2018年(平成30年)10月24日より、古物営業法の改正がスタートしました。全部で7つの改正が行われましたが、なかには新たに申請手続きが必要なものなどもあります。
今回は、改正されたなかでも特に買取店が押さえておくべき3つポイントについて解説します。
古物商の改正について
仮設店舗の届け出について
今までの古物法だと、自分が届出を出している営業所での買取か、もしくはその依頼をしたご本人の住まいでの買取しかできないルールだったんです。
それが改正後は、事前に申請をしていれば仮設店舗でも買取を行えるよっていう改正なんです。
コメ兵さんとコメダ珈琲店さんが”コメコメコラボ”っていうところで、去年の10月28日とかにコメダ珈琲店さんの入口前にコメ兵さんのキャンピングカーを停めて、そのキャンピングカーの中で買取をするっていうのをやったんですよ。期間内で500名の買取ができたんです。
コメ兵さんみたいに資金力があってSEO対策もゴリゴリにしてたとしても、まだまだリーチできてないユーザーがかなりいるっていうことなんです。
許可単位の見直しについて
改正前はそれぞれの営業所ごとに届く県が違うのであれば許可が必要だったんですけど、改正後は主たる営業所の許可さえ持っていれば、それ以外の都道府県の営業っていうのは申請するだけでよくなったんです。
つまりどういうことかというと、店舗を拡大する・違う地域に対してエリアを拡大していくということがめちゃくちゃ容易になったんです。
許可については、私ここで営業しますよと言って申請した後に公安委員会から「そこでじゃ営業していいですよ」っていう許可が必要なんです。なのでスピード感が全然違うんですよ。
主たる営業所等の届出について
2020年3月31日までにこの主たる営業所等の届出を行う必要があります!
古物商を改正した理由は?
つまりおよそ50万件ぐらいしか本当は買取業務を行ってないんじゃないかと。20万件の人達は買取の古物商の許可を貰ったんだけどもう全く古物の仕事してないから、その人達を廃業するんだったらちゃんと廃業させたいと。
それは先程の7割しかアクティブじゃないのにも繋がるんですけど、これってめちゃくちゃコスト掛かるんですよね。
なので一つの企業さんが複数の営業所の登録をしていて、本来だと今まで10通送らなきゃいけなかったのが1通で済むようになると。
今回は3つご紹介をさせていただきましたけど、1つ目の仮設店舗で買い取るができるようになるっていうのはめちゃくちゃ熱いですよね!
今キャンプ買取熱いから、キャンプ場へ出向いてそこでそのまま買取やりますよって。だから海の家でサーフボード買い取るとか、雪山でスノーボード買い取るとかそういうこともこれからできるようになるよね。
古物商改正のスタートについて
平成30年4月25日に、古物商業法の一部が改正され、すでに平成30年10月24日より一部が施行されています。
もともと、古物商法が制定されたのは昭和24年で、盗品の売買防止、速やかな発見を目的として制定されました。
近年、フリーマーケットアプリやインターネットオークションが盛んに行われるようになり、古物を扱う事業者が増加した背景を受け、古物商許可を得るための手続きを簡便にして市場の活性化を図りつつ、安全に古物取引ができるようにという目的のもと、今回の改正が行われています。
全面的に施工されるのは令和2年4月1日とされていますので、まずはそれまでに自分がやるべき手続きがないかどうかをチェックしていく必要があるでしょう。
今回の改正により、見直しがあったのは「営業制限の見直し」「簡易取消しの新設」「古物商許可が取れない欠格事由の追加」「非対面取引における本人確認方法の追加」「帳簿の様式について」「主たる営業所等の届出」「許可単位の見直し」の7点です。
今回は「主たる営業所等の届出」「営業制限の見直し」「古物商許可が取れない欠格事由の追加」について詳しく見ていきましょう。
主たる営業所の届出について
まず、令和2年3月31日までに行われなければいけないのは、「主たる営業所の届け出」についてです。
主たる営業所が存在する都道府県公安委員会に「主たる営業所等届出書」という書類の提出を行う必要があり、これを期限内に行うことによって改正後も許可を得て営業が出来るようになりました。
すでに営業許可を受けている人であっても、主たる営業所の届け出を提出していない場合は要注意です。
もし提出し忘れてしまうと無許可営業となり、3年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金が科せられたうえで、5年間は許可の再取得が出来なくなる可能性があるので、必ずチェックするようにしましょう。
また、複数の営業所で古物営業を行っている場合でも、必ず1つ主たる営業所を決めて、その営業所が存在する都道府県の公安委員会に提出しなければいけません。
事業所がある全ての都道府県の公安委員会に提出する必要はありませんので、1度だけ届け出を行えば手続きは完了となります。
