古物営業法についてわかりやすく解説|フリマアプリについても

  • 2023年6月21日
古物営業法について わかりやすく解説

古物営業法は古物の取引に関する法律であり、古物商が遵守しなければならない義務やルールについて定められています。しかし、具体的な内容や申請方法について、むずかしいイメージを持っている方も多いでしょう。

「自分はフリマアプリで売るだけだから」と古物営業法について理解しない方も多いですが、場合によっては フリマアプリなどでも違反となるケース があります。知らずに取引してトラブルを起こすことのないよう、この機にしっかりと理解しておきましょう。

本記事では、古物営業法について誰でも理解できるようわかりやすくまとめました。フリマアプリやネットオークションにおける古物商許可証の必要性についてもお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

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古物営業法とは

「古物営業法」は、中古品やリサイクル品など古物の取引、いわゆる 「古物営業」を規制する法律 です。

古物営業を行う場合には法律の要件を遵守し、適切な取引を行う必要があります。古物営業法に違反した場合には罰則が設けられているため、「知らなかった」で許されることはありません。

なぜこのような法律があるのか、制定の目的や背景を次に解説するので、ぜひ確認してください。

制定の目的や背景

「古物営業法」では、盗品などの売買を防止し速やかな発見を図るため、古物営業について必要な規制を定めています。 窃盗やそのほかの犯罪を未然に防ぐ こと、 被害がでた場合には迅速に回復する ことが制定の目的です。

中古市場では盗難品の売買が行われる問題があるため、これを解決するために制定された背景があり、現在までに頻繁に法改正が行われています。

取引相手の本人確認や帳簿の管理、警察へ申告などの義務や、違反行為に対する罰則を設けることで、市場の透明性と信頼性の向上を図り、消費者の権益を守っているのです。

古物営業法を違反した場合の罰則

古物営業を行うには「古物商許可」が必要であり、無許可で中古品を販売すると「古物営業法違反」として、 3年以下の懲役または100万円以下の罰金 が課せられます。

勘違いが多いポイントとして「未使用品」や「未開封品」の扱いが挙げられますが、使用のために取引されたものは、「未使用品」や「未開封品」であっても古物扱いになるため注意しましょう。

また、「古物商許可証」を取得していたとしても、名義貸しや古物商許可標識の掲示義務に違反するなどの行為も罰則の対象です。

中古品を仕入れて販売するなど「事業として古物営業を行う場合には、古物商許可証を取得する必要がある」と覚えておきましょう。

古物営業法の適用範囲

「古物営業法」は、さまざまな古物に適用されます。衣類や時計、宝飾品や美術品などはイメージがつきやすいかもしれませんが、実は事務機器や金券なども古物営業法の適用範囲です。

ここでは、古物営業法が適用されるものや行為を紹介するので、ぜひ確認してみてください。該当する品物を取引する際には、古物営業法のルールに従わなければなりません。

古物に該当するもの

古物に該当する品物は下記の通りです。

  • 美術品類
  • 衣類
  • 時計・宝飾品類
  • 自動車(部分品含む)
  • 自動二輪車及び原動機付自転車(部分品含む)
  • 自転車類(部分品含む)
  • 写真機類
  • パソコンやコピー機、レジなどの事務機器類
  • 土木機械や工具などの機械工具類
  • 家具、楽器、CD・DVDなどの道具類
  • カバンや靴などの皮革・ゴム製品類
  • 書籍
  • 金券類

車やバイク、事務機器や金券など、意外と知らなかったというものもあったのではないでしょうか。もし自身の扱う商材で古物に該当するものがあり、古物営業をする場合には、古物商の許可が必要です。

一方で、総トン数が20トン以上の船舶や航空機、鉄道などは盗品として売買される可能性が低いため、法の規制から除外されています。

古物営業に該当するもの

古物営業に該当する行為は3種類です。

古物の売買や交換を行う 「古物商」 、古物商同士が取引できる場所を提供する 「古物市場主」 、古物の売買をしようとする人のあっせんを競りにより行う 「古物競りあっせん業」 があります。

フリマアプリやネットオークションを利用して古物を売るときも、事業として商品を販売するのであれば、古物営業とみなされるため許可が必要です。

一方で、自分が使用する目的で古物を購入したり、自分の不用品をリサイクルショップに売却したりする場合は、古物営業ではないので許可は必要ありません。

古物営業法による古物商の三大義務

古物商の許可を取得して古物営業を始めたあとは、古物営業法によりさまざまな義務が課されます。

そのなかでも特に大切なものは三大義務と呼ばれており、「取引相手への本人確認義務」「帳簿へ取引を記録する義務」「不正品を申告する義務」の3つがあります。

ここからは、古物商の三大義務をそれぞれ詳しく解説するので、これから古物営業を始めたい方はぜひ確認してみてください。

1. 取引相手への本人確認義務

古物の売買などでは、盗品などが紛れ込んでいる可能性があるので、持込まれた品物をやみくもに買取し販売していると、犯罪の手助けをしてしまう可能性も否定できません。

そのため、古物営業法は取引相手の身分を確認することを義務づけています。これにより、売買の当事者が正当な取引を行っているかを確認し、不正な行為や盗品の取引を防止できるのです。

