存在感でコーディネートの主役となるでしょう。

マーキスカットは、葉っぱのような特徴的な形をしており、組み合わせるとお花や蝶のモチーフになります。1石でスタイリッシュに、複数石で個性的でかわいらしくと、さまざまな楽しみ方ができることも特徴です。

自分に合った宝石カットの種類を見つけよう

宝石のカットに関する基本知識、ジュエリーの印象を決定づけるシェイプの種類と特徴、タイプ別におすすめのカットを紹介してきました。

宝石のカットは、宝石の種類ごとにその性質に合った加工を施し、宝石の魅力を最大限に引き出してくれます。

宝石の種類で購入するジュエリーを決めるのもよいですが、お気に入りのカットを見つけて、そのカットに合う宝石を探すというのも、選択肢の幅が広がって素敵な買いものができそうですね。

本記事の画像の出典:カラッツ Gem Magazineジュエリースクエアジュエリークラフトジュエリーノートブリジャール

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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