- プラチナの選び方を知りたい
- プラチナの純度違いの特徴を知りたい
- プラチナジュエリーの手入れ方法を知りたい
pt950やpt900などの刻印を見聞きしたことはあっても、実際に買うときは何を基準にどれを選べば良いのか、違いがわからないものですよね。プラチナジュエリーの刻印違いにおける特徴を正しく理解していないと、思わぬ損失を被ることがあるかもしれません。
本記事では、pt950やpt900などといった刻印の意味から、純度の違いにおけるメリット・デメリットを解説します。末長く愛用するための手入れ方法もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
「pt950」とはどういう意味?
プラチナジュエリーにはpt950やpt900といったさまざまな刻印があり、ジュエリー販売店などで見聞きしたことがあっても、意味まで正しく理解できていない方も多くいるのではないでしょうか。ここでは、ジュエリー刻印の意味について解説します。
「pt」は金性の一種のことでプラチナの略
ptとはプラチナ(Platinum)を表す元素記号で1960年ごろまではpmという表記でした。しかし、pmを使う金属「プロメチウム」(Promethium)が誕生してから、プラチナはptという元素記号に改められています。
金性とはpt900やpt850といった金属に彫刻された文字のことであり、英語などの前部分で金の品位(種類)、数値で金の純度を示している刻印です。特殊なものを除き、金性の数値が高くなれば純度が増すことから、取引価格も高くなります。
プラチナ以外の代表的な刻印は、金製品のK24やK18、銀製品のS925(またはSILVER925)などです。それぞれ、金属の種類と純度を示しています。
「950」とは純度のこと
pt950の950は、上記でふれたようにプラチナの純度を示しており、プラチナの割合が全体の95%を占めていることを示しています。不純物が一切含まれていない純度100%を生成することは理論的にも科学的にもほぼ困難なため、pt999が実質的な最大値です。
プラチナ自体の特性として、傷がつきやすいやわらかい性質を持っていることが挙げられます。傷がつきにくく、さらに加工をしやすくするために、割金と呼ばれるほかの金属を混ぜ合わせて純度を変化させているのです。
一方で純度を下げると、ほかの金属割合が増えることから、金属アレルギー反応や錆びなどのリスクが増加します。プラチナに使われる割金は、パラジウムやルテニウムといった、変色や金属アレルギーを引き起こしやすい金属が使われているからです。
pt950のメリット・デメリット
pt950にはどのような特徴があるのでしょうか。ここではpt950のメリットとデメリットを一覧にしました。それぞれの特性を解説します。
メリット | デメリット |
---|---|
高い資産性がある | 購入金額が高くなる |
金属アレルギーの発症リスクが低い | 傷が付きやすい |
国際基準に準拠している | 変形しやすい |
メリット
pt950はプラチナの含有量が95%を占めるため、高い資産性をもちながら金属アレルギーの発症リスクは低いというメリットが挙げられます。pt999に比べて割金が5%含まれていることから加工のしやすさと硬度、光沢感を上昇させている金属製品です。
pt950はプラチナの含有量が95%、割金としてルテリウムやパラジウムといったほかの金属が5%含まれているものを指します。
プラチナの国際的な広報機関であるプラチナ・ギルド・インターナショナル(PGI)は、プラチナ製品におけるジュエリーの国際基準をpt950以上と定めており、海外大手ブランドのプラチナ製品ではpt950がほとんどです。そのため、pt950は世界共通で高い資産性を評価されています。
デメリット
pt950のデメリットとして、プラチナの含有量が多く高い資産性を持つことから、高額となる点が挙げられます。また、プラチナの純度が高いことから、やわらかく傷つきやすいというデメリットもある点には注意が必要です。
プラチナそのものは、金属として決して硬い鉱物ではなく、鉄や胴などの金属と比較するとやわらかい性質を持っています。金属の硬度を示すビッカース硬度(Hv)では、純プラチナが50に対し鉄が110、銅が100となっていることからも、プラチナはやわらかく傷つきやすい金属と言えるでしょう。
