ホンダの象徴にして物作り日本の象徴、スーパーカブの生産が日本でおこなわれなくなってずいぶん経ちました。何だか寂しさを感じます。人件費の高騰が原因なのか、製造業自体に魅力がなくなってきているのか。日本では産業の空洞化が進む一方で、海外、とりわけ台湾からは元気なメーカーのニュースが数多く伝えられます。PCならばASUS、デジタル端末ならばHTC、自転車ならばジャイアント……そしてスクーターならば「PGO」なのです。
PGOとは
1964年創立のスクーターや小型のトライク、バギーを手掛ける台湾のメーカーです。イタリアの名門、ピアッジオと提携、OEMを手掛ける一方で、メーカーとしての実力を付け、オリジナルブランドの「PGO」としてデビューしました。そんな経緯は、先述の自転車メーカー、ジャイアントと似たものを感じます。武器は高い信頼性と、アフターサービス、そしてコストパフォーマンスの高さ……って、これって数10年前の日本車の強みそのもの。この様にして、産業は移り変わっていくのですね。
日本で代理店を務めるナーベルフォースは全国に販売網を増やし続けていますし、社外オプションパーツの数も豊富、それらを活かしたスクーターレースも盛んとなると、ますますこれから勢いを増していく予感と、日本では余りなじみのない排気量を持つスクーターを生産し続けるマイナーさ加減。微妙な立ち居地のPGO、現在の買取はどのような傾向にあるのでしょうか。
PGOの人気モデルと買取価格紹介
G-MAX
・G-MAX150
新車価格 36万6,000円
買取予想価格
年式:2014年 走行:1,000km 14万円
年式:2014年 走行:3,000km 12万円
年式:2005年 走行:7,600km 10万円
年式:不明 走行1万7,000km 5万円
・G-MAX220
新車価格 41万8,000円
買取予想価格
年式:不明 走行:7,600km 10万円
年式:不明 走行:1万5,000km 5万円
オイルクーラーを標準装備した現行のモデルが「150」。エンジンも4サイクルを積んでいるので、耐久性も良く人気となっています。一方で、輸入は打ち切られてしまった「220」、シャープな走りで人気でしたが、現在中古市場に出回っているのは、結構走行を重ねたもののみです。
PMX110
買取予想価格
年式:不明 走行:1万6,000km 数千円
排ガス規制のお陰で生産が止まってしまった2ストモデル。爆発的な加速で人気があったのですが何しろ古いモデルで、走行距離が長いものが多いために数千円程度しか望めません。いじりがいがあって、趣味で載る文には楽しそうですが、まず免許の心配をしなくてはならないとなると、ハードルは高めです。
Alloro125
新車価格 23万9,000円
買取予想価格
年式;不明 走行:2,500km 13万円
年式:不明 走行:1万8,000km 5万円
カーボンのエアインテーク(ルック)などスポーティーなテイストで人気を博したモデル。同クラスの日本車にはない充実装備も好評でしたが、現在輸入は止まっています。
査定基準
まず、日本でのスクーターの売れ筋は免許の都合から50cc、それ以上のものとなるとホンダ「フォルツァZ」の様な250ccクラスのものが売れ筋になります。つまりPGOが得意としているのはニッチのジャンルですから、どうしても買取が弱くなる。加えて台数も少ないために、市場価格も安定しない傾向に。まあ、再販を考えるならば国産が一番いいですよ……ということです。
さて、査定基準、これはバイクやスクーター全般で共通するのですが、事故を起こしていないかどうかがまず第一。スクーターは事故歴がチェックしやすい構造になっています。フレームやハンドル、リアにダメージが残るような事故は100%バレて査定額は下がります。
次にエンジン、白煙を上げているようなものはもちろん買い叩かれてしまいますし、異音がするようなものも同様です。
そして、ウインカーやブレーキランプなど。たかが千円程度のパーツですが、交換なくしては再販はできませんから、そこはシビアにマイナス査定。
そして、サスペンションやブレーキディスクの状態などなど。状態が悪いともちろん、減額です。車と違って全てのパーツがほぼむき出しのスクーターは査定がしやすくていいですね。
高く売るコツ
走行距離は査定上大きな要素
さて、車の走行距離は10~15万kmが一つの壁といわれているように、2ストは1万km、スクーターは2~3万kmといわれています。1万km越えのスクーターはPGOならずとも、値段が大きく下がるのが普通。買取価格が数千円ということもありえますから、気に入らないスクーターにだらだら乗っているよりは、走行距離が伸びる前に、すぐに見切る必要があります。
外装はクリーニングをおこなおう
また、外装の状態も査定に大きく響きますから、査定の前にホコリや汚れを落としてワックスぐらいはかけたほうがいいかもしれません。大切に乗っていたということが伝わると、心象も良いので査定アップが見込めたりもします。
一番大切なのは相場の把握
そして、買い取り相場をまず把握して、そこからいくらプラスできるかが高く売るための最大のコツ。複数の買取業者に競わせることが必要です。
時間があれば、自身で複数のショップで査定してもらうために店舗を回るのも手ですが、どうしても時間と手間がかかります。中古車同様一括査定のサイトが最近はオープンしています。こちらに必要事項を入力して送信するだけで、複数のショップが査定士に着たりしますから、有効に利用しましょう。
必要な書類や手続き
出典:原付を高く売る方法
125cc以下の原付の場合は「標識交付書」、126~250cc以下の場合「軽自動車届出済証」排気量によって用意する書類が違うのは、これだけ。後は「自賠責保険証」、「印鑑」、「身分証明書」(運転免許証など)は、共通になります。
買取を希望する人が、未成年の場合は親権者による「同意書」と親権者の身分証明書のコピー。名義人と買取を希望する人が異なる場合は「委任状」と名義人の身分証明書のコピーが必要です。
まとめ
日本のメーカーにない加速やスポーティーさにひかれてPGOを選ぶ人がだんだん増えつつあるものの、日本の免許制度やニッチともいえる車種しかないため、メジャーになりきれない存在のPGO。これから、スポーツスクーターというジャンルが盛り上がりを見せてくれば、ひょっとしてとも思わないでもないのですが、買取価格も日本製のそれと比べると厳しい状況が続かざるを得ないでしょう。
PGOを購入して日本車にはない魅力を楽しみたいならば乗り潰す覚悟で……といった感じですね。