腕時計のオーバーホールとは|費用相場や作業内容を解説

  • 2024年7月17日
この記事で解決できるお悩み
  • オーバーホールとはなにかについて知りたい
  • オーバーホールの費用の相場を知りたい
  • オーバーホールの業者の選び方を知りたい

本記事では、腕時計のオーバーホールについて解説。オーバーホールとはなにか、メンテナンスとの違い、頻度、作業の内容まで詳しくご紹介します。

オーバーホールは腕時計を長く使っていくために欠かせないものです。部分修理とは異なり、いったん部品をすべて分解し、洗浄したり油を塗ったり交換したりしてから、再度組み立てます。

費用相場や信頼できる業者の選び方についても触れているので、オーバーホールについて知りたい方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

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腕時計のオーバーホールとは

時計のオーバーホールとは、すべての部品を分解して行う総合的な点検のことです。具体的には部品の洗浄、摩耗したパーツの交換、注油、機械の精度調整など、多様な工程から成り立っています。

修理や一般的な点検とは異なり、細部まで徹底的に行われる点が特徴です。手間と時間がかかりますが、定期的に実施することで腕時計の寿命を伸ばしたり、時計の動作をスムーズにしたりするという効果が期待できます。

通常オーバーホールを行う頻度として推奨されているのは、3〜5年に1度です。

メンテナンスとの違い

オーバーホールとメンテナンスの違いは、作業内容と範囲にあります。

オーバーホールは時計をすべて分解し、各部品を点検し、必要に応じて、洗浄・注油・交換・修理する総合的な作業です。

これに対してメンテナンスは、時計を適切に作動させるための日常的な軽作業をさしています。電池交換や不良箇所のみの修理、部分的な調整で終わらせることが多いため、オーバーホールと比較すると、要する時間も短く、費用も安いです。

オーバーホールの頻度

腕時計を長く使用するためには、オーバーホールを3〜5年ごとに行うことが推奨されています。特に機械式時計は内部の油切れや劣化の影響を受けやすく、放置すると部品の摩耗も進むので、定期的な分解と点検が必須です。

オーバーホールを怠ると、時計の精度が低下するだけでなく、時計の故障にもつながってしまいます。

腕時計のオーバーホールの内容

オーバーホール

腕時計を使用している以上、油の劣化やパーツの摩耗、汚れの蓄積は避けられないことです。オーバーホールを行うと、機械の精度や動作の再調整・最良化が期待できます。以下ではその内容について詳しく紹介するので、参考にしてください。

部品の分解と洗浄

オーバーホールではまず最初に、部品の「分解」が行われます。時計を構成しているすべての部品をひとつひとつ丁寧に分解するのです。針や文字盤、歯車など部品単体レベルまで徹底的に分解し、各部品の状態を確認します。

つづいて行われるのが、分解された部品を専用の機械と専用の洗浄液で洗い、汚れや古くなった油を取り除く「洗浄」です。超音波式の洗浄機を使っているお店も多く、手洗浄では取れない汚れもきれいに除去してくれます。

部品の交換

分解や洗浄の段階で問題が見つかった部品は新しいものに交換します。機械式の時計は、少なくとも80、精巧な時計なら1,000を超えるパーツで構成されており、適切に油が塗られていないと摩耗が進むのです。

部品の交換は、パーツの摩耗によって決定されます。特によく交換される部品は、ゼンマイや切り替え車、2〜4番車、リューズ関連部品です。

部品交換の原因のひとつとして、油が切れた状態で使用しつづけたために、強い負荷がかかって摩耗したことが挙げられます。

再組み立てと調整

分解と洗浄、交換する部品の手配を経て行われるのが、再組み立ての作業です。再組み立ての際には、新しい油を適切な位置に適量塗ることで、パーツの摩耗や摩擦を防ぎます。注油は、部品の動きをスムーズにするためにも効果的です。

組み立てたあとに、時計の精度を確認し、できるだけ差が生まれないように調整を行います。高級な機械式腕時計の場合は、ムーブメントの振動を細かく測定する機械を使用した、繊細な調整が必要です。

防水確認など機能の最終チェック

防水加工が施されている時計の場合は、防水テストが行われます。専用の機械に時計をセットして加圧し、時計に歪みなどが生じないかを精査する作業です。

つづいて、時計の進みや遅れ、巻き上げのテストなどの最終チェックが行われます。精度不足や動作不良が見つかれば、再度原因を調べて修正や調整が行われるのです。

最終チェックでは、磨かれたケースやブレスレットの状態も、専門の時計技師が細かくチェックします。

オーバーホールの費用

オーバーホールの費用は主に腕時計のブランドと、機械式かクオーツ式かという時計の仕組みによっておおまかに決められています。ブランドごとに価格が異なるのは、ムーブメントの複雑さや部品の価格などが異なるためです。

