金の作り方|金鉱石を製品に加工するまでの流れや精錬方法

  • 2024年5月22日
この記事で解決できるお悩み
  • 金の作り方を知りたい
  • 金の作り方の歴史を理解したい
  • 金の価値が高い理由を知りたい

金の作り方に興味を持っている人の多くは、金に対して「価値が高い」「高級品だ」というイメージを持っているでしょう。

金が高値で取引される理由のひとつは、希少性の高さです。金製品を作り出すうえで多くの工程を経ている点も、金の価値の高さにつながっています。

本記事では、金の作り方の流れを紹介するので、金を作るうえでどのような作業が行われているのか、ぜひ参考にしてください。

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金の作り方を理解するうえで重要な「冶金」

冶金(やきん)とは、金・銀・銅などの金属を鉱石から取り出し、特殊な加工をして金属材料を作る作業のことです。

「金」という文字が使われているため、金を鉱石から取り出して加工することだと誤解されがちですが、金だけでなくほかの金属に対しても使われます。

ここでは、冶金の歴史や種類について確認しましょう。

冶金の歴史

冶金の歴史は古く、紀元前5000年ごろの新石器時代までさかのぼります。

初めに冶金の技術が発展した金属は、銅です。自然銅を溶融・鋳造する方法が発見されたことをきっかけに、銅の製造技術が発展しました。

紀元前1500年ごろには鉄が発見され、冶金技術がさらに発展していきます。

中世では、水車を利用することで、従来の技術では不可能だった金属材料の大量製造が可能になりました。

錬金術とは

金は古くから、希少価値が高く、富の象徴とされてきました。貴重な金を、安い鉛などの金属に鉱物を混ぜ合わせ、化学薬品や熱を加えることで作り出そうとした研究が「錬金術」です。

錬金術も、冶金の技術と同様に歴史が古く、紀元前1世紀までさかのぼります。発祥の地は、古代ギリシアや古代エジプトです。

結果的に錬金術で金は作り出せませんでしたが、研究のなかで発見された知識は科学の発展に影響を与えてきました。

粉末冶金とは

冶金と似ている言葉のひとつに「粉末冶金」があります。

粉末冶金とは、鉱石から取り出された金属を加工する技術のことです。金属の粉末を型に入れてプレスし、焼き固めます。

複雑な形の金属部品を製造でき、圧縮後に表面を磨く手間がかからないため、短時間での大量生産が可能な点がメリットです。

【現代】金の作り方の流れ

金を作るために、「灰吹き法」や「アマルガム法」といった方法が用いられてきました。

現代では、どのような流れで金を作り出しているのでしょうか。金の作り方の流れについて、手順ごとに詳しく解説します。

1.金鉱石の採掘

金の作り方における最初の工程は、金が含まれる鉱石である金鉱石の採掘です。

金鉱石は、山や川、塩素系の温泉地などで多く発見されている金鉱脈からの採掘後、細かく砕き選別され、貯鉱場へと運ばれます。

2.金鉱石に含まれる銅の製錬・精錬

採掘された金鉱石には、さまざまな成分が含まれています。金を取り出す前に、まず製錬と精錬の作業を経て、銅電解用アノードを作ることが必要です。

製錬と精錬は同じ読み方ですが、異なる工程を指しているため、それぞれの意味について見ていきましょう。

製錬とは

製錬とは、金属の還元反応を利用することで、金鉱石に含まれる金属を取り出す作業です。

溶鉱炉で鉱石を溶かして金属を取り出す「乾式製錬」と、酸やアルカリの溶液を用いて科学的に鉱石を溶かす「湿式製錬」があります。

金の製錬は、乾式製錬ではむずかしく、用いられるのは湿式製錬です。

精錬とは

製錬の工程が完了したあとに行われる作業が精錬です。精錬は、製錬によって取り出された不純物を多く含む金属から、不純物を取り出して、純度の高い生成物を抽出する工程を指します。

名前での区別がむずかしいですが、鉱石から金属を取り出すことが「製錬」、不純物を取り除き金属の純度を上げることが「精錬」です。

精錬の作業を経ることで、金の輝きが増し、質も高まります。

3.電気分解

銅を製錬・精錬してできた銅電解用アノードを硫酸銅水溶液の中で電気分解し、金や銀を沈殿させます。電気分解により、イオン化しにくい金がイオン化しやすい銅と分離される仕組みです。

4.金の抽出

電気分解で分離・沈澱した物質に、塩素ガスを用いて浸出処理を行うことで、銀などの残留物が沈み、金を含む浸出液を作り出せます。

さらに、溶媒抽出法で、浸出液から金を分離させれば、金のみを抽出可能です。

5.金の精錬

抽出された金をさらに精錬することで、より純度の高い粉末状の金を作ります。

金は、純度によって価値や使用用途が変わる金属です。純度が高いほど、資産としての価値も高まるという特徴があります。

6.加工

精錬作業を経て純度が高くなった金は、市場に流通させるために、クリーンルーム内で加工されます。大きさは、2~3mmの小さなサイズのショット金から、1kgを超えるインゴットまでさまざまです。

金に関するQ&A

ここでは、金に関する豆知識として、金の産出量が多い国を紹介します。

また、資源循環の気運が高まるなかで注目されている「都市鉱山」についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

金の産出量が多い国は?

2022年時点での金産出量トップ4をまとめました。

順位国名産出量
1中国330トン
2オーストラリア/ロシア320トン
4カナダ220トン

出典:MINERAL COMMODITY SUMMARIES 2023|USGS

中国は、自国の産出量だけでは国内の金需要に追いつかないため、他国からの購入量も多いです。世界で産出される金の約6割は、中国とインドに輸入されています。

「都市鉱山」とは?

「都市鉱山」とは、再利用可能な金が含まれる使用済みの携帯電話やパソコン、家電製品など、都市に眠る金のありかのことを言います。

日本は、世界のなかでも都市鉱山を多く保有している国です。2023年時点で、「都市鉱山」として日本国内に存在している金の量は、6,800トンほどと言われています。

しかし、都市鉱山を活用するためには、十分な量を回収し、分別・解体しなければなりません。回収率が低いままでは、経済的に成り立たないという課題も抱えています。

金の作り方を知ることで希少性が分かる

「冶金」という言葉や錬金術を含め、金の作り方の歴史・流れや、金の産出国ランキング、新たに注目されている「都市鉱山」などについて紹介しました。

金は、「精錬」「製錬」「電気分解」「抽出」など、多くの工程を経て作られています。

金の作り方を理解し、多くの工程を経る必要があることを知ると、金属としての価値や希少性の高さに納得がいくのではないでしょうか。

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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