小判には何種類あるの?発行年や特徴を詳しく解説

  • 2024年10月19日
この記事で解決できるお悩み
  • 小判にどんな種類があるか知りたい
  • 小判と大判の違いを知りたい
  • 小判の価値を知りたい

小判の種類とその特徴をはじめ、発行年や歴史的価値も紹介!それぞれの違いをわかりやすく説明します。また、小判の買取相場についても触れているので、既に小判を持っている方も必見です。

小判の収集や売買を検討している方々にとって、役に立つ情報が盛りだくさん。小判の基本情報から詳しい情報や価値を知りたい方はもちろん、買取を検討している方もぜひ参考にしてみてください。

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小判とは

小判とは、おもに江戸時代に日本国内で使われていた貨幣です。現代の千円札などと同様に、通貨の役割を果たしていました。

小判よりも前に通貨として登場したのが大判です。大判は、戦国時代に豊臣秀吉の命令で造られましたが大金としての役割しかなく、一般市民の間ではほとんど流通しませんでした。

江戸時代に入り、徳川家康が貨幣制度の全国統一に乗り出します。この際に発行されたのが小判で、一般市民の間で流通する貨幣となりました。小判の見た目は楕円形。慶長小判、元禄小判など種類は豊富ですが、金額はどれも一両で統一されています。

現代における小判は、希少価値が高い品物のひとつです。特に、古い時代に製造された小判は金の純度が高い傾向にあり、かなりの高額買取が期待できるでしょう。

江戸時代に発行された小判の種類

小判が貨幣として流通した江戸時代では、累計で10種類の小判が発行されました。

それぞれの時代で発行枚数や金の純度、特徴などが異なるため、持っている小判がどれに該当するのか、見分けられるようにしておきましょう。

慶長小判(けいちょうこばん)

「慶長小判」は、1601年(慶長6年)に発行された江戸時代初期の小判です。約94年もの長い間発行された小判であり、総発行枚数は14,727,055枚にも上ります。

慶長小判の特徴は、ほかの小判と比べてサイズが大きいこと。表面に刻まれた茣蓙目(ござめ)にも種類があり、模様で発行時期を判断することも可能です。

また、金の純度も86.8%と一番高く、当時は貨幣のなかでも立派なものでした。

元禄小判(げんろくこばん)

「元禄小判」は、1695年(元禄8年)に発行された小判です。発行期間は1710年までと短いですが、慶長小判に迫る13,936,220枚を発行しています。

この時代は、幕府の財政難に加え金の採掘量が極端に減り、小判を発行できない状況に陥っていました。そこで小判の量を維持するため、金の含有量を減らしたのです。

その結果、元禄小判は金の純度が56.41%と慶長小判を3割ほど下回る低品質に。耐久性は劣っていたものの、江戸時代の経済を支えた存在感ある小判です。

宝永小判(ほうえいこばん)

「宝永小判」は、1710年(宝永7年)から約3年間のみ発行された小判です。

元禄小判で問題視された低品質を改善すべく、金の純度は84.3%まで戻しています。ただ、相変わらず金不足の状況が続いていたため、小判のサイズを小さくすることに。そのため宝永小判は、元禄小判と比べてひと回りほど小さいことが特徴です。

発行期間は3年と短いですが、累計11,515,500枚も発行されています。

正徳小判(しょうとくこばん)

「正徳小判」は、1714年(正徳4年)に発行された小判です。

これまで続いていた低品質の小判を本来の質に戻すため、新井白石の提案のもと誕生しました。その結果、評判の良かった慶長小判にサイズを戻し、金の純度も84.3%を保つことに成功。しかし、実際は慶長小判に劣る質で不評が相次ぎ、わずか4か月で発行停止になりました。

正徳小判は発行枚数が213,500枚と少ないうえ高品質なため、江戸時代の小判では一番希少価値が高いとされています。

享保小判(きょうほうこばん)

「享保小判」は、1714年(正徳4年)に発行された小判です。享保という名は次の年号であり、早期に発行停止となった正徳小判と区別できるように付けられたと考えられます。

享保小判は、材料に質の低い元禄小判や宝永小判を用い、今度こそ質の高い小判を目指して発行されました。

結果的に、金の純度を慶長小判と同じ86.8%まで回復させましたが、今度は貨幣の流通量が低下する事態に。経済全体にダメージを与え、発行は8,280,000枚にとどまりました。

元文小判(げんぶんこばん)

「元文小判」は、第8代将軍の徳川吉宗が指揮を執る1736年(元文元年)に発行された小判です。

当時は経済困難に陥っており、安定化させるべく小判の増量が求められました。しかし、金の取れる量が年々低下していたことから、質の悪い純度65.7%の元文小判を流通させます。

これまでの失敗から批判が懸念されましたが、功を奏し経済の安定化に成功したのです。発行期間は約90年と慶長小判に次ぐ長さで、一番多い17,435,711枚も造られました。

文政小判(ぶんせいこばん)

