- プラチナとシルバーの違いを知りたい
- プラチナのお手入れ方法を知りたい
- シルバーのお手入れ方法を知りたい
プラチナとシルバーは、似たような見た目を持つ金属ですが、価格以外にどのような違いがあるのかを把握している人は少ないかもしれません。似た色味を持つことから、同じ方法にてお手入れしている人もいるのではないでしょうか。
本記事では、価格以外にも複数存在するプラチナとシルバーの違いについてまとめました。プラチナとシルバーの輝きを長持ちさせるお手入れ方法もまとめているので、日ごろのメンテナンスに取り入れてみてください。
プラチナとシルバーは何が違うのか?
プラチナもシルバーも、見た目は似たような色味をしているため、何がどう違うのか気になる人も多いかもしれません。ここでは、プラチナとシルバーの違いについてひとつずつ解説します。
プラチナ | シルバー | |
---|---|---|
色や輝きの違い | 上品な光沢感 | 明るい輝き |
希少性の違い | 180トン前後しか採掘できない | 年間26,000〜27,000トン採掘量がある |
重さの違い | 比重で21.5と重量感がある | 比重で10.5と軽い |
強度・傷つきにくさの違い | 硬度50Hvとシルバーよりも丈夫 | 硬度25Hvとやわらかく傷つきやすい |
変色のしにくさの違い | プラチナ自体は変色に強い | 硫化による変色が起こりやすい |
購入時の金額の違い | 希少価値から高い | 買い求めやすい |
色や輝きの違い
見た目の色味が非常に似ているプラチナとシルバーですが、見比べてみると異なる金属の性質が表れています。
プラチナは日本名で「白金」と呼ばれている金属であり、その名の通り白く落ち着きのある色味が特徴です。主張しすぎない控えめな光沢感は、日常生活でもうまく溶け込み、上品な印象を与えてくれるでしょう。
対してシルバーは、日本名で「白銀(しろがね)」と呼ばれている金属であり、可視光線の反射度が金属のなかでも高い98%のため、プラチナよりも明るい色味をもっています。
色味でいえば明確な差にはなっていないものの、プラチナはシルバーに比べて、より上質で落ち着きのある輝きを放っているでしょう。
希少性の違い
希少性の高さという観点でみると、プラチナとシルバーには大きな差があります。プラチナは鉱山からの採掘量が世界で180トン前後にて推移しており、さらに採掘場所が限られているうえ、鉱石1トンあたりからわずか3g前後しか採取できない貴重な金属です。
プラチナは天然資源からの採掘ではなく、自動車や宝飾品のリサイクルによっても採取されていますが、年間60〜70トンしか回収・リサイクルされておらず、採掘量と合わせても世界で年間250トン前後しか採取できません。
一方シルバーは多数の国から採掘が可能であり、採掘量も26,000〜27,000トンとプラチナと比較して140倍以上の開きがあります。生産量の違いから、希少性はプラチナが非常に高いことがわかるでしょう。
重さの違い
重量の観点でもプラチナ・シルバー両方に大きな差があります。金属の重量は、比重にて横比較が可能です。比重とは物質の密度と標準物質となる水の密度の比較であり、異なる密度であるプラチナとシルバーの横比較ができます。
純プラチナの比重は約21.5と金属のなかでも重量があり、ネックレスやリングを身につけていると、しっかりとした着用感を得られるでしょう。
対して純シルバーの比重は約10.5と金やプラチナに比較して軽いのが特徴です。プラチナに比較して軽いため、リングやネックレスも負担を感じにくい特徴があります。負担になりにくい反面、着用感は得られにくいでしょう。
強度・傷つきにくさの違い
プラチナとシルバーの強度や傷つきにくさにも明確な違いがある金属です。金属の強度は硬度(Hv)により示され、数値が高くなるにつれて硬く傷つきにくい性質を持っています。
