お出かけといえば「ならファミリー」の奈良。あれだけ豊富な文化財・観光名所を持ちながら、「三都物語」からハミ子にされてしまう奈良。しかしながら大きな天災にも見舞われず、空襲とも無縁だった奈良だけに、各家庭には価値のある古書が眠っているもの。そして、それらの価値を見出す力を持つ、古本店が多数あるのも奈良なのです。郊外に大型の古本店が続々進出しているという条件は他県と同様、にもかかわらず個性的な奈良の古本店は、したたかに生き延びているのです。
奈良のおすすめ買取店4選
十月書林
興福寺そして名門奈良ホテルのほど近く、下御門商店街南側入り口すぐに立地するのが「十月書林」。昭和55年創業といいますから、この地で35年間も商売を続けているということからも、お客からの篤い信頼がうかがえるというもの。得意としている買取ジャンルは、文学や思想哲学、美術書、書道関連などという一朝一夕には査定眼が養えないようなものばかり。「これは!!」と思えるものを蔵書で見つけたら、一度お電話することをおすすめします。
住所:奈良市下御門町38
紀文堂書店
古本にあわせて骨董や美術品の買取も可能という、古都ならではの取扱い幅を持つショップが「紀文堂書店」。例えば蔵を取り壊す、趣味人の遺品整理、このようなシチュエーションに頼ってみるのも良さそうです。この手のショップには珍しく、奈良市近郊を始めとして関西一円まで足を延ばして出張買取してくれるという、ステップの軽さが魅力。宅配にも対応していますが、取扱品目の中にはコミックや文庫本は含まれていませんので悪しからず。JR奈良駅と近鉄新大宮駅、両方に近いという店頭買取に非常に便利な立地なのですが、営業時間は夕方ごろ~午後10というイレギュラーさなので注意が必要です。
住所:奈良市三条宮前町1-38
本源郷(ほんげんきょう)
昭和40年代に日本各地にできたニュータウンの一つ「中登美団地」に位置する「本源郷」は、1960~90年代のコミックやアニメ関連の書籍を得意とするショップ。他に取扱うのは漫画やイラスト、そして芸術系の画集や写真集、2000年以前の商業作家制作の同人誌などといいますから、自称ヲタクの店主の趣味が全開となっています。買取方法は店頭と宅配、店主と趣味が一致した場合は非常に幸せな結果が予想できますから、ピンときたならば奈良市より遠く離れていても、メールで簡易査定だけでも依頼してみましょう。勢い余っていきなり送付するのはNGですからご注意を。最寄駅は近鉄学園前となっています。
住所:奈良市中登美ヶ丘1丁目1944-3
他にも「中国美術・以文斎」「フジケイ堂」「喜寿園」など取扱品目に特長があったり、長い歴史を持っていたりする奈良らしい古本店はありますがHPを持っていなかったりしますから、今回は紹介を断念しました。
また大型古本店なら地元の人から熱く支持されている「BOOK245」というのもありますが、大和郡山にあるということで、またの機会とさせていただきます。
古本買取店を選ぶこつ
店主の好みを読み取る
上で紹介した4店舗は特に個人が経営している古本店だけあって、ショップの方針=店主の好みです。そして、その好みに合わせた顧客を抱えています。査定基準は自分の店で自分の顧客にならいくらで売れるだろうかという点。もちろん市場価格は考慮するでしょうが、一律○円で買取るようなショップとは、その点が大きく異なり、店主の胸先三寸で査定価格は決まるもの。その好みを知るには実際に話したり、在庫内容を見たりするのが早いのですが……一番いいのは、好みのショップを見つけて、そこで買ってそこで売ることなのですが……まあ、なかなか難しいですね。
得意ジャンルを間違えない
例えば、美術系の古書を得意としているショップに、いきなりワンピース全巻を持ちこんでも、お互いに困ってしまうだけ。ならばHPなどで事前にリサーチして、得意ジャンルを知っておくことが大切です。「郊外型の古本店には、さすがに任せられないな」そんな雰囲気を持つ古本・古書が出てきたならば、上で紹介したようなショップに問い合わせてみてはいかがでしょうか。
高価買取のポイント
状態は出てきたそのままで
何か曰くありげな古本・古書を見つけたならば、状態を悪くしてはいけません。つまり、必要以上にページを開いたり、付いている帯を外したりはご法度。状態が悪くなったらその分、買取価格が下がってしまうのは当然です。できるだけ、状態はそのままにして買取を依頼しましょう。
普段から本は大切に扱う
今、手にしている本が古本・古書と呼ばれるようになったころには貴重な一冊となっているかもしれません。ですから、普段から書き込みをしないとか、ページの角を折らないとか、大切に扱う習慣を付けることは重要です。
注意点
実際、何が貴重なのかは門外漢には良くわからないというのが、古書・古本の世界です。一番良くないのは、本当は値段が付くものを自分の判断で捨ててしまうこと。趣味人のコレクションなどを整理する機会に出くわしたなら、とりあえず、捨てる前に古本店の判断を仰ぎましょう。買取云々よりも貴重な資料がなくなってしまうというのは、大げさに言うならば社会的損失に他ならないからです。
まとめ
少々クセのある、いかにも奈良といった佇まいの古本・古書店を集めてみました。何に価値があり、ないのか?リサイクルの世界は全般にわかりにくいのですが、古本・古書はその最たるものかもしれません。機会があれば、上に挙げたような古本・古書店を覗いてみて、どのようなものに高い値段が付いているか、傾向だけでもつかんでおくと将来的に役に立つかもしれませんし、古本・古書の魅力にはまっていくのも楽しそうですね。