「文政小判」は、1819年(文政2年)に発行された小判です。裏面に草書体で「文」の文字が刻まれていることから、草文金とも呼ばれています。

江戸時代に発行された小判のなかでも、文政小判は金の純度が56.4%ともっとも低いです。そのため、現代においても価値はそれほど高くありません

また、文政小判には献上用に造られた特別なものも存在します。通常の流通用とは異なり枚数が少ないため、価値は10倍ほど高いです。

天保小判(てんぽうこばん)

「天保小判」は、1837年(天保8年)に発行された小判です。この時代から金の延ばし作業を手作業から機械に変更したため、凹凸のないきれいな小判に仕上がっています。

しかし、依然として金は取れないので、金の純度は56.8%と低いままです。累計発行枚数は8,120,450枚と多く、現代でもあまり価値は高くありません。

ただし、天保小判も枚数が少ない献上用があり、「大吉」と刻印されたものは通常の10倍ほど価値が高いです。

安政小判(あんせいこばん)

「安政小判」は、1859年(安政6年)に発行された小判です。

当時は日本が開国をしたころであり、洋銀と引き換えに小判が海外へ大量流出していました。それを少しでも阻止するために、金の純度を56.8%に保った小ぶりの安政小判を発行。しかし、アメリカに反対を押し切られてしまい、発行はわずか3か月で停止にいたりました。

そのため発行数は351,000枚と少なく、金の純度が低い割に希少価値が高いです。

万延小判(まんえんこばん)

「万延小判」は、1860年(万延元年)に発行された江戸時代最後の小判です。ほかの小判と比べて極端にサイズが小さく、実質的に金の量を減らしています。

その結果、洋銀と同等の価値になったため、金の海外流出を抑えることに成功しました。しかし、引き換えに幕府の統制力はなくなり、江戸幕府は終焉を迎えます。

万延小判にも「大吉」と刻印された献上用が存在しますが、流通用も含めて全体的に価値は高くありません

江戸時代以前に発行された小判の種類

小判が一般的に流通したのは江戸時代ですが、実は江戸時代より前に発行された小判が2種類存在します。もし現代で見つかった場合は特にプレミア価格がつくものなので、持っている小判が該当するか確認してみてください。

駿河墨書小判(するがすみがきこばん)

日本最古の小判と言われているのが「駿河墨書小判」。江戸時代の小判とは異なり、表面に書かれた「京目壱両・駿河」の墨書きと、丸みの強い楕円形が特徴です。

駿河墨書小判は、安土桃山時代に発行されたことは判明しているものの、つくった人物が徳川家康なのか、豊臣秀吉の家臣である中村一氏なのかははっきりしていません。

現在まで数枚しか確認されておらず、買取相場は数百万~数千万円と希少価値が非常に高い小判です。

武蔵墨書小判(むさしすみがきこばん)

「武蔵墨書小判」は、駿河墨書小判と同じ時代に発行された日本最古とも言える小判のひとつです。表面には「武蔵壹两光次」と墨書きされており、江戸時代の小判に近い楕円形の見た目をしています。

発行枚数が少ないうえに、後年は武蔵墨書小判を回収して新たな小判が造られたため、買取相場は数百万~数千万円と非常に希少価値のある小判です。

小判の種類を区別するものは?

小判の種類を区別するためには、どのような点に着目すればよいでしょうか。ここでは、発行年や製造方法、刻印の違いなどのポイントをまとめました。それぞれの特徴を理解することで、各小判の歴史的価値や稀少性を見極められるでしょう。

大きさ(サイズ)

日本の小判は多様で、約12種類も存在します。しかし、多くの場合、手のひらサイズに収まる小判が一般的です。そのなかでも、特に目立つのが直径約8.9センチという大きめのサイズが特徴の「天保五両判金」でしょう。

一方、「万延小判金」は約3.3センチと小さなサイズで、かわいらしい印象を与えます。このように、小判はそのサイズによっても識別が可能です。多くの場合、手のひらサイズであれば、通常の小判と判断できるでしょう。

おもて面の横線

小判のおもて面には、横線が多数入っており、「槌目(つちめ)」と呼ばれます。槌目が分かりやすい小判として挙げられるのが「慶長小判金」です。槌目がデザインや文字に重なっており、間隔も狭い「細目打ち」と呼ばれる特徴があります。

細かさと密度の高さにより、デザインや文字がぼんやりとみえる点が、ほかの小判との違いです。おもて面の槌目は、製造方法や時代によって異なるため、横線を詳細に観察することで小判の製造年代や真贋を見極める手がかりにもなるでしょう。

うら面の刻印

おもて面だけでなく、うら面の刻印も、小判の識別をするうえで重要な判断材料です。特徴的な文字などがある刻印は、製造年代や地域によっても異なります。うら面の刻印を調べることで、小判の種類を判断してみてはいかがでしょうか。

1.花押印(かおういん)

花押印は、小判によく見られる特徴的な刻印のひとつです。当時の権力者や地域の象徴的な印章でもあります。小判の製造者や発行者を示す重要な要素です。例えば、花押印に「家紋」や「家名」があれば、それは特定の武将や大名の所領を表す可能性があります。

