- 暖房が20度でも寒い理由が知りたい
- 電気代の節約方法が知りたい
- 理想的な温度設定が知りたい
暖房が20度設定でも寒い場合の対処法についてご紹介。
寒い時期が訪れると、暖房器具の利用が欠かせません。しかし、高めに設定すると電気代などがかかるため、高くしたくないと考える人もいるでしょう。
20度設定にしても寒いと感じる場合は、温度を高くする以外に対処方法はないのでしょうか。
本記事では、暖房20でも寒いと感じる理由・電気代を節約する方法・理想的な温度設定について解説します。暖房の温度設定に悩んでいる人や20度でも寒いと感じる場合には、ぜひ参考にしてください。
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暖房の20度設定は寒い？
冬場に暖房をつけるとき20度に設定するのは、一般的に高くも低くもない、極めて適切な設定温度だといえるでしょう。環境省が提唱している、過度に暖房に頼ることのないライフスタイルである「ウォームビズ」では、暖房時の室温の目安を20度としています。
ただし、これはあくまで暖房時の室温についての目安であり、暖房の設定温度とは異なるため、20度設定では寒いと感じる方も少なくありません。
暖房を20度に設定しても寒く感じるのはなぜ？
暖房を20度に設定することは一般的ではありますが、その設定温度では寒く感じてしまう方も多いです。ここからは、なぜ設定温度が20度だと寒く感じるのか、その主な理由をご紹介します。
そもそも室温が20度になっていない
エアコンを20度に設定しても、必ず室温がその通りになるとは限りません。エアコンには温度センサーが付いていますが、センサーの位置や精度の違いによって室内全体の温度を正確に反映できない場合があります。
また、センサー周辺の汚れや故障も正確に温度を感知できない原因のひとつです。メーカーやモデルの違いによるエアコンの性能の差や、センサーの異常といった要因で、設定温度と実際の室温に差が出る可能性があることを覚えておきましょう。
窓の断熱性能が低い
窓は住宅のなかでも熱の出入りが多い場所です。暖房で温めた熱のおよそ半分は窓から逃げていくといわれています。特にガラスが1枚の単板ガラスは断熱性能が非常に低く、温めた空気が逃げやすくなり、室温が20度以下に下がりやすくなるのです。
ちなみに、物体を通過してくる熱量を数値で表した「熱貫流率」というものがあります。熱貫流率が低いほど、断熱性能が高いといえるのです。「株式会社ヤマダ硝子」では、単板ガラスとそのほかのガラスの熱貫流率を示しています。
FL3（透明単板ガラス）
6.0（W・K/㎡）FL3＋A12＋FL3（複層ガラス）
3.0（W・K/㎡）引用元：株式会社ヤマダ硝子│熱貫流率とは（最終閲覧日2024年12月21日）
窓枠の材質によっても断熱性能は異なります。木材や樹脂といった素材は断熱性能が高いですが、アルミサッシは冷えやすい素材です。「窓や床が結露しやすい」「窓のそばが冷えやすい」といった場合は、窓の断熱性があまり高くないといえます。
部屋の中で温度差がある
20度という室温は決して低いものではなく、部屋全体がきっちり20度になっていれば寒く感じることは少ないです。しかし暖房が20度だと寒く感じてしまうのは、部屋の中に温度差が生じてしまっていることが原因の可能性が高いです。
暖かい空気は上にいき、冷たい空気は下にいくという性質ゆえに、暖房をつけていても部屋全体の温度が均一になることはありません。そのため、必然的に下のほうにある足元は冷たい空気に触れ、冷えてしまいます。
さらに、上のほうの暖かい空気に触れている部分とのギャップが生じることも、設定温度よりも寒く感じる理由のひとつと言えるでしょう。
体感温度が低い
人が寒さを感じるのは、室温が低いこと以外にも、体感温度が低いことが原因の場合も。体感温度は当然室温に影響を受けるものの、それだけで決まるわけではありません。
室温以外に、体感温度に影響を与える要因は主に湿度や気流。冬場は空気が乾燥し、湿度が低く、実際の温度よりも寒いように感じます。そのため室温を20度に設定していても、湿度を上げる工夫をしていなければ、体感温度は20度よりも低くなってしまいます。
また、体温が低い場合も体感温度が低くなり、実際の温度よりも寒く感じることがあります。
薄着すぎる
室温が20度になっていたとしても、服装によっては寒く感じることがあります。薄着すぎる場合は体が冷えやすくなり、20度の室温でも快適さを感じにくくなるでしょう。また、寒さに対する感じ方には個人差があります。
一緒に過ごす人が薄着で平気でも、自分は寒く感じる場合があるでしょう。もともとの体温や基礎代謝の高さなどによって寒さの感じ方は個人によって異なるため、自分が快適に感じる服装を心がけることが大切です。
