原油価格と金価格の関係|相関関係の変化や今後の予測も

  • 2024年5月22日
この記事で解決できるお悩み
  • 原油価格と金価格の関係性がわかる
  • 両者の関係性の変化とその理由がわかる
  • 金価格の予測に役立つ要素がわかる

原油価格と金価格のあいだには、一見関係性は見えませんが、セットで語られることも少なくありません。両者には一般的に相関関係があることが知られており、原油価格の変動から金価格を推測することもできます。

ただし、近年はさまざまな要素によって両者の関係が崩れつつあり、原油価格から金の価格変動を予測することがむずかしくなりました。

この記事を読むと、原油価格と金価格の関係性やその変化の把握に役立ちます。記事を参考に、現状にあった情報から金価格の変動を読み解いてみてくださいね。

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原油価格と金価格の関係

原油と金は、一見関係性が見られないように思われる組み合わせですが、両者の価格にはある一定の関係性が見られます。

ここでは、原油価格と金価格の関係性や、関係性がわかる事例などを解説。原油価格と金価格の相場をつかむ参考にしてください。

原油価格と金価格の共通点・相関性

原油価格と金価格には、一定の共通点と相関性があります。両者の最大の共通点は、ドル建てで取引する商品であり、世界情勢に影響されて価格が変動する点です。

原油・金の両者には直接的な関係はないものの、世界情勢の変動による価格の上昇・下降の傾向に相関関係が見られました。どちらも世界情勢が不安定な場合に価格が上がり、世界情勢が安定している場合は価格が落ち着きやすくなります。

ドル建て取引は特に影響が大きい要素です。戦争やパンデミックなどによって世界情勢が不安定になると、より安全な資産を求めてドルを売り、金や原油などを購入する傾向があるため、両者の価格が高騰します。

特に戦争やテロに原油産出国が絡んでいる場合、原油が高騰しやすいため強い相関関係が見られるでしょう。

原油価格と金価格の相関性がわかる事例

ここでは、原油価格と金価格の相関性がわかる事例を紹介します。

1つめは、オイルショックです。オイルショックは、1970年代中ごろと、1970年代の終わりから1980年代初頭の2回起きています。アメリカが高インフレに見舞われたタイミングで起きており、2回とも原油価格と金価格が急騰しました。

2つめの例としては、近年のロシア・ウクライナ問題が挙げられます。戦争にともなって原油などのエネルギーが軒並み高騰。同じタイミングで金の価格も高騰しています。

近年、原油価格と金価格の相関関係が変化している理由

従来、原油価格と金価格には相関関係が見られていたものの、2014年以降は両者の関係が弱まりはじめました

ここでは、原油価格と金価格の関係性に変化を引き起こした理由を解説します。エネルギー産業にとっても影響が大きい事項のため、理解を深める参考にしてください。

イランの経済制裁解除

国連からイランに課されていた経済制裁が2016年に解除されたことが、原油価格の下落や金価格との関係性崩壊の原因のひとつです。

イランは核兵器製造の疑いによって、2006年12月から経済制裁を受けていましたが、2015年に「核開発の大幅削減と引き換えに経済制裁を段階的に解除する」という核合意を締結しています。

アメリカからの経済制裁は解除されていないものの、他国からの経済制裁解除後、イランは中国向けの輸出を強化。特に2022〜2023年にかけては原油の輸出が大幅に回復しました。

しかし、イランの原油供給が拡大したことによって、原油の市場価格が下落しています。

シェールガス/シェールオイルの開発

燃料タンクなど
シェールガス/シェールオイルとは、アメリカが採掘・開発したエネルギー資源です。堆積岩の一種であるシェールの間から取れるエネルギーで、2017年には日本でも輸入を開始しています。

採掘がむずかしく産出量が安定しないという問題があったものの、2000年代に新しい採掘技術が開発され、より効率的に取れるようになりました。

シェールガス/オイルは埋蔵量が豊富で、供給が安定したことにより、石油にとっては強力なライバルが出現した状態です。

これまで石油とその原産国が独占していたエネルギー市場は一変。日本のようにエネルギーを輸入に頼っている国でもシェールガス/オイルのシェアが高まり、石油・原油の値崩れが起きました。

OPECによる原油の価格調整

OPEC(石油輸出国機構)では、石油の競合商品であるシェールガス/オイルの普及に対抗し、2015年に大幅に原油を増産しました。生産量の調整によって市場への供給を増やし、原油価格を引き下げたのです。

原油価格自体が下落した現在、金価格が高騰しても、原油価格の上昇にはつながらなくなっています。

ただし、OPECも原油価格を下落させたままではいられず、原油の減産方針を打ち出し、原油の価格上昇に動き出しました。現在では、2024年末まで原油の減産方針を維持し、原油価格を調整する予定です。

石油需要の減少

世界的に石油そのものの需要が減少したことも、原油価格の下落を招き、金価格との相関関係が崩れた原因のひとつとされています。

石油の需要が減少した理由には、シェールガス/オイルやEVといった新しいエネルギーの普及が挙げられるでしょう。世界的には脱石油の動きが活発化し、日本でも脱炭素・ネットゼロ(※1)に向けてさまざま政策が打ち出されています。

また、2020年から広がった新型コロナウイルスによるパンデミックによっても、世界的に経済活動が鈍化し、石油需要が減少しました。特に初年の2020年は、世界的に前年比4.3%減少したと言われています。

ただし、新型コロナウイルスによる石油需要の減少は、翌年には回復しはじめ、現在ではほとんど影響が見られません。

(※1:温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)