また、特定の時代や地域において用いられた花押印がある場合、それを元に製造年代や地域を特定できるでしょう。そのため、花押印は小判の研究や収集の際に重要な情報源となります。

2.極印(ごくいん)

極印は小判が発行された時代を表します。たとえば、極印に「保」の文字がある小判であれば、天保小判です。また草書体の「文」があれば、文政小判である可能性が高まります。花押印の右上に刻印されていることが多いようです。

極印小判の種類
天保小判
元禄小判
宝永小判
佐渡小判
文(真書体)元文小判
文(草書体)文政小判
天保小判
安政小判

3.座人印(ざじんいん)

座人印は、小判の製造者や鋳造所を示す重要な要素です。これらの印章にも多様なデザインや文字が用いられています。たとえば「座」や「人」の文字が組み合わされたものや、特定の家紋が刻まれたものなどです。

これらの印章は地域や時代によりますが、小判の製造に関わった人物や組織を特定する重要な手がかりとなるでしょう。また、座人印を通じて、小判の製造の背景や流通経路を解明することにも繋がります。

小判と大判の違い

同じ金貨として知られている小判と大判ですが、ふたつは似て非なるものです。おもな違いは、以下の3つがあります。

  • サイズ
  • 用途
  • 表面のデザイン

誰でも簡単に見分けることができるので、それぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

サイズ

大判と小判は同じような形をしていますが、サイズはまったく異なります。有名な金貨を例に挙げると、慶長大判が長さ約15cmなのに対し、慶長小判は長さ約7.5cmと2分の1の大きさです。

ただし、小判の大きさにはバラつきがあり、なかには大きい「天保五両判(てんぽうごりょうばん)」や、雛小判と呼ばれる小さい「万延小判(まんえんこばん)」などもあります。

用途

大判1枚で小判10枚分と言われるほど、大判はとても高価なものです。サイズも大きく日常使いに適していなかったことから、おもに恩賞用や贈答用として利用されました。

一方で、小判は流通を目的として製造されたため、サイズも小さく一般市民が売買で扱えるものです。

このように、大判と小判は同じ通貨であるものの、使い勝手からおもな用途が異なります。

表面のデザイン

大判と小判は、表面のデザインに決定的な違いがあります。それは、手書きか印かです。

大判は大金であるがゆえ、品質を保証する後藤家代々のサインが手書きで「墨書き」されていますが、小判は大量生産しやすいように手書きをあらため「極印」が押されています

そのほか、大判と小判は時代ごとにデザインがやや異なりますが、大判には大胆な墨書きがあるということを覚えておきましょう。

小判の特徴

大量の貨幣

小判は大判と見た目が異なるだけでなく、大きくわけて以下3つの特徴があります。

  • 大判よりも流通量が多い
  • 主に日常の貨幣取引に使われていた
  • 発行年によって金の含有量が異なる

それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

大判よりも流通量が多い

小判は大判と違い、一般的に流通させることを目的として造られました。そのため、手書きで墨書きされた大判よりも圧倒的に流通量が多いです。

当時に大量発行できた理由は、練られた構想にあります。額面をすべて一両、品位も一定に統一したほか、製造工程もシンプルに一新されました。

時代ごとに新しい小判が発行されたため、現在もコレクター需要が非常に高いです。

主に日常の貨幣取引に使われていた

小判は、徳川家康による貨幣制度の全国統一を目的として発行されたため、おもに日常の貨幣取引に使われていました。大判よりもサイズが小さく持ち運びやすいという特徴から、商人や庶民にとって便利な存在だったことは間違いないでしょう。

ただし一説には、小判一両も高価で庶民には手が出しにくく、普段は銀や銅で買い物がされていたと推測されています。

発行年によって金の含有量が異なる

小判の額面はすべて一両に統一されていましたが、実は発行年によって金の含有量が異なります。

慶長から元禄時代に移り変わり、金の採掘量はかなり落ち込んでいました。幕府は財源と小判の生産数を維持するため、金の含有量を減らすことを決断します。

元禄小判の金の含有量は57.36%で、慶長小判の84.29%に比べて3割以上も少ないです。結果的に差額は幕府の財源に回り、経済効果も上がったとされています。

【種類別】小判の買取相場

種類買取相場
慶長小判(駿河座)1,600,000円
元禄小判(短元)2,500,000円
宝永小判1,200,000円
正徳小判2,300,000円
享保小判500,000円
元文小判160,000円
文政小判155,000円
天保小判155,000円
安政小判500,000円
万延小判80,000円

※2023年1月27日時点の価格です

小判について知り、正しい価値を理解しよう

金貨に詳しくない方は、小判と大判の違いもよくわからないでしょう。江戸時代の小判には10種類あり、それぞれ時代背景や特徴などが異なります。

また、小判の価値を決めるにあたり、金の純度は重要です。江戸時代初期の慶長小判はサイズが大きく純度も高いため、特に高価買取が期待できるでしょう。そのほか、発行枚数が少ない小判も希少価値があります。

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本記事の画像・買取実績・価格・口コミなどの出典
出典:月の金貨

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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