純プラチナの硬度はおよそ50Hvであり、純金の硬度およそ22Hvよりも高い硬度です。対して純シルバーの硬度はおよそ25Hvとされており、金やプラチナよりも低い数値を示しています。つまりプラチナとシルバーで硬さを比較すると、プラチナのほうが硬い金属です。
プラチナ自体も、傷がつきやすい金属ですが、シルバーはプラチナよりもさらに硬度が低く傷がつきやすいやわらかい素材のため、扱いには十分注意しましょう。
変色のしにくさの違い
プラチナとシルバーは、変色のしにくさも違いがあります。プラチナは高純度になるほど腐食や変色に強い素材であり、日ごろから汗を拭うなどの手入れを怠らなければ心配する必要はありません。
しかしプラチナの純度が下がると変色の原因となるパラジウムなどの金属割合が増えることから、こまめなお手入れが必要です。
対してシルバーは硫化による変色が起こりやすい金属であり、日ごろからお手入れしていないとすぐに表面が黒ずんでしまいます。汗や皮脂汚れはもちろんのこと、温泉成分である硫黄と反応するとすぐに真っ黒になってしまうため、事前に外しておき近づけないなどの対策をしましょう。
購入時の金額の違い
プラチナとシルバーの購入時における金額の開きは、埋蔵量と採掘量といった希少性と使用用途の観点からも明確です。
プラチナの埋蔵量は16,000トンとされており、そのうちの1/5となる約5,000トンをすでに採掘しているとみられています。プラチナはリサイクル採取分も含めて年間200〜250トン前後しか確保できず、用途も自動車パーツや医療用などの工業使用が60%以上を占めている重要な金属です。
一方シルバーの鉱山採掘量は2023年度で26,000トン、リサイクルも含めて年間31,000トンあまりを生産しています。埋蔵量を除いた資源量は238,599トンあると推測されており、プラチナに比べて資源があり、工業用や食器、宝飾品として使われている金属です。
田中貴金属のデータによると、2024年3月の平均小売価格は、1gあたりプラチナが4,454円、シルバーが120.27円と大きな開きがあります。
プラチナはこんな人・こんなときにおすすめ
プラチナジュエリーは、こんな方におすすめです。
- 普段からジュエリーを身につけていたい人
- 宝石付きのジュエリーを身につけたい人
- 高い資産性を持っておきたい人
プラチナジュエリーは、純度が高くなるにつれて変色に強い素材となるため、普段使いしやすいアイテムです。そのため日々上品なジュエリーを身につけていたい方にプラチナジュエリーは使いやすくおすすめできます。
また、ダイヤモンドやルビーといった宝石がついているジュエリーが多いのも、プラチナの特徴です。そのためプラチナそのものに加えて宝石の持つ高い資産性を求めている人にも、プラチナジュエリーはおすすめできます。
シルバーはこんな人・こんなときにおすすめ
シルバージュエリーは、こんな方におすすめです。
- 豊富なデザインから選びたい人
- 資産性よりも価格を抑えたい人
- ジュエリーにて主張したい人
シルバージュエリーは、買い求めやすい価格と豊富なデザインがあるのが最大の特徴。プラチナよりも加工しやすい素材のため、さまざまなデザインが流通しています。
プラチナ製品に比べて買い求めやすい価格から、ひとつのデザインに絞って使うことも複数個所有して使いまわすことも可能。その日のファッションや気分によって、気軽に変えられるのもシルバージュエリーの大きなメリットです。
プラチナとシルバーを長持ちさせるためのお手入れ方法
プラチナとシルバーは、日ごろからお手入れしていないと変色や黒ずみが発生してしまいます。変色や黒ずみの発生をおさえ、輝きを長持ちさせるお手入れ方法をまとめたので、参考にしてみてください。
プラチナのお手入れ方法
プラチナは基本的に変色に強い素材のため、日ごろからこまめにお手入れしていれば長持ちするアイテムです。ここでは日ごろに行うお手入れ方法と、変色などが起きたときのお手入れ方法について解説します。
日常のお手入れ
