電気代の基本料金とは?仕組みから電力会社別の料金表・計算方法まで

  • 2023年7月21日

電気代の明細を見てみると、「基本料金(最低料金)」という項目があります。電気の使用量に関係なく、毎月一定の料金が請求されるため、「一体なんの料金なの?」「もっと安くならないの?」と考える人もいるでしょう。

基本料金は、多くの電力会社やプランで設けられており、契約内容によってあらかじめ料金が決まっていることが一般的です。設定料金には差があり、なかには無料としているプランもあるので、今より基本料金を安くしたいなら乗り換えを検討してみるといいでしょう。

ただし、基本料金が安いという理由だけで選んでしまうと、結果的に全体の電気代が高くなる可能性もあります。

本記事では、基本料金の仕組みから世帯別のおすすめプランまでご紹介するので、後悔のない選択ができるよう参考にしてみてください。

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電気代の「基本料金」とは

電気代の「基本料金」とは、電力会社が契約プランごとに定めた固定料金のことです。電力の使用量にかかわらず毎月必ず発生することが特徴で、たとえ電力をまったく使用しなかった場合でも支払う必要があります。

基本料金は、電力会社の発電の設備費・人件費・機材費・諸経費などのコストをまかなうためのシステム。電力会社やプランによっては「基本料金」のことを「最低料金」と呼ぶケースもありますが、基本的には同じ性質のものです。

電気代の基本料金には、「アンペア制」と「最低料金制」があります。

アンペア制

アンペア制は、契約アンペア数ごとに異なる基本料金が設定されているシステムです。狭い家で使用電力が少なければ、低いアンペアで契約するので基本料金は安くなり、電力を多く使う場合には基本料金が高くなります。

基本料金にアンペア制を採用している電力会社は、北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・九州電力です。これらの電力会社の「従量電灯プラン」がアンペア制にあたります。

一般的な家庭では、10Aから60Aの範囲で電力の使用量に応じたアンペアを選択。アンペア数ごとに定められた基本料金が適用されます。なお、基本料金は電気の使用量にかかわらず、毎月かかる固定料金です。

最低料金制

基本料金が最低料金制の場合には、1契約あたりの最低料金が決まっています。基本料金には一定の電気使用量の料金が含まれており、それ以上の電力を使った際にその分の料金を上乗せして払う制度です。

関西電力・中国電力・四国電力・沖縄電力は最低料金制を採用しており、これらの電力会社の「従量電灯プラン」が最低料金制にあたります。なお、最低料金制の場合にも、基本料金は毎月必ず発生する固定料金です。

大手電力会社の基本料金表

ここからは、大手電力会社の基本料金をご紹介します。アンペア制を採用している電力会社では、契約アンペア数ごとに基本料金が変わる点に着目しましょう。最低料金制を採用している電力会社の場合には、アンペア数による基本料金の変動はありません。

電力会社ごとの基本料金を比較して、自分に適した電力会社・プランを見つけましょう。

北海道電力

北海道電力では、基本料金にアンペア制を採用しています。例えば、30Aで契約した場合の基本料金は1,122円00銭です。電気の使用量が少なく10~20Aの低アンペアで契約した場合には、基本料金を1,000円未満に抑えられます。

契約アンペア数基本料金(従量電灯B)
10A374円00銭
15A561円00銭
20A748円00銭
30A1,122円00銭
40A1,496円00銭
50A1,870円00銭
60A2,244円00銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯|北海道電力

東北電力

東北電力は、アンペア制により基本料金が設定されています。契約アンペアが10~20Aの場合には、基本料金を1,000円未満と安く抑えられることが特徴。アンペア数が増えると基本料金も段階的に高くなり、60Aの場合には2,217円60銭の基本料金が設定されています。

契約アンペア数基本料金(従量電灯B)
10A369円60銭
15A554円40銭
20A739円20銭
30A1,108円80銭
40A1,478円40銭
50A1,848円00銭
60A2,217円60銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯B|東北電力