古物営業を行うためには、顧客の情報を適切に管理し、取引の透明性と信頼性を確保する責任があります。

2. 帳簿へ取引を記録する義務

古物商は、販売や買取に関する詳細な情報を帳簿に記録する義務があります。窃盗事件や詐欺事件などの被害品が持ち込まれ、犯罪捜査の対象となった場合に、取引の追跡に役立ち、不正や問題が発生した場合の証拠として重要な役割を果たすのです。

そのため、古物営業法では取引相手が持ち込んだ古物について、取引相手の氏名や住所や取引日時、商品の詳細などを記録に残すことを義務づけています。

適切な取引の管理やトラブル対応を行うことで、信頼性のある古物取引ができる環境を確立できるでしょう。

3. 不正品を申告する義務

万が一、買取に来た相手の様子が怪しい、持ち込まれた品物に被害品の可能性がある場合は、迅速に警察に報告する義務があります。これにより、盗品の市場流通を防止し、違法行為の発見と取締りを支援し、社会の安全と秩序を守ることができるのです。

古物営業法の規定に従い、不正や犯罪行為を減少させるため、積極的に協力することが重要。申告しなかった場合は、営業停止命令や取消命令が下される可能性もあります。

安心して取引を行うために、適切な申告を怠らないよう留意しましょう。

古物商許可証の申請方法

古物商許可証を取得するには、以下の手順を踏む必要があります。

まず、所轄の警察署に対し、古物営業の届出を行いましょう。届出書類には、個人の場合は本人の氏名や住所などの個人情報、法人の場合は法人の名称や代表者の情報などが必要です。

また、営業場所の所在地や取り扱う古物の種類なども明記しなければなりません。届出書類の提出後、古物営業管理者による審査が行われ、許可証の発行が承認されれば取得できます。

審査には、40日程度の期間がかかる ので注意が必要です。申請手続きの詳細は、所轄の警察署の指示に従って行いましょう。

ここから、申請に必要な書類と申請にかかる費用を紹介するので、ぜひ申請の際の参考にしてみてください。

必要な書類

個人あるいは法人によって必要な書類は異なるので、申請前にはぜひ一度確認してみてください。

個人許可申請の場合

申請書類

  • 許可申請書

添付書類

  • 略歴書(本人と営業所の管理者のものが必要)
  • 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し(本人と営業所の管理者のものが必要)
  • 誓約書(本人と営業所の管理者のものが必要)
  • 身分証明書(本人と営業所の管理者のものが必要)
  • URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ必要)

法人許可申請の場合

申請書類

  • 許可申請書

添付書類

  • 法人の定款
  • 法人の登記事項証明書
  • 略歴書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
  • 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
  • 誓約書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
  • 身分証明書(役員全員と営業所の管理者のものが必要)
  • URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ必要)

出典:古物商許可申請|警視庁

個人も法人も「申請書類」と「添付書類」を提出する必要があります。

申請書類である「許可申請書」は、警察署で無料でもらうことが可能です。また、各都道府県の警察の公式サイトよりダウンロードすることもできます。

「URLの使用権限があることを疎明する資料」は、ネット通販などで古物営業を行う場合に必要です。提出書類が決まっているわけではないので、どの書類であれば認められるのか、事前に警察署に確認しておくといいでしょう。

申請にかかる費用

古物商許可の取得にかかる費用は、 約2万円程度 です。費用の内訳は以下の通りなので、一度確認してみてください。

  • 古物商許可の申請手数料: 19,000円
  • 住民票の写し: 300円程度
  • 身分証明書: 300円程度
  • 登記事項証明書(法人許可申請の場合): 600円程度

申請にかかる費用のほとんどは申請手数料です。そのほかの費用は、提出する必要書類を取得するためにかかります。

上記の費用はあくまで個人で申請した場合であり、 専門家に依頼した場合には5万円程度 かかるでしょう。また、許可が下りたあとに掲示する標識を作成する場合には、 プレート代として数千円 ほどかかる場合があります。

フリマアプリやオークションに古物商許可証は必要か

昨今の通販需要の増加により、フリマアプリやオークションを利用して品物を売買している方も多いのではないでしょうか。

古物営業法はメルカリなどのフリマアプリやネットオークションのようなインターネット上での取引にも適用されるため、 「事業」として古物の売買などを行う場合には古物商許可証が必要 です。

インターネット上での取引であっても、違反すると当然罰則があるので注意しましょう。また、フリマアプリやネットオークションを利用する場合は、各プラットフォームの利用規約の確認も大切です。

ただし、個人の不用品を売るだけであれば、古物商許可証は不要なので安心してください。

事業として古物を取引する場合は古物営業法を守ろう

事業として古物を取引する際は、古物営業法の遵守が欠かせません。違反すると罰則が課せられる可能性があるため、ルールを把握しておくことが重要です。

事業の場合には営業許可を取得し、取引相手の本人確認や帳簿の管理、警察へ申告などの法律で定められている義務を遵守しましょう。

古物営業法をしっかりと守ることで、法的なリスクを回避し、健全な古物営業を行えます。

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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