室温20度に適した服装は？
季節や時間帯によって異なりますが、日中は長袖のトップスや長ズボン、ロングスカートなどで快適に過ごせるでしょう。ただ、朝晩は冷える可能性があるため、羽織りものなどで重ね着して温かくすることがおすすめ。
また、ひざ掛けやブランケットで脚を温めることも効果的です。厚手の靴下やタートルネックのトップスなどで、足元や首元を温めると全身が温まりやすくなります。
室温20度でも寒いと感じやすい人は？
室温を20度に保っていても、寒いと感じる人もいれば、快適に過ごせる人もいるでしょう。同じ室温でも寒さの感じ方は個人によって異なります。ここでは、室温20度でも寒いと感じやすい人の特徴についてまとめました。
自律神経が乱れている人
体の調整機能を果たす自律神経。自律神経は体温調節にも重要な役割を果たしており、乱れている人は寒さを感じやすくなる可能性があります。自律神経が正常にはたらいていないと、温度変化に対応しづらかったり、血行が悪くなったりして寒さを感じるのです。
自律神経が乱れる原因には、次のようなものがあります。
- ストレス
- 生活習慣の乱れ
- ホルモンバランスの変化
- 環境の変化
自律神経を整えるためには、規則正しい生活やバランスのよい食事が大切です。運動不足やストレスの蓄積にも気を付けましょう。
筋肉量が少ない人
筋肉量は寒さの感じ方に影響を与える要素のひとつです。筋肉には熱を生み出すはたらきがあり、筋肉量が少ないと体が冷えやすくなります。
次のような研究結果からも、筋肉量と体温の関係がわかるでしょう。
骨格筋量が多い人の方が熱を多く産生
し保持できるといえる．よって，骨格筋量が多いと安静
時の核心温が高くなったと推察した．引用元：理学療法科学 34（3）：347–351,2019若年健常男性の安静時核心温に対する骨格筋量と交感神経機能の関係│5ページ目（最終閲覧日2024年12月21日）
また、筋肉が少ない人は基礎代謝が低く、エネルギーを消費しにくくなることも寒さを感じる原因のひとつです。
筋肉は収縮によって、血液循環を促進する役割もあります。筋肉量が少ないと血行が悪くなり、体温維持がしづらくなるのです。ウォーキングやスクワットで下半身の筋肉を鍛えたり、体幹部の筋肉を鍛えたりすることで、冷えにくい体を作りやすくなります。
血行が悪い人
体内で作られた熱は、血液を通して体全体に届けられます。血行が悪い人は熱が体の末端まで行き渡りにくく、特に手先や足先などで寒さを感じやすくなるのです。血行不良は代謝にも影響を与え、熱が効率的に生み出されづらくなります。
「医療法人 慈仁会 酒井病院」では手足の冷えと血流の関係について、次のように言及しています。
手足の冷えの主な原因は血行が悪いことによります。体内の熱を運ぶ役割は血液が担っていますので、血のめぐりが悪い状況では手足は冷たくなります。
血行不良の原因として、次のようなものが挙げられるでしょう。
- 運動不足
- 長時間の同じ姿勢
- 食生活の乱れ
- 自律神経の乱れ
- きつい服装
血行不良を改善する方法として、ふくらはぎのマッサージやゆっくり入浴することなどがあります。運動習慣をつけることも長期的には効果的です。
室温22度で寒いと感じる人も
寒さの感じ方は人それぞれです。たとえば室温を22度に設定しても「セーターを着こむくらい寒い」と感じる人もいます。「室温が20度では寒い」と感じることは、決して珍しいケースではないのです。
体感温度には個人差があります。また、部屋のなかでも温度差が生まれるため、過ごす場所によっては22度でも寒いと感じることもあるでしょう。大事なのは自分が快適に過ごすために体調管理をしたり、適切な服装を心がけたりすることです。
暖房は何度が理想？感じ方と料金を調査
暖房を使用する際は、快適に感じる温度で過ごしたいですよね。ただ、暖房にかかる電気料金も気になるところです。ここでは、設定室温ごとの一般的な感じ方や電気料金の目安について解説します。電気料金とのバランスを取りつつ、設定温度を考えてみてくださいね。
室温20度の場合
室温20度は、一般的に快適に感じる温度とされています。環境省の「家庭のエネルギー事情を知る」では、冬季に理想とされる室温も20度です。エネルギー消費をおさえつつ、快適な室内温度を維持するための基準の温度といえます。
ただ、室温20度でも寒いと感じる人もいるようです。
部屋の室温は20度になってるのに手がかじかんで動かないし足先に血が巡ってない感覚がある=寒い
— 深 淵 ふか ふかし 🎚️🎛️/ V-Engineer (@fuka_fukashi) November 30, 2024