東京電力

東京電力はアンペア制による基本料金を導入しています。契約アンペアが10Aのケースでは基本料金が295円24銭と安く設定されており、30Aまでは基本料金を1,000円未満に抑えられます。東京電力は、全体的に基本料金が安めに設定されていることが特徴です。

契約アンペア数基本料金(従量電灯B)
10A295円24銭
15A442円86銭
20A590円48銭
30A885円72銭
40A1,180円96銭
50A1,476円20銭
60A1,771円44銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯B・C|東京電力

中部電力

中部電力の基本料金はアンペア制によって定められており、最も低い10Aの契約では297円00銭と比較的安い料金が設定されています。全体的に低めの料金設定がされており、基本料金を抑えたい方に適した電力会社と言えるでしょう。

契約アンペア数基本料金(従量電灯B)
10A297円00銭
15A445円50銭
20A594円00銭
30A891円00銭
40A1,188円00銭
50A1,485円00銭
60A1,782円00銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯A・B・C|中部電力

北陸電力

北陸電力の基本料金は、アンペア制が採用されています。低アンペアでは基本料金が安く設定されており、アンペア数が上がると基本料金も徐々に高くなることが特徴。電力使用量が少ない方には、料金を安く抑えやすいシステムです。

契約アンペア数基本料金(従量電灯B)
10A302円50銭
15A453円75銭
20A605円00銭
30A907円50銭
40A1,210円00銭
50A1,512円50銭
60A1,815円00銭

※調査日2023年6月
出典:電気・サービス|北陸電力

関西電力

関西電力は、基本料金に最低料金制を採用していることが特徴です。アンペア数にかかわらず、1kVAあたりの基本料金は一律で416円94銭に設定されています。なお、この基本料金は、原則として契約容量が6kVA以上かつ50kVA未満の場合に適用される料金です。

単位基本料金(従量電灯B)
1kVAあたり416円94銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯B|関西電力

中国電力

中国電力は、最低料金制の基本料金システムを導入しています。基本料金は1kVAあたり431円90銭に設定されており、アンペア数による基本料金の変動はありません。なお、こちらの基本料金は、原則として契約容量が6kVA以上かつ50kVA未満の場合に適用されます。

単位基本料金(従量電灯B)
1kVAあたり431円90銭

※調査日2023年6月
出典:電気料金単価表|中国電力

四国電力

四国電力では、基本料金に最低料金制を採用しています。基本料金は1kVAあたり397円10銭と比較的安く設定されていることが特徴です。なお、この基本料金は、契約容量が6kVA以上かつ50kVA未満の場合に適用されます。

単位基本料金(従量電灯B)
1kVAあたり397円10銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯B|四国電力

九州電力

九州電力は、基本料金にアンペア制を採用していることが特徴。10~30Aの契約アンペアの場合には、基本料金を1,000円未満に抑えられます。アンペア数が上がると段階的に基本料金も高くなるため、使用電力量が少ないほど電気代を抑えられるでしょう。

契約アンペア数基本料金(従量電灯B)
10A316円24銭
15A474円36銭
20A632円48銭
30A948円72銭
40A1,264円96銭
50A1,581円20銭
60A1,897円44銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯B|九州電力

沖縄電力

沖縄電力は、基本料金に最低料金制を採用していることが特徴です。沖縄電力の従量電灯にはA・B・Cなどの区切りが設けられておらず、最初の10kWhまでは1契約あたり一律で640円75銭の基本料金が設定されています。

単位基本料金(従量電灯)
1契約あたり(最初の10kWhまで)640円75銭

※調査日2023年6月
出典:従量電灯|沖縄電力

電気代を構成する要素

電気代は基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金の4つの要素によって決まります。

基本料金は電力使用量に関係なく必ず発生する料金です。電力量料金と燃料費調整額は使用電力量に応じて発生し、燃料費調整額は電力量料金のなかに含まれます。

電力量料金のシステムは主に2パターン

電力量料金のシステムは、主に三段階料金と一律料金の2パターンがあります。三段階料金は電力使用量に応じて単価が変動し、一律料金は単価が固定されていることが特徴です。こちらでは、それぞれのシステムについてご紹介します。