そのため、純度が高ければプラチナとしての特徴である柔軟性が高まり、傷つきやすく曲がりやすいといった性質が起こりやすくなります。取り扱いには十分注意しましょう。
pt999とpt900との違い
プラチナの最高純度とされるpt999とpt900は、プラチナの純度以外にどういった性質上の違いがあるのでしょうか。それぞれの特徴について解説するので参考にしてみてください。
pt999の特徴・違い
pt999は、最高純度となるプラチナ99%の含有量を指しています。プラチナ含有量が多いことから、高い資産性を持ち市場流通価格も高額な点が特徴です。さらに含有量が高いことからプラチナ自体の性質がでやすく、酸化や変色にも強い性質を持っています。
プラチナそのものは金属アレルギーを引き起こす可能性が低いとされている一方、輝きは純度が高いほど鈍くなるため、pt999はpt950に比べて鈍い輝きを放っている点が大きな特徴です。
またプラチナ含有量が上がるほどに硬度は下がり、傷つきやすく変形しやすくなる性質があり、アクセサリーとしてではなく、主に工業製品などとして活用されています。
pt900の特徴・違い
pt900は90%がプラチナ、残りの10%が割金となっており、プラチナの含有量が下がるためpt950に比べてお手頃な価格で流通していることが特徴です。さらに、プラチナの弱点である加工のしにくさや、傷つきやすい性質を割金が補うことで強度を高めています。
pt950に比べて輝きの素となる割金が増えることから、高い輝きを放つことも特徴のひとつ。一方で割金として使われる主原料であるパラジウムは、金属アレルギーを引き起こす可能性が指摘されています。
純度が下がれば、その分だけ金属アレルギー反応のリスクが高まるので注意が必要です。
pt900以下の純度のプラチナジュエリー
pt900は実際に購入する場合、高額な出費となるため手が出しにくいですよね。そのため、pt900よりも純度の低いプラチナジュエリーを選択する場面も出てくるかもしれません。
ここでは、pt900以下の純度のプラチナジュエリーを選ぶうえで知っておきたい知識について紹介します。
日本で認められるのは「pt850」まで
pt850は、プラチナの含有量が85%を占め、残りの15%をパラジウムなどで割金をして製品化されたものを指します。プラチナの純度が低くなるため、pt950やpt900に比べてお手頃な価格帯です。
国際標準化機構(ISO)や一般社団法人ジュエリー協会では、プラチナとして呼称できる規格をpt850以上と定めています。
手に取りやすい価格にはなりますが、プラチナの純度が下がり、割金が増えることから金属アレルギーを引き起こす可能性が高まる点には注意しましょう。
それ以下の表記は厳密にはプラチナではない
pt750やpt585といった純度の低いプラチナ製品もあります。pt750でいえば、24分率表記となる18Kと同率の含有量であり、割金の配合も25%となることから、製品としての耐久性は上昇しているのです。
しかし日本では、pt850までがプラチナとして認められることから、pt750やpt585といった純度の低い製品はプラチナとは認められておらず、造幣局による貴金属製品としての品位証明(ホールマーク)がつきません。
pt505は特殊なプラチナ
pt505は、プラチナの含有量が50.5%の製品として京セラが開発したオリジナルの素材です。ほかの純度と同等の色合いと強度をもつ素材として販売しています。
単純に割金の配合が多いことに加え、地金の強度を高めつつ削り出して制作される鋳造方法にて製造されている商品です。
ほかの製品に比べて高い硬度をもち、愛用期間が長くなっても変形や傷に強い性質を持っていますが、pt750などと同様にプラチナ製品としては認められていません。
プラチナジュエリーの選び方
さまざまな純度があるプラチナジュエリーは、どの純度が人気なのか気になるところです。ここでは、数あるプラチナジュエリーを選ぶ基準のなかから、3つの選び方を紹介いたします。
日本人に一番人気は「pt900」
日本人に人気の純度としてpt900が挙げられます。pt950よりもプラチナの純度が劣るものの、高い耐久性と資産性を持ち、日常の傷がつきにくいからです。