湿度や部屋の気密性、場所によって寒さを感じる場合もある温度なので、加湿器の使用や服装の工夫で快適な体感温度を保ちましょう。また、個々の体質や体調によって感じ方は異なります。
電気料金の目安
部屋の広さやエアコンの性能によっても異なります。
| 部屋の広さ | 定格消費電力量（W） |
|---|---|
| 6畳用 | 450 |
| 10～15畳用 | 750～1,100 |
暖房標準能力の定格消費電力量は、JIS規格で室温設定温度20℃、外気温7℃を基準に定められています。
エアコン暖房20度設定の消費電力が450～1,100Whで、24時間つけっぱなしにした場合の電気代を考えましょう。31円/kWhで計算すると、1週間でおよそ2,340～5,730円程度の電気料金がかかるでしょう。1ヵ月では9,360～22,920円程度になる計算です。
室温22度の場合
室温22度も20度と同じく、一般的には快適に過ごせる温度といえます。多くの人には快適に感じられる温度ですが、湿度や外気温、個人の体質によっては寒く感じる可能性がある温度です。
なんかめっちゃ寒い…24度設定で暖房つけてんのに22度から室温あがらないんですけど…
— きょん (@kyon_AdmiralS) November 27, 2024
SNSの投稿では、室温22度でも寒く感じる人がいることがうかがえます。ただ、環境省の調査では暖房利用者の平均設定温度は22度、23度がもっとも多いことがわかっており、快適さと電気代のバランスがとれた温度といえるかもしれません。
電気料金の目安
設定室温を1℃上げるごとに、消費電力はおよそ10％～13％上昇します。
室温を22度（消費電力20％増）に設定した場合の消費電力は540～1,320W。24時間つけっぱなしのケースで計算（31円/kWh）すると、一週間あたりおよそ2,810～6,870円程度になるでしょう。1ヵ月では11,240～27,480円ほどで、20度設定の場合よりも2,000円程度高くなる計算です。
室温24度の場合
環境省によると、冬は室温20度、夏は28度程度が快適とされています。室温24度は特に暖房時に快適に過ごせる温度でしょう。ただ、室温24度でも寒いと感じる人もいるようです。
室温24度で寒いと感じるようになったのでこの身体はもうダメ
— ⛩ぴぴぴ (@sakumamayusuki) October 21, 2024
反対に室温24度では、湿度が高くなると蒸し暑く感じる場合もあるでしょう。室温24度は日中暖かく感じることが多いため、薄い長袖や七分丈のトップスなどを選ぶと快適です。朝晩は寒く感じる可能性もあるため、薄手の羽織りもので暖かくしましょう。
電気料金の目安
使用するエアコンの種類や運転モードによって異なりますが、消費電力量は20度時より40％増で、およそ630～1,540W。暖房時の消費電力は24時間つけっぱなしにすると、一週間あたり約3,280円～8,020円、一か月では13,120～32,080円程度（31円/kWh）になります。20度設定より4,000～10,000円ほど高い計算です。
室温26度の場合
暖房時の室温26度はやや高めに感じることがあるでしょう。特に外気温が低い場合には、より暖かさを感じられ、暑く感じることもあります。ただ、湿度や服装、体質などによっては室温26度でも寒く感じる人もいるようです。
私「室温26度？暑い、エアコン入れよ」
旦那「寒っ、27度にしよ」
私「暑い！！」
暑がりと寒がりだから適温が合わねえ。
てか寒いなら半袖着てないで長袖着てくれよ— ウリヲ (@10UR30) October 27, 2024
湿度が高いと暑く感じやすい室温でもあるため、湿度40～60％に保つことで快適に過ごしやすいでしょう。暑さを感じる室温なので、半袖や七分袖がちょうどいい人も多いはずです。ただ、気温の変化に備えて軽い羽織りものを用意しておくとよいでしょう。
電気料金の目安
エアコン暖房の設定温度が上がると、消費電力も大きくなります。エアコン暖房26度では、消費電力が20度時より60％増で、720～1,760Wになる計算です。一週間に換算すると3,700～9,170円、一カ月では14,800～36,680円と、20度設定より5,000～14,000程度高くなります。
暖房は何度からつけるのがいい？
暖房をつけるかどうかの基準は、やはり室温を目安にするとわかりやすいです。先ほど述べた通り、冬場に人が快適に暮らせる室温は18〜22度なので、室温が18度を下回れば暖房をつけることがおすすめです。
また、WHO（世界保健機構）は、2018年に発表した「住宅と健康ガイドライン」のなかで、健康のためには、冬場の室温は18度以上にすべきであると勧告しています。
暖房20度で快適に過ごすコツ