三段階料金

三段階料金とは、使用した電力量によって料金の単価が三段階で分けられるシステムで、多くの電力会社で採用されています。使用電力量が多くなるほど単価が高くなるため、一定以上の電力を使うと料金がとくに高額になる仕組みです。

電力を多く使うほど電気料金が高くなるため、「無駄な電力を使わずに電気代を抑えよう」と考える人を増やすことで、省エネルギー化を実現する意図があります。

第一段階料金は、使用電力量が0~120kWhのときに適用される料金です。電気は生活に欠かせない資源のため、最低限度の生活を保障するという観点から、安い価格に設定されています。

第二段階料金は、使用電力量が120~300kWhのときに適用される料金。標準的な家庭の使用電力量を目安に設定されています。第三段階料金は、使用電力量が300kWh以上のケースに適用される料金で、電気の使いすぎを防ぐために高く設定されていることが特徴です。

1か月あたりの電力量料金の具体的な計算方法は以下のとおりです。こちらでは、北海道電力を利用して、1か月に150kWhの電力を使用した場合を例に計算します。

  • 1か月の使用電力量…150kWh
  • 適用される料金…41.73円/1kWhあたり(第二段階料金)

41.73円(1kWhあたりの料金)×150kWh(1か月の使用電力量)=6,259.5円(1か月の電力量料金)

使用電力量が150kWhのため、1kWhあたりの電気料金には第二段階料金が適用されます。1か月あたりの電力量料金は、「1kWhあたりの料金」に「1か月の使用電力量」を掛けて計算するので、この場合の1か月の電力量料金は6,259.5円です。

出典:従量電灯|北海道電力

一律料金

一律料金は、時間帯や使用電力量にかかわらず単価が一律で決まっているシステム。一律料金システムは、商店・オフィス・事務所などの電力使用量が一般家庭より多いケースに適したプランが多いです。

一律料金システムにもさまざまな種類があり、電力の使用状況によって適したプランは異なります。1か月あたりの電力使用量をしっかり把握して、自分に合ったプランを検討しましょう。

基本料金がないプランはお得?

基本料金がないプランがお得かどうかは、一概には判断できません。基本料金がないプランの多くは、使った分の料金だけを払う「完全従量料金制」を採用しています。また、基本料金がないプランの場合には、電力量料金が一律であるケースが多いです。

「基本料金なし」と聞くと電気代を節約できそうな印象を受けますが、使用電力量によってはトータルの電気代が高くなってしまうケースもあります。1か月あたりに使っている電力の量を把握して、トータルの電気代がいくらになるか計算してみましょう。

一人暮らしにおすすめのプラン

一人暮らしや家が狭い場合など、使用する電力量が比較的少ないケースでは、三段階料金プランがおすすめです。三段階料金システムは、使用電力量が少ないほど1kWhあたりの単価が安くなるため、トータルの電気代も安く抑えられます。

1か月に使う電力量が少ない方は、三段階料金プランを検討してみましょう。

ファミリーにおすすめのプラン

ファミリーの場合には、時間帯や電力量にかかわらず単価が設定されている一律料金プランがおすすめ。複数人の家族で生活しているケースでは、使用電力量が比較的多くなるため一律料金プランの方がトータルの電気代が抑えられる傾向があります。

ただし、一口にファミリーといっても電気の使用量・使用時間帯はさまざま。実際にどのプランが適しているかは、個々のケースによって異なります。自分の世帯の電力使用状況を把握して、お得なプランを見極めることが大切です。

電気代は基本料金がないほうが安いとは限らない

基本料金が設定されていないプランは、一見電気代を節約できそうな印象を受けます。しかし、基本料金が無料だからといって、トータルの電気代が安いとは限りません。電力量料金を決める単価を確認して、電気代の合計を計算しましょう。

最近では各電力会社からさまざまな料金プランが出ており、同じ電力使用量でもプランによって料金に大きな差が生じるケースもあります。電気代を少しでも安くするためには、自分の電力使用量をしっかり把握して、最適な電力会社・プランを選びましょう。

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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