pt900はプラチナが90%配合されていることから、金属アレルギーの発症リスクもある程度軽減できるうえ、pt950と比較しても買い求めやすいこともあり、日本ではpt900がブライダルジュエリーとして高い人気を誇っています。
予算に合わせて選ぶ
プラチナジュエリーは予算から選ぶのもひとつの基準として挙げられます。純度によって価格が大きく変わるからです。以下にジュエリーショップである「GINZA TANAKA」のプラチナリングを参考に、純度別となる販売金額をまとめました。
純度 | 販売金額 |
---|---|
pt850 | 77,000円〜 |
pt900 | 106,000円〜 |
pt950 | 140,000円〜 |
pt999 | 250,000円〜 |
デザインの個体差があるものの、いずれもプラチナの純度が高くなるにつれて販売金額も上がっていきます。プラチナジュエリーを選ぶ際には、ひとつの参考にしてみてください。
キズの付きづらさで選ぶ
プラチナジュエリーを選ぶ基準として、キズの付きづらさから選ぶのもひとつの方法として挙げられます。プラチナの純度によってキズの付きづらさが変化するからです。
割金は、プラチナよりも強度が高いパラジウムやイリジウムが使われるため、プラチナの純度が下がれば反比例して強度が高くなります。プラチナの純度によりプラチナジュエリーの強度が変化することから、キズの付きづらさを基準にしてみるのもおすすめです。
金属アレルギーの発生しにくいかで選ぶ
金属アレルギーが出にくい純度を選ぶことは、プラチナジュエリーを選ぶうえでとても重要な観点として挙げられます。なぜならプラチナの純度により、金属アレルギー反応の発生しやすさも変化するからです。
一般的にプラチナの純度が高ければ、金属アレルギー反応は出にくいとされており、一方でプラチナ純度が下がれば、パラジウムなどのアレルギー反応の原因となる割金が増えるため反応を起こしやすくなります。
プラチナの純度により、金属アレルギーを引き起こしやすさが変化するため、体質に合うものを選びましょう。
プラチナジュエリーを長持ちさせるポイント
プラチナジュエリーの輝きを長い間保つ秘訣は、こまめな手入れと保管方法に気をつけることです。手入れの仕方と保管方法についてまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
こまめに取り外し着用後はお手入れをする
プラチナジュエリーを長い期間美しく保つためには、日頃から使用後にお手入れすることが重要です。プラチナ自体は変色や腐食に強い素材ですが、混合されている割金が化学反応して変色や腐食を引き起こしてしまいます。
プラチナジュエリーの変色や腐食する原因として、皮脂汚れや汗、化粧水や香水が挙げられ、普段使い終えたらこれらを落とすことが輝きを長持ちさせるコツです。
お手入れ方法は非常に簡単。中性洗剤をぬるま湯に溶かし、毛先のやわらかいブラシなどで軽く擦るだけです。洗い終えたらやわらかい布で水分を拭き取ってください。
ただし、サンゴや真珠などの天然石は洗剤や水分に弱く、ダメージを与えてしまうため、水に触れないように注意しましょう。
空気に触れないように個別に保管する
お手入れを終えたプラチナジュエリーは、ほかのアイテムとぶつかってキズが付かないように個別で保管しましょう。市販されているジュエリーボックスが好ましいですが、手元にない場合はチャック付きの小袋に入れておくのがおすすめです。
また割金が酸化することで黒ずみの原因につながるため、なるべく空気に触れないように保管しましょう。
pt950は優良だが純度と金額は比例するので要注意
pt950は、プラチナ割合が95%と濃い純度のため、高い資産性と美しさを持つ金属です。こまめにお手入れしておけば、購入時の輝きを末長く維持していけるでしょう。
一方でプラチナ割合が高くなるにつれて、取引金額も比例して高くなってしまう点はデメリットとなり、一方pt750などの低純度は日本で資産性が評価されず、金属アレルギーリスクも高まってしまいます。
プラチナジュエリーを選ぶ場合は、純度や金属アレルギーなど多方面から検討してみてはいかがでしょうか。
本記事の出典
GINZA TANAKA