なお、登記事項証明書上の本店と主たる営業所が異なっていても問題ありませんので、あくまでも古物営業の中心となる営業所がどこかということを見据えて、どの公安委員会に提出するかを見極めましょう。
営業所が1つしかない場合は、そこを主たる営業所として定めて提出すれば問題ありません。
施行日直前は窓口の混雑が予想されますので、早めに手続きを済ませてしまうのがおススメです。
また、手続きには法人代表印(個人営業の場合は個人印)が必要です。
行政書士など代理人が届け出をする場合は委任状も必要となりますので、忘れずに持参しましょう。
営業制限の見直しについて
古物商業法の改正以前は、古物商が古物商以外の者から古物を受け取る際は、古物営業所または取引をする相手が住んでいる場所のみに限られていました。
しかし、改正に伴って仮設店舗でも古物を受け取ることが出来るようになっています。
具体的には、露店やフリーマーケット、デパートの催事場などが仮設店舗に当てはまりますが、あくまでも簡単に移動ができる店舗であるかどうかというのが判断の基準とされています。
既存の店舗を1日だけ借りたり、継続的に使える店舗で行ったりする場合は、仮設店舗ではなく営業所として判断さえてしまうケースがあるので注意が必要です。
とはいえ、都道府県の枠を超えて古物の受け取りが可能となる規制緩和法案なので、古物商にとってはビジネスチャンスを広げる絶好と機会だと言えますね。
仮設店舗での古物営業を行うに伴い、3日前までに管轄の公安委員会に「仮設店舗営業届出書」を提出し、日時や場所について届け出る必要があります。
ここで注意したいのは、提出先はあくまでも営業を行う仮設店舗がある都道府県の公安委員会に届け出る、という点です。
郵送での受付は行っておらず、不備があると差し戻されてしまって当日までに再提出が間に合わないケースもありますので、余裕を持った提出が必要です。
簡易取消し制度の新設
古物商としての営業を許可されているにも関わらず、実態は古物商を営んでいないという事業者が増加していることを受け、簡易取り消し制度が新設されることとなりました。
古物商業界においては、特に盗品の流通について細心の注意を払う必要がある中、実態と合わない営業許可が散見されてしまうと許可証の悪用などに繋がる恐れがあるため、これを防ごうとする目的があるようです。
これまでは古物商の所在が確認できないという状態になってから3ヶ月以上が経過し、且つ公安委員会の立証による聴聞を開かないと許可の取り消しが出来ませんでした。
今回の改正により、古物商の所在が確認できなくなってから30日を経過しても申し出がない場合、許可の取り消しを行うことが出来るようになったのです。
こちらは2018年10月24日から施行されており、現在も順次見直しが入っている最中です。
古物商許可が取れない欠格事由の追加
欠格事由の追加により、古物商の許可を得ようと申請しても許可が取れないケースが増えるようになりました。
本来古物商に許可を与えるようになった背景には、盗難品の流通を防止して被害を少なくすることにあるため、こうしたリスクのある事業者には許可を与えないように明文化されるようになったのです。
具体的には、暴力団員やその関係者、窃盗罪で罰金刑を受けた人は古物商としての許可が得られないようになっています。
もともと、禁固刑以上の刑や財産犯で罰金刑に関わる前科を持っている人、破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない人、住居の定まらない人、過去に古物営業法違反で古物商の許可を取り消されてから5年が経過していない人などには許可が出されていなかったのですが、暴力的不法行為がある者、という文言にて暴力団員も排除するよう変更となりました。
より安心して古物商取引ができるように制度が変更となった、ということですね。
まだの人は期限前に必ず見直しを!
古物商業法の改正によって変わる7つの項目の中でも、「営業制限の見直し」「簡易取消しの新設」「古物商許可が取れない欠格事由の追加」「非対面取引における本人確認方法の追加」「帳簿の様式について」「主たる営業所等の届出」の6点についてはすでに施行されています。
残りの「許可単位の見直し」については令和2年4月1日からのスタートとなりますが、大切なポイントとなるのは、今年の3月31日までの「主たる営業所等の届出」が完了しているかどうかです。
古物商を営む全事業者が対象となり、忘れてしまうと営業ができなくなるだけではなく罰金などの刑が科せられる可能性もあるため、必ずチェックしておきましょう。
ただし、それだけ忘れずに行ってしまえば、今回の改正は古物商にとってメリットがかなり多いという側面もあります。
全国展開を検討している古物商や、デパートの催事場での取引を検討している古物商にとっては事業がやりやすくなるだけでなく、手続きも以前よりかなり簡素になっているため事務手続きをする際の煩雑さがなくなったというのも嬉しいポイントですね。
古物市場が活性化され、新しいビジネスチャンスとなることも増えそうです。