プラチナ製品に対する日ごろのお手入れは、基本的に金属専用クロスにて汗や皮脂汚れを拭き取るだけで問題ありません。
割金と呼ばれるプラチナに含まれている別の金属が、汗や皮脂汚れに反応することで変色や黒ずみを起こしてしまうため、この原因を取り除けば日ごろのお手入れとしては十分です。
金属専用クロスがない場合は、乾いたやわらかい布でも問題ありません。力を過度に加えると、プラチナ自体に傷をつけてしまう可能性があるため、できるだけ優しく拭き取るようにしましょう。
金属専用クロスは、プラチナジュエリー販売店や、ホームセンターなどで購入できます。日常のお手入れ用であれば、研磨剤が入っていないものを選びましょう。
特別なお手入れ
プラチナ製品の輝きが薄れてきたり、大量の汗をかいたときはしっかりとお手入れしてあげることが重要です。特別なお手入れとして、以下の道具を用意しましょう。
- カップやボウルなど水を張る容器
- ぬるま湯
- 中性洗剤
- やわらかいブラシ
- やわらかく乾いたクロス
ジュエリーが浸る大きさの容器を用意し、ぬるま湯に中性洗剤を数滴〜少量溶かします。溶かした中にプラチナジュエリーを10分前後浸けておき、ブラシでプラチナを傷つけないよう、優しくこすって汚れをかき出しましょう。
仕上げに水で洗い流し、やわらかいクロスで水分をしっかりと吹き上げてください。なお洗剤は、中性であれば台所用でも衣類用でも問題ありません。
シルバーのお手入れ方法
シルバー製品は、やわらかく加工のしやすい性質からさまざまな装飾やデザインが施されており、お手入れ方法もアイテムに応じて変える必要があります。ここでは一般的なシルバージュエリーのお手入れ方法について解説するので参考にしてみてください。
日常のお手入れ
日ごろ行うシルバー製品のお手入れは、やわらかい布にてシルバー製品を優しく拭きとることが良いとされています。やわらかいシルバーは、力加減を間違えると傷つけてしまう恐れもあり、コーティングや加工処理が剥がれてしまう可能性があるため、優しく拭きあげてください。
拭き取る際のクロスは、研磨剤が入っていないものを選びましょう。装飾が細かく、目詰まり汚れが気になる場合は、シルバー専用クリーナーを活用するのもひとつの手段です。
専用クリーナーを使う場合は、シルバーを30秒ほどクリーナーに付けておき、水洗い後に水分を拭き取るだけです。ただし、宝石などが付いている場合は宝石を傷めてしまう可能性があるため、使用しないようにしましょう。
特別なお手入れ
日常のお手入れで落ちない汚れや黒ずみは、重曹を使って対応しましょう。
- 重曹
- アルミホイル
- 耐熱容器
- お湯
- やわらかい布
耐熱容器にアルミホイルを敷いてお湯を張り、重曹をスプーン1杯程度溶かしてください。溶かした容器にシルバージュエリーを入れて10分ほど放置すると汚れが浮いてきます。時間が経過したら軽く水ですすぎ、乾いたやわらかい布で水分をしっかりと拭き取りましょう。
さらに黒ずみ汚れがひどい場合は、塩と火を使う方法があります。
- 塩
- アルミホイル
- 水
- 鍋
- やわらかい布
- アルミホイルを器の形に整え鍋に入れる
- アルミホイルの上にシルバーを置き、塩と水を浸かるくらい入れて火にかける
- しばらく経つと汚れが浮いてくるので取り出し、やわらかい布で水分を吹き上げる
ただし特殊なコーティングやメッキがされているシルバー製品には逆効果となるため、使わないようにしましょう。
プラチナとシルバーは大違い!状況に合わせて選ぼう
プラチナとシルバーは似たような色味を持つ金属であり、ジュエリーとして多くの製品が流通していますが、希少性や硬度、比重や傷つきやすさなど大きく異なる性質を持っています。
一方で日ごろのお手入れを怠ると、どちらも変色などが発生することから、毎回使用後のケアが必要なアイテムという点では共通です。
資産性も楽しめるプラチナでも、豊富なデザインや装飾が魅力のシルバーでも、長い間愛用できるようにお手入れしてみてはいかがでしょうか。