中古マンションの販売価格はこうして決まる
中古マンションの価格を決めるには、まずは近隣にある売却したいマンションに近い条件の物件の価格を参考にします。
売りたいマンションの最寄り駅にほぼおなじ間取りの築年数が少し違うだけのマンションが3000万円で売りに出されていた場合、その3000万円を基準にして「築年数」や「階数」によってプラス査定やマイナス査定を行い、最終的な価格が決まってきます。
プラスマイナスの査定に大きく影響するのが「築年数」「立地」「階数」「室内の状態」「専有面積」などがあります。同じようなマンションでも一般的には築浅や駅近の物件のほうが買取価格が上がります。
ただしヴィンテージマンションのように築年数が販売価格にそれほど影響を与えないような物件もあり、駅から遠くても「高級住宅地」とされる立地であることがプラス評価になることもあります。
販売価格の提案は仲介する不動産会社が行いますが、最終的な販売価格を決めるのは売り主です。多少安くてもすぐに売却を行いたいのか、それとも時間がかかってでも高く売却したいのかなどを考慮して最終価格を不動産会社の担当者と相談して決めることになります。
マンションの売り時
マンションの売り時は、新築で購入して一般的には築15年が最適と言われています。その理由について説明します。
住宅ローン控除の適用
マンションは築年数が25年まで住宅ローン控除を受けられます。期間は最大10年ですので、買い手は築年数が15年までのマンションを買った場合、10年間の住宅ローン控除をうけることができます。
そのため築年数が15年までのマンションが中古相場で人気の物件になり、買取価格もそれほど大きく下がりません。16年目以降は「欲しい人」が減るため買取価格が下がりやすくなります。
リフォームが必要になる
マンションにかぎらず、住宅に使用しているものの多くが10年から15年で寿命になります。キッチンやお風呂といった水回りは15年以上使うと水漏れなどのトラブルが発生しやすくなるためです。
このため16年以上使い続ける場合は大掛かりなリフォームが必要になり、数百万円規模の出費が必要になることがあります。この出費が発生する前にマンションを売ることが理想です。
管理費や修繕積立金が増額
タワーマンションなどの超高層マンションは16年目以降、管理費や修繕積立金が大幅に増額される傾向にあります。これはマンションそのものの大規模な修繕工事が必要になるためです。
管理費と修繕積立金が2倍以上になることもあり、それらの出費を抑えるためにも管理費や修繕積立金が上る前の15年目が売り時と言われています。
マンションの高額販売のポイント
同じマンションであっても、ちょっとしたポイントを抑えることで少しでも高い販売価格で売ることができます。マンションを高額販売するためのポイントを紹介します。
マンションは春に売る
マンションには売れやすい季節というものがあります。賃貸物件と同じように人が動きやすい、春先と秋口に引越しに合わせてマンションを購入する人がいるためです。
特に春は実家を離れて一人暮らしをする子どもが増えるため、ライフスタイルの変化に合わせて小さなマンションに引っ越したいと考える人が多いようです。
中古市場が最も活性化する春先にマンションを売るために、半年前ぐらいから販売の準備をしてください。
部屋をきれいにしておく
ゴミだらけで汚れた部屋をみて「ここで暮らしたい」と思う人はほとんどいないでしょう。中古マンションの購入者は必ず部屋の内覧を行います。常日頃からきれいにしておくことが一番ですが、少なくとも内覧前には部屋を隅々まできれいに掃除してください。
購入者にいいイメージを持ってもらうことが少しでも高い販売価格で購入してもらうためのポイントです。小さな傷などは自分で出来る範囲で修繕するなどして「素敵な部屋」であることを印象づけましょう。
相見積りをする
売却時は1社だけに依頼しないことが重要です。中古マンションには定価がありませんから、各不動産会社は「この値段なら売れる」という価格を提示してきます。不動産会社ごとに得意不得意があり、仲介する不動産会社の違いだけで数百万円の差がつくこともあります。
いくつかの不動産会社に相見積りを行い、納得できる金額の提示があり、なおかつ信頼できる担当者がいる不動産会社に仲介に入ってもらうようにしてください。
中古マンションを売却するときの税金
マンションを買取してもらうときには「消費税」と「所得税」の2つの税金について考えておく必要があります。これらを忘れてマンションの売却を行った場合、あとになって「思っていたよりも手元に残るお金が少ない」ということもありますので、最低限の知識だけは身につけておきましょう。
消費税の考え方
個人がマンションを売る場合は、基本的に非課税になると覚えておきましょう。2000万円でマンションを売った場合は、2000万円から仲介手数料を引いたものが売り主の取り分になります。
買取対象のマンションが自分が住むためのものではなく、投資用や家賃収入用だった場合は消費税が必要になります。2000万円で売る場合は2000万円から消費税分と仲介手数料を引いたものが取り分です。
ただし、消費税がかかるのは建物部分だけです。不動産の消費税は建物部と土地にわけて考えなくてはいけません。土地は非課税ですので、マンションを売る場合にかかってくる消費税は建物分だけになります。
また、仲介手数料には消費税がかかります。少し難しくなってしまったので整理します。
住宅用マンション:売り主の取り分=2000万円-仲介手数料-仲介手数料の消費税
投資用マンション:売り主の取り分=2000万円-消費税-仲介手数料-仲介手数料の消費税
住宅用と投資用で消費税の有無が変わってくること、仲介手数料には消費税がかかることを覚えておきましょう。
所得税の考え方
マンション売却時によって得られた収入には所得税がかかります。ただし住宅用マンションの売却による利益のうち3000万円までは控除対象になります。バブル期のような土地や建物の値段が右肩上がりだった頃の名残で、現在では所得税が発生することはほとんどありません。
投資用、賃貸用マンションの場合は売却による利益には所得税が発生するため、売ったお金をすべて次の投資や物件に使ってしまわないように注意が必要です。
まとめ
マンションを終の棲家とする考え方もありますが、価値のある間にライフスタイルに合わせて買い換えるというスタイルも最近増えてきました。売却をするからにはベストな売り時を見極めて売りに出すことが重要です。
築15年をひとつの目安として、少しでも得する形での売却を目指してください。売却を決めたら1日でも早く売るように心がけましょう。多少販売価格が下がったとしても確実に売れるタイミングで売却するようにしてください。