暖房20度で快適に過ごせると、電気代の節約にもつながってお得です。ここでは、暖房20度設定で寒いと感じる方でも、暖かく快適に過ごせるコツについて解説します。お金をかけずに手軽に実践できるものもあるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
空気を循環させて温度差をなくす
暖かい空気は上にいき、冷たい空気は下にいくので、暖房をしていても部屋の中には温度差が生じます。温度差があると体感温度が低くなり、設定温度を上げたくなるでしょう。
そこで、暖房の稼働中に空気を循環させる工夫として、サーキュレーターがおすすめです。空気を循環させて、温度差を無くせば、設定温度を上げなくても部屋を適温にできるでしょう。
窓を断熱する
暖房の設定温度を上げずに部屋を効率的に暖めたいなら、窓の断熱もおすすめです。窓は部屋の中でも熱が外に逃げやすい部分で、そのままにしておくと、せっかく暖房をしていても効率が悪くなります。
窓を断熱しておけば、部屋の中の熱が逃げにくくなるため、暖房の設定温度を上げずにすみ、電気代を抑えることが可能。窓の断熱は、窓そのものを変える以外にも、窓用断熱シートなどを貼り付けるだけでも効果があります。
着るもので調節する
体感温度を上げる方法として、もっとも手軽なもののひとつが暖かい服を着ること。肌寒いからといって暖房の設定温度を上げてしまうと電気代がかさんでしまいますが、服装で調節すればコストはほぼかかりません。
最近では、発熱効果のあるルームウェアやインナーなども簡単に手に入ります。重ね着をして、暖かさを調節してみてはいかがでしょうか。
暖房機器を清掃する
暖房機器を掃除してみるのも一つの手です。エアコンは掃除をしないまま稼働させ続けるとフィルターが汚れてしまいます。フィルターの汚れは暖房の効きを悪くするので、結果的に設定温度を上げることになりかねません。
フィルターの清掃をして汚れを取り除くことでエアコンの暖房効率が良くなり、電気代を抑えられるでしょう。少し手間はかかりますが、定期的なメンテナンスを心がけましょう。
自動運転で効率よく暖める
暖房をかけるとき、どの運転モードにするか悩まれる方は多いでしょう。「電気代を抑えたいなら弱運転にすべきでは？」と思われるかもしれませんが、実は自動運転にする方が電気代を抑えられます。
自動運転では設定温度になるまでは一気に、その後はゆるやかに稼働する効率の良いモードです。電気代を抑えたいのなら、ぜひ自動運転を活用しましょう。
湿度をあげる
体感温度に影響する要因のひとつである湿度。湿度が低いと室温よりも寒く感じ、高いと暖かく感じるので、湿度の低くなりがちな冬場には湿度をあげることが重要です。
湿度をあげるもっとも確実な方法は加湿器を使うこと。加湿器の電気代が気になるのなら、洗濯物を室内に干したり、タオルを濡らして干したりしても湿度をあげられますよ。
体を温める工夫をする
暖房の設定温度を上げずに寒さを解消したい場合は、日常生活のなかで体を温める工夫をしましょう。手軽な工夫はお風呂に入ること。普段シャワーだけで済ませているのなら、冬場だけでも湯船に入る習慣をつけると良いでしょう。
また、温かい飲み物を飲む、軽いストレッチをして体を動かすなど、ちょっとした工夫で暖房の電気代節約につながるので、実践してみてはいかがでしょうか。
エアコンの室外機周りをチェックする
普段、あまり気にかけないエアコンの室外機ですが、電気代節約のためには室外機周りをチェックしておくことが重要です。室外機の周りにものがおいてあると、空気の流れが悪くなり暖房の効率が悪くなってしまうので、しっかりと片付けるようにしましょう。
積雪量の多い地域では、雪が室外機の周りにつもり、エアコンが効かなくなることもあります。こまめに室外機周りをチェックして、除雪しましょう。
電力会社を見直す
電気代が高いと感じたら、電力会社やプランを見直してみると良いかもしれません。例えば、一度に使う電化製品の数は多くないのに契約アンペアが大きい場合は、プランが合っていない可能性があります。
電気代が気になる方は、改めて契約している電力会社以外の会社の料金やプランを比較してみましょう。自分に合っているプランがあれば乗り換えしてみることもひとつの手段です。
暖房20度で寒い場合はひと工夫してみよう
極寒の日は、暖房を20度に設定していても寒いと感じることがあるかもしれません。その場合は少し工夫すれば、寒さが感じにくくなるでしょう。
羽織るものを1枚増やしたり、発熱効果のあるウエアを着用したりすることでも、寒さが感じにくくなります。また、窓用の断熱シートを張る方法もおすすめです。
本記事で紹介した節電方法も参考にして、温度設定を高めにする前に工夫をしてみてください。