またオーバーホールといえば機械式腕時計を思い浮かべる方が多いと思いますが、電池とモーターで動くクオーツ式時計もオーバーホールを検討することがおすすめ。

クオーツ式の場合は、動力部分以外のオーバーホールなので、価格が低めに設定されているお店もあります。

オーバーホール費用の相場

ブランド相場
ロレックス​​50,000円~
オメガ51,700円〜
カルティエ42,390円~
パネライ77,000円~
タグホイヤー41,250円〜
オーデマピゲ53,000円~
セイコー36,000円~
パテックフィリップ80,300円〜
IWC56,160円〜
シチズン15,400円〜

信頼できる業者の選び方

腕時計を部品単体レベルまで分解して、洗浄、組み立て直して、動作がスムーズになるように調整するオーバーホール。精度の高い作業が求められるため、信頼できる業者に任せたいものです。以下で業者の選び方を紹介します。

技術力と経験がある店舗を選ぶ

オーバーホールを依頼する際は、所持している腕時計に必要な技術力と経験があるお店を選ぶことが大切です。一概に時計技師と言っても、技術力は個人によって差があります

特に高級腕時計の場合は、そのブランドの時計をオーバーホールした経験が豊富な技術者がいる店舗を選ぶと良いでしょう。

ブランドによっては特有の構造や修理方法がある場合もあるので、専門知識のある時計技師がいれば精度の高いオーバーホールが期待できます。

複数の店舗を比較する

オーバーホールの内容や料金はお店によって異なるため、複数の店舗に見積もりを依頼し、サービス内容や料金を比較することも重要です。

ただし、料金が安いからと言って安易に依頼すると、適切なオーバーホールが行われない可能性もあります。時計の寿命や性能に関わる大事な作業なので、価格と作業の質のバランスを慎重に判断するようにしてください。

ブランドの正規店で行われているオーバーホールの内容を基準に、見積もりの内容を検討したり、お店に問い合わせたりしても良いでしょう。

納期や依頼方法

個別の事情がある場合は、それに合わせてサービスを展開している店舗を選ぶことも重要です。

たとえば「いつまでに直してほしい」という期限があるなら、明確に納期を示してくれるスピード対応可能なお店を選ぶと良いでしょう。

「店頭に持っていけない」という方には、郵送で取引できるお店が便利です。インターネットや電話でやりとりが完結するお店もあります。ご自身の状況や事情にあったお店を選んでください。

オーバーホールが必要なトラブル

時計の機構

長い期間オーバーホールをしないと、ムーブメントにサビが発生したり、油汚れがたまったりという状態になってしまう腕時計。購入時と異なる症状に気づいたらオーバーホールが必要というサインかもしれません。以下に代表的なトラブルを紹介します。

ローター音がうるさい

機械式時計の場合、通常でもローター音はするものです。ブランドによってはあえて回転音を響く作りにし、腕に振動が伝わるように設計している時計もあり、「うるさい」かどうか判断がむずかしいものもあるでしょう。

しかし、通常より大きく感じる、うるさく感じるなどの違和感を感じる場合は、油切れや部品が外れているなどの可能性があります。すぐに修理が必要なケースもあるので、まずは近くの時計店や修理店に相談することがおすすめです。

文字盤部分が曇る

気温差により一時的に文字盤が曇るという可能性もありますが、ひんぱんに曇りが発生する、曇りが持続するなどの場合はパッキンの劣化等が原因と考えられます。

劣化したパッキンなどのゴム部分を放置してしまうと、防水機能が低下して水分が時計の機械部分に侵入する恐れも。

風防に傷や亀裂が入っている可能性もあるので、気温差のない状況での曇りが気になる場合は、修理店に相談してください。

時間がよくずれる

クオーツ式時計の場合、時間がずれるのは電池の消耗が原因であることが多いです。電池を変えてもずれるなら修理が必要と言えます。

機械式時計で時間がよくずれる場合は、ゼンマイの巻き上げ不足、油切れや部品の破損などが考えられる原因です。磁気の影響を受けて時間がずれることもあるので、そばに磁気を帯びているものがないか確かめましょう。改善しないなら、修理店に相談するようにしてください。

定期的に腕時計のオーバーホールを受けよう

本記事では、腕時計のオーバーホールについて詳しく解説しました。オーバーホールは時計のすべての部品を分解・洗浄し、再度組み立て動作確認を行う作業のことです。これにより時計の寿命と精度を保てます。

推奨されているオーバーホールの頻度は、機械式時計の場合は3〜5年ごと。クオーツ式時計でも定期的に行うことをおすすめします。

依頼する際には、ブランドの修理経験豊富な技術者がいるかなど、料金だけでなく質も考えて、信頼できるお店を選ぶようにしてください。

本記事の画像・買取実績・価格・口コミなどの出典
出典:GINZA RASIN,K’s factory

木暮康雄

木暮康雄 (監修者)

ウリドキ株式会社代表取締役CEO。ウリドキプラスの発行人でもある。
リユース業界での起業・事業運営の経験が豊富でリユースの専門家としてのメディア出演歴も多数。
著書に「リユース革命」(幻冬舎)がある。

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