2024年現在と今後の石油需要の予測

ガス採掘の様子
OPECでは、2024年現在と今後の石油需要については全体的に増加すると予測しています。2024年の石油の需要は日量1億436万バレルと予測しており、これは前年比で日量225万バレル増となる数字です。

また、長期的には、2045年にかけて世界の人口が16億人増の95億人にのぼり、必要エネルギー量が増加すると予測。そのなかで、石油がもっとも高いシェアを誇るとしています。

加えて、石油の需要については、OECD加盟国では2024年以降は減少するものの、ほかの地域では2045年には現在の45%増と大幅に需要が高まる予測です。

ただし、国際エネルギー機関(IEA)では、化石燃料自体の需要が2020年代半ばがピークで、石油単独の需要は2030年代半ば以降減少すると、OPECとは反対の予測をしています。

金価格の予測において重要な原油価格以外の要素

原油価格は金価格の予測に役立つものの、近年は相関関係が見られないケースも増え、ほかの要素から金価格の予測を行う必要性が高まりました。

ここでは、原油価格以外に金価格の予測に重要な要素を解説します。記事を参考に、金価格の予測に役立ててください。

金の採掘量や埋蔵量

金の採掘量は現在の市場への流通量に、埋蔵量は未来にわたって流通する可能性のある金の量に影響します。採掘量や埋蔵量が減少すると、市場における金の希少性が高まり、価格の上昇につながるでしょう。

金の採掘量や埋蔵量については、アメリカ地質調査所(USGS)が、年に1度調査結果を発表しています。英語ではありますが、国名と埋蔵量・採掘量が記載されている資料です。

ただし、金を含んだ電子機器は「都市鉱山」と言われ、リサイクルによって金が産出できます。鉱山による採掘量や埋蔵量だけで大幅に変動するわけではない点も考慮しましょう。

世界情勢

金価格は世界情勢の変化によっても変動します。金は「有事の商品」と呼ばれることがあり、世界情勢が不安な方向へ変化すると、金価格は上昇することが一般的です。また、安定する方向へ変化する場合は価格が下落しやすくなります。

具体的には、戦争やテロ、パンデミックが起こると金の価格が上昇すると考えてよいでしょう。反対に、戦争や災害などがなく平和な状況であれば金価格も安定します

世界情勢の変動については、ニュースなどで知ることができるため、世界規模で影響を及ぼす可能性のある出来事には注目しておくとよいでしょう。

米ドルの値動き

ドルの値動き
金はドル建てで取引する商品のため、米ドルの値動きの影響で価格が大きく変動する可能性があります。

ドル高状態になると、相対的にドルの価値が上昇。人々の金の購入意欲がそがれ、ドル建ての金は価格が下落するでしょう。ドル安の場合はドルの価値が下がるため、市場ではドルより金で資産を保有しようする動きが加速し、ドル建ての金は価格が上昇する傾向があります。

金価格の動向を探るには、米ドルの為替相場を常日頃から知っておくことが大切です。米ドルの値動きを把握するためには、為替レート・チャートなどをチェックしておくとよいでしょう。

インフレの影響

米ドルだけでなく、インフレの影響で通貨の価値が下落すると市場で不安心理が高まり、金などの現物資産を買う人が増えます。そのため、インフレ時には、ドル安と同様に金の価格が上昇する可能性が高まるでしょう。

反対に、デフレが起きたり景気がよくなったりする時期は、通貨の価値が高まるタイミングです。ドル高と同様、金の需要が低下するとともに金価格も下落します。

金は基本的にドル建て取引の商品です。国内の景気の動向に加えて、特にアメリカのインフレ・デフレの情報についても、米ドルの値動きとあわせて注意を払いましょう。

金価格の今後を予測

金のインゴットと紙幣
ここでは今後の金価格について、これまでの価格変動を視野に入れながら、短期・長期それぞれの予測を解説します。世界情勢など、予測がむずかしい要素によっても価格は変動しますが、あくまで変動の傾向として参考にしてください。

短期の正確な予測は困難

1週間〜1か月程度の短期では、金価格は急落や高騰をくり返しながら細かく変動します。短期的な価格変動だけを追っていても、正確な相場の予測はむずかしいでしょう。

長期的には高騰傾向にあるタイミングであっても、数日間の値動きだけを見ると大幅に下落していることもあります。短期的に見て大きく下落したからと言って、長期的な下落が始まるとは限りません。

特に金の売却を考えている場合は、慌てずじっくりと、長期的な傾向にも目を向けるようにしましょう。

長期的には上昇傾向

金価格の推移
ここ10〜20年程度のスパンで価格変動を追うと、全体的にグラフは右肩上がりです。現在は全体的に上昇傾向にあります。特にここ10年は、高騰と呼べるほど大きく価格が上昇している状態です。

長期的な値動きの傾向が変わるタイミングとしては、世界情勢の変化が起こるときでしょう。特に高騰から値下がり傾向に移る場合は、戦争の終結など世界情勢が落ち着く方向に変化することが一般的です。

ガソリンや原油価格の変動などにも注目しながら、金価格の相場を予測しましょう。

原油価格と金価格の関係を正しく把握しよう

原油価格と金価格は、ドルの値動きや世界情勢などの影響を受けて同じように変動する傾向があります。ただし、近年は新しいエネルギーの登場などによって原油価格が全体的に低下し、以前のように原油と金の価格に連動が見られにくくなりました。

以前は原油価格の動向から金価格の変動を予測できましたが、現在は金の埋蔵量や為替の動きなど、原油価格以外の要素からも予測を立てる必要があります。

現状では、原油価格はある段階まで上昇、金価格はしばらく上昇すると予測されていますが、今後も両者の価格変動には注意を払いましょう。

本記事の出典